ひ弱でガリガリだった主人公が、ボルダリングの天才少女に出会ったことで五輪出場を目指す、熱血スポーツ系ボルダリングロマン。大野会心(おおのかいしん)は周囲から「もやし」と呼ばれるほど痩せている15歳の少年。高校の入学式に早く着きすぎてしまった会心は屋上で時間をつぶしているうちにうたた寝してしまい、気が付いた時にはもう夕方。屋上に閉じ込められてしまった会心は壁を伝って脱出を試みるが、うっかり足を踏み外してしまって……?!
「ボルダリング」とは、高さおよそ5mの壁や岩を最低限の道具(チョーク&シューズ)のみを使って登るフリークライミング競技の一つ。世界のトップクライマーには男女ともに日本人がずらりと顔を並べ、2020年の東京五輪でも若きクライマーたちの活躍が十分に期待できる、今大注目の競技である。転落して絶体絶命の会心だったが、ボルダリングの練習用マットのおかげで命拾いし、練習中だった夏目登姫(なつめとき)に起こされる。彼女は世界から注目されている天才クライマーだった。登姫から「その身体は羨ましい。絶対にボルダリングに向いている」と褒められた会心は、実際に登ってみて、自分のコンプレックスだった痩せた身体がボルダリングに向いていることを実感し、次第にこの競技の奥深さに魅せられていく。
妻に捨てられて離婚した主人公がサーフィンを通じて“新しい人生(なみ)”を見つけ出すヒューマンドラマ系サーフィンラブロマン。会社員の江口明良(えぐちあきら)は39歳。浮気した妻と離婚し、子供もいないため、気ままな独り暮らしをしている。だが定期検診で脂肪肝が見つかり、何か運動でも始めようと思った明良は、最後に自分がまともにやったスポーツが新婚旅行で行ったバリで挑戦したサーフィンだったと気付き、再びチャレンジしようと思い立つ。
海のスポーツであるサーフィンは古代ポリネシア人によって始められ、ハワイの海で世界に広く知れ渡った。競技としてのサーフィンはライディングテクニックのダイナミックさが勝敗を分ける。波に乗る様は「海のダンス」とも称され、実際は苛烈な面もあるが、やはり華麗な競技である。「あの時俺は、結婚という“新しい人生”の波に乗り損ねたのかもしれない」夫婦ともに初めてのサーフィンは、日本語が不得手な現地スタッフの付いた2時間ほどの体験コースだったが、時間ぎりぎりのところで妻は綺麗に波に乗ることが出来た。一方で明良は、波乗りどころかボードの上に立つことすら出来なかったのだ。その時妻から「やる気の問題よ」と揶揄されたことを思い出した明良は、今度こそ「人生の波」に乗るべくサーフィンスクールに入学する。
高校生の主人公が小学生の時にプロスケーターと出会い、家族の反対にもめげずにスケートボードの技を磨き続け、世界へと羽ばたいてゆくスポーツ系スケボーサクセスストーリー。小学生だった須賀アキオは公園でドレッドヘアーにサングラス姿の怪しいスケボー男の技を見て驚いていたところ、男に「君も乗る?」と声を掛けられる。その男「師匠」から華麗な技を次々と見せられ、スケートボードの無重力感に魅せられていくアキオ。中でも難技「オーリー」はアキオの心に大いなるスケボー熱をかき立てる。
スケートボードは1940年代にアメリカ西海岸で木の板に車輪を付けた遊びがその起源とされる。2020年の東京オリンピックで行われるのは、街中を滑っていくようなコースの「ストリート」と、複雑な障害のあるコースで技を競い合う「パーク」である。スケートボードの猛練習を重ねていたアキオだったが、誤って腕を骨折してしまい、母親と姉から「スケボーは危ないからやめなさい」と猛反対を受ける。その上、師匠が「スケボー雑誌『スラッシャーマガジン』で日本人初の表紙を飾る!」と言い残し、突然アキオの前から姿を消してしまう。アキオは師匠の置き土産のスケートボードで、初心者にとって最初の「大いなる壁」となる難技「オーリー」を習得すべく、ますますスケートボードの世界へのめり込んでいく。
弱小ソフトボール部のピッチャーとなった元不良少女がソフトボールの魅力にハマり、オリンピック出場を目指す熱血スポーツ系四コマギャグ。桜井高校の女子ソフトボール部は日々練習に明け暮れる中、未だ一度も試合に勝てたことはない。「10連敗はさすがにやばい」と、ソフト部の熱血キャプテンである前田とも子は焦っていた。「このピンチを打破するには救世主となるいいピッチャーを見つけるしかない」と考えたとも子は、河原で空き缶を投げていた浅倉千秋のコントロールの良さに目を付ける。
ソフトボールは1996年に開催されたアトランタオリンピックより五輪正式種目となった。その後、2012年のロンドンオリンピックで種目から外されたが、2020年の東京オリンピックでは開催都市提案の追加種目となっている。とも子がスカウトした浅倉千秋は「学校はサボる」「万引きをする」「煙草を吸う」と学校きってのやさぐれ女だった。千秋が入部したことでざわつくソフト部。当の千秋は最初こそ態度は不真面目で練習も遊び半分だったが、他校との試合を通じてソフトボールの面白さに目覚め、元来の走攻守における素質が開花。かくして千秋は、捕手のとも子やチームメイトたちと共に全国大会制覇へと挑む!
アニメのヒーローに憧れる主人公が空手を通じてライバルたちと切磋琢磨しながら成長していく空手バトルアクション。自分の身体を武器に変えるアニメヒーロー「トランスブレード」に夢中になっている小学5年生の生駒隼太(いこまはやた)は運動音痴が原因で、皆から敬遠される少年。ある日、隼太は愛犬のさくらとの散歩中に、公園で白い道着に身を包み、正拳突き(せいけんづき)による板割りを行っていた空手道場「虎空会(こくうかい)」の面々に出会う。
「静と動」、美しく流れるような格闘技である空手は、1920年代に沖縄から日本全国へ伝わり、世界へと知られていった。競技は大きく分けて「形(かた)」と「組手」があり、形は架空の相手に対する攻撃技と防御技の演武である。組手は、その場で勝敗が決まる柔道とは異なり、競技時間内に8ポイント差をつけるか、終了後にポイントが多い方が勝者となる。「生きた拳は全てを砕く武器となる」――空手のすさまじい技を目の当たりにした隼太は「ここに自分のヒーローがいた」と確信する。「虎空会」の道場の前に落ちていた板を割ろうと、毎日拳の痛みを堪えて挑む隼太。その姿をずっと見ていた謎の老人が隼太に正拳突きの手ほどきをすると、見事板割りに成功する。隼太の隠れた素質を見抜いた老人は、彼をある場所へと連れて行く。着いたそこは、なんと「虎空会」の道場だった。