僕に花のメランコリー

僕に花のメランコリー

幼い頃に離れ離れになってしまった男女が、高校生になって偶然再会。改めて、もう一度関係を深めていく二人の姿を描く学園ラブストーリー。「マーガレット」平成27年No.17から連載の作品。

正式名称
僕に花のメランコリー
ふりがな
ぼくにはなのめらんこりー
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あらすじ

第1巻

雨宮花は、毎年母親のお墓参りの度に会う少年・高槻弓弦の事が気になっている。花と弓弦は母親同士が親しかった事で出会ったが、最近は弓弦の母親である高槻早苗の体調が思わしくなく、入院生活が続いていた。そして二人が小学校1年生の夏、早苗は亡くなり、花は泣き崩れる弓弦に、これからもずっとそばにいると誓った。しかしその直後、花の父親の海外転勤が決まり、二人は離れ離れになってしまうのだった。それから10年後、高校2年生となった花は日本に戻り、新しい母親と、異母弟の雨宮光といっしょに平穏な暮らしを送っていた。そんなある日、花は光を迎えに行った帰り道で、不良同士の喧嘩に巻き込まれてしまう。さらに、その中にいたのは弓弦であった。花は別人のように変わり果てた弓弦に驚きつつも、彼は近所に住んでおり、しかも同じ高校に転入した事を知る。そこで弓弦ともう一度会うため、花は弓弦の友人・大島嵐から弓弦の家の合鍵を受け取り、早速弓弦の自宅へ向かう。そして、途中トラブルはあったものの、弓弦とゆっくり話す事ができた花は、友人として関係を作り直す事を誓うのだった。

第2巻

雨宮花高槻弓弦に、喧嘩ばかりでなく、高校生らしい日常を過ごしてほしいと考えていた。そこで花は、弓弦に今度行われる林間学校を楽しく過ごしてもらうため、実行委員に立候補する。その直後、花は盗撮に遭い困っていたところを、白桜(はくおう)女学院に通う長谷川ルカに助けられる。白桜女学院は花達の明翔高校と同じ日程で林間学校に行くらしく、明翔高校がどんな高校なのか気になって見に来たのだという。こうしてルカと知り合った花は、林間学校当日も、車酔いしたルカを案じていっしょに過ごす。しかしそこに弓弦が現れ、花は弓弦とルカはかつて友人であり、ルカの引っ越しを機に離れ離れになってしまい、この林間学校で偶然再会した事を知る。その後ルカと別れた花と弓弦は、いっしょに登山をして楽しく過ごすが、その途中花は携帯電話を落としてしまい、白桜女学院の生徒に拾われる。そこでルカは弓弦経由で返却する事にするが、夜、弓弦とルカが会っている途中に雨が降り出し、二人は戻れなくなってしまう。そして雨が止むのを待つうち、弓弦の現在を知ったルカは、衝動的に弓弦に告白する。

第3巻

梅雨の時期を迎え、雨宮花長谷川ルカから、複雑な境遇にある高槻弓弦にふさわしいのは自分であり、花には渡さないとライバル宣言をされ、ショックを受けていた。そのまま夏休みが始まり、花は弓弦を避けるように過ごしていたが、ある日、大島嵐に誘われ、雨宮光と三人でヒーローショーを見に行く事になる。三人は楽しい時間を過ごすが、その途中、光が酔っ払いに蹴られてしまう。そこに助けに入ったのは、アルバイト中の弓弦であった。こうして弓弦と再会した花は、以前迷子になった光を保護してくれたのも弓弦であり、光が弓弦を非常に慕っている事や、弓弦が自立に向けて前向きに過ごしていた事を知るのだった。その後、雨宮家はお墓参りのために田舎を訪れる。しかし花が高槻早苗のお墓へ向かうと、そこにはすでに誰かがお参りした形跡があった。弓弦が来ているに違いないと考えた花は、夜になって高槻家を訪れ、誰もいない家で一人過ごしていた弓弦を発見する。そこで弓弦がこの家を出てから現在に至るまでの経緯を知らされた花は、改めて弓弦に対してずっと自分がそばにいる事を誓い、二人はキスをするのだった。

