作者自らのアシスタント時代の実体験にフィクションを交え、漫画の制作現場を舞台にアシスタントたちの生活を描いた日常系マンガ。主人公の葛西の仕事は、漫画家Sのアシスタント。仕事場には彼女の他に3人のアシスタントが雇われており、仲良く賑やかに毎日を過ごしていた。そんなある日、更に一人の新人が加入することに。その新人・横川は18歳とは思えないほどクールで落ち着きのある女性だったが、メトロ擬人化というマニアックな嗜好を持つ腐女子だった。
締め切り前の漫画制作現場は殺伐としているイメージがあるが、本作で描かれているのは、アシスタント同士の会話を中心とした、ほのぼのとしたアットホームな日常だ。主人公の葛西は作者本人。現場には、ファンシー好きのファミ村、オタクのミヤムーなど、個性的なメンバーが揃っている。彼らの雇い主である作家も気さくな人物であり、気難しさや堅苦しさは一切ない。そんな賑やかな現場に、横川という一人の新人が加わることになる。どんな職業、職場においても、円満な人間関係を築くことは大切だが、漫画の制作現場という密室空間なら尚更だろう。新たに一人戦力が増えたことで更に賑やかになった、和気藹々とした漫画制作現場の様子が描かれている。
漫画家とアシスタントの日常を描いたコメディ漫画。主人公の愛徒勇気(あいとゆうき)は、「月刊少年ゴンゴン」で連載を手掛けている漫画家。恋愛経験は皆無だが、彼の周囲にはアシスタントや編集者など、仕事関係者に女性が多い。思い込みが激しい愛徒は周囲の迷惑も顧みずにエッチな妄想に走ってしまう。だが、周囲の女性陣はそんな彼に当惑しながらも、売れっ子漫画家へと成長してくれることを願い、支えていく。2014年テレビアニメ化。
本作では主人公の愛徒と、周囲の女性陣とのやり取りがコミカルに描かれている。アシスタントで中心となるのは、スレンダー美人の足須沙穂都(あしすさほと)だ。学生時代からモテていたものの、漫画を愛するあまり、恋愛はしてこなかったという。他にもゆるふわな女子大生アシスタントの風羽(ふわ)りんな、スーパーアシスタントの黒井せな、編集者の音砂(おとすな)みはりなど、様々な女性が登場する。愛徒は今まで誰とも付き合ったことがない分、妄想で理想を追い求めていた。描く漫画は現実にはありえないような夢見がちなものが多く、音砂は容赦なくツッコミを入れていく。女性陣から殴られることも多い愛徒だが、男性から見れば、愛徒の職場は非常に羨ましいハーレム状態と言えるのかも知れない。
経験豊富なアシスタントの日常を、マメ知識やうんちくを交えながら描いたお仕事漫画。五百住志歩(よすみしほ)はマンガ賞を受賞してはいるが、連載まではこぎつけていない漫画家の卵。様々な漫画家のアシスタントをしながら力をつけていき、今ではアシスタント歴3年目に突入し、中堅クラスの実力者となっていた。五百住は何かとトラブルが多い新人漫画家の現場では特に必要となるチーフアシスタントの役目も担いながら、自分ができる最大限の力を発揮していく。
漫画の制作現場は、締切りが近付くほどに修羅場となる。新人アシスタントが多い現場は尚更だ。現場には複数のアシスタントがいるのが普通だが、彼ら一人一人に丁寧な指示やアドバイスを出すのは、修羅場で漫画家がやる仕事ではないという。それはチーフアシスタントという司令塔が担うべき役割だ。本作の主人公の五百住はいくつもの修羅場を経験してきた中堅クラスのアシスタント。スピード勝負の締め切り前の現場では、より一層重宝される存在と言える。作画テクニックの紹介やアシスタントの心構えなども交えて描かれており、ハウツー本としても楽しめる。読了後には、背景やトーン部分など、アシスタントたちが担当したであろう部分にも注意を払いながら、漫画作品を読んでみたくなることだろう。
漫画の制作現場を舞台に、婚活中のアシスタントと売れない漫画家が攻防を繰り広げる婚活ギャグコメディ。29歳の三郷恵美(みさとめぐみ)は焦って婚活を始めたものの失敗続き。漫画の制作現場が男女の交流の場として適していると考えた彼女は、婚活のターゲットとして漫画家・越谷好人(こしがやよしと)を選ぶ。アシスタントになったものの、漫画を描いたこともない彼女が彼の役に立つことは難しい。それでも彼女の頭の中には「結婚」の二文字しかなく、越谷に対して猛烈にアタックをかけ続けるのだった。
多くのアシスタントが抱いている目標や夢といえば、プロの漫画家になることだろう。だが、三郷は「結婚」という別の夢に向かって生きている。本来、アシスタントは漫画家の仕事を手助けするものだが、彼女にとってアシスタントの仕事は自身の婚活を成功に導くためのもの。漫画を描く技術など持ち合わせていなかった。そんな状態では当然、雇い主で漫画家の越谷と上手くやっていけるはずもない。更には編集担当の八潮亜希(やしおあき)を勝手にライバルとみなすなど、三郷の暴走は周囲を巻き込みながら加速していく。あまり役に立っているとは言えない彼女以外にアシスタントがいない状態で原稿を仕上げられる越谷は、ある意味凄い漫画家なのかも知れない。
漫画のアシスタントと暗殺者という二面性を持ちながらプロの漫画家を目指す主人公を描いたバイオレンス漫画。アサシンこと朝倉真一は、漫画家のアシスタントを生業としており、現在は人気作家・神馬笛佐清(じんばぶえすけきよ)のもとで働いている。将来は漫画家として独り立ちできることを夢見て、出版社にネームを持ち込む日々を送っていたが、ボツばかりでなかなか芽が出ない。そんな彼は、実は掲示板サイトを通じて悪人を退治する殺し屋「赤羊(あかひつじ)」という別の顔もあるのだった。
本作にはNAS(日本アシスタントシステム)という掲示板サイトが登場し、そのサイトによって漫画家とアシスタントは繋がることができている。しかし、それは表向きのものであり、NASの正体は殺し屋を管理する謎の組織だ。凄腕の殺し屋「赤羊」として暗躍する主人公の朝倉も、NASに所属しているアシスタント。普段は殺しの仕事は一人で受け持っていたが、珍しくコンビで依頼が入り、二人で任務を行うことになった。その相手「白い鴉(からす)」の正体はゲゲゲこと吉良高虎(きらたかとら)というルーキー漫画家で、神馬笛の仕事場に助っ人として後日現れる。二人は漫画家と殺し屋の両面において競い合うライバルとなっていくが、二人の運命の先に待ち受けているものは何なのか。彼らの行く末を見届けたくなることだろう。