あらすじ
となりの席の元親友
都立學ヶ岳学院に通う根暗なオタクの麻積村ひなたはある日の授業中、となりの席に座るのクールなギャルの御厨みかげが、10年前の親友であることに気づいてしまう。かつて明るく社交的だったひなたは、小学生の頃にみかげとなかよくなったが、別の友人と親しくなったことで疎遠になり、仲直りできないままでみかげが転校してしまったのである。そんな苦い過去を思い出しながら、おとなしかったみかげが変貌したことにとまどいながらも、ひなたは再び彼女と友達になりたいと願っていた。しかし、引っ込み思案な性格と昔とは異なる容姿に変身したみかげへの不安から、ひなたはなかなか行動に移せずにいた。そんなひなたの不安とは裏腹に、みかげの心の内はひなたへの思いと興味であふれかえっていた。ひなたが自分と親友同士であった過去を思い出してくれたのではないかと、期待に心を躍らせるみかげは、思い切ってひなたに話しかけようとするが、放課後すぐに彼女は帰ってしまう。ショックを受けたみかげは思わずひなたを追いかけ、自分と親友だった過去を思い出したことを確認するが、そのギラギラした態度がかえってひなたを怖がらせてしまう。その後もひなたに必死に絡もうとするみかげだったが、クールなギャルを装うあまり空回りして、誤解を招いたり怖がらせたりしてしまう。こうして、ひなたとみかげの思いがすれ違い続ける、二人の奇妙な関係と学生生活が幕を開けるのだった。
放課後個人授業
となりの席になって約1か月がたち、少しだけ距離が縮まった麻積村ひなたと御厨みかげは、相変わらずすれ違いを繰り返しながらも交友関係を深めていた。そんな二人のあいだに、ひなたの友人で妄想癖のある佐呂間由依や、底抜けに明るいサッカー少女の蓮茂台洸も加わり、ひなたとみかげの関係とすれ違いは、さらにおかしな方向に発展していく。そんなある日、テストの点数が悪くて落ち込んでいたみかげは、ひょんなことからひなたに勉強を教えてもらえることになり、赤点を取ったにもかかわらず逆に喜んでいた。しかし、同じく赤点を取っていた洸も勉強に加わることになり、ひなたと二人きりでの勉強会を夢見ていたみかげはがっかりする。だが、みかげのそんな気持ちを知る由もない洸は、勉強会の帰りにみかげが去年よりも明るく面白くなったと語る。洸の唐突な言葉に困惑しつつも、彼女とは1年以上前からの付き合いであることを思い出したみかげは、さりげなく感謝の気持ちを告げるのだった。後日、ひなたとみかげは学校帰りに迷子のパグに遭遇。みかげは過去のトラウマから犬が苦手だったが、犬好きなひなたの前ではそのことを告げられずにいた。ひなたの提案で、彼女とみかげはそのパグの飼い主が見つかるまで、公園で面倒を見ることになる。だが、パグがひなたに対して取った思わぬ行動が、みかげの怒りに触れてしまう。
三つ目のモノローグ
麻積村ひなたと御厨みかげは、さまざまなイベントを通して交流を重ねるうちに、少しずつ親しい関係になりつつあった。そんな二人の前に、謎の風紀委員の田中弘美が現れ、みかげの派手な髪色や服装を注意してくる。弘美は、小学生の頃にひなたとみかげの友情を引き裂いた、幼なじみの少女でもあった。小学生時代のことをはっきりと記憶して罪悪感を抱いていた弘美と話すうちに、ひなたは弘美の正体がかつての幼なじみであったことを悟る。一方、みかげだけは弘美をただのしつこい風紀委員としか見ておらず、彼女がかつてひなたとの仲を悪化させた幼なじみだとは気づいていなかった。10年前の出来事に大きく絡む弘美の出現は、ひなたとみかげのすれ違いをさらに加速させていくことになる。そんな中、次のテストに向けてひなたに勉強を教わっていたみかげは、彼女から夏祭りの話題を振られ、話の流れで夏祭りにいっしょに出掛けることになる。ひなたとのひとときと新たな約束に胸を躍らせるみかげは、なんとか赤点を回避し、気分よく夏祭りデートを楽しめることとなった。ひなたと二人きりにはなれなかったものの、気をきかせた佐呂間由依の提案で、当日は全員が浴衣を着て行くことが決定。そして当日、ひなたの浴衣姿を想像しながら待ち合わせ場所に来ていたみかげには、予想外の出来事と新たな試練が待ち受けていた。