第4巻

新学期。夏休みの一件で雨宮花高槻弓弦の距離はまた一歩近づくが、正式に交際を始めたわけではなく、花は複雑な思いを抱いたまま、日々を過ごしていた。そんなある日、花は弓弦にお弁当を作っていくと約束するが、登校中見知らぬ男性にぶつかり、お弁当を落としてしまう。そこに男性の友人である逢沢未来が謝罪に現れるが、花は転んで未来のズボンを脱がし、未来に恥をかかせてしまうのだった。すぐに花はお詫びに未来のもとを訪れ、そこで未来にも花のように弟がいるが、うまく接する事ができず悩んでいる事を知る。一方未来もまた、花がお弁当を渡そうとしていた人物こそが異父弟の弓弦であると知り、驚く。その直後、明翔高校では文化祭の準備が始まるが、お弁当を渡せずじまいになった事から、花と弓弦のあいだには再び距離ができ始めていた。当日も別々に過ごしていた二人だったが、ナンパされて困っている花を弓弦が助けた事がきっかけで誤解が解け、いっしょに弓弦の誕生日を祝い、田舎に遊びに行って雪を見に行こうと約束する。

第5巻

12月。高槻弓弦は、クリスマス当日は誰とも会わず、アルバイトをして過ごそうと考えていた。しかし、多忙な弓弦に差し入れまでしてくれる雨宮花の優しさを改めて実感し、当日急遽いっしょに出掛ける決意をする。こうして二人は12月25日の深夜に待ち合わせ、夜行バスに乗って弓弦の故郷へ雪を見に行く約束をする。だが当日、花が待ち合わせ場所に向かうと、なぜか弓弦は現れず、そのまま出発時刻が近づいてしまう。一方その頃、弓弦は長谷川ルカの連絡を受け、病院に向かっていた。絶縁したルカの父親が倒れて危篤状態となったが、ルカの母親は面会を拒んだため、ルカは一人で会いに行かざるを得なくなってしまったのである。ルカの父親に対する複雑な感情を知る弓弦は、花に連絡し、事態を説明したうえで旅行をキャンセルする事を決め、花もまたそれを了承する。そんな中、電話口での花の様子がおかしいと感じた弓弦は急いでバスセンターへ向かうが、すでに花の乗るバスは出発したあとだった。

第6巻

雨宮花の乗ったバスは雪で通行止めに遭い、花は現地に向かえずじまいでバスセンターに戻って来た。そこには高槻弓弦が待っていたが、これまでずっと自分ばかりが弓弦を追いかけ、気遣っていると感じた花は、弓弦との関係に疲れ始めていた。その日から花は弓弦を避けるようになり、弓弦もまた、これ以上花を傷つけるくらいなら、このまま距離を置いた方がいいのではと悩む。しかし、二人がようやく話す機会を得たある日、雨宮光が体調を崩し、二人は慌てて光を迎えに行く事になる。その途中で偶然、逢沢未来に会った花は、未来の厚意に甘え、未来の車で、四人で病院へ行く事にする。未来と弓弦が異父兄弟である事を知らない花は、当然二人が複雑な関係にある事も知らなかったのである。一方未来は、以前は親し気にしていたはずの花と弓弦が険悪な雰囲気になっている事に気づき、花にアドバイスをする。これがきっかけで二人はようやくお互いの気持ちを吐露し、仲直りする。こうして二人は、ついに恋人同士となるのだった。

第7巻

4月になって雨宮花達は高校3年生に進級し、花の誕生日も近づいて来た。そんなある日、花は道で不良達が喧嘩している場面に出くわす。その光景にかつての弓弦を思い出した花は不安になるが、弓弦と誕生日を楽しく過ごし、すっかり優しくなった弓弦を見て安堵する。しかし、花はそれからすぐに先日の不良が、今度は傘を盗もうとしているのを見かけてしまう。人の持ち物を乱暴に扱い、さらに花の携帯電話まで壊した彼らに花は腹を立て注意するが、彼らは聞く耳を持たず、それどころかまた花の持ち物を踏みつけて去っていく。一方その頃、高槻弓弦逢沢未来をはじめとする、別居中の家族と向き合う決意をしていた。しかし、未来との関係は改善し始めたものの、高槻早苗を恨む義母とはうまくいかず、悩んでいた。その直後、進学に向けて明翔大学の学部説明会を受けた花は、未来からのアドバイスもあり、看護学科に進み、看護師を目指そうと決意する。しかしそれを弓弦に報告に行こうとしていた途中で、花は酔っ払いに絡まれてしまう。しかし、それを助けてくれたのは、例の不良グループの一人・であった。

