"バナナ"にちなんだ漫画特集！34 Pt.

2018年7月に『BANANA FISH』がテレビアニメ化。”バナナ”は南国果物の代表格であり、かつては高級品だったが、今や栄養抜群な庶民の味方的な存在。そんなバナナにちなんだ漫画を紹介していこう。

「バナナ・フィッシュ」は、元々サリンジャーの短編小説に登場する架空の魚。本作では、そう名付けられた「何か」が物語の大きな鍵となる。人物なのか、組織名なのか、それとも別のモノなのか。この「バナナ・フィッシュ」の謎を巡り、NYのダウンタウンを縄張りとするストリートキッズのカリスマ的なリーダー・アッシュは、コルシカ系マフィアのボスであるディノ・ゴルツィネと抗争を繰り広げる。そして、NYを取材に訪れていたカメラマンの助手である奥村英二は、取材先でアッシュと出会い、この抗争に巻きこまれていくこととなる。その空気が感じ取れるほど、リアルに描かれたNYを背景に展開されるスリリングな物語は、製作から20年以上を経た今なお色あせることはない。

バナナに関連する漫画で外すことが出来ないキャラと言えば、本作の主人公である花畑よしこ。彼女はとにかくバナナが大好物。バナナのためなら死んでも悔いはない。と、豪語するほどのバナナ好きで、種類や産地を問わず様々なバナナを口にしている。そんなよしこだが、タイトル通り彼女のアホぶりは想像を絶する。高校の学力テストで全教科0点を叩き出し、自分の名字の漢字すら忘れるほど。しかも、それを何ら恥じることなく、欲求と本能の赴くままに人生を謳歌している。隣近所に住む幼馴染みで同級生の阿久津明は、昼夜を問わず彼女の襲撃を受け、彼女が起こすトラブルに巻きこまれている。脳天気という言葉は彼女のためにあるとすら思わせるほど、無駄にポジティブなよしこの姿は、読む者に明日を生きる希望を与える!?

バナナが好物の動物と言えば、真っ先に思いつくのはゴリラ。そして、自他共に認める漫画界のゴリラと言えば『銀魂』の作者である空知英秋。自画像がゴリラであるばかりでなく、『銀魂』に自分自身をモデルとした、ゴリラそのものの漫画家「天知英秋」を登場させている。また、主要キャラの一人である真選組局長・近藤勲も、ゴリラキャラが完全に定着。彼に絡む形で、外見がゴリラそのものの天人（異星人）が登場するエピソードなどもある。ここまでゴリラ押しが強い作品ならば、バナナ特集に割って入っても、なんら違和感はないはず（？）。

フルーツが源氏名のデリヘル嬢ということで、当然「バナナ」さんも登場する。純情な新聞配達員である宮前は、初めて経験したデリヘルで、「バナナ」こと、トモミに惚れ込み、指名を繰り返すようになる。そんな彼は、トモミが夫からDVを受け、彼の命令で無理矢理風俗で働かされていることを打ち明けられる。顔を腫らせたまま指名に応じてきたトモミの姿を見た宮前は、彼女の境遇に激しく同情。ある決意を固めるが、彼を待っていたのは意外な結末だった。違法なイメージがあるデリヘルだが、実は風営法の改正で無店舗型性風俗として合法化されている。日陰商売ではあるが、それだけに未知の世界にスポットを当てる本作は、なかなかに興味深い。ちなみに「バナナ」さんが登場するエピソードは、第3巻のラストだ。