ホームカミング
すれ違い続けた1学期が終了を迎えようとする中で、麻積村ひなたに思いを寄せる御厨みかげは、夏休みに入る前に自分の思いを彼女に伝えようと決意。しかし、靴下を左右バラバラにはいていたことやトラブルの連続で告白には至らず、そのまま終業式を終えて帰る羽目になってしまう。ひなたに思いを伝えられなかったみかげは、部屋に引きこもりがちになり、腐り切った夏休みを過ごしていた。そんな中、1週間ほどたってようやく部屋から出てきたみかげは、ひなたとしばらく会っていないショックから抜け出せず、以前調べておいたひなたが住むマンションの前まで勢いで来てしまう。ひなたに一目だけでも会いたい一心で無計画に外出したみかげは、偶然にも犬の散歩に出ていたひなたに遭遇し、そのまま部屋まで招かれる。そこで夏休みのあいだ何をしていたかという何げない会話をしたみかげは、ひなたから夏期講習の誘いを受け、彼女といっしょに講習に行くことになる。こうして、ひなたとみかげのクールでホットな夏休みが始まり、担任の薬袋貴子の熱意ある指導もあって、みかげはスムーズに講習に途中参加ができるようになった。再びひなたと過ごせるようになったみかげは喜ぶが、ひなたが講習中に眼鏡を掛けていることに感動し、勢いで幽体離脱してしまう。一方、ある目的で眼鏡をこっそり購入していたひなたは、ひそかに不安を抱えていた。
君の名を呼ぶ
激動の夏休みを終え、麻積村ひなたと御厨みかげの周囲には、みかげにあこがれてギャルを目指す女子や新たな風紀委員も出現し、個性的な生徒が集まっていた。新学期が始まり、多くの出来事を体験したひなたとみかげは、風紀委員の佐藤由香と山本美樹に絡まれたことで、ますます友情を深めていく。さらに、以前から相容れないままだった田中弘美とも友達になり、みかげは一見、順風満帆な日々を送っているように見えた。そんなある日、みかげはふと過去のことを思い出し、弘美のフルネームを聞いた途端、彼女の正体が小学生の頃にひなたとの仲を引き裂いた張本人である事実に気づいてしまう。さらにみかげは、ひなたがその事実を弘美に会った当初から知っていたことも知り、ショックを受ける。みかげの変化に気づいたひなたも罪悪感を覚え、過去最大級のすれ違いに二人は後悔や混乱を隠せずにいた。ひなたとみかげは一気に気まずい空気になり、自分だけが弘美のことに気づけていなかったショックを隠せなかったみかげは、思わず教室を飛び出して屋上に閉じこもる。一方、みかげと弘美への強い罪悪感からしばらく動けずにいたひなたは、蓮茂台洸の励ましを受けてある決意を胸にする。
修学旅行バトルロイヤル
2年生最大の学校行事である修学旅行で麻積村ひなたに告白することを決意した御厨みかげは、旅行中のさまざまな出来事の連続に悶えるばかりで、肝心の告白を実行に移せずにいた。電車での旅を終えて京都に到着したみかげたちは、キャンパス見学を終えて旅館にたどり着く。しかしみかげは、旅館の入浴イベントをすっかり忘れており、予想外の事態の連続に、夕食後にはすっかり力尽きてそのまま爆睡してしまう。旅館での一夜を存分に楽しめず、そのまま朝を迎えてしまったみかげは、修学旅行の夜という絆を深める絶好の機会を逃したことに、焦りを隠せずにいた。2日目の見学中もひなたへの思いで頭がいっぱいだったみかげは、神社で縁結びのおまじない中に起こったハプニングをきっかけに、ひなたとすっかり気まずくなってしまう。だが、この神社でのハプニングをきっかけにひなたの心境にも変化が訪れ、さらにはクラスメートとの会話を通して、ずっと親友だと思っていたみかげへの感情が、ただの友情ではないことに気づく。しかし、引っ込み思案なひなたは自分の思いをはっきりと伝えることもできず、些細なことでみかげのことを意識してはとまどうばかりで、希少な修学旅行の時間はただただ過ぎていく。
