未読の人は要チェック！～90年代少女漫画編～76 Pt.

ドジで単純、勉強もダメ、料理や裁縫も苦手。いいとこなしだけど明るくて根性だけは誰にも負けない高校生・相原琴子は、入学式で一目惚れした入江直樹を片思いし続けて丸二年。決死の思いで告白するも、あっさりフラれてしまう。ある日、地震で自宅が倒壊。やむなく父親の親友の家に父娘で居候することになるが、そこはなんと直樹の家だった！　かくして始まる、奇妙な同居生活。ノンストップ居候ラブコメ。シリーズ後半は舞台を病院に移しての医療編となる。

少女漫画としては珍しい、ホロコースト戦国バトル漫画。20世紀末に滅亡を迎えた地球は、文明が中世レベルまで後退し、各地で暴君が君臨して、たがいに争いあう乱世になっていた。それから300年後、日本の山陰地方・白虎の村にタタラと更紗の双子兄妹が誕生する。兄タタラは「運命の子」と呼ばれ、圧政に苦しむ民衆を救おうとするが、反逆者として殺されてしまう。兄の意思を継いだ更紗は新たな「タタラ」となり、人々を糾合して乱世を終結させる戦いを開始する。これもまた「戦う少女」の一例だろう。

名族や大富豪の子ばかりが通う英徳学園高校。そこに、娘の玉の輿を願う母親の勧めで入学した一般庶民の牧野つくしが主人公。あるときつくしは友人をかばったせいで、学園の中でも極めつけの大金持ちグループ、Ｆ４（Flower4、花の四人組）に目をつけられてしまう。その壮絶な貧乏人差別といじめに、ついにつくしは立ち上がる！　そんなつくしに、Ｆ４のメンバーが惚れたことがきっかけで、さらに事態は混迷していく。学園を舞台にした、貧乏vs金持ちの階級闘争コメディ。

ヘルタースケルターとは「しっちゃかめっちゃか」の意味。全身に美容整形手術を施して人気ファッションモデルとなったりりこは、整形の副作用と仕事のストレスで、心身ともに疲労困憊しつつあった。そこへ、結婚を考えていた相手の裏切り、整形クリニックの違法行為を調査する検事の出現、整形とは無縁の生まれつきの美貌の持ち主たる後輩こずえの登場など、次々とトラブルがもちあがる。マスコミの格好の槍玉にあがったりりこは、やがて……。とにかく果てしなく転がり落ちていくりりこの人生が壮絶。

単行本1集に収録されている短編の表題作。擬音や漫画的表現（いわゆる漫譜）を一切使わず、それでいて圧倒的な筆力で緻密に世界を描き出す。舞台はアメリカ。彼女と家出をしようとした青年が、待ち合わせ場所のバス乗り場で、彼女の父親と用心棒の男につかまり、ボコボコに殴られる。そこにただようのは、刹那的でアンニュイな感覚。でも、そこには絶望しかないのかというと、そうではない。妙にカラッとして明るい。不思議なテイストの作品である。