魔界を追放された悪魔が、死後に地獄へ送られる人間を弁護するミステリー要素を交えたバイオレンス・アクション漫画。主人公のメフィスト・バルト・クカバラは、元は並外れた魔力を備える魔界の王子。しかし、クカバラは陰謀によって魔界を追放され、魔力も奪われてしまう。そこでクカバラは、罪を疑われる死者の弁護を行うことで、悪魔の力の源「ダークマター」を集めようと思い立つ。かくして依頼人となった死者を救うため、死神たちを相手に命がけの弁護を行っていく。
本作における「あの世」は、現世と地獄の境界地域「イベントホライズン」が中心。ちなみに本作には様々な地獄が登場するが、これらは魔界の一部であり、それぞれ別の死神が統轄している。メフィスト・バルト・クカバラは、その魔界を統べる大王の第三王子。だが、優しい性格ゆえに周囲の悪魔から疎まれ、隠謀によって地位も力も奪われ魔界から追放されてしまう。そんなクカバラが力を取り戻す手段として考えついたのが、罪を疑われる死者の弁護だ。死者は生前の罪に応じて「ダークマター」を身に纏うが、「ダークマター」は悪魔の力の源でもある。クカバラが死者の無罪を証明できれば、この「ダークマター」を全て受け取り、悪魔の力を回復することができる。ただし、検察的な立場の死神も「ダークマター」を目当てに死者を執拗に狙ってくる。死者の罪を巡って、クカバラと死神が繰り広げる熾烈な争いが本作の大きな見どころだ。
妹を救うため、命がけのゲームに参加した少年の過酷な戦いを描いたサスペンスフルなギャンブル漫画。四宮良真は幼い頃に両親を亡くし、家族は妹だけ。その妹も難病に冒され、余命ひと月と診断された。彼女を助けるには10億円もの費用が必要だが、高校3年生の良真にそんな大金は捻出できない。途方に暮れる良真の前に、謎の女性が現れてこう尋ねる。「キミは望みために命を懸けることは出来るか」と。良真が「出来る」と答えると、謎の女性は彼に1枚のチケットを渡して消え去った。この奇妙な出来事をきっかけに、良真は不可思議なゲームバトルに巻きこまれていく。
本作における「あの世」は「辺獄(リンボ)」と呼ばれる地獄の入口だ。良真は謎の女性にチケットを渡された直後、暴走トラックに轢かれて事故死する。しかし、良真は骸骨で飾られた不気味な教会で目覚め、しかも少女の姿となっていた。狼狽する良真の前に、再び謎の女性が出現する。彼女の正体は天使で、良真を事故死させた張本人だという。彼女は、良真と同様に「望みのために命を懸けることは出来る」と答えた人間を事故死させ、辺獄に招集して仮の肉体を与えていた。その目的は、彼らを「ゲェム」(ゲーム)で競わせること。勝者には元の姿に蘇生した上、9999億円もの大金が与えられるが、敗者には死が待ち受けている。また、本名を知られても死んでしまう。人間が浅ましく憎み合い、奪い合い、殺し合う姿を見るのが大好きという残虐な天使・クロエルの管理下で、良真たちは過酷極まる「デスゲェム」に挑んでいく。
地獄に堕ちた極悪人と獄長との奇妙な関係を描いたバイオレンス・アクション漫画。主人公のカンダタは、幼い頃から危険を好み、放火や殺人といった悪行を重ねた大泥棒。戦いに明け暮れたカンダタは、あまりに強くなり過ぎて現世に不満を抱くようになる。そこで彼は、自らの首を刎ねて地獄に堕ちるという前代未聞の行動に出る。カンダタは地獄でもその強さを存分に発揮し、並み居る獄卒たちも手を焼く有様だ。そんなカンダタを止めたのは、火炎地獄の女性獄長である夜長(よなが)だった。カンダタは、自分に今までに無い苦痛を与えた夜長にベタ惚れし、彼女に熱烈な想いをぶつけていく。
