人気作家・田中芳樹による壮大なスペースオペラ小説を、『封神演義』などの作品で知られる藤崎竜がコミカライズした作品。広大な銀河系を舞台に、専制政治を敷く銀河帝国と、民主共和制を唱える自由惑星同盟の二陣営による攻防を描く。長い対立が続く両勢力に、ラインハルト・フォン・ローエングラムとヤン・ウェンリーという2人の英雄が登場し、銀河の歴史は大きく動いていく。
人類が宇宙に進出し、銀河帝国と自由惑星同盟が覇権を争う未来世界を背景とする本作。コミカライズ版は物語の主役であるラインハルトとヤン、そして彼らを取り巻く人々が繰り広げる群像劇と、ダイナミックな宇宙での艦隊戦の模様を緻密な筆致で描き出している。同盟側の主人公であるヤンは、圧倒的に不利な状況を覆して自軍に勝利をもたらし、“魔術師”や“奇跡(ミラクル)”の異名を冠される司令官。私生活ではおよそ軍人らしからぬだらしなさを披露し、一刻も早く軍を退役したいと公言する彼だが、軍を率いるときは敵将の心理を読んだ策で“不敗”の戦いぶりを見せる。一方、帝国のラインハルトは“常勝”と称され、2人は宿命のライバルとして幾度も激突する。
「怪盗」を題材とした、ミステリーアクション。父の死の謎を解くために「怪盗キッド」となった主人公の黒羽快斗が、マジックや華麗なアクションで狙った獲物を鮮やかに盗みだす姿を描いていく。同作者の作品である『YAIBA!』『名探偵コナン』とも世界観を共有しており、『名探偵コナン』の中で怪盗キッドが江戸川コナンのライバルとして登場し、対決するエピソードも複数描かれている。
主人公の黒羽快斗は、世界的なマジシャンだった亡き父の薫陶を受け、超一流のマジックの技術を身に着けた高校生2年生だ。悪戯好きのお調子者として学生生活を送っていた彼は、ある日家で謎の隠し部屋を発見し、世を騒がせた「怪盗キッド」の正体が父であったことを知る。さらに父の元付き人から、父の死が何者かの陰謀によるものだったことを知らされた快斗は、その謎に迫るべく2代目怪盗キッドを襲名し、活動を始める。犯行予告を行い、厳重な警備を得意のマジックとトランプ銃など多彩なアイテムを駆使してかわし、目標を盗み出すキッドの姿は、まさに「怪盗」と呼ぶにふさわしいものだ。
武田信玄に仕えた戦国時代の名軍師である山本勘助。その若き日の姿を『三国志』ほか歴史ものの名作でも知られる横山光輝が描いた時代活劇コミック。物語の主役はとある負け戦の中で出会った山本勘助と忍者の源蔵の2人。野盗や忍者、豪族同士による壮絶な戦いに始まり、後に信玄を名乗ることになる武田晴信と出会い、武田の旗のもと幾多の戦いで名を馳せていく。
武田二十四将のひとりに数えられながら、その存在に多くの謎を残す人物として知られる山本勘助。本作はその勘助と相棒である忍者の源蔵が経験する戦いを、実話とフィクションを交えて描く作品だ。本作の山本勘助は、天下にその名を響かせたいという野望を持つ若者。参戦した戦で敗れ、傷ついた源蔵を助けて戦場から逃れた彼は、落ち武者狩りに見つかって瀕死の重傷を負い、右目を失う。だが、彼はそこでくじけることなく、とある村を襲った野盗の群れを奇策で撃退。それをきっかけに戦国武将たちに名を知られ、さまざまな戦いを経てやがて武田晴信(信玄)に仕えることになる。自軍の兵を多く見せ、敵を撤退させた「見せ勢」や、さまざまな奇襲作戦など、勘助の奇策を繰り出す合戦シーンは作中の大きな見せ場だ。
戦国最強の軍師とも評される黒田官兵衛の成長と生き様を描く歴史ドラマ。官兵衛は、風を愛する豪放磊落な男。堺の街で博打に明け暮れていた16歳の頃に織田信長と出会い、戦乱渦巻く戦国時代に身を投じていく。フィクションを多分に交えた黒田官兵衛一代記だ。戦国武将を熱く華々しく描く『義風堂々!!』シリーズの第2弾「黒田官兵衛編」にあたる。
大河ドラマの題材にもなり、戦国時代の名軍師として一般にも広く知られている黒田官兵衛。本作はその官兵衛を、波乱の戦国を生きた爽やかで豪胆な、熱い男として描き出している。作中で特に印象的なのは、官兵衛が「風を読む」者として描かれている点だ。彼はその智謀で勝負の風、人の風、天下の風を読み、賭け事や戦さにおいてどちらに風が吹いているかを見極め、勝利をつかみ取っていく。さらに物語の中で特に厚く描かれているのが織田信長と官兵衛の交流だ。信長と知り合った若き日の官兵衛が「楽」の一文字を授けられるエピソードをはじめ、天下統一を語る戦国の風雲児から薫陶を受け、官兵衛がより大きく成長していく姿も本作の見どころとなっている。
紀元前の古代中国。漢の始祖である劉邦を支えた名軍師の張良を主役に、戦乱の中に生きた者たちの姿を描く歴史ロマン。張良の祖国を滅ぼし、中国大陸の統一を果たした始皇帝を討たんとする彼が、優れた暗殺者を求めて倉海の地を訪れるところから物語は始まる。やがて始皇帝が病に倒れ、各地で英雄が決起して始まる乱世の中で、張良は「愚の龍」劉邦と出会い、幾多の戦場で軍師として智謀を振るっていく。
中国の歴史書「史記」の中で、諸侯について扱った「世家」の30巻。本作は、そのひとつ「留侯世家」に記されている逸話をベースに、漢の名軍師である留候こと張良と、同じ時代を生きた英傑たちの興亡を描く作品だ。祖国を奪った始皇帝への復讐を誓う張良は、未来を見通すかのような行動を見せる「黄石」と、驚くべき力を持つ「窮奇」の2人の仲間とともに戦乱の世を歩んでいく。張良の神算鬼謀がフルに発揮されるのは、「陳勝・呉広の乱」で秦に反旗を翻した劉邦と出会ってから。秦の都に攻め上る劉邦の軍に行った様々な献策や、楚の猛将である項羽に命を狙われた劉邦を救った「鴻門の会」など、知略と弁舌を駆使して劉邦を支えた名軍師の姿は、作中でも余すところなく描かれている。