第8巻

雨宮花は、自分が原因でケガをしたの手当てをし、高槻弓弦との待ち合わせ場所に向かおうとしていた。しかし、花の忘れ物に気づいた昴は追いかけ、その先で花と会っている相手が弓弦である事を知る。弓弦はかつて昴に大ケガを負わせ、スポーツ選手への道を途絶えさせた張本人であった。一方、弓弦もまた昴に気づき、自分だけならまだしも、花の事まで気にしているのはなぜかと不安視していた。その場は何事もなく済み、花はようやく弓弦に将来の夢を打ち明ける。しかし弓弦は、それを応援しつつも、自分自身の進路はまだ決められず、進路調査票を白紙のまま提出してしまう。これが逢沢未来と弓弦の義母の耳に入り、二人は教師と相談するため、明翔高校へ足を運ぶ事になる。その当日、未来と弓弦の義母の母親の会話を耳にした花は、未来から衝撃の事実を知らされる。それは、高槻早苗の死後、弓弦は逢沢家に引き取られ、中学入学頃までは比較的未来と良好な関係を築いていたが、やがて非行に走り、一人の少年に大ケガをさせた結果、明翔高校に転校せざるを得なくなったというものであった。

登場人物・キャラクター

雨宮 花 (あめみや はな)

明翔高校に通う2年生の女子。雨宮光の異母姉でもある。前髪を目の上で切り、腰まで伸ばした亜麻色のロングウェーブヘアにしている。穏やかで物腰柔らかく、誰に対しても敬語で接する。几帳面で世話好きで、時におせっかいと評される事もあるが、母性的で温かい性格。一方でやや天然気味で、周囲をハラハラさせる事もある。幼い頃、母親の「雨宮百合」を亡くし、毎年お墓参りに田舎を訪れては、そこで友人の高槻弓弦と会うのを楽しみにしていた。 しかし小学1年生の夏に、弓弦の母親である高槻早苗が亡くなり、その直後に父親の海外転勤が決まった事から、弓弦に会えなくなってしまう。その後も弓弦に手紙を送っていたが、やがて弓弦の消息がわからなくなり、高校2年生の春に偶然再会する。 再会直後は弓弦の変貌とその荒んだ生活にショックを受けるが、すぐに少しでも弓弦が楽しく生活できるよう、世話を焼き始める。4月生まれで、血液型はA型。身長は160センチ。好きな食べ物はチョコレートとアップルティー。救急セットなどをつねに持ち歩いているため、荷物が非常に多い。

高槻 弓弦 (たかつき ゆづる)

雨宮花の幼なじみで、明翔高校特進科に通う2年生の男子。高槻早苗の息子で、逢沢未来の異母弟でもある。前髪を目が隠れそうなほどのショートヘアにしている。クールでぶっきらぼうに振る舞っているが、実際は心優しい性格。また、非常に負けず嫌いなところがある。早苗が未婚のまま産んだ子供で、父親の事をまったく知らないまま、早苗と田舎で育つ。 やがて早苗の友人「雨宮百合」の娘である花と出会い、毎年夏にいっしょに過ごす関係になるが、小学1年生の夏に早苗が亡くなった。その後は実の父親に引き取られ、未来と出会うが、中学時代は非常に荒れており、札付きの不良として恐れられていた。それから高校2年生の春までは喧嘩に明け暮れ、不特定多数の女性と関係を持つなど荒んだ生活をしていたが、ある日喧嘩に巻き込まれた花を助けた事で、再会する。 花と再会した当初は、自分とは正反対の穏やかな人生を送って来た花にコンプレックスを感じるあまり冷たく接していた。しかしやがて花の熱意に根負けし、もう一度友人関係を築いていく。誕生日は12月26日で、血液型はB型。身長は178センチ。アイスクリームなど、甘いものが好き。

大島 嵐 (おおしま あらし)

高槻弓弦の友人で、雨宮花達とは別の高校に通う2年生の男子。前髪を目が隠れそうなほど伸ばして左寄りの位置で分けた、ふんわりとしたショートカットに眼鏡をかけている。家は会社を経営しており、非常に裕福な家庭に育つ。弓弦も、大島家で所有するマンションの一室に住んでいる。明るく軟派な性格で、女性と性的な話題が大好き。 弓弦とは中学校時代、お互いに非行に走っていた頃に出会い、弓弦の目上の相手や体格に恵まれた相手でも平気で喧嘩を売っていく姿勢に関心を持つ。そこで自分も勝負を申し込み、負けてしまったものの弓弦を気に入り、友人となった。弓弦の自暴自棄な生き方を案じており、高校2年生の春、弓弦の幼なじみの花であれば、弓弦の心を癒せるのではと考える。 そこで家の特権を利用して弓弦の自宅の合鍵を花に渡し、二人の関係修復に協力する。その後は度々花のもとに現れてはちょっかいをかけたり、弓弦との関係をアドバイスするようになる。

長谷川 ルカ (はせがわ るか)

高槻弓弦の友人で、神奈川県にある白桜(はくおう)女学院に通う高校2年生の女子。前髪を目の上で切り揃えた前下がりボブヘアで、ピアスをしている。中学時代は髪が長く、前髪を目の上で切り揃えた、肩につくほどのセミロングヘアだった。クールな性格で、一見何事もそつなくこなすように見えが、実は極端に乗り物に弱く、観覧車に乗っただけで酔ってしまう。 暴力的な父親のもとで育ち、ある日母親が家を出てしまってからは、日常的に暴力を振るわれる生活を送っていた。そのため暴力的な人間が大嫌いで、中学時代に弓弦と出会った当初も、喧嘩ばかりの低俗な人間だと見下していた。しかしある日、父親に暴力を振るわれたところを弓弦に助けられ、以来弓弦に思いを寄せるようになる。 だが、弓弦はある日突然会えなくなった幼なじみに今も思いを寄せている事を知って傷つき、弓弦に知らせないまま、突然母親のもとに引っ越してしまった。しかし高校2年の春に林間学校で弓弦と再会し、これは運命であると考え、弓弦に告白する。好きな飲み物はブラックコーヒー。

逢沢 未来 (おうさわ みらい)

高槻弓弦の異母兄で、明翔大学医学部に通う男子。前髪を目が隠れそうなほど伸ばした、ふんわりショートヘアにしている。穏やかな性格の持ち主。雨宮花とは、花が高校2年生の夏、道で花と逢沢未来の友人がぶつかり、さらに未来の友人が花を困らせていたため、見かねてあいだに入ったのがきっかけで知り合った。その後、花が改めてお詫びに来たのを機に親しくなり、その際花と弓弦が友人関係にある事を知る。 弓弦とは、高槻早苗が亡くなり弓弦が逢沢家に引き取られてきて出会った。その後、弓弦が中学に入る頃までは何かと世話を焼き、比較的良好な関係を築いていた。しかし弓弦が、大島嵐らとつるむようになり帰りが遅くなったり、家に戻らない日が増えたりした事と、同時期に未来の母親と衝突し家を出て行ってしまった事で、すっかり疎遠になっていた。 しかし弓弦が高校2年の冬、花を通じて再会した事で、もう一度関係を修復しようとする。大学では、剣道部に所属している。

(すばる)

高槻弓弦の知り合いで、雨宮花が住む地域にたむろしている不良少年。前髪を眉が見えるほど短く切った、刈り上げウルフカットの髪型をしている。かつては高柳スイミングスクールに通い、プロのスポーツ選手を目指していた。しかしある日、弓弦と喧嘩になった際に大けがを負い、日常生活は問題ないものの、選手としては再起不能になってしまう。 現在は不良仲間と共に非行に走っており、花とは喧嘩をしているのを目撃された事がきっかけで出会った。

雨宮 光 (あめみや ひかる)

雨宮花の異母弟で、めいしょう幼稚園に通う男子。前髪を目の上で切り揃え、顎の高さで切り揃えたボブヘアにしている。中性的な、かわいらしい雰囲気を漂わせている。おっとりとした心優しい性格で、誰に対しても敬語で接する。花の事が大好き。花が高校2年生の夏休みに迷子になってしまうが、そこに偶然高槻弓弦が現れ、保護したのがきっかけで、名前も知らない弓弦を慕うようになる。 さらにその後、酔っ払いに蹴飛ばされて泣いていた際にも弓弦が現れ、助けてくれた事から、弓弦の事をヒーロー視している。

高槻 早苗 (たかつき さなえ)

高槻弓弦の母親で故人。前髪を目の上で切ったショートヘアにしている。明るく気さくな性格で、弓弦いわく元ヤンキー。雨宮花の母親とは幼なじみで非常に親しかった事から、花と弓弦は出会った。未婚のまま弓弦を出産し、田舎で弓弦と二人だけの生活を送っていた。しかし体調を崩して入院生活が続き、10年前、花と弓弦が小学1年生の時に病気で亡くなった。 本当は息子だけでなく娘もほしかったと考えており、花の事も実の娘同然にかわいがっていた。

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