靴のつま先を切り落とす妖怪・つまさきおとしと、人間の少女がまきおこす異色の人外コメディ。つまさきおとしは、余った靴のつま先を切り落としてまわる妖怪。妖怪は人間には見えないはずだが、つまさきおとしの姿を見ることのできる中学生・長妻咲(ながつまさき)が現れる。咲はつまさきおとしを「とし君」と呼び、異様なまでの関心を寄せてくる。咲につきまとわれつつも、現代社会を生き抜くつまさきおとしの受難の日々を描いていく。
人間の常識では計り知れない不思議な行動をとるとされる妖怪。つまさきおとしは人間観察を趣味とし、人の目には見えないのをいいことに都会のあらゆる場所に、気の向くまま赴いていた。しかし、そんな彼を追いかけまわす存在が出現した。つま先を切る度に現れる咲は、つまさきおとしに「汁ハネを気にしながらラーメンを食べる人を励まそうとしている」「立ち読み客の足のすき間から手を伸ばす人を他の店に行った方が早いと伝えようとしている」等と、意味のない行為を深読みしてくる。「妖怪として何か人類にそれっぽいコメントしなきゃ!!」と追いつめられるつまさきおとしと、妖怪以上に非常識な咲のディスコミュニケーションの様がおかしい作品だ。
とある事情からとにかく目立ちたくない男子高校生が転校をきっかけに騒ぎをまきおこす学園コメディ。隠慎一郎(かくれしんいちろう)は、東京から地方都市・白杜市の私立高校へ転校してきた。注目を浴びることが苦手な慎一郎は、転校初日から極度の緊張状態にあった。通学路の途中で落ち着こうとして深呼吸を繰り返したり、大丈夫だと自分に言い聞かせたりと何かと挙動不審気だ。周りの反応を気にする余裕のない慎一郎には、それでも注目を浴びたくない大きな理由があったのだ。
慎一郎は子供の頃にあった落雷の事故のせいで、注目されると放電してしまう能力が身についてしまった。自意識過剰から周囲の視線がやけに気になってしまうのは、思春期なら誰にでも多少なりともあることだ。しかし、慎一郎の自意識過剰ぶりは度を越している。しかも、注目を集めたくない、目立ちたくないと思いつめるあまり、かえって目立ってしまうという悪循環に陥る始末。能力のおかげで、転校を繰り返し、まともに友達もつくれない。転校先で心機一転し、なんとかやっていこうとするも、空回りを繰り返してしまうのはこの能力のせいなのか、自意識過剰のせいなのか、思い通りにならない。思春期の苦闘がコメディタッチで描かれる。
インベーダーの侵略から地球を守るヒーロー・プロキオンが父としても奮闘するヒーローコメディ。プロキオンは地球の平和を守るために派遣された彗星人(ミーティアン)だ。普段は仮の姿、サラリーマン・流星士郎(ながれせいしろう)として密かに暮らすはずだったのだが、着任早々に天川琴音(あまかわことね)と恋に落ちて電撃結婚。そこへ、琴音の海外赴任が決定し、琴音の連れ子・郁生(いくる)と二人暮らしをすることに。
インベーダーと闘うヒーローでありながら、義理の息子と二人暮らしを送るサラリーマン・流星士郎。本作は、プロキオンのギャップがありすぎる二重生活を描いている。地球に来てまだ間もないプロキオンこと星士郎は、社会常識に疎く、ゴミの分別もままならない。同居生活を送る義理の息子・郁生からは、生活能力のない役立たずとして軽蔑の眼差しをむけられてしまう。星士郎には全く懐いていない郁生だが、実はヒーロー・プロキオンには夢中。インベーダーが現れれば颯爽と登場し闘うプロキオンの姿は、地球を救うヒーローとして報道され、話題になっていた。星士郎はプロキオンのように、尊敬される父親になるための闘いも繰り広げることになる。
正反対のタイプの二人の女子高生が、すれ違いながらも少しずつ距離を縮めていく学園ラブコメディ。麻積村(おみむら)ひなたは、見た目も性格も地味な高校2年生だ。ある日、隣の席の同級生・御厨(みくりや)みかげが、小学生の頃の親友だったことに気づく。当時は大人しく地味な存在だったみかげだが、現在は金髪のギャルに大変身していた。2017年に実写ドラマ化されてネット配信され、2018年には地上波でも放送された。
気まずくなったまま疎遠になった友達と偶然の再会をはたした時、自分から声をかけるのはハードルの高いミッションだ。本作の主人公の一人、ひなたは隣の席に座るギャルが、昔の親友であるみかげだと気づくも、全く声をかけられずにいた。小学生時代は活発で社交的だったひなただが、今では大人しく引っ込み思案な女子に変貌。正反対に派手なギャルになったみかげは、今のひなたにとっては近寄りがたい上、つい一挙手一投足にビクビクしてしまう。肝心のみかげはといえば、とっくにひなたが、昔の親友であることに気づいていた。また親しくなりたいと切望して、自然に距離をつめようと四苦八苦するも、ひなたに怖がられてしまうという悪循環に陥っていた。