私、愛が強すぎるのですが何か？オススメ漫画５選63 Pt.

再会後、店にやってくる宗介につれない態度を取ってしまうかのんだが、宗介が使用したコースターをポケットにしまったり、記事に載っていた写真をスクラップしたり、店での会話を録音して保存するなど完全にストーカーである。かのんにとって、宗介は人生のすべてだ。不倫の関係になって周囲の反対にあっても決して自分を曲げることをせず、宗介への愛を貫いていく。宗介は、ゼリーとの戦闘で大怪我をしても「修繕」により何度でも蘇ることができるが、その度に人格や記憶が変わっていくという副作用があった。それにより、SLC研究員である妻・初穂（はつほ）とかのんの間で宗介の気持ちが移ろうさまや、心変わりした宗介を引き留めるべく初穂がゼリーを東京に放つなど、三者三様の愛の形が丁寧に描写されている。

作品冒頭から佐々木のメンヘラぶりがヒートアップしているのが、恐怖であり面白い。最初に届いたメールを山田が読んでいる最中に、「返信に2分もかからないはず」と抗議メールが届くありさまだ。さらに寮の部屋に侵入し、そこから外出している山田の行動を監視し殺害予告じみたメールを送りつけるなど、山田を追い詰めていく。その一方で、自分の誕生日プレゼントに山田との子供を要求したり、勝手に婚姻届を提出したりと、佐々木の暴走は止まらない。しかしそれはすべて佐々木の愛ゆえの行動であり、いじらしささえも感じる。山田の方も、戸惑いながら佐々木を受け入れる度量の大きさを感じさせる場面もあり、悲壮感を感じさせない。

本作は、デウスに仕組まれた未来が書き込まれた「未来日記」を保持する12人の、過酷なサバイバルバトルだ。一方で、雪輝と由乃の恋の行方が同時進行している。あるきっかけで雪輝が気になり始めた由乃は彼への思いを携帯に綴っていたが、その日記がデウスにより未来日記にされ、保持者となる。由乃はそれを受け入れ、雪輝と運命を共にする。由乃は雪輝につきまとう、1日に膨大な量のメールを送りつけるなどストーカー行為を行う一方で、雪輝が攻撃を受けると身を呈して彼を守り、攻撃も手段を選ばない。その愛の重さに当初は困惑し、恐怖さえ覚えていた雪輝の気持ちが揺れ動くさまが胸を打つ。二人の運命が描かれるラストには、涙せずにはいられない。

恋愛の絶頂期に恋人が亡くなるという絶望から、優里は思い詰め手首を切って自殺未遂をしようとする。それを止めたのが幽霊となった青野だった。優里は青野に何度も抱きつこうとするも、幽霊であるためすり抜けてしまう。タイトルの通り「触りたい」という欲求を果たすために、再び死のうとカッターを手にする優里の愛は一途だ。再び優里を止めた青野は幽霊だけどずっと側にいると優里に告げ、二人の生死を超えた交際は継続する。その後、青野は他人に憑依するようになり、その時だけ人格が豹変し、「黒青野」が出現してしまう。青野を助けようとクラスメイト達の力を借りて幽霊について調べたり、異界に赴き黒青野と対峙するなど、地味だった優里が愛の力で強くなっていくさまも見どころだ。

さとうとしおは愛に恵まれない環境で育ち、しおはさとうに連れ去られる形で同居生活を送っている。「ちかいのことば」を交わすなど2人の愛は共依存的で、さとうはしおのためなら他者を殺害することも厭わない。2人を取り巻く登場人物もそれぞれ偏愛の持ち主だ。さとうのバイト先の店長は、自分の店は「私の愛の王国」だと豪語し、店員の三星（みつぼし）太陽がさとうに好意を抱くことが気に食わず、太陽を監禁する。太陽はその事件で女性へのトラウマを抱き、偶然見つけたしおに対し少女崇拝のような愛を示す。しおを探す実兄・神戸あさひは、家族としての愛情から、しおをさとうから取り戻すべく金属バットを振り回す。正解のないそれぞれの愛が織りなす恐怖に、打ち震えること間違いなしだ。