もどかしい毎日を送りながらも、幼馴染に想いを寄せる主人公の切ない恋心を描く初恋ラブストーリー。中学3 年生の筧真紀(かけいまき)は幼い頃から喘息を患っていた。幼馴染の前田忍の父親に診てもらっており、忍も父親のような医師を目指していた。だが、忍の父親が急死したことで、事情が変わってしまう。二人は中学卒業後、南高校に入学。入学式で再会できて喜ぶ真紀だったが、忍は全日制ではなく定時制で、二人はすれ違いの生活を送ることになるのだった。
真紀にとって忍は幼い頃から家が隣同士で一緒に育ってきた大切な幼馴染。喘息もちの真紀は学校でも発作に襲われることがあり、その度にそばにいてくれた忍に不思議と安らぎを感じていた。だが、忍は中学卒業後、家計を助けるためにアルバイト優先の生活を送ることになる。昼間に働こうとすると、学校に通うのは夕方以降になり、全日制の真紀と定時制の忍とでは、生活リズムが全く違う。高校生でありながら、四人兄弟の長男でもある忍はしっかり者で、同級生よりも大人びている。高校では新たな出会いもあり、真紀は仲間と思い出を作っていきながらも、忍がいない生活はどこか物足りない。そんななか手紙を通じて二人は心を通わせ、やがて真紀は忍への特別な想いを自覚するようになる。
9年ぶりに再会した年齢差のある幼馴染の二人が、一つ屋根の下で暮らすことになるラブストーリー。32歳の冴えないバツイチの坂本孝太郎は、ある日、コンビニで成人向け雑誌を見ていると、小さな子供に声をかけられる。すると、その子の母親が現れ、孝太郎はその女性が昔隣に住んでいた幼馴染・住岡日向子(すみおかひなこ)だと気付いた。日向子は息子・みなみと二人暮らしだったが、火事で住む場所を無くし、偶然出会った孝太郎の家にお世話になることになる。
日向子は23歳、孝太郎は32歳。二人には10歳近い年齢差があるが、子供の頃は家が隣同士で幼馴染の関係だった。当時の日向子は泣き虫で、10歳近く年上の孝太郎は格好良いお兄ちゃんとして認識していた。しかし、9年の月日を経て再会してみると、孝太郎はだらしない格好をしているうえに巨乳好きの冴えない男に成り下がっていた。日向子は一人息子のみなみを育てているシングルマザー。住んでいたアパートで火事に遭い、親子二人で落ち着いて暮らせる家が必要だった。果たして、期間限定で同居することになった訳アリの幼馴染二人の間に、特別な感情は芽生えるのか。読めば二人の関係性の変化にドキドキさせられつつ、作品から漂う優しい雰囲気に癒やされることだろう。
課長に想いを寄せるOLを主人公とした表題作を含む恋愛漫画が収録されている短編集。養母田桃子(やぶたももこ)は、奥さんと別居中の上司の溝口課長に片想いをしているOL。しかし、桃子は離婚が正式に決まるまで自分の気持ちを彼に伝えるつもりはなかった。そんなある日、桃子の前に幼馴染の篠田幸子が現れる。すっかり昔とは雰囲気が変わっていた彼女に驚きながらも、彼女のペースに乗せられる内に、いつしか溝口との距離感も以前より近くなっていく。
表題作では、主人公の桃子の前に現れた幼馴染の幸子がキーマンとなって物語を大きく動かしていく。幸子は子供の頃、桃子の隣に住んでおり病弱だった女の子。当時しっかり者だった桃子は彼女をよく助けてあげていた。小学3年生のときに幸子が引っ越してからは会っていなかったが、偶然にも勤め先が同じビル内だったことから二人は再会。現在の桃子は活発だった昔とは異なり、地味で大人しくなっていたが、反対に幸子は社交的で明るくなっていた。幸子は積極的に溝口にアプローチするようになるが、果たして幸子はライバルなのか、それとも味方なのか。先の見えない展開にドキドキさせられることだろう。
心優しい主人公と、小学校以来離れていた幼馴染が再会したことで再び恋心が動き出す学園ラブストーリー。雨宮花(あめみやはな)は、幼い頃に亡くした母親の墓参りで毎年顔を合わす少年・高槻 弓弦(ゆづる)に淡い恋心を抱いていた。だが、父親の仕事の関係で海外生活が始まり、弓弦とは音信不通になってしまう。日本に戻ってきた花は、高校2 年生の新学期、不良の喧嘩に巻き込まれた際に弓弦と再会を果たす。荒れた彼の様子に驚く花だったが、次第に彼を守りたいと思うようになる。
主人公の花は、幼馴染であり初恋の相手でもある弓弦と運命的な再会をする。喧嘩三昧の弓弦のことを放っておけない花は、彼と再び友人となり、まともな高校生活へ導こうとする。また、花には異母弟の光がおり、その子を通じて弓弦の心の奥底には優しさがあることを知るのだった。花は弓弦が抱えている痛みを敏感に汲み取り、寄り添いながら彼の心を癒やし、ほぐしていく。花の健気な想いが通じ、二人はやがて特別な関係へと発展するが、弓弦が荒れた原因である暴力事件の被害者・昂が二人の前に現れる。水泳選手だった昂は弓弦との喧嘩が原因で選手生命を絶たれ、彼を恨んでいた。昂が現れたことで、弓弦は自分の過去や罪、そして家族と向き合う覚悟を決めるのだった。
ヲタク同士のカップルの日常を描いたラブコメディ。OLの桃瀬成海(ももせなるみ)は漫画やアニメ、三次元アイドルや同人活動などヲタク趣味を持つ腐女子。その趣味を同じ会社の彼氏にカミングアウトしたことがきっかけで、前職をやめることになった。今後は周囲にヲタバレしないよう気を付けようと思っていたが、転職先の社内でゲームヲタクの幼馴染・二藤宏嵩(にふじひろたか)と再会。彼は大事なヲタク仲間だったが、再会をきっかけに関係性が変化していく。2018年テレビアニメ化、2020年実写映画化。
恋人ならば別れてもまた新たに作ることは可能だが、幼馴染を大人になってから作ることは不可能だ。成海にとって幼馴染兼ヲタク友達でもある宏嵩は唯一無二の存在で、彼を恋人にするなんて勿体ないと思っていた。二人はしばらく会っていなかったが、成海の転職をきっかけに再会する。宏嵩は好きなモノに対して全力で感情を動かすことのできる成海に以前から惚れており、再会を機に告白。ヲタク同士のカップルが誕生した。ヲタク仲間期間が長かっただけに、距離感が掴めず、周囲に心配をかけながらも少しずつ恋人らしくなっていく二人は見ていてとても微笑ましい。二人を中心に、先輩カップルの樺倉(かばくら)太郎&小柳花子なども交えた彼らの賑やかなヲタクライフはとても楽し気で、誰もが笑顔になれる作品だ。