メディアミックス
ネット配信ドラマ
2017年7月から11月にかけて、本作『ふたりモノローグ』のネット配信ドラマ版『ふたりモノローグ』がAbemaTVで配信され、2018年1月からはTOKYO MXで地上波放送された。監督と脚本は倉田健次が務めている。キャストは、麻積村ひなたを福原遥、御厨みかげを柳美稀が演じている。
登場人物・キャラクター
麻積村 ひなた (おみむら ひなた)
都立學ヶ岳学院に通う高校2年生の女子。ロングヘアが特徴。ペット可のマンションで、両親とゴールデンレトリバーのキアヌと共に暮らしている。根暗で内気な性格で、見た目もおとなしそうな少女ながら、小学生時代は明るく活発な人気者で、ベリーショートで少年のような風貌だった。愛称は「ひなぴー」「ひなちゃん」。ある日の授業中、となりの席に座る御厨みかげが、10年前に何げない一言で親しくなった幼なじみだと気づく。当時みかげと友人になったあと、田中弘美となかよくなったのをきっかけに友情に亀裂が入って疎遠となる。その後、みかげが転校したために別々の中学校に通うことになり、音信不通となった。高校生になってギャルに変貌していたみかげに対し、最初は怖々接していたが、再び友達になろうと決意し、試行錯誤と奮闘を繰り返す。実はみかげの方はとっくに麻積村ひなたに気づいていたが、ひなたはみかげがあまりにも昔と異なる容姿だったために気づいていなかった。みかげに話しかけられて互いに10年前の幼なじみであることを確認して、すれ違いを繰り返しながらも、距離を縮めていく。引っ込み思案ながら成績は優秀で、勉強が苦手なみかげや蓮茂台洸に教えている。みかげのことは正義感の強い不良とカンちがいしており、彼女の不可解な行動の数々も、正義の不良としての活動の一環だと思い込んでいる。みかげに対しての感情は強いあこがれや友情によるものと思っていたが、さまざまな出来事や修学旅行を通して、彼女に友情以上の感情を抱いていることに気づく。アニメや特撮が好きなオタク気質であるため、隠れオタクの日暮都とは気が合う。また犬が大好きで、ペットのキアヌのことをかわいがっている。コミュニケーションを取ることが苦手で、ほかの犬の飼い主にうまく話しかけられないため、犬の注意を引くのを趣味としている。
御厨 みかげ (みくりや みかげ)
都立學ヶ岳学院に通う高校2年生の女子。金髪をサイドテールにまとめている、スタイル抜群の巨乳ギャル。家族は父親の御厨真樹夫と母親の御厨芽衣子で、三人で暮らしている。小学生の頃は落ち着いた性格のおとなしい少女で、当時同じクラスだった麻積村ひなたに誘われて友人となった。しかし、ひなたが田中弘美となかよくなったことで友情に亀裂が入ったまま転校したために、ひなたとは長らく疎遠になっていた。ひなたが離れていったのは、御厨みかげ自身が地味で根暗だったせいだと思い込み、ひなたに気に入られるためにおしゃれで格好いいギャルを目指すようになった。しかし実際は、見た目や言葉づかいを繕っただけで、内面まではギャルになれていない。ひなたのことは10年間忘れたことはなく、高校入学時から彼女がかつての幼なじみであることにも気づき、再び友人になる機会をうかがっていた。授業中にとなりの席のひなたに見られていたのをきっかけに、彼女に話しかけて幼なじみであったことを確認し、再び友人となった。だが、ひなたへの重過ぎるほどの愛情を抑えながらクールなギャルを装おうとするあまり、逆に怖がられてなかなかうまくいかない。幼少期に足を嚙まれた経験から犬が苦手だが、犬好きのひなたの前では平気なフリをしている。ひなたには影ながら多大な愛を注いでおり、行動やしぐさ、服装の変化まで一つ一つ神聖視しては感激し、時には死にそうになったり幽体離脱をしたりしたこともある。また、自室の一面にひなたの写真を貼り、彼女が住んでいる家も1年生の時から調べて把握している。日々、ひなたに告白する機会をうかがっているが、いつもトラブルが重なって失敗している。巨乳であることから男子に人気があるが、異性にはまったく興味がなく、ひなたに近づく男子には敵意を向ける。放任主義の両親からいつも放置されていると思っているが、実はかなり心配されている。
佐呂間 由依 (さろま ゆい)
都立學ヶ岳学院に通う高校2年生の女子。麻積村ひなたとは中学校時代からの友達で、現在も同じクラス。ひなたを通して御厨みかげの友人になる。赤毛のツインテールの髪型をしている。気遣い上手の友人思いな少女に見えるが、内面には非常に歪んだ欲望がうずまいており、脳内ではつねにあらぬ妄想を膨らませている。愛称は「サロマっち」「ゆいはん」。ファミリーレストランでアルバイトをしている。妄想が膨らむたびに、会話や自らの体からハートマークがあふれ出す。特にみかげには歪んだ愛情を寄せており、心の中では彼女を様付けで呼んで心酔している。さらにみかげにさげすまれたりぞんざいに扱われたりすることに喜びを感じる、ドMな一面がある。身近な女子に対してひそかに百合妄想をするのを楽しみにしており、ひなたとみかげの関係をすぐに察知し、より親しくなるようにアシストしては妄想にふけっている。しかし、ひなたやみかげを通して交友関係を広めていく中で、蓮茂台洸を気に入るようになる。さらには風紀委員のメンバーを気に入り、自らも風紀委員となった。
蓮茂台 洸 (はすもだい あきら)
都立學ヶ岳学院に通う高校2年生の女子。女子サッカー部に所属している。御厨みかげとは1年生の時からのクラスメートで、その時から彼女とよく行動を共にしている。みかげを通して麻積村ひなた、佐呂間由依と親しくなった。明るい茶髪のショートヘアのボーイッシュな少女で、女子サッカー部員をはじめとする同性から非常にモテる。底抜けに明るい性格で、細かいことを気にしないおおらかさもあるが、時折繊細な一面を見せることもある。みかげのひなたへの思いはまったく気づいておらず、空気を読まずに割って入ることがあるため、みかげには邪魔者扱いされている。しかし本来は友人思いで、みかげが1年前よりも明るくなったことに気づくなど、知らず知らずのうちに彼女を励ましていることもある。汗をかく機会が多いが美肌を保っており、周囲にコツを聞かれた時は何もしていないと答えているが、実はスキンケアグッズでこまめなケアをしていることを由依に打ち明けている。女の子らしいファッションが苦手で、夏祭りでは浴衣を持っているにもかかわらず、甚平を着ていた。趣味は缶バッジ集めで、いつも使っているリュックの背面に集めたバッジを飾っている。親しくなった相手にすぐあだ名を付けたり、教師や友人の物まねをしたりするのを得意としている。
日暮 都 (ひぐらし みやこ)
都立學ヶ岳学院に通う高校3年生の女子。御厨みかげの中学校時代からの先輩。金髪ガングロの筋金入りのギャルで、みかげが昔から尊敬しているあこがれの女性でもある。みかげを通して麻積村ひなたと知り合う。みかげたちの前ではクールに振る舞っているが、実際は隠れオタクでイラストや漫画を描いている腐女子。ひそかに周囲の男性でBL妄想を楽しんだり、BL同人誌を作ったりもしている。中学時代はバスケットボール部に所属していたが、当時はまっていたバスケットボール漫画への理解を深める目的であった。SNSでは万を超えるファンにフォローされており、ひなたのアカウントからもフォローされている。ひなたとはオタク同士で通じるものがあり、ある出来事をきっかけに、腐女子であることが彼女にバレてしまったと思い込んでいる。
御厨 真樹夫 (みくりや まきお)
御厨みかげの父親。強面で寡黙な性格の中年男性。子供に対して放任主義を装いながらも、娘のみかげのことをつねに心配している。帰宅するとまず、妻の御厨芽衣子をハグするのが習慣となっている。ウソをつくとしゃっくりが出る癖を持つ。
御厨 芽衣子 (みくりや めいこ)
御厨みかげの母親。ショートヘアが特徴。子供に対して放任主義を装いながらも、娘のみかげのことをつねに心配している。学生時代に一度だけ女優として映画に出演していたことがあったが、夫の御厨真樹夫には内緒にしている。
田中 弘美 (たなか ひろみ)
都立學ヶ岳学院に通う高校2年生の女子。麻積村ひなたと御厨みかげとは別のクラスで、風紀委員を務めている。切りそろえた黒髪のポニーテールで、1本の長い下まつげが特徴。風紀委員専用の黒いカッターシャツを着用している。生まじめな性格でクールに装っているが、実は非常に繊細で責任感が強い。ひなたやみかげは小学校時代の同級生で、10年前に二人のあいだに割って入ることでみかげの気を引こうとしていた。しかしそれが結果的に、ひなたとみかげの仲を裂くことになってしまい、二人が疎遠になったあとも罪悪感を抱え続けていた。高校入学後は二人を遠くから見守りながら、謝罪する機会をうかがっていた。ひなたにはすぐに正体がバレてしまうものの、自ら名乗り出たいという理由から、みかげには黙っていてほしいと頼んでいた。服装指導などを理由に何かとみかげに絡んでいき、当初はうっとうしがられたり、ひなたに気があるとカンちがいされたりしながらも、次第に打ち解けて友人になる。これを機にみかげに本当のことを打ち明けようとしていたが、このままの友人関係を続けたいという迷いから、なかなか言い出せずにいる。中村直美が引きこもりがちになってからは、彼女の代わりに風紀委員長代理を務めている。
伏倉 健司 (しくら けんじ)
都立學ヶ岳学院に通う高校2年生の男子。麻積村ひなたと御厨みかげのクラスメート。みかげの豊満な胸に惹かれ、彼女に思いを寄せる。しかしその思いはまったく届いておらず、調理実習をきっかけにひなたに気があるとカンちがいされ、みかげからは何かと敵意を抱かれる。最初は見た目が好みという理由だったが、みかげに接するたびに彼女の内面にも惹かれている。
薬袋 貴子 (みない たかこ)
都立學ヶ岳学院に勤務する女性教師。麻積村ひなたと御厨みかげのクラスの担任を務めている。担当科目は数学で、都立學ヶ岳学院のOGでもある。数学教師ながらいつもジャージを着用しているため、よく体育教師にまちがえられる。典型的な熱血教師で、無自覚に他人のプライバシーに踏み込んでくるなど無神経な一面もあるが、つねに生徒のことを思って行動している。特にみかげのことを気にかけており、彼女が少しでもやる気を出すたびに熱烈に感動している。自宅では吉之助というパグを飼っている。
櫓見 理花子(やぐらみ りかこ)
都立學ヶ岳学院に勤務する女性教師。担当科目は化学で、薬袋貴子の先輩。白衣をまとって、眼鏡を掛けている。何かと虚勢を張りがちな神経質な性格で、後輩の貴子からもよくからかわれている。「写メ」などの死語を使っていることで、世間の感覚からズレているかもしれないと過剰に心配している。死語について悩むあまり、授業にまで影響が出たことがある。酒が非常に弱い。
斧谷 翠 (よきたに みどり)
都立學ヶ岳学院の裏にあるカフェ「ジーリョ」の店員をしている女性。黒髪をお団子にまとめている。おとなしく地味な雰囲気を漂わせており、自分に自信が持てないネガティブな性格をしている。父親が経営するジーリョで働いているが、経営方針や接客などで揉めては、父親とよくケンカしている。ジーリョに来店した麻積村ひなたと御厨みかげをはじめ、學ヶ岳学院の生徒が客として多く訪れるため、学生の相談役を務めることもある。高校時代の友人とヘヴィーメタルバンドを組んでおり、ベースを担当している。常連の日暮都から人生相談を受けたのをきっかけに自信を持ち、かなり個性的な髪型に変えて大幅にイメージチェンジした。
佐藤 由香 (さとう ゆか)
都立學ヶ岳学院に通う高校3年生の女子。風紀委員を務めている。深緑色のセミロングヘアを二つのおさげにまとめ、丸い眼鏡を掛け、風紀委員専用の黒いカッターシャツを着用している。小柄な体型でいつも強気に振る舞っているが、内面はかなり臆病で警戒心も強く、些細なことで怯えたり怒り狂ったりするため、御厨みかげからは毒のあるチワワという印象を持たれている。上下関係にこだわっており、後輩が敬語を使わないと同じ風紀委員相手でも激怒する。怒ると一気に口が悪くなるが、内心ではそれが悪癖であることを自覚しており、本当はどうにかしたいと思っている。
山本 美樹 (やまもと みき)
都立學ヶ岳学院に通う高校2年生の女子。風紀委員を務めている。白いメッシュの入った紺色のセミロングヘアで、口元にホクロがあり、風紀委員専用の黒いカッターシャツを着用している。大柄で筋肉質な体型で腹筋が割れており、男子に劣らないほどの筋力を誇る。男勝りな勇ましい性格で、トレーニングに強いこだわりを持つ。ジムに通うだけでなく風紀委員の部屋にもダンベルなどトレーニング用具を持ち込み、つねに体を鍛えている。別のクラスの御厨みかげを一目で気に入り、事あるごとに絡んではいっしょに鍛えようと勧誘している。修学旅行をきっかけに親しくなった蓮茂台洸から「ヤーマン」というあだ名を付けられた。実は高所恐怖症である。
鈴木 真理 (すずき まり)
都立學ヶ岳学院に通う高校2年生の女子。風紀委員を務めている。銀髪のロングヘアで、風紀委員専用の黒いカッターシャツを着用している。音楽が好きでロックフェスなどにあこがれているが、音楽知識がないうえにバンドを組んだこともなく、いつもエアギターや曲のイメージ作りばかりを楽しんでいる変わり者。あまり風紀委員の活動に熱心ではなく日誌を一向に提出しないため、田中弘美をいつも困らせている。目立ちたがり屋なところがあり、初対面の相手には必ず一目置かれると自負しているが、個性を出そうとし過ぎるあまり、かえって存在が薄くなっている。佐呂間由依が風紀委員に入るきっかけをつくって歓迎していたが、彼女の強烈な個性に負けたのがトラウマとなり、ハートマークに怯えるようになった。
紫藤 灯 (しとう ともり)
都立學ヶ岳学院に通う高校2年生の女子。麻積村ひなたと御厨みかげのクラスメートで、夏期講習ではひなたたちといっしょになった。セミロングヘアで、成績優秀のおっとりした美人。かなりマイペースな性格で不思議な言動が多く、みかげからは「不思議ちゃん」という印象を持たれている。みかげと久しぶりに会話して以降、彼女からはひなたに気があるとカンちがいされて警戒されているが、実際はひなたではなくみかげのことが気になっている。巨乳が好みで、みかげ以外の巨乳女子にもひそかに目を付けている。修学旅行中、みかげの過去の秘密をうっかりひなたに話してしまい、悪意がなかったとはいえ強い罪悪感を抱く。これをきっかけにひなたに自分の本音を打ち明け、みかげからは身を引いた。
中村 直美 (なかむら なおみ)
都立學ヶ岳学院に通う高校3年生の女子。風紀委員長を務めている。ショートヘアで顔にそばかすがあり、風紀委員専用の黒いカッターシャツを着用している。内気で臆病な性格で、なぜかいつも風紀委員の部屋の奥に一人で閉じこもっている。個性的過ぎる風紀委員たちをまとめられないことに悩み、風紀の行方を心配しながらも、数少ない常識人である田中弘美に委員会を託している。