本作における「あの世」は地獄。カンダタは自分の首を刎ねて、自ら火炎地獄に堕ちてきた。ありとあらゆる罪を犯してきたカンダタが求めるものは、強い相手との戦いで受ける苦痛。彼にとって、苦痛こそが悦びそのものだった。そんなカンダタに至上の苦痛を与えたのが夜長だ。夜長は「不働」の呪いを受けており、獄長として務めが一切出来ない。そのため、獄卒なら誰もが使える「拷問技」も使えなかった。しかも彼女は、地獄を拷問のない健全な場所にしたいと願う優しい心の持ち主なのだが、奇妙な偶然が重なりカンダタに強力な「拷問技」を発動する。その苦痛は、彼をすっかり虜にしてしまう。かくしてカンダタは夜長の願いを叶えるため、彼女の妹の夜忍(よしの)、胡宵(こよい)と共に地獄を巡る旅に出る。
同じ日に死んだ8人の男女が、生き返りを賭けてゲームを行うミステリアスなラブコメディ漫画。ある日、女子高生の暁凛(あかつきりん)は、奇妙な空間で目を覚ます。そこには見知らぬ男女の姿があった。自分たちの置かれた状況を理解できず戸惑う彼らの前に、神を自称する不思議な存在が現れる。彼によると、凛たちは同じ日に死んだ人間だという。混乱覚めやらぬ彼らに対し神は生き返りを賭けたゲームを提案するが、その内容はズバリ恋をすること。いち早く恋人同士になったカップルが生き返れるのだ。かくして、年齢も抱える事情も異なる男女によるラブゲームが幕を開ける。
本作における「あの世」は天国。といっても一般的なイメージのような楽園ではなく、かなり無機質な空間だ。様々な形で死亡した男女8人が集められ、共同生活を送りながらカップル成立を目指すラブゲームを展開する。参加者にはそれぞれ個室が与えられるが、キッチンは共同空間。その舞台設定は、テレビの「リアリティ番組」さながらだ。ゲームを取り仕切る神自身が「今回はシーズン3だ」などとのたまっている。集められたのは、女子高生に人気俳優、バーテンダー、マジシャンの助手、サラリーマン、外国人モデル、ミュージシャンの卵、翻訳家。年齢も18~45歳と幅広く実にバラエティに富んでいる。物語はそんな彼らの生前の姿や、死に至った事情などを紐解きながら展開していく。ユニークな設定が光る、一風変わった恋愛ドラマだ。
平安時代を舞台に、身分違いの男女の恋の行方を描いたラブロマンス漫画。主人公の沙桐(さぎり)は、姉である栞の夫・式部太夫に想いを寄せ、叶わぬ恋に絶望して自害した。沙桐はその罪を償うため、閻魔の命で300年もの間、死者の案内人を務めてきた。そんな彼女がある日、生死の境を彷徨う陽朔(ひさぎ)と巡り逢い恋に落ちる。ふたりは来世での再会を誓うが、沙桐が目覚めた先は慣れ親しんだ我が家だった。かくしてふたりは来世ではなく、現世で再会する。
本作における「あの世」は、現世と浄土の狭間に漂う黄泉の国。道ならぬ想いに身を焦がし絶望して自害した沙桐は、昇天出来ずに黄泉の国で死者の道案内を務めていた。そんな彼女の前に現れたのは、東宮(次期帝)である陽朔。地位の重圧に耐えかねた彼は病に伏し、黄泉の世界に迷い込んでいた。沙桐と陽朔は恋に落ち来世での再会を誓うが、この出逢いは、沙桐の長年の務めに対する閻魔の褒美だった。その後、閻魔は沙桐が自害した直後に遡って甦らせ、結果、沙桐と陽朔は現世で再会する。しかし、沙桐の父は左近衛少将(正五位下)で宮中の中位といったところ。次期帝相と思相愛とは言え、沙桐にとって自害の原因となった相手以上に困難な恋路だ。かくして、平安時代の雅やかな宮中を舞台に身分を超えた恋愛劇が始まる。