すぎむらしんいち特集！「すぎむらワールド」全開の漫画オススメ５選67 Pt.

密入国異邦人が密入国異邦人のために設立した裏の都庁、それが「異邦都庁」だ。異邦都庁には、密入国異邦人たちが生きていくために必要なものが何でも揃っている。金融庁が関与しない銀行や、厚労省の認可がない病院、そして警視庁の管轄にない警察まで存在するのだから、もはや立派な1つの町である。異邦都庁の庇護下で生きている異邦人たちは、社会的弱者として様々な悪に食い物にされる。それを守るべく日夜奔走しているのが、異邦都庁に属する異邦警察「ディアスポリス」として働いている国籍不詳の男・久保塚だ。表の人間には扱えない事件を久保塚がいかにして解決に導き、苦しむ社会的弱者をどのように救済していくのか、最後まで目が離せない。

コスプレを始める従業員、借金を取り立てにきたヤクザ、出没する鎧武者、地上げに反対する老人たち、徘徊する熊。本作に登場するのは、アクの強いキャラクターたちばかりだ。外界から隔絶されたリゾートホテルという限定された空間の中で、彼らは入り乱れ、目まぐるしく事態が動く。ストーリーのテンポが速く、退屈する暇がないその構成は、まるでよくできた映画のようだ。作者の映画好きの影響か、作中のそこかしこに様々な映画のオマージュがちりばめられており、そこも本作の魅力の1つ。閉鎖された環境にあるからこそ表に出てくる人間の本性、少しのエロスとバイオレンスが絡み合い思いがけない化学変化が巻き起こる壮大な物語を、心ゆくまで堪能しよう。

様々な努力の末、月9ドラマの脚本家として大抜擢された洋子。しかしこの作品によって、洋子は奈落の底に突き落とされることになった。初回放送の低視聴率、ストーリーのパクリ疑惑、主演男優とのキス写真問題、そして番組プロデューサーとの不倫LINEなるものの流出。洋子に関係するスキャンダルが一気に世に出回ったことで、彼女へのバッシングは大いに盛り上がった。全てを失った洋子は、現実から逃避するため実家近くの湖にある遊覧船に乗り込む。しかしそこで彼女が直面するのは、考えずにいられない次回作の構想だった。最後の脚本を書き上げるまでは湖の向こう側にある実家には帰らない。そう決めた洋子は、遊覧船の旅を何度も何度も繰り返し、その最中個性豊かな人々と出逢って思わぬロマンスを繰り広げることになる。

多くの不運に見舞われ、どん底を生きてきた少年・コキジ。彼は紆余曲折を経て、スターの養成学校であるスタア學園に入学した。スタア學園は、不良の学校として有名だった一ツ星高校を乗っ取る形で建てられた学校であり、視聴した人間を洗脳するCMを流すなど、どこか不穏な気配を漂わせている。そんなスタア學園で強い権限を持っているのが、教頭の星影美樹男だ。星影はかつてテレビで放送事故を起こし、芸能界を追放されてしまった元スター。コキジに興味を抱いた彼は、コキジを特待生としてスタア学園に招き入れ、売り出し中のアイドルグループ「SNYAP」の一員に抜擢する。いじめられ続けてきたコキジの人生が、星影に見出されたことによってどう変化していくのかに注目だ。

病気をきっかけに整形手術をした金子が手に入れたのは、つぶらな瞳の顔立ちと、200万円の借金だった。借金返済のため、来る日も来る日も人にマッサージを施し続けた金子。いつしか彼の上半身はマッチョになっており、その腕力を使って街の若者に喧嘩を売りにいくこと、自宅でレンタルしてきた映画を観ることが、彼の数少ない楽しみとなる。ある日、金子はとてもくだらなくて笑える映画に出逢い、その映画を作った人物に興味を持った。映画を手掛けたのは、海馬五郎という男。その海馬五郎が金子が勤めるマッサージ店に現れたことをきっかけに、金子は海馬の弟子になる。海馬と行動を共にするようになった金子は映画の撮影現場で、退屈を紛らわす者たちの様々な賭けを目撃する。