若き日のブラームスが、とあるバイオリニストと共に旅する物語。19世紀半ばのドイツ、演奏しながら国中を巡る2人の若者がいた。1人はピアニストのヨハネス・ブラームス。後にドイツ音楽でバッハ、ベートーヴェンと並び称される音楽家であった。もう1人はバイオリニストのエドゥアルト・レメーニ。ブラームスは彼の音に惹かれ、旅路の中で腕を磨いていた。
本作の主人公は、『ハンガリー舞曲』をはじめ数々の傑作を手掛けたヨハネス・ブラームス。バッハ、ベートーヴェンと並びドイツ音楽「3B」の1人に挙げられる。本作は史実を元に、青年時代のブラームスがハンガリーのバイオリニストであるエドゥアルト・レメーニと共に歩んだ演奏旅行の日々が綴られている。自由で人を惹きつけてやまない演奏をするレメーニ。そんな彼の音に惹かれ、ブラームスはピアニストとして彼と共に各地で演奏旅行をしていた。酒場や音楽堂、貴族のサロンなどで演奏するうちに、レメーニの自由奔放な音楽がブラームスに大きな影響を与えていく。
ドイツの音楽家ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンをモデルに描かれた物語。手塚治虫の後期作品にあたり、作者逝去のため未完となっている。幼少期より天才的な才能を発揮してきた音楽家のルードヴィヒ。彼は数奇な出会いをしたオーストリアの貴族フランツから仇として狙われることに。それでもルードヴィヒは音楽の道を邁進する。
本作の主人公は、交響曲の『運命』や『第九』で知られるドイツの音楽家ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン。宮廷音楽長を祖父に持ち、幼い頃から音楽の才能を開花させていた。そんな彼が出会ったのは、本作のもう1人の主人公と言える人物フランツ・フォン・クロイツシュタインだ。オーストリア貴族の子息であるフランツは、母親の死の遠因となった孔雀「ルードヴィヒ」の名を持つ者を憎むように父親から育てられた。やがてフランツは天才音楽家として名を馳せるベートーヴェンに出会い、彼を仇として憎むようになる。史実にあるベートーヴェンの聴覚障害を、本作では幼い時にフランツが杖で殴った後遺症として描いている。
モーツァルトが女性だったらというifで描かれるヒューマンドラマ。舞台は1760年のザルツブルグ。音楽家のレオポルドは、わずか4歳の娘のエリーザがおふざけで即興のワルツを弾いたことに驚かされ、彼女の才能に気づく。レオポルドはエリーザを音楽家にするため、男として育てると決意。やがて彼女を巡って悲喜劇が巻き起こる。1991年ミュージカル舞台化。
本作の主人公は、言わずと知れた天才音楽家のヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトがモデル。この時代は女性が音楽家になることは不可能であったため、わずか4歳で音楽家である父親を驚かせる才能を見せたモーツァルト(本名エリーザ)は、男として育てられることに。その才能はヨーロッパ中に知れ渡り、若くして音楽家として大成する。奔放で楽天的なモーツァルトは、女性でありながら下宿先の娘コンスタンツェから求愛され、そのまま結婚してしまう。当然コンスタンツェに女性であることを知られてしまうのだが、モーツアルトは結婚を続けようとする。一方、モーツァルトが女性とは知らず想いを寄せる男も登場し、錯綜する愛憎劇がコミカルに描かれる。
音楽家のショパンとリストをめぐる、史実を元にした友情物語。舞台は19世紀中頃のパリ。後に“ピアノの魔術師”として名を馳せるフランツ・リストは演奏会でとある曲を弾き、大成功を収めていた。その曲の作者は、“ピアノの詩人”と呼ばれたフレデリック・ショパン。今は亡き友人に想いを馳せながら、リストは彼の曲を弾くのだった。
本作のタイトルにある「ショパン」は、数々のピアノ曲で知られるフレデリック・ショパンのこと。そしてこの物語のもう1人の主人公はフランツ・リストである。ショパンとリストは史実でも友人であり、ショパンの死後にリストは『ショパンの芸術と生涯』という伝記を綴っている。リストは初見でどんな曲でも弾きこなしてしまう天才的ピアニストだが、そんなリストが唯一初見で弾くことができなかった曲が、ショパンの『エチュードOp.10』であった。数週間の練習の後、完璧に弾きこなしたリストにショパンは『エチュードOp.10』を献呈するといったエピソードも本作では描かれている。
クラシック音楽の偉人たちが音楽で悪霊退治するエクソシストファンタジー。シューベルトは、先輩であるベートーヴェンと共に世にはびこる悪霊を音楽で祓っていた。だがある日、悪霊によってベートーヴェン先輩の聴力が奪われてしまう。先輩に代わってエクソシストを依頼されるが、現れたのはバッハの孫の霊だった。
本作の主人公は、『魔王』や『鱒』などの歌曲を手掛け、“歌曲の王”の異名を持つオーストリアの作曲家フランツ・シューベルトがモデル。タイトルの『シューベルティアーデ!』は、彼が私的に行った歌曲を楽しむ夜会「シューベルティアーデ」のこと。主人公のシューベルトは音楽家でありエクソシストであり、コメディタッチなファンタジーバトルの中にクラッシック音楽が織り交ぜられている。悪霊となったバッハの孫を退治する際は、シューベルトが自作の『鱒』で心を奪おうとするが、バッハが作曲した『トッカータとフーガ ニ短調』で反撃されてしまう。ピンチに陥ったシューベルトは最大限の力を引き出し『魔王』で応戦、見事除霊に成功するのだった。