青野くんに触りたいから死にたい

青野くんに触りたいから死にたい

人間と幽霊という、絶対に結ばれない二人の純愛を描いたラブ・ストーリー。「アフタヌーン四季賞2014年 秋のコンテスト」で四季賞を受賞した椎名うみの初連載作品で、「アフタヌーン」2017年2月号より連載されている。2022年3月実写ドラマ化。

正式名称
青野くんに触りたいから死にたい
ふりがな
あおのくんにさわりたいからしにたい
作者
ジャンル
恋愛
レーベル
アフタヌーンKC(講談社)
巻数
既刊12巻
関連商品
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あらすじ

龍平との再会

クラスメイトからも名前を認識されていないほど地味な刈谷優里は、困っていた自分を助けてくれた青野龍平に恋をする。優里は勇気を出して龍平に告白をすると、彼はあっさりとその告白を受け入れ、二人の交際がスタートする。しかし、交際が2週間を過ぎた頃、龍平は交通事故に遭い亡くなってしまう。絶望した優里は自殺して龍平に会いにいこうとするも、幽霊となった龍平に止められてしまう。こうして優里と幽霊になった龍平は、お互い触れ合うことはできないものの、つねに行動を共にするようになる。そんなある日、優里と龍平は映画を観ることになる。映画のラブシーンを観て恥ずかしくなった優里だったが、龍平はこれまで見せたことのない真剣な表情で優里を見つめ、自分を受け入れてほしいと告げる。このことを介して龍平は、生きている人間が自分を受け入れると言葉にすることで、相手の身体に憑依(ひょうい)できることを確認する。その後も優里と龍平は交流を続け、藤本雅芳も龍平が幽霊になったことを知る。そして龍平が憑依すると、憑依された相手は身体にダメージを受けたり、力がコントロールできなくなったりすることが判明する。

悪霊化していく龍平

自宅に遊びに来る予定の刈谷優里を待っていた堀江美桜のもとに、彼女とまったく同じ風貌で、不気味な話し方をする人物が現れて美桜を外に誘い出そうとする。このところ、青野龍平に憑依された優里は身体に不調をきたすようになっており、優里はふだんの龍平のほかに悪霊化している龍平も存在し、悪霊の龍平が周囲に災いをもたらそうとしているではないかとの結論に至る。このまま龍平を悪霊にしたくないと考えた優里や藤本雅芳、美桜は彼を救う会を結成する。そんな中、内田は体育の授業で優里にボールを当てそうになり、その拍子で内田自身が不可解な大ケガを負ってしまう。精神的にショックを受けた内田は、優里は龍平に取り憑かれていると吹聴する。そして内田は平穏な学校生活を取り戻すため、仲間と結託して優里を退学に追い込もうと画策する。そんな内田の思惑もあり、優里は藤本と共に体育倉庫に閉じ込められてしまう。すると絶体絶命の二人のもとに、龍平を思わせる不気味な声の主が現れ、助けてほしいのであれば何かを差し出すようにと告げる。

願いを叶える「四ツ首様」

悪霊と化した青野龍平は消え去り、ふだんの龍平だけが戻って来る。しかし、悪霊の龍平と接点を持ったことで白髪になった刈谷優里の髪色は、未(いま)だに戻ることはなかった。そして夏休みを迎え、優里は堀江美桜の伝手で、藤本雅芳と共に小学校の学童クラブでアルバイトをすることになる。そこで優里は霊感の強い少女、渡瀬希美と出会い、その反応から彼女は龍平を認識できているのではないかと期待を寄せる。しかし、希美は自分の霊感を不要なものだと考えており、自らの能力について語ろうとしない。そんな中、優里たちが過ごす学童クラブでは、どんな願いも叶(かな)えてくれる「四ツ首様」という妖怪の存在が噂(うわさ)されるようになる。結菜は希美と大翔を無理矢理誘って、四つ首様を呼び出すとされる儀式を実行する。すると儀式に参加した結菜たちは手に深い傷を負い、さらにその日から幽霊の類が見えるようになってしまう。

龍平の生贄になっていた優里

小学校で噂されていた妖怪「四ツ首様」にまつわる事件を通して、刈谷優里は自分が青野龍平にとっての生贄(いけにえ)になっているのではないかという結論にたどり着く。優里が自殺しようとした際に、龍平の復活の代わりに自らの命を捧げようとしたことをきっかけに、龍平が成仏することなく一部が悪霊化してしまったのではないかという思いから、優里は大きな責任を感じていた。こうして龍平の幸せのためにも、優里たちは生贄の契約を解除する方法を模索する。処女でなくなれば契約が無効になるのではないかと考えた優里は、彼の親友だった藤本雅芳と関係を持つことを決意。しかし、優里と藤本は性行為をすることができず、優里の腹に大きなバツ印の傷跡が浮かび上がる。

