概要・あらすじ
姉の檜原静流は妖怪が見え、妹の檜原瑞生は妖怪にとりつかれやすいという、ともに妖怪を呼び寄せやすい性質を持つ姉妹。二人は妖怪が起こす騒動に巻き込まれると、祖父である檜原の爺さんの力を借りながら、なんとか騒動を解決する日々を送っている。妖怪にまつわる騒動と、それに関わる人々との出会いを通して、二人はだんだんと成長していく。
登場人物・キャラクター
檜原 瑞生 (ひばらみずき)
檜原静流の妹。初期は小学五年生だが、物語後半で中学校に進学する。静流の様に妖怪を見ることはできないが、妖怪に憑依されやすい憑坐(憑童)の体質を持つ。取り憑かれると体調を崩すことが多く、檜原の爺さんが作った護符を持ち歩いて身を守っている。明るく活発な性格だが、少し軽率なところがあり、不用意に妖怪に近づいては騒動に巻き込まれることもしばしば。 社交的で友人も多いが、少年の様な活発さが災いして異性としての人気は薄い。運動が大得意で、中学に入ってからは柔道部に所属して才能を発揮する。
檜原 静流 (ひばら しずる)
檜原瑞生の姉。初登場時は中学2年生だが、物語後半で女子高に進学する。神や妖怪など、普通の人には見えないモノを見る「見鬼」の眼を持っている。瑞生と対照的に内向的な性格だが、困っている人を見捨てられない性分で、自分からトラブルを背負い込むことが多い。趣味は読書で、中学・高校と文芸部に所属。 幼いころから自分を取り巻いていた妖怪たちに興味を持っていたため、民俗学関連の本をよく読んでいる。地味だが清楚な雰囲気があり、密かにモテているが本人は気づいていない。
檜原の爺さん (ひばらのじいさん)
檜原静流と檜原瑞生の祖父。神や妖怪などの異形を見ることのできる「見鬼」の眼を持ち、農業を営む傍ら拝み屋として妖怪関係のトラブルを抱えた人の相談に乗ったり、時には徐祓を行うこともある。妖怪に関わってしまう能力を持った孫娘を親から預かり、日常生活が送れるよう世話をしている。寡黙で厳格な性格だが、孫娘たちを心から想っており、自分の霊能力に悩む孫たちが独り立ちできるよう、厳しくも温かく手助けしている。
三毛さん (みけさん)
檜原家の飼い猫で、三毛猫のメス。高齢のため半ば妖怪化しかかっており、たまにふらりといなくなる。
檜原 千歳 (ひばらちとせ)
静流と瑞生の母親。現実主義者で、娘や父である檜原の爺さんのような妖怪に関わる能力は持っていない。そのため娘たちの能力も一種の精神疾患だと考えており、父が娘たちに妖怪の知識などを教えるのも快く思っていない。本当は娘たちと一緒に都会で暮らしたいと考えているが、娘たちは凶悪な妖怪がはびこる都会の生活に耐えられないため、妖怪の危険の少ない田舎に預け、時おり会いに来るようにしている。
檜原父 (ひばらちち)
静流と瑞生の父親。現実主義者の妻とは対照的に柔軟な思考の持ち主で、娘たちの霊能力や義父である檜原の爺様の言動にも理解を示している。世間体を気にして娘たちを精神病扱いする実家の親族との間に確執を抱えている。
日吉 啓子 (ひよし けいこ)
檜原家の隣に住む会社員の女性。檜原の爺様が留守にしている間、静流と瑞生は彼女の家に厄介になっている。快活で面倒見のよい性格だが、幼いころは体が弱かった。霊能力や妖怪のことには無知だが、霊障に苦しむ瑞生に幼い頃の自分を重ねて同情し、車でいろいろな場所へ遊びに連れていってくれる。
松永 芙美 (まつなが ふみ)
檜原静流の中学時代のクラスメイト。マイペースで強引だが、あっけらかんとして人好きのする性格。晴れ女を自称するだけあって、いつも明るく元気である。オカルト好きを公言しており、いつも怪しいグッズやネタを仕入れてくるが、どれもすぐに飽きてしまう。
伊福部 (いふくべ)
檜原の爺さんの旧い知人で、弟弟子。妖怪に関わる力を持った老人で、各地を転々としてある目的のために活動している。一見、飄々とした好々爺だが、いたずらの過ぎるところがあり、檜原瑞生に近づいて妖怪を取りつかせた。そういった部分も含めて腹に一物ありとして、檜原の爺さんからは警戒されている。
御崎 柊子 (みさき とうこ)
檜原静流の高校の級友。同じ寮に住んでいる。静流と同じように妖怪を見る眼を持っている。実家が宗教団体をやっており、幼い頃は祖母によって透視力者として祭り上げられていたトラウマを持つ。自分の霊能力が原因で他者と軋轢を生むのを嫌がっており、学校でも自ら進んで孤立していたが、同じ能力を持つ仲間として関わってくる静流のことを無視仕切れないでいる。
葛城 佐保 (かつらぎ さほ)
檜原静流の1学年上の友人。静流は芙美の紹介で彼女に出会った。祖母の死を切っ掛けに幽霊や妖怪、死後の世界などに強い興味を抱き始め、関連書籍を読むなどして熱心に研究している。同様の趣味を持つ静流と語り合うことを楽しんでいるが、生真面目で深く物事を考えすぎるために、周りが見えなくなってしまうこともしばしば。 檜原の爺さんに取りつかれていた妖怪を祓われてからは、歴史民俗資料館で彼が開いている勉強会に顔を出すようになった。
百瀬 (ももせ)
檜原静流の高校の級友。静流に助けられたのを切っ掛けに、彼女を慕うようになる。依存心の強い性格で、何かにつけて静流につきまとい、静流と自分の知らない話をしている御崎柊子に敵意を向ける。しまいには自分をぞんざいに扱ったと、静流のことをも憎むようになり、校内にあらぬ噂を吹聴した。
水沢 厚実 (みずさわ あつみ)
檜原瑞生の通う小学校に転校してきた転入生。クラスメイトに絡まれていたところを瑞生に助けられ、以来瑞生の弟分となった。瑞生と同じように妖怪に憑依されやすい体質で、彼女から霊障に遭わないよう手ほどきをうけたり、一緒に遊んでもらったりしている。
その他キーワード
拝み屋 (おがみや)
『もっけ』に登場する架空の職業。檜原の爺さんが農業を営む傍ら、副業として行っている。妖怪に取りつかれた人間から、妖怪を取り払うために、様々な儀式を執り行う。「妖怪の方にも事情がある」と考える檜原の爺さんは、闇雲に妖怪を払うのをよしとせず、依頼が来ても極力断るようにしている。