競艇マンガ『モンキーターン』、高校生書道マンガ『とめはね! 』を世に送り出す漫画家「河合克敏(かわい・かつとし)」が描く柔道マンガが『帯をギュッとね! 』だ。小学館の「週刊少年サンデー」に1988年から95年まで連載された。「NEW WAVE JUDO COMIC」と銘打たれた本作品は、『柔道一直線』や『柔道賛歌』のような熱血根性ものとは一線を画すおチャラけた雰囲気と真面目で爽やかな要素を併せ持っている。
柔道マンガは数あれど、多くがスポ根魂に重きを置いた作品が多かった。本記事では、もっと爽やかなイメージがあり、柔道未経験者でも読みやすい『帯をギュッとね! 』を紹介する。
出典:Amazon.co.jp
競艇マンガ『モンキーターン』、高校生書道マンガ『とめはね! 』を世に送り出す漫画家「河合克敏(かわい・かつとし)」が描く柔道マンガが『帯をギュッとね! 』だ。小学館の「週刊少年サンデー」に1988年から95年まで連載された。「NEW WAVE JUDO COMIC」と銘打たれた本作品は、『柔道一直線』や『柔道賛歌』のような熱血根性ものとは一線を画すおチャラけた雰囲気と真面目で爽やかな要素を併せ持っている。
主人公「粉川巧(こがわ・たくみ)」は、初登場時中学三年であり、柔道の昇段試験(初段)を受けるために自転車で急いでいるところ、信号無視の交差点で車と接触事故を起こしてしまう。そこにたまたま居合わせたのが県警で柔道師範をしている「倉田典善(くらた・てんぜん)」。彼は、原形を留めない程になってしまっている自転車に比べ、無傷でぴんぴんしている少年に柔道家として興味を抱く。
パトカーで会場まで送ってもらった巧は、会場玄関で彼を待つ同じ中学の柔道部主将「杉清修(すぎ・せいしゅう)」と合流する。昇段会場で出会った、南部中主将「斉藤浩司(さいとう・こうじ)」、そして東部中の巨漢「三溝幸宏(みつみぞ・ゆきひろ)」、同じく東部中の小兵「宮崎茂(みやざき・しげる)」と、同じ高校に進むことになる。高校に「柔道部」が存在しないことを知った彼らは、お互いをけん制しつつ、担任の「倉田龍子(くらた・りゅうこ)」を巻き込み、自分たちの代で、部員全員「一年生」の柔道部を作り上げることになるのだ。
柔道マンガだといっても、登場人物は男子高校生だけでは少し物足りない。子供の頃からの巧の幼なじみで、昇段試験にも応援へ駆けつけていた「近藤保奈美(こんどう・ほなみ)」と、その親友で運動能力抜群の「海老塚桜子(えびづか・さくらこ)」が登場する。ふたりは話の流れの中でいつしか「柔道部のマネージャー」という地位に収まってしまう。他には、柔道部の顧問になった「倉田龍子」もなかなかの美人(彼女は倉田典善の娘でもある)。進学校である佐鳴(さなる)高校・柔道部の「袴田今日子(はかまだ・きょうこ)」や赤磐(あかいわ)高校の曲者実力者「別所愛子(べっしょ・あいこ)」、女子柔道界のスーパースターとなるべく運命づけられた「来留間真理(くるま・まり)」と見た目は可憐、しかし柔道は強い年頃の女子たちも見逃せないポイントだ。
五人は、各自の特徴を生かした柔道スタイルを持つライバルたちだ。切磋琢磨の日々は続いていくが、当然、他校にもライバルと思しきキャラクターは増えていく。最初に五人の前に立ちふさがるのは、中学時代、全国大会での優勝経験を持つ三方ケ原(みかたがはら)工業の「藤田恵(ふじた・めぐみ)」だ。ある日、巧みと街で出くわした藤田は、ふとしたことで喧嘩になってしまう。巧は藤田によって簡単に投げられてしまう出会いから、二人は終生のライバルとして自分自身を磨きあげていくことになる。
巧たちは新設柔道部は全員一年生として結果も伴い、注目を集めるが同じくスポーツ特待生だけを集め、一年生だけで柔道部が新設された私立暁泉(ぎょうせん)学園高校は忘れがたい。柔道部として、ライバル関係にあるのはもちろんのこと、暁泉学園高校の主将は、かつて巧や保奈美の幼なじみで小さい頃はいじめられっ子だった「堀内平八郎(ほりうち・へいはちろう)」だった。幼なじみといった立ち位置にも注目したい。
サンデー名作MUSEUMとして『帯をギュッとね! 』の第1話が公開されている他、漫画家「河合克敏」が自作について語る貴重なコメントが掲載されている。
『帯をギュッとね! 』は柔道部として、真面目に切磋琢磨し合う姿が魅了的なはもちろんのこと、おバカなことも男子高校生だからやっているよねと笑わせてくれるコメディ要素があり、柔道に対して様々な印象を持つ読者が受け入れられる作品だ。是非、読んでみてはいかがだろうか。
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