龍平と鉄平の関係

刈谷優里は処女のままながら、藤本雅芳と性行為をしようとして以来、青野龍平の姿が見えなくなっていた。優里は龍平がどこに行ってしまったのかと探索する中で、藤本と共に初めて龍平の実家へと向かう。そこにも龍平の姿はなかったが、優里は弟の青野鉄平と初めて顔を合わせる。優里が鉄平と話をしていると、突然龍平らしき人物の声が聞こえてくるが、それは以前いなくなった悪霊と化した龍平の声だった。この出来事をきっかけに、鉄平はまだ龍平が幽霊としてこの世に漂っていることを確信し、優里に対して龍平は自分にとってどんな人物だったのかを打ち明ける。

四ツ首様の追いかけっこ

どんな願いも叶えてくれる妖怪「四ツ首様」を呼び出す儀式をしたことで、大翔は昨年死んだ弟の蒼太を認識できるようになっていた。こうして大翔は刈谷優里の忠告もあり、悪いことだとは理解しつつも、かわいい蒼太の願いを受けてたびたび自らに憑依させるようになる。ある日、大翔は蒼太が自分ではない別の誰かと遊んでいることに気づき、得体の知れない恐怖を覚える。そんな中、優里や藤本雅芳、渡瀬希美、結菜、大翔は得体の知れない怪異に襲われる。その最中に優里は希美と結菜を救うため、悪霊の青野龍平と契約して瞳の色を失う。その後もそれぞれが怪異に襲われ、四ツ首様の伝説が残る加々智(かがち)山周辺に追い込まれてしまう。そこは実在する加々智山ではなく、異世界にある同じ景色が広がる場所で、優里はなぜか幼い容姿をした龍平と出会う。その幼い龍平は幽霊の龍平とは違い、互いに身体が触れ合える存在だった。

異世界に迷い込む優里

新学期を迎えて白髪と赤い目という異様な容姿となり、さらに加々智山で行方不明事件を起こした刈谷優里は、周囲から距離を置かれるようになっていた。そんな中、一部のクラスメイトと広瀬は、優里と藤本雅芳にふだんどおりに接していた。このまま平穏な日常生活に戻ると思われた中、優里は再び異世界に迷い込んでしまう。そして藤本は、優里からプレゼントとしてもらったブレスレットが異様に熱くなっていることに気づき、青野龍平との再会を願う広瀬と共に優里を探しに行く。

内田の企みと学園祭

刈谷優里たちの学校では学園祭が催されることになる。優里のクラスでは演劇の出し物が計画され、仲のよいクラスメイトたちの支えもあって、彼女は自分の役にまじめに取り組んでいた。そんな中、以前から優里を邪魔に思っていた内田は、この機会を利用して優里だけでなく、彼女と親しい藤本雅芳を退学に追い込もうと再び動き出す。

メディア化

実写ドラマ

2023年3月、本作『青野くんに触りたいから死にたい』の実写ドラマ版『青野くんに触りたいから死にたい』が、WOWOWオリジナルドラマとして放送。全10話。キャストは刈谷優里を髙橋ひかる、青野龍平をSexy Zoneの佐藤勝利が演じる。

登場人物・キャラクター

刈谷 優里 (かりや ゆうり)

高校2年生の少女。図書委員。黒髪のロングストレートで大きな目が特徴。高校2年生まで男子と話したことがない、という内向的な性格。また、天然で思い込みが激しい。廊下でぶつかったことがきっかけで、青野龍平と付き合うようになるが、交通事故により龍平を失う。思い詰めて自殺しようとするが、幽霊になった龍平に止められ、以後、幽霊の龍平と付き合うようになる。

青野 龍平 (あおの りゅうへい)

高校2年の男子学生。刈谷優里の隣のクラスに所属していた。茶髪のショートヘアで、背の高いイケメン。廊下で本を抱えた優里とぶつかったことがきっかけで、優里に告白されて付き合うことになる。その2週間後に交通事故にあって死亡するが、幽霊として優里の前に現れる。その姿は優里にしか見えないため、人前では、携帯電話で話すふりをした優里に、「赤川くん」と呼ばれる。 優里の許可があれば、彼女の体に憑依することができる。

書誌情報

青野くんに触りたいから死にたい 12巻 講談社〈アフタヌーンKC〉

第1巻

(2017-06-23発行、 978-4063882728)

第2巻

(2017-10-23発行、 978-4063882964)

第3巻

(2018-04-23発行、 978-4065112243)

第4巻

(2018-11-22発行、 978-4065134948)

第5巻

(2019-05-23発行、 978-4065154861)

第6巻

(2020-01-23発行、 978-4065182017)

第7巻

(2020-09-23発行、 978-4065207321)

第8巻

(2021-05-21発行、 978-4065233283)

第9巻

(2022-02-22発行、 978-4065268643)

第10巻

(2023-01-23発行、 978-4065302590)

第11巻

(2023-11-22発行、 978-4065332900)

第12巻

(2024-07-23発行、 978-4065360668)

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