江ノ電沿線が舞台の漫画オススメ４選！36 Pt.

1902年に開通して以来、鎌倉・江ノ島付近に訪れる人々にとってなくてはならない江ノ島電鉄。「江ノ電」と呼ばれて親しまれている江ノ島電鉄は、鎌倉の海沿いを通ることもあり、多くの漫画作品に登場する。江ノ電が登場する漫画4作品を紹介しよう。

本作の舞台は、神奈川県鎌倉市にある鈴里高校の書道部。生徒たちは江ノ電で通学している。ヒロイン・望月結希が、書道部による実演を見て、主人公・大江縁に言った言葉が「あれ、なんて書いてあるのか読める？」である。縁は、幼い頃から海外で育った帰国子女で、「習字」の経験がない。学校でそんな授業があることも知らない。そして、結希望が投げかけた「なんでわざわざ読みにくい字を書くんだろう？」という疑問から、「書道」の世界に入っていく。結希は柔道部員だが、うっかり縁に怪我をさせてしまったことから、彼の代わりに書道部員として活動することになる。字が下手な彼女が、文字通り「一（いち）」の字から書道を学んでいく姿を描いている。初心者にも優しい文化部漫画だ。

主人公・ニノこと有栖川仁乃が住んでいるのは、江ノ電の長谷駅の近く。ニノは幼い頃、一緒に歌うのが大好きだった男の子・モモこと榊桃や、砂に楽譜を書いていた少年・ユズこと杠花奏と出会う。幼少期にモモやユズと別れることになったニノは、再会を信じて、由比ヶ浜で毎朝歌うのが日課だった。やがて再開したユズは、「in NO hurry to shout」というバンドにヴォーカルとしてニノを誘う。一方で幼馴染みのモモも、音楽の道を進んでいた。曲作りを通して、またニノを巡る恋のライバルとして、互いに競い合うモモとユズ。そして、ヴォーカルとして成長していくニノの様子を描いた青春ストーリーだ。ニノたちが通う高校は横浜駅付近にあるが、通学や仕事で江ノ電に乗車するニノたちの姿がたびたび描かれている。

江ノ電の極楽寺駅から極楽寺坂を直進すると、やがて海に出る。鎌倉の海だ。本作の第1話では、見開きで、ぶわっと視界が広がり海が見える光景が瑞々しく描かれる。主人公の女子高校生・舞春ひろみは、引っ越した先で自転車通学をしようとしたら、自分が全く自転車に乗れないことに気づいた。転校初日に、江ノ電の極楽寺駅前で出会った巴の協力もあって、ひろみは自転車に少しずつ乗れるようになる。そして、自転車で坂を下った時の気持ちよさと、海に出た時の開けた視界や景色に魅了され、自転車の魅力にはまっていく。最初は通勤用のママチャリに乗っていたが、やがてロードバイクに乗り換え、さらにクリテリウムというロードレース競技の世界に足を踏み入れていく。本作は「自転車から見える景色」が美しく描かれた作品だ。

毎朝、江ノ電で見掛ける、名前も知らない気になるあの子。そんな甘酸っぱい出会いから始まる初恋物語だ。主人公の女子高校生・笑美（えみ）は、毎朝、江ノ電の和田塚駅から乗車してくる少年・内田に恋をする。電車に揺られるほんの数分だけ、彼を見ていられる。それで満足していたはずなのに、とあるきっかけで2人の交流が始まる。内田との距離が縮まるにつれて、それまでの関係では満足できなくなっていく思春期の恋模様が、繊細に描かれている。笑美は、少しずつわがままになっていく自分に不安を覚えたり、内田に嫌われないか心配したり。2人のすれ違いもあり、切ない気持ちを経験しながらも、だんだんと惹かれ合っていく2人を思わず応援したくなる。七里ヶ浜駅や鎌倉高校前駅と、海辺を走る江ノ電とともに描かれる青春物語。