漫画アシスタントの日常

フリーの漫画アシスタントとして活躍する主人公が、数々の漫画の現場で辣腕を振るいながら、自らも漫画家としての階段を上っていく姿を描いた1話完結の連作短編。漫画が生まれる現場の壮絶さがリアリティをもって描かれている他、作画や技術が具体的に描かれており、漫画を描く人のための実用的な指南書のような側面もある。作者の大塚志郎は、同人誌で本作『漫画アシスタントの日常』のプロトタイプを発表しており、それが商業漫画化されることになった。「月刊キスカ」2015年4月号から2016年5月号まで連載された作品。なお、コミックスにはプロトタイプとなった同人誌版も収録されている。

正式名称
漫画アシスタントの日常
作者
ジャンル
作家・漫画家
 
ハウツー
レーベル
バンブーコミックス(竹書房)
関連商品
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概要・あらすじ

漫画アシスタント歴3年の五百住志歩は、そのキャリアのなかで積み上げてきた作業スピードや作画技術、現場管理能力などを駆使し、チーフアシスタントもこなせる中堅クラスのフリーアシスタント。クセのある漫画家の現場にヘルプとして入り、新人アシスタントに技術の指南をしたりしている。そのかたわらで自らもプロの漫画家を目指し、雑誌掲載に向けてネームを出版社に持ち込んでいる。

そんな日々に忙殺されながら、志歩は苦悩しつつも確実に漫画家としての階段を上っていく。

登場人物・キャラクター

五百住 志歩

漫画アシスタント歴3年の21歳の女性。現在は特定の漫画家につかず、フリーのアシスタントとして活動している。確かな作画技術とスピードを持つ実力者で、中堅アシスタントとして評価されている。なかでも作画スピードにはこだわりがあり、ミリペンを右手に2本持って作業することもできる。特に自然物や勢いのあるアクションなどの描写が得意。 修羅場時の現場も手際よく回し、辣腕を振るっている。しかしキレやすい一面もあり、現場で漫画家と衝突した時にはドスの効いた関西弁になり、周囲を凍り付かせることもある。非リアオタク系と称されるほどにファッションには無頓着で、アシスタント作業時のラフな格好のままで出版社のパーティに出席することもある。いつもバンダナを巻いて作業している。 漫画賞を授賞し、読切掲載された経験もある。

大抜 ヨシコ

漫画アシスタント歴3か月の20歳の新人女性。ストーン石森の現場にヘルプとしてやって来た五百住志歩と出会い、志歩の技術やスピード、現場管理能力を目の当たりにして感銘を受ける。以来、志歩を師匠として仰ぐようになった。 井ノ下カズオの現場では志歩とその宿敵である高橋翔子とのバトルを目撃し、彼女らの因縁について知ることで、さらなる漫画の現場の厳しさを学ぶ。 最初はパースもデッサンもできなかったが、志歩の教えを忠実に守って目覚ましい成長を遂げる。可愛らしいファッションを好み、休日にはさまざまな場所に遊びに行くなど、アクティブで女子力も高い。月例マンガ賞の奨励賞を授賞したことがあり、プロ漫画家として雑誌掲載されることを目指している。

高橋 翔子

漫画アシスタント歴3年の21歳の女性。フリーアシスタントとして活動しており、キャリアは志歩とほぼ変わらない。五百住志歩が初めて入った漫画家・玉の現場で知り合った。現場では後輩の作画にとことんダメ出しをして精神的に追い詰めるため、「新人潰し」の異名を取っている。これは、やる気のないゆとり気質の新人を追い出すための手段でもある。 志歩も玉の現場で高橋翔子にいびり倒されており、それがきっかけで彼女たちは宿敵の間柄となった。のちに漫画賞の大賞を受賞し、短期連載を持つこととなる。

篠原 ミカ

高橋翔子が短期連載を持った際にアシスタントとして入った、19歳の初心者の女性。ベタやトーン修正など「E級」と呼ばれる仕事しかこなすことができない。一方で、翔子の現場で他のアシスタントの天野や馬場がやる気を見せずに去った後も、1人残って作業を続けるなど、仕事に対する姿勢は真摯。月例マンガ賞を授賞した翔子のアシスタントになったことで、上京して一人暮らしをしようと決意する。 五百住志歩や翔子から厳しい現実を聞かされながらも、自らを鼓舞し、両親を必死に説得する。

藤本

五百住志歩の知り合いの男性漫画家で、「少年ヨンデー」の連載を持っている。志歩が最初にアシスタントとして藤本の現場に入った時には、自身が出不精で情報に飢えているためか、面白い話をしろと無茶ぶりをしてきた。漫画やアニメ、映画にはうるさく、特に漫画の新連載がスタートすると必ず酷評してストレスを発散している。志歩の仕事ぶりが完璧すぎてつまらないと言っているが、不遜な態度を取るアシスタントの菅に志歩が暴言を吐いた時には、喜んでいた。 意外に志歩のことを気に入っおり、それからも何度かアシスタントにつけている。

武田

五百住志歩が漫画の持ち込みを続けている講学館の男性編集者。志歩が賞を授賞して以来、彼女を担当している。志歩が持ち込んだネームに対して、時に辛辣な言葉でダメ出しをするが、その意見は鋭く的確。志歩の表現や演出のいいところは見抜いており、彼女が新たなアイデアを持って来た時には積極的に受け入れる。

ストーン石森

エピソード「漫画アシスタントの日常」および「漫画アシスタントの宴」に登場する。新人の男性漫画家で、彼の現場で五百住志歩と大抜ヨシコが出会うことになる。修羅場でも新人アシスタントに的確な指示を出さずにリテイク(やり直し)を出したり、細かく作画を教えて手を止めさせたりと、現場を回す手際が悪い。それを見かねた志歩が現場を回そうとすると難色を示す。

西尾

エピソード「漫画アシスタントの日常」に登場する。新人アシスタントの女性で、ストーン石森の現場に入っていた。石森の原稿と作風を合わせられないことで、延々と石森から作画指導を受けることになる。五百住志歩の的確な指導に感心する。

福口

エピソード「漫画アシスタントの反乱」および「漫画アシスタントの宴」に登場する。アシスタント経験なしで「少年ヨンデー」の連載を持った新人男性漫画家。連載を持ったことで調子に乗り、アシスタントが仕事をしているなか、自分は悠々とPCゲームに興じている。アシスタントをランク分けし、新人には劣悪な環境で仕事をさせたり、パシリに使いながら食事をさせなかったりと冷遇している。 アシスタントを「劣等種の作画奴隷」と言って見下している。

井ノ下 カズオ

エピソード「漫画アシスタントの宿敵」および「漫画アシスタントの宴」に登場する。漫画家歴8年で3度目の新連載を持つ男性。彼の現場で五百住志歩と高橋翔子が再会してしまったため、宿敵同士である彼女たちの仕事対決に巻き込まれる羽目になってしまう。井ノ下自身は、志歩の勢いある表現と、翔子の正確無比な技術の双方を等しく評価する。

エピソード「漫画アシスタントの回顧」および「漫画アシスタントの宴」に登場する。五百住志歩が初めてアシスタントとして入った男性漫画家。同じ現場には半年前から高橋翔子が入っていた。当時、玉は35歳で連載歴も10年と長い中堅漫画家だったが、まだ無名だった。妥協を一切許さず細かな描き込みをする作風で、リテイク(やり直し)を何回も出すことで有名。 うだつのあがらない中堅アシスタントのM、Yが、新人の足をひっぱろうとするのを見ても、黙認していた。この現場で志歩は翔子から徹底的に技術を叩き込まれ、現在の実力を身につけるまでになった。

M、Y

エピソード「漫画アシスタントの回顧」に登場する。玉のもとで働いていた男性の中堅アシスタント2人。当時、Mはアシスタント歴7年の31歳、Yはアシスタント歴6年の32歳。20代前半で賞を授賞するも、有名漫画家のもとで5年程度アシスタントを務めて以降自分の漫画を完成させていないという、両者とも似たような経歴だった。2人で新人アシスタントの足を引っ張り、机上の空論を掲げて理想だけを語る。 玉の現場に入った五百住志歩は、2人の話にまったく興味を示さなかったため、いじめの対象になりそうになったが、そこを高橋翔子に助けられた。

杉江野

エピソード「漫画アシスタントの家族」および「漫画アシスタントの宴」に登場する。手掛けた作品がアニメ化されたこともある35歳の男性漫画家で、連載10年のベテラン。実質的に現場を杉江野の弟に仕切らせているが、30歳を過ぎても漫画家としての芽が出ない弟に現場を任せているだけというのが実情。アシスタントとしてやって来た大抜ヨシコの腕を高く買う。

杉江野の弟

エピソード「漫画アシスタントの家族」および「漫画アシスタントの宴」に登場する。杉江野のアシスタントとして現場を仕切る33歳の男性。漫画家を目指しているものの、賞を授賞したことはなく、賞を獲ってもなんの意味もないと大言壮語する。態度は大きいものの技術はそれほどでもなく、アシスタントとして入った大抜ヨシコの仕事ぶりに嫉妬する。

エピソード「同人誌版漫画アシスタントの日常」に登場する。専門学校を卒業したばかりの、漫画家志望の22歳の男性。Twitterを通じて藤本のアシスタントになるが、初日から連絡なしに遅刻をして笑って済ませるなど、ルーズな性格。自分の作品は描き上げたことも持ち込みをしたこともないが、根拠のない自信を持っている。「少年チャンプ」の賞しか狙っていないと言い切り、藤本の作品も上から目線で批評した。

うみはん

エピソード「漫画アシスタントの副業」および「漫画アシスタントの宴」に登場する。7年の下積みを経て週刊連載を勝ち取ったこともある女性漫画家だが、連載を打ち切られてしまい商業漫画界から姿を消した。現在は一次創作の同人誌即売会で活躍しており、売り子としてやって来た五百住志歩にイベントのルールを教え込む。のちに同人誌に執筆していた漫画が評価され、再び商業誌で連載を持つようになる。 非常に奇抜なファッションで、志歩には「イカれた格好」と評されている。

天野

エピソード「漫画アシスタントの生活」に登場する。高橋翔子が短期連載から週刊連載を勝ち取った時に入っていたアシスタントの男性。技術は高くないが、それでも彼と一緒にアシスタントに入っていた馬場、篠原ミカの3人の中では一番まとも。作画する時はデジタル派で、アナログの技術をバカバカしいと切り捨てる。

馬場

エピソード「漫画アシスタントの生活」に登場する。高橋翔子が短期連載から週刊連載を勝ち取った時に入っていたアシスタントの男性。技術は高くないが、何年もかけて作画技術を習得するよりも、面白い漫画を描く発想が大切と言い放つ。

飯塚

エピソード「漫画アシスタントの宴」に登場する。講学館の雑誌で新しく連載が決まった新人漫画家の男性。しかし、業界で1位の実績を誇る「少年チャンプ」の賞にしか興味がないと豪語し、講学館の謝恩会で挨拶をした藤本にも不遜な態度を取る。

田武

エピソード「漫画アシスタントの宴」に登場する。自身の作品「アラタのごとく」で講学館漫画賞の少年誌部門大賞を授賞した男性漫画家。「アラタのごとく」は全5巻発行され、発行部数は累計250万部を突破し、アニメ化も果たした人気作品。講学館の謝恩会で、金屏風の前に立って挨拶する姿を見た五百住志歩に嫉妬される。

小倉

エピソード「漫画アシスタントの連載準備」に登場する。アシスタント歴4年の男性で技術には自信を持っている。五百住志歩が月刊誌の短期連載を勝ち取った際に、藤本の紹介でやって来た。チーフクラスの実力で志歩の現場を支えるが、アシスタントを雇うのが初めての志歩にとっては、小倉の仕事ぶりは違和感を覚えるものだった。

北尾

エピソード「漫画アシスタントの連載準備」に登場する。アシスタント初心者の男性で、五百住志歩が月刊誌の短期連載を始める際に、講学館の編集部に紹介されて志歩の現場に入ることとなる。経験が少ないために技術が粗く、初めてアシスタントを持つ志歩がイラついてしまう原因の一端となる。

五百住 タカミ

エピソード「漫画アシスタントの家族」および「同人誌版漫画アシスタントの日常」に登場する。五百住志歩の姉で、アニメ演出家。もともとは原画アニメーターで、アニメーターから演出家に転身したため、画力はプロ並み。志歩の作画にもいろいろとダメ出しをする。

五百住 コン

エピソード「漫画アシスタントの家族」に登場する。五百住志歩の妹。音楽家志望だが現在はフリーターで、お金がなく、家賃を払えないこともしばしば。志歩からは日常的にお金を借りており、悪びれた様子もなく満面の笑顔で志歩にお金の工面を頼む。

五百住 ミチコ

エピソード「漫画アシスタントの闇」に登場する。五百住志歩の一番下の妹。五百住家の4姉妹の中で唯一実家に住んでおり、関西弁をしゃべる。色黒のギャルで、雑誌に掲載された志歩の漫画に容赦なくダメ出しする。

場所

講学館

漫画業界において3位の実績を誇る出版社。五百住志歩が漫画の持ち込みをしている。高橋翔子が短期連載を持つ雑誌や、藤本や福口が連載を持つ「少年ヨンデー」を発行している。謝恩会は高級ホテルで開催され、巨匠と呼ばれる漫画家から有名な少女漫画家・少年漫画家など、数々の著名漫画家が集まる。

その他キーワード

少年チャンプ

業界1位の売上げを誇る、人気の週刊少年漫画誌。講学館が発行する週刊少年漫画誌「少年ヨンデー」のライバル誌にあたる。数多くの漫画家がこの「少年チャンプ」の賞を狙っており、福口や飯塚などもこの雑誌の賞を獲ることを目標としている。この雑誌の賞を獲った新人は、他の出版社でも優遇され、他の新人漫画家をごぼう抜きにして連載が始まることもある。

少年ヨンデー

講学館が発行している週刊少年漫画誌で、藤本や福口が連載を持っている。「少年ヨンデー」は「少年チャンプ」には若干水をあけられている印象を持たれており、当初、福口は「少年チャンプ」の賞を狙っていたが、落選したために「少年ヨンデー」で連載を持つことになる。

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