「侍」となった少年が、銀河の星々を守るため戦いに挑むスペースバトル漫画。主人公・八丸(ハチマル)は侍に憧れるゲーム好きな少年だ。しかし、病弱のため父親の作った生命維持装置なしでは生きられない身体の持ち主である。ある日、八丸はペットが拾ってきた謎のダルマに目を入れる。するとダルマのスリープモードが解除され、猫の姿をした獣人に姿を変えた。実は、その獣人こそが銀河の星々を守る「義」を背負った伝説の侍・達麻(ダルマ)であった。
達麻の剣術に尊敬の眼差しを向ける八丸であったが、達磨には「お前は侍には向いてない」と相手にされない。一方、彼の父は八丸を救うために手に入れた球体「ロッカーボール」の売り主に裏切られ、人質に取られてしまう。父を助けるべく八丸は、自らの腹にナイフを突き立て切腹し、ロッカーボールと融合することでサイボーグの身体を持つ「侍」へと変貌を遂げる。敵を倒し、自由な身体を手に入れた彼は達麻に認められ修業をすることに。星々を守るために必要な「パンドラの箱」とその鍵を集めるため、八丸は達麻と共に旅に出る。本作は、病弱だった八丸が、さまざまな仲間たちとの出会いを経て成長するさまが生き生きと描かれている。銀河の消滅を企む強敵・アタとのバトルシーンも迫力たっぷりだ。
ひょんなことから現代にタイムスリップした幕末藩士の日常を描いたタイムスリップコメディ。主人公・武市半平太(たけちはんぺいた)は土佐に住む武士であったが、投獄され不遇の日々を送っていた。ある日彼が目覚めると、見知らぬ土地の道路の上にいることに気づく。見たこともない車やガングロギャル、自動販売機に恐れおののく半平太であったが、なんと彼は平成の現代にタイムスリップしていたのであった。2015年にテレビドラマ化、2018年に実写映画化。
タイムスリップに気づかない半平太は、空腹のあまりスーパーマーケットでリンゴを貰うも店主たちの誤解を生み警察に追われる身となる。しかし、長きにわたる投獄生活のお陰で体力が尽き、とある民家の前で気を失ってしまった。次に目覚めた時、民家の主である老人・佐伯(さえき)に助けられ自らのただならぬ現状を知らされる。過去に戻る手立てのない半平太は、佐伯の家に居候することになり彼の経営する学習塾で子供たちを教えることに。奇異の目に晒されることもしばしばだが、好奇心いっぱいの子供たちとふれあう中で少しずつ溶け込んでゆく。本作は、半平太の苦悩や日常がユーモアたっぷりに描かれている。同じく現代にやってきた幕末の「同志」たちとの思わぬ再会も見どころだ。
江戸の町を舞台に、一匹狼の凄腕剣士の闘いと生き様を描いたハードボイルド。北町奉行所の隠密廻りである同心・板見半蔵は不浄の拷問に自ら身をやつしていた。筆頭与力・大西孫兵衛(まごべえ)は、そんな半蔵の奇行を苦々しく思いながらも、無宿者を捕え金山に送り込む「どさ御用」に部外者である彼を駆り出そうとする。何か裏があると感じた半蔵は、その誘いを断り大西を懐柔すべく手下を使い調査を始める。1972年にはじめて実写映画化された。
手下の調査により、大西に妾がいることが発覚する。その妾が島破りをした「三途の竿兵衛」の愛人・お美乃と同一人物であることを半蔵は見抜く。彼女の口を割らせるために半蔵は秘技「坐禅ころがし」を駆使し、快楽の底に溺れさせるのであった。竿兵衛の島破りを手助けした人物が大西であることを白状したお美乃は、大西の面前で竿兵衛ともども半蔵の手により惨殺される。大西の弱みを握ることに成功した半蔵は、その後も性と剣技を武器に、権力や悪にのさばる敵をさまざまな方法で闇に葬ってゆく。江戸だけでなく、甲府・大坂と場所を変えながら巨悪と闘う半蔵の立ち回りが痛快だ。弱者を守る正義の味方であるが、時として冷酷なダークヒーローとしての側面も楽しめるだろう。
武士道精神を仕込まれた男子高校生が所せましと暴れまわるドタバタコメディ。主人公・血祭武士(ちまつりたけし)は亡き父・雷造から武士道教育を受け、正義感溢れる少年に育っていた。高校の入学式に紋付袴で参加するなど、早速周囲から浮いてしまうがどこ吹く風である。その後、偶然隣の席に座ったクラスメイト・山口敦子(やまぐちあつこ)と意気投合し共に教室へ向かうが、二人をとんでもないトラブルが待ち構えていた。1986年にテレビドラマ化および実写映画化された。
なんと彼らが入学早々、近所の銀行から逃走した強盗が人質を盾に武士のクラスに立てこもっていた。強盗を新入生と勘違いした武士はギャグを披露するが、逆上され銃口を向けられる。しかし、怯むことなく日本刀で反撃し大立ち回りを繰り広げ、教室中を破壊してしまうのであった。その後も遠足やソフトボール大会など学校行事で頓珍漢な振る舞いをする武士であったが、敦子は少しずつ彼への恋心を育むのであった。クラスでも一風変わった存在の武士だが、武士道ゆえに義理人情に厚く親切にされると号泣したり、ミスをする度に切腹しようとするなどドタバタ劇が面白い。
サイボーグとなった少年暗殺剣士とその兄弟たちが巻き起こすタイムスリップバトル漫画。時は100年以上にわたる戦乱の世。「第2次侍大戦」の真っ只中、徳川家康率いる東方連合と豊臣秀吉率いる西方連合が終わりのない戦いを繰り広げていた。豊臣軍武将・真田幸村の私設部隊「真田十勇士」に手を焼いていた家康は、お抱えの科学部隊隊長であるDr.平賀を呼び寄せる。真田十勇士をせん滅させるべく秘密兵器を欲する家康に、Dr.平賀はとある少年を紹介する。
家康の前に現れた少年・平賀ジンタは、いきなり家康を捕捉(ロックオン)し手裏剣を見舞う。ジンタは人間だが、瀕死のところをDr.平賀に助けられ、からくり化された暗殺兵器として育てられたのであった。Dr.平賀曰く、真田十勇士は兄弟であり、過去に遡り彼らの母である立花初音を殺せば歴史上から消滅させることができるという。初音討伐の命を受けたジンタは、航時機(タイムマシン)「サムライゲート」に乗り、過去へタイムスリップするが、驚愕の事実が彼を待ち受けていた。本作は、十勇士が兄弟という突飛な設定に加え、ジンタの出生の秘密など複雑な要素が絡み合っている。共に戦うこととなった十勇士とジンタの運命はどうなるか、最後まで読みごたえたっぷりだ。