WEB漫画『週刊メロンコリニスタ』で大人気を博したニャロメロンの商業初連載作品。ジャンルは「パルプンテ系無秩序四コマ」と自称される、不条理ギャグ漫画。鐘の形をした姉のリンガベルと、鈴の形をした弟ビックベル、そして不思議な生き物たちが多数登場する。次々とシュールなギャグを繰り広げる。
『ベルリンは鐘』というタイトル通り、本作は「鐘」をモチーフにしたキャラクターがメインキャラクターとして登場する。主人公は、リンガベルという名前の鐘に手足が生えたような形をした女の子。そして彼女の弟であるビックベルは、鈴に手足が生えたような形をした男の子だ。リンガベルたちが特別奇妙な姿というわけではなく、作中に登場するキャラクターの多くは、道具を擬人化したような奇妙な姿だ。リンガベルが鐘であることにストーリー上の大きな意味はなく、ひたすらシュールなギャグが繰り返されるのだが、独特の雰囲気に思わず笑ってしまう作品だ。
『ピンポン』『鉄コン筋クリート』などで知られる松本大洋の異色のボクシング漫画。統一世界ミドル級のチャンピオン・五島雅は、まもなく30歳を迎えるボクサー界の中では老齢の男。しかし強過ぎるため、依然無敗続き。そんなある日、若き無敗のボクサー「トラビス・バル」の存在を知った雅は、彼との対決を望む。
本作における「鐘」は、タイトルにもある「十点鐘」だ。連載時のタイトルは『ZERO』で上下2巻仕様だったが、作者である松本大洋のデビュー30周年を記念して1冊に纏め、このサブタイトルが付けられた。「十点鐘」とは、ボクシングの10カウントゴングのこと。これは名選手の引退試合や、死去した選手の追悼で鳴らされるものだ。本作の主人公である雅はあまりにも強過ぎるため、試合が盛り上がらない。そんな彼に周囲が期待するのは、「いつ負けて、引退するのか」ということ。雅自身も自分が引退するならば、同じようなボクサーに後を引き継いでもらいたいという願いがあった。そして雅は、自分と同じ狂気を感じる若きボクサー・トラビスにその願いを託そうとする。
ゲーム『Fate/stay night』の脇役をメインにしたスピンオフ漫画。原作のメインヒロインのひとり「遠坂凛」のクラスメイトである三人組・氷室鐘、蒔寺楓、三枝由紀香が主人公。原作のメインシナリオ「聖杯戦争」の9カ月前の時間軸から物語が始まり、物語の舞台である冬木市に暮らす一般人の日常が描かれている。2017年に1話完結の短編アニメ放送。
この漫画に登場する「鐘」は、本作の主人公「氷室鐘」の名前だ。彼女は原作における脇役のひとり。サブタイトルにある通り、鐘を中心としたキャラクターたちが学園で送る日常をメインとした物語が展開し、原作を知らなくても十分に楽しめる。また、作中で披露されるギャグには多岐にわたるパロディや、マニアックな雑学が多数盛り込まれているのも特徴だ。主人公の鐘は容姿端麗、文武両道の眼鏡美人で、物語の舞台となる冬木市市長の娘。彼女と、彼女が所属する陸上部の蒔寺楓、三枝由紀香たち三人は勉強や、部活、遊びと楽しい日々を送っていた。だが、冬木市で不穏な事件が発生する。ゲーム本編における「聖杯戦争」が迫る中で、鐘たちは人々の安全と平穏のために、自分たちできる範囲で警鐘を鳴らし奮闘していく。
とある町を跋扈する謎の怪物「冥奴(メイド)様」をめぐるサスペンス・ホラー漫画。東京から十年ぶりに故郷のみとず町へ帰ってきた高校生の勇人(ゆうと)。みとず町には、夕方6時になると不思議な鐘が鳴り、朝まで外に出てはならないという決まりがあった。勇人は再会した幼なじみの咲といっしょに、その鐘の音を外で聞いてしまし、掟を破ったふたりは「冥奴様」に追われることになる。
この漫画に登場する「鐘」は、舞台であるみとず町で夕方6時になると鳴る不思議な「鐘(チャイム)」だ。この音が鳴ると、町には冥奴様と呼ばれる怪物が現れるため、誰も外を出歩かない。みとず町に帰郷した初日、勇人は冥奴様に狙われてしまい、父親も行方不明となってしまう。そんな彼に協力してくれたのが、幼なじみの咲と「ドラゴン」というあだ名をもつ山神龍児だ。彼らと共に、勇人は冥奴様の謎を探っていく。のどかな田舎町でありながら、どこか不気味な雰囲気が漂うみとず町。どこから鳴るかも分からない鐘の音は、この町の謎と恐怖をより一層深めている。
競輪をテーマにしたスポーツ漫画。主人公である立花ワタルは、小柄な体に似合わぬパワーを持つ若き競輪レーサー。ワタルは「火の玉先行」と呼ばれる先行逃げ切りを武器に、様々なレースに挑んでいく。彼の目標は、競輪協会最高の栄誉とされるグランドスラムだが、彼の前に手強いライバルたちが立ちふさがる。
本作のタイトルである『打鐘』は、「ジャン」と読む。これは日本の競輪において、ラスト1周半前から1周前にかけて打ち鳴らされる鐘のこと。本作の主人公のワタルは、競輪に魂をかける若きレーサーであり、デビューした頃から先輩レーサーにも物怖じしない胆力の持ち主だ。ワタルは強敵・清原良との出会いや、師である佐々木数正の死など、様々な試練を乗り越えて、めきめきと頭角を現していく。そんな彼の戦い方は、先行で逃げ切る通称「火の玉先行」だ。レース終盤で打鐘が響き渡る中、彼はリードを必死に守り逃げ切っていく。思わず手に汗握る、熱い「逃げ」が楽しめる作品だ。