はじめの一歩

はじめの一歩

主人公幕之内一歩が、プロボクサーとなって数々の強敵と対戦していくボクシング漫画。戦いを通して、強さとは何か?という哲学的なテーマと、登場キャラクターの人間ドラマが色濃く描かれている。講談社「週刊少年マガジン」1989年43号から連載。第43回「講談社漫画賞」で講談社創業110周