何が起きても何をされても死にません！「不死身」キャラオススメ漫画５選59 Pt.

不死であるというその一点のみで、人間とは似て非なるものとして取り扱われる「亜人」という存在。実験や研究の対象であるとか、賞金を得るために利用価値があるものといった程度の存在として、一般的には捉えられている。本作はそんな亜人の悲哀や、人間の醜い一面を存分にリアルな心理描写で表現している。その一方で、亜人も人間と同様であるとする主張も一部登場人物によってなされるのが現実味がある。加え、包帯を巻いた幽霊のような外見の存在「IBM（Invisible Black Matter）」を操る特殊能力による亜人同士の戦闘シーンも大迫力だ。死なない体であることを念頭においた、不死者同士であるからこそのバトル展開はこの作品ならではだ。今後も目が離せないアクションホラーの傑作だ。

本作の不死身は、ゾンビマンだ。その名のごとく、通常なら致命的といえるダメージを受けても回復する不死身の肉体が特徴である。身体能力は特筆するほどのものではないが、驚異的な回復力による超持久戦を得意とする。そんな個性的なヒーローや怪人が多数登場する本作。作者のリアルな絵柄でサイタマのゆるい戦いが描写されるギャップが面白い。単純なようでいて、大ゴマを用いた緻密な作画によるバトル描写など、読者を飽きさせない工夫が満載だ。よい意味で頭を使わず気軽に読める作品である。ONEによる同名のウェブコミックを作者が忠実にリメイクしている。優れたアイデアの原作と卓越した作画のコンビによる快作である。

「蟲憑き」と呼ばれる不死の呪いを身に受けたため、死ぬことができない侍・半兵衛。ゲーム中では、主人公・狼の前に敗れた後、不死という自らの特性を生かし狼の修練相手となる。その半兵衛を主人公とした本作であるが、ゲームのファンを裏切ることのない素晴らしいスピンオフである。内心では自らの死に場所を求めている半兵衛だが、賊から村を救い、腕を振るう日々のなか人々と交流を深めていく。しかし、その平穏が長く続かないのはただただ悲しい。同じくゲーム作品のコミカライズ『モンスターハンター 閃光の狩人』や、オリジナルファンタジー漫画『ナラクノアドゥ』などで、高い画力・構成力を披露してきた気鋭の作者による渾身のコミカライズだ。

本作はSNSで話題になった『自殺したい異世界転生勇者の話』を改題し、大幅にボリュームアップして連載された作品である。その連載化にあたり、魔王の外見が若干まがまがしくなっていたり、グロ描写が控えめになるなどの変更が行われている。容赦ない性格の女勇者・マナと、ヘタレな魔王の対比が面白い。魔王の望みイコール勇者を倒すことと、マナの望みイコール自殺することという利害が一致する関係である。であるのに、不死であるマナが強すぎるため、それが果たせずマナに脅される魔王の不憫さが可笑しい。いわゆる異世界転生ものの1つではあるが、本作は勇者が自殺願望を持っていて、魔王と協力してそれを果たそうとするという点が独特である。段々マナと魔王が打ち解けていく様子が微笑ましい。

「不死身の杉元」の異名と共に多くの戦功を挙げた杉元。銃で撃たれても剣で突かれても驚異的な戦闘力、生に対する執着と、強運、驚異の回復力で日露戦争を生き延びた人物だ。作品中、そんな杉元は、郷里の幼馴染で、戦死した親友の妻の眼病を治すため、一攫千金を志す。杉元のみならず、陸軍第七師団の鶴見篤四郎（つるみとくしろう）中尉や、老齢となった土方歳三など敵味方問わず凄まじい個性の持ち主が多々登場する。渦巻く策謀と裏切りの中、生死をかけたひりつくような緊張感に息を飲む作品だ。また、アイヌや北海道の自然に関するトリビアや、チタタプ（プは小文字）やオハウなどといったアイヌ料理を皆でおいしそうに食べる場面など、見どころいっぱいの大人気作品だ。今後も見逃せない。