魔法使いの少年とその仲間が冒険の中、各地で様々な人々と出会い、やがて世界を救うための戦いに身を投じていく正統派ファンタジーアドベンチャー活劇。「マギ」と呼ばれる魔法使いである謎の少年・アラジン。彼は、冒険を続けていく中で、元王子のアリババ・サルージャや狩猟民族・ファナリスの少女モルジアナなどと出会い、行く先々で人々を救っていく。2012年、2013年にテレビアニメ化。スピンオフ作品に『マギ シンドバッドの冒険』がある。
西洋風のいわゆる「剣と魔法の世界」とは一味違い、エスニックな世界観が独特な本作。それもそのはず、例えばアラジン、アリババ、シンドバッドといった主要キャラのネーミングは、イスラム世界の説話集『千夜一夜物語(アラビアンナイト)』から採られており、世界観はそれに準じて中東風に描かれている。迷宮(ダンジョン)や、魔法を宿した道具「金属器」、金属器に封印されている精霊「ジン」といった冒険心を刺激する要素も満載だ。そんな世界で、アラジンたちは行く先々での出会いや、戦いを経て成長し、やがて世界の命運を左右する戦いへと身を投じていく。壮大な世界観や、迫力の魔法バトル、熱い人間ドラマで人気を博した本格的冒険活劇だ。
主人公の魔法使いが世界の命運をかけて敵対者と戦うダークファンタジーバトル漫画。主人公である伝説の魔法使いで、傲慢で好色なダーク・シュナイダー(D・S)は危険人物として、少年ルーシェ・レンレンの中に封印されていた。しかし闇の軍団に王国が侵攻され陥落寸前というときに、大神官の娘であるティア・ノート・ヨーコの口づけでD・Sは解き放たれる。そしてD・Sは侵攻する兵らを魔法で爆殺し、王国は救われるのであった。1992年にビデオアニメ化。
強力な魔法使いであるD・Sが剣と魔法の世界で好き勝手に戦い、結果的に世界を救うという展開が非常に明快な本作。読んでいて非常にカタルシスが得られる作品だ。それに加え、当初はRPG的だった世界観も邪神との戦いののち、天使や悪魔との戦いに移行するなど、際限なく壮大になっていくのも面白い。登場人物や魔法など、作中の固有名詞が、メタルロックのバンドやミュージシャンの名になぞらえて命名されているのも、メタルファンならお馴染みでニヤリとしてしまう。また卓越した画力と精細な描き込みが素晴らしく、迫力のバトルシーンや生々しい性描写などは必見である。連載が開始されたのは1980年代後半で、本作のような本格的なダークファンタジー漫画は数少なく、先駆者的大作であったといえる。
魔道士の少女と仲間の旅路を描くファンタジーアドベンチャーコメディ。主人公の自称「美少女魔道士」リナ=インバースは「盗賊いぢめ」が日課。ある日、日課を行っている際に、天才剣士のガウリイ=ガブリエフと出会い、冒険をともにすることになる。本作はライトノベル「スレイヤーズ」のコミカライズの一つ。メディアミックスの一環として1995年から2009年にかけ5度のテレビアニメ化および、5度の劇場アニメ化。また1996年、1998年にビデオアニメ化。
本作は剣と魔法の世界を舞台に、奔放な魔道士の主人公・リナと、生真面目だが少し天然ボケの剣士のガウリイをはじめとした個性的な面々が巻き起こす冒険ドタバタコメディである。リナのあやつる攻撃呪文「竜破斬(ドラグ・スレイブ)」をはじめ、読者の心をわしづかみにする魅力的な魔法や設定も盛りだくさんだ。本作は、原作にオリジナル要素を加えコミカライズしたものである。「スレイヤーズ」はライトノベル黎明期の代表的大ヒット作品で、メディアミックスも多く行われた。なお、原作であるライトノベル「スレイヤーズ」は、2018年に18年ぶりの新作が刊行、2019年には、30周年となる2020年を前に、新作のリリースが発表され、話題となった。
オンラインゲームと同様の異世界に転移してしまった主人公が世界征服に挑むダークファンタジー。同名ライトノベルのコミカライズである。DMMO–RPG(体感型オンラインRPG)「ユグドラシル」のサービス終了の夜、栄華をほこったギルドのメンバーであった主人公・HN(ハンドルネーム)モモンガは一人最後のときを待っていたが、サービス終了の瞬間にゲーム内のキャラクターへと転生してしまう。2015年、2018年に計3度のテレビアニメ化。
本作は「ユグドラシル」と似通った世界へ、自分のゲーム内キャラクターである骸骨の姿の魔法使いに転生してしまったモモンガが「アインズ・ウール・ゴウン」の名で絶対者として、かつてのギルドメンバーのキャラクターたちと異世界を征服していく物語だ。近年多くみられる異世界転生ものプラス、オンラインゲームの世界を題材としているが、主人公がアンデッドの肉体を得、かつての「ユグドラシル」での思い出を抱えながら、悪役として振る舞う、ある意味悲哀の物語でもあり、発想が斬新だ。また、オンラインゲームに触れたことのある読者ならば、「あるある」ものとして読むこともできるし、ファンタジー好き、はては原作のファンにもとっかかりがよく、非常に読みやすい良コミカライズだ。
魔法が現実となった近未来を舞台に、「魔法科高校」に入学した兄と妹の日々を描く学園SFバトルアクション。同名ライトノベルのコミカライズの一つである。「魔法師」を養成する国立魔法大学付属第一高校に入学した劣等生の兄・司波(しば)達也と優等生の妹・深雪(みゆき)。将来を約束されたエリート「一科生」の深雪と、補欠である「二科生」達也の訳ありの兄妹の波乱に満ちた学園生活が描かれる。2014年、2020年にテレビアニメ化。2017年に劇場アニメ化された。
この高校では、一科生は制服のエンブレムの形から「花冠(ブルーム)」と称され、対して二科生はエンブレムがないため「雑草(ウィード)」の通称で、揶揄される。近年よく耳にするスクールカーストにも通じる、問題のある環境に身を投じることになった2人。彼らを中心に個性あふれる面々の優等生、劣等生入り乱れての波乱に満ちた学園生活が描かれる。加えて、本作は四葉(よつば)家の次期当主候補として将来を縛られた妹・深雪と、そのガーディアン(守護者)である兄・達也とが、支えあい自由を掴み取ろうとする物語でもある。本作はその序章部分のコミカライズであり、作者による描写は、原作のイメージを損なわずによくとらえており、よい仕上がりである。