からくり人形と、歴史を超えた因縁を巡り大冒険が巻き起こるダーク・ファンタジー漫画。大富豪であった父の遺産相続絡みで命を狙われる少年の才賀勝、人を笑わせないと死んでしまう病「ゾナハ病」にかかった加藤鳴海、そして、勝を守るために謎のからくり人形「あるるかん」を操るしろがね。複雑な運命を背負った三人が交差し、闇に隠された本当の物語がすこしずつ動き出す。2018年TVアニメ化。
本作は勝、鳴海、しろがねの3人が出会うプロローグから始まり、やがて鳴海が行方不明になった後は勝としろがねのふたりを主人公とした、サーカスが舞台の物語が始まる。そしてふたりがサーカスで新たな仲間を作っていく話の後、生死不明だった鳴海を主人公とした物語が始まるのだ。鳴海は片腕と記憶を失っているが、人形破壊者「しろがね」となって自動人形たちと対峙していく。その後も主人公は複雑に入れ替わり、やがてからくり人形を操る修行を始めた勝と鳴海が共闘、最後の戦いへ挑むことになる。様々な視点を通して徐々に真実が明かされていく、壮大な展開が魅力の作品だ。
世紀末を舞台に繰り広げられるSFサスペンス漫画。1997年、主人公・ケンヂは失踪した姉の娘カンナを養いながらコンビニを営んでいた。そんなある日得意先の一家が行方不明になるという謎の失踪事件が発生。この事件を切っ掛けにケンヂの記憶が呼び戻され、ケンジが友人たちと幼き日に書いた「よげんの書」と世界の異変の関係が明かされていくことになる。2008年、2009年実写映画公開。
本作はタイトル通り20世紀末の日本が舞台の話だ。少年時代に主人公・ケンヂと友人達で作った「よげんの書」に書かれている出来事が、謎の人物「ともだち」によって実現していく世界を描いている。ケンヂは友人達と「友民党」を結成し「ともだち」に対抗しようとするが、「よげんの書」に書かれた通りに巨大ロボットが出現。阻止しようとしたケンヂは爆発に巻きこまれて行方不明になり、物語から一時的に退場する。そして時が進み2014年、高校生になったケンヂの姪であるカンナが新たな主人公となり、「ともだち」に戦いを挑んでいく。やがてカンナとケンヂは再会、物語は佳境へと入っていく。世代を超え主人公を交代しながら、黒幕「ともだち」の謎を追いかけて物語が展開していく作品だ。
遺伝子操作を受けた獣人達が戦うバトルアクション漫画。冴えない青年・野本裕也は、謎の少女・宇崎瞳と出会う。野本は彼女によってとある廃棄場へと連れ去られ、そこで獣の力を持つ「獣人」同士の壮絶な戦い「牙闘(キリングバイツ)」を目撃。そして野本は獣闘士「蜜獾(ラーテル)」を名乗る瞳の出資者として、3ヶ月後の大会に参加することとなってしまう。2018年TVアニメ化。
本作では中心人物のひとりとして野本裕也という青年がいるが、彼は主人公ではない。最初の主人公は獣闘士「蜜獾」である宇崎瞳であり、彼女が中心になって「牙闘獣獄刹(キリングバイツ デストロイヤル)」の様子が描かれる。そして大会後、瞳は恩人である祠堂の命令で野本の殺害を実行しようとする。しかし、野本は石田財閥に救い出され第2の人生を歩む事となり、「媚戌(ビーグル)」の名を持つ獣闘士・戌井純を支援することになる。この流れにより、戌井純に主人公が交代し第2章の幕が開くことになる。全編通して描かれる、個性豊かな獣の特性を活かした「獣闘士」たちのバトルが圧巻だ。
中学生野球を題材にした熱血野球漫画。谷口タカオは野球の名門である青葉学院からやってきた転校生。まったく無名の墨谷二中の野球部に入部したタカオは、青葉時代のユニフォームで登場し部員達の期待を集めてしまう。青葉では2軍の補欠だったタカオは、期待と実力のギャップに悩みながらも努力を重ねチームを引っ張るキャプテンへと成長していく。1980年、1983年TVアニメ化。2007年実写映画化。
本作の最初の主人公は、転校生・谷口タカオ。彼が努力を重ねキャプテンとなり、厳しい練習を重ねて墨谷二中を強豪チームへと押し上げ、そして次の世代へとバトンタッチするまでが描かれるが、本作はそこで終わりではない。タイトル通り、主人公はその時のキャプテンが務めることになり、丸井、イガラシ(五十嵐)、近藤茂一と主人公が交代していくという長期連載作品だ。最初のキャプテン・タカオの頃から続けて見守ってきた読者には、新たにキャプテンになった者の個性の違いによって起きるチームの変化が楽しめる、野球漫画の金字塔だ。
戦国の世の乱世を描く時代劇ファンタジー漫画。永禄7年、人間が人外の存在「闇(かたわら)」を狩り、闇が人を襲う時代に、手を取り合って生きる人間と闇がいた。齢200年を生きる人間好きの妖狐・たまと、縁あって彼女の義弟となった仙道の山戸迅火、2人は「世直し姉弟」を名乗り、人に仇なす闇・障怪(さわり)退治の旅をする。
妖狐たまの力を借りて精霊転化を行い、無敵の力を見せつける仙道・山戸迅火が本作の主人公だ。しかし戦いの中、力の制御ができない暴走状態に陥った迅火地涸らしの神獣「千本妖狐」と成り果てる。その状況で第一部が終了となり、続く第二部では千体の闇と融合した少年・千夜が主人公となる。迅火たちとともに旅をした人間の剣士・真介に保護された彼は、「千本妖狐」に対峙できる可能性がある唯一の存在として旅に出る。主人公ふたりにはほとんど接点がないが、その分全く違った視点で物語が展開していく。一方で一部・二部通して登場する人物も多く、彼らの立場や心の成長・変化を楽しむこともできる作品だ。