38歳のフリーカメラマン・藤井善行が織りなすヒューマンストーリー。善行が仕事の先行きを案じていた時、廃寺の危機にある叔父の寺を継ぐため、僧侶の資格が得られる「関東仏教学院」に通わないかと叔母に進められる。学院で出会ったのは、年齢も経歴も背景も異なる仲間たち。主人公がさまざまなものと向き合い、成長していく姿が描かれている。原作は、東京仏教学院を卒業して僧侶になった漫画家・永福一成で、2015年に小説版も出版。
主人公・善行は、百貨店のカタログ撮影などが主の“物体撮影専門”のカメラマンだ。しかし、デジタルカメラの普及や、不況による企業の経費削減で、カメラマンの仕事は減る一方だった。そんな善行の叔父は、田舎にある善福寺という小さな寺の住職。跡継ぎがいないことを危惧した叔母が、善行に白羽の矢を立て、「関東仏教学院」への入学を勧めてきた。入学後は、仏の教えを学びながら、同級生らと福島県の被災地へボランティアに行ったり、同級生の日野灯に恋をしたりする善行。第二の青春といえるような1年間を通じて、己の進むべき道を改めて考え、僧侶に相応しい人間になるべく成長していく。
山に魅せられ、山に挑み続ける男たちの挑戦を描いた登山漫画。主人公は、山岳写真家の深町誠。ネパールの首都・カトマンドゥで、1985年に消息不明となった異色の天才登山家・羽生丈二と出会ったことから物語が動き出す。深町は、「冬期のエヴェレストを南西壁ルートで酸素器具なし・パートナーなしの単独登頂」という、前人未到の挑戦に命を懸ける羽生の姿を追う。原作は2016年に実写映画化も果たした、夢枕獏による同名の小説。
本作の根底には、今なお議論を呼んでいる実在の「謎」がある。それは、エヴェレストに初登頂したのは1953年のエドモンド・ヒラリーではなく、1924年に消息を絶ったジョージ・マロリー一行だったのではないかというもの。そのマロリーがエヴェレスト挑戦の際に持っていたカメラが縁で、深町は羽生と運命の出会いを果たし、彼に魅了されていく。紆余曲折を経て、羽生の冬期エヴェレスト南西壁無酸素単独登頂に同行するチャンスを獲得。山岳カメラマンとして、命を懸けて羽生の撮影に挑む。
人気モデル・槇村愛梨が、恋人の影響でカメラマンに転身することから幕が開くミステリーロマン。愛梨は撮影で若手カメラマン・九島大樹知り合い、恋人関係になる。彼の仕事ぶりに感銘を受けた愛梨は、自身も報道カメラマンになることを決意。そんな時、仕事で紛争地域を訪れた大樹が、何者かに誘拐され消息不明となる。彼がから不思議な力を持つカメラを譲り受けた愛梨は、数々の事件の真相に迫っていく。スピンオフ作品として、消息不明になった後の大樹を描いた漫画『デザート・ストーム』がある。
愛梨は大樹のカメラマンとしての才能に刺激を受け、モデル業を引退し、自身もフリーの報道カメラマンに転身する。三星銀行の頭取の娘として豪邸に住む愛梨だが、亡き母は正妻ではなかったため育ちは下町。そのためか、自立した精神と活発な行動力の持ち主だ。そんな彼女の愛用カメラは、大樹が行方不明になる直前まで使っていたニコンのF5。ある時、愛梨は、このカメラで撮影したフィルムの17枚目に、隠された真実が写ることに気付く。そして、「沈黙の瞳(サイレント・アイ)」と名付けたカメラを駆使し、恋人・大樹の生還を待ちながら、さまざまな事件の真相を追う。
正義感の強い熱血漢カメラマンが主人公の社会派漫画。戦争の真っただ中にあった1971年のベトナムや、冬季オリンピックが開催された1972年の札幌、国連総会が行われたニューヨークなど、物語の背景には、実在の出来事が描かれている。ギャグタッチの絵柄やセリフが多いが、戦争のむごたらしさや沖縄返還協定の反対デモの様子、自由を求めて亡命を希望するオリンピック選手など、重いテーマが取り上げられている。
本作の主人公・サムは、報道カメラマンの父を誇りに思っている。しかし父は、大きな新聞社からベトナムに派遣され、取材中に被弾し死亡した。それから10年が経ち、カメラマンとして父の遺志を受け継いだサムは、恋人・「デコ」こと大和撫子の反対を押し切って単身ベトナムへ。戦争を目の当たりにして怒りと悲しみに震えるが、その惨状と真実を世界に伝えるため、シャッターを切り続ける。サムは、美しい女性にめっぽう弱いが、ナイフを持った暴漢に囲まれても傷一つ負わない勇敢なスーパーマン。殺人事件に巻き込まれて容疑者として追われるなど、命懸けでさまざまなものと闘うことになる。
天才少年カメラマンが、プロカメラマンとの対決を経て成長していくカメラバトル漫画。日狩写太は、勉強も運動もできない中学生。ある日、報道カメラマンを目指す友人・島崎に誘われて、山での撮影会に同行した。この時、何気なくカメラを覗いてシャッター切った写太の写真が注目を集める。こうして、カメラマン・写太の新たな人生が始まった。
本作の主人公・写太は、将来やりたいことも見つからず、受験勉強にもまったく身が入らない中学生。そんな彼が偶然撮影した写真が、雑誌のコンクールで特賞を受賞し、天才少年と騒がれ戸惑いながらも、カメラに興味を持ち始める。話題の少年カメラマンとして、天才カメラマン・流真矢とのグラビア撮影対決の機会が与えられたり、ゴーストカメラマン・尾形一光とのカメラファイトを経験する。こうして、カメラと真剣に向き合うようになった写太は大きく成長。カメラとの出合いによって、虚無的だった彼の人生は色鮮やかなものへと変わる。