「見えない」苦労がたくさんあります！霊媒体質キャラ漫画オススメ５選
29 Pt.

不老恭子、大輔は極度の霊媒体質だ。通っている学校は古く、幽霊関連の噂には事欠かないためゆっくりと廊下を歩くこともできない。常に霊から熱烈なラブコールを受ける姉弟の自衛の手段が、一緒にいることである。時間も状況も問わずに追いかけまわしてくる霊が、姉弟が一緒にいるだけでぴたりと寄りつかなくなるのだ。そのため、幼い頃からトイレも寝る時も離れたことはない。高校生になった現在でもそれは変わらず、入浴も一緒だ。いや、お風呂は一人でもよいのでは、と思ったが「洗髪中に背中を触られる」という発言を聞くと、一緒に入ったほうがいいなと納得してしまう。髪を洗っているときの人間の無防備さたるや。顔を上げたときに幽霊の顔を見るのも嫌だ。トイレで遭遇するのも嫌だ。見えていなくてもこれだけ困ることを列挙できるだけに、姉弟が送る日常生活の壮絶さが身に染みた。姉弟が一緒にいてもおかしくない将来、もしくは霊が寄りつかなくなる未来を切に望む。

檜原静流と瑞生の姉妹は、巫覡の家系に生まれた。巫覡とは神に仕え、神意を人々に伝える役割を担う人々のことである。静流は人には見えないものを見る見鬼（霊視）の力を持ち、妹の瑞生は憑依されやすい憑巫（よりまし）体質を持った。瑞生は物音や声を聴くことはできるが、直接見ることができない。そのため、自分に何が起こっているのか姉を通してしか真相を知ることができないのだ。神社にお参りした後、瑞生は急に体が重くなって歩くこともままならなくなった。背中には静流が両手で大きな丸をつくるくらいの大きさのものが乗っていたのだが、正体を知ると、たとえそれが吉兆であってもぞっとする。見えていたら、瑞生は一体どのように考えるのだろうか。見えないということは、自分の身に降りかかる出来事を正しく認知できないということでもある。慎重な静流に対して、瑞生は活発で自身の体質は理解しているものの、危機感は少なめだ。姉の目と拝み屋でもある祖父の知識が、無防備な妹を守っている。

写真を撮れば100％心霊写真になってしまう螢多朗にとって、心霊スポットは文字通りの鬼門だ。噂が真実であれば、螢多朗によって霊が確実に姿を現す。度を過ぎた霊媒体質のおかげで霊障を負い、巻き込まれた友人にも霊障を負わせてしまった過去を持つ螢多朗にとって、心霊スポット以上に近寄りたくない場所はないだろう。普通の生活を目指し一念発起した螢多朗のやる気を思いっきり挫く存在が夜宵だ。ひとつの眼球にふたつの瞳孔があるという「重瞳（ちょうどう）」を持ち、現世（うつしよ）と幽霊たちの世界である幽世（かくりよ）を見ることができる。夜宵の瞳には髑髏のような形が浮かんでいるため、一見するだけで何かが違う子であるというのは伝わるだろう。夜宵曰く螢多朗は「クラスで3番目の美人」くらい、幽霊からすれば手が出しやすいらしい。それは憑きやすいということだけでなく、守りが薄いということなのだろう。夜宵はナイトとしては完璧なので、螢多朗がだいぶヒロインに感じられる。頑張れ先生。

空澤家は洋館だ。建物は古いが清潔で、広い庭もきれいに整えられている。おどろおどろしい雰囲気は皆無だが、周囲からは「丘の上のおばけ屋敷」と噂されていた。原因は空澤家の娘である志津（しづ）である。志津が窓から外を見ている様子を見て、長い髪の少女の霊と勘違いした人が続出、おばけ屋敷として知られるようになってしまったのだ。とはいえ、住人がいる家で人影が見られるのは当たり前だ。なぜ噂になったのかと言えば、志津が憑依体質を持つがゆえに隠された存在になってしまったからである。志津は防御手段を持たないため、特に憑依されやすいらしい。普段は無気力で言葉数も少ないのだが、憑依されると言動が変わってしまう。性格にも著しく変化が表れるが、志津自身が霊を祓うことはできない。両親は多重人格だと思い込んでいるため、閉じ込められた志津はいつもひとりだ。無気力というのは諦めでもある。哲の存在が光となることを願ってやまない。

幽霊とは主に死者の魂である。死と対極にあるのが生であるというのは言うまでもない。そう考えると、カムイの除霊方法は理にかなっているのだろう。いや、気がするだけだ。シヅカも時折チベットスナギツネのような顔になるが、カムイの除霊方法は一般的な方法とは異なり、かなり特殊である。その方法とは、性交。幽霊とセックスすると除霊できるのだ。そもそも幽霊は物理的に触れるのか等々疑問は湧くのだが、気持ちよさそうに除霊されているのでまあ良いのかな、という気持ちになってしまう。カムイ自身も怪異にしか欲情しないらしいので、実益も兼ねていると考えると巻き込まれてしまうシヅカへの同情の念が堪えない。しかし、その特殊な体質をどうすることもできず、下を向いてきたシヅカが、明るく生きられるようになったのだ。だいぶブラックな仕事内容で未成年に見せる光景でもないのだが、能力を活かす場でもある。前を向いて日々を生きてほしい。