4月14日『タイタニック号の日』にちなみ！船にまつわる漫画オススメ５選42 Pt.

百地が差し出した名刺には、井子が憧れていた豪華客船の名前が書かれていた。船の料理人になることを即決した井子だが、勤務初日にその船を見て愕然とする。何と勤務する船は豪華客船「飛鳥（あすか）」ではなく、空港の埋立をするための作業船「飛島（とびしま）」だったのだ。前任の料理人が退職してから、船の屈強な船員たちは栄養のある食事を摂ることができずにギスギスとしており、見かねた井子はありあわせの材料でコロッケ丼を振る舞う。作業船の船員は月に1度しか休暇がなく、ほとんど船を下りることができない。そんな彼らのために井子は船付きの料理人である「司厨員」として腕を振るうのだが、アイディア溢れる丼料理が毎回食欲をそそられる。巻末に掲載されているレシピにも注目だ。

二人は生存者で優等生の春日日明（あきら）と合流し、他の生存者を探し脱出すべく船内を移動していく。当初は滝川に対し、恨みから不信感を抱いていた真琴であったが、冷静沈着な彼に幾度となくピンチを救われるうちに徐々に信頼を寄せていく。一方で、不良生徒・芹沢もまた仲間を統率する裏で、自分が生き残るための計画を立てていた。本作では、「豪華客船」というクローズドな空間の危機的状況を通して、人間の本性が炙り出されていく。一見善良な優等生に見えるが冷酷非道な春日や、仲間を裏切る芹沢、そしてどんな時も真琴を見守り体を張って助ける滝沢、それぞれの生き様は三者三様だ。なぜ殺人鬼が現れたのか、その謎が明かされていくにつれ、読者は新たな恐怖を覚えるだろう。

ファンの正体は海上国家である「海の一族」の船乗りで、海王直属の軍艦「影船（かげぶね）」を統べる艦長であった。普段は飄々とした振る舞いであるが、高い戦闘能力と操艦技術を併せ持つ稀代の天才であることも相まって、マイアたちの信頼を勝ちえていく。グリハラにたどり着いた一行はイルアンジャと邂逅するが、帰路で大国「ロナルディア」の襲撃を受ける。ファンはロナルディアとの戦闘を決意し、海王に会うべく海の一族の首都「海都」を目指す。本作は、ファンがさまざまな戦いを経て、遂には海王の座へと上り詰めるまでの壮大な半生が描かれている。彼の武器である「ニホントウ」という刀を使った戦闘シーンのリアルさや、影船を中心とした帆船の描写の緻密さにも注目したい。

緑郎は争いごとを好まないごく普通のサラリーマンだが、頭脳明晰であり持ち前の機転を利かせ傭兵部隊を撃退することに成功する。会社に失望した彼は、本名を捨て「ロック」と名乗りラグーン商会の見習いとなる。ラグーン商会は、改造魚雷艇「ブラック・ラグーン号」を駆使し、金のためならどんな危険な物でも運搬する「運び屋稼業」を生業としている。メンバーも、二挺拳銃の使い手であり血の気の多い紅一点のレヴィ、マフィアとFBIに目をつけられた過去を持つハイテク担当のベニー、コワモテだが冷静沈着なボスのダッチと個性派揃いだ。ロックとレヴィは出会った当初こそぶつかることも多いが、戦いを通し互いにかけがえのない相棒へと関係が変化していくさまも見逃せない。

南郷はとある理由で防衛庁長官を殴ったことがきっかけで2年前に退官し、猪苗代湖で観光船を運転しながら妻子と暮らしていた。しかし、かねてから彼の能力を買っていた本山に懇願され、再び海上自衛隊に戻ることに。「くろしお」からのクーデター宣言を耳にした南郷は、その声の主がかつての同僚・織田志郎であることを確信する。南郷は織田の真意を確かめるべく潜水艦「しろしお」へ乗船し、戦いの渦に身を投じていく。本作は、「自衛隊の潜水艦」という特殊な環境下での戦いと駆け引きがスリリングに描かれている。クーデターの目的が明かされ、このままでは日本の未来があと5か月と知らされた南郷は果たして、無事に帰還できるのか。ラストまで目が離せない。