懐かしい! 名作と呼ばれるおすすめSF少女マンガ120 Pt.

少女マンガでSF!? SFといえば少年マンガの得意ジャンルな印象だが、少女マンガでもちゃんとある。壮大なスケールの物語と、繊細な心理描写のマッチングを楽しみたい。

現代日本。高校生の「坂口 亜梨子」はお隣の小学生「輪(りん)」の悪ガキっぷりにほとほと手を焼いていた。ある日、「亜梨子」の不注意により「輪」がベランダから転落。奇跡的に目覚めたが、彼はその時、前世の記憶も一緒に思い出していた。彼の前世は月から地球を監察する異星人だったのだ。同じ前世の記憶をもつ人物が次々と現れ、過去の記憶と人間関係に囚われ、現世にまで引きずってしまう彼等の葛藤と成長を描く輪廻転生物語。記憶が戻らない「亜梨子」と、過去世の記憶が強く大人びた行動を繰り返す「輪」、二人のすれ違いが哀しく切ない。読み直しても再び泣ける名作だ。

遥か彼方の惑星「銀の三角」。そこの住民は縦に長い虹彩と、男女とも類い稀なる美貌をもち、6年に一度繁殖期を迎える。彼等は歌で未来を予知する事ができ、その美しさと能力故に静観戦争に巻き込まれる運命が待っていた。その「銀の三角」の子孫だと語る美女「マーリー」が哀しい種族の歴史を淡々と綴る、夢物語の様な異世界綺譚。現実感のない不思議な読後感が心地よく、詩的な台詞回しと美麗な作画に酔いしれる。今読んでも色褪せない「萩尾望都」の傑作だ。

80年代を代表するSFファンタジーのひとつで「異世界召還モノ」の元祖的な作品。夢の中に閉じ込められてしまい、現実世界でも目覚めなくなる奇妙な病が発生した現代。大学生の「ホクト」はその夢の中で「リュオン」という少年と出会い、共にこの悪夢の世界の秘密に迫って行く。少女マンガだが銃器を用いたバトルシーンが多く戦車なども登場するハードな内容。現実世界ではグータラな大学生だが、夢の中では超イケメンで勇敢な「ホクト」と、最強戦士ではあるが名前以外の記憶がなく精神的に不安定な「リュオン」。この二人の変わりゆく関係性に注目してほしい。

現代日本。古代超人類の血を引く超能力ヒロイン「小松崎ラン」と秘密組織「タロン」が作り上げたエスパーサイボーグ「ソネット」の戦いを描いた「紅い牙」シリーズの最終シリーズ。単なる超能力バトルではなく、宗教団体がアイドル歌手を使っての覆面布教活動や、携帯音楽プレイヤーを使った洗脳装置など、時代を先取りした「組織ぐるみの日本社会の乗っ取り」を描く社会派作品でもある。人間関係も複雑で、「ラン」と「ソネット」は密かに三角関係に陥ったりもする。しかし、阿蘇山火口での最終決戦はまさかの大展開でトラウマになった読者も多い。ぜひこの衝撃を体験して欲しい。

異世界に召還されてしまった普通の女子高生「ノリコ」。言葉も通じず、帰る手段もわからない。不安の最中で出会った「イザーク」は無愛想だが腕の立つ謎の美青年。二人の出会いがこの世界に大きな影響を与えることをふたりはまだ知らない。言葉が通じず、彼等の服の着方も分からないという状態から「ノリコ」が少しずつ学習してゆく姿がきっちりと描かれる。リアルな「異世界召還モノ」としてぜひお勧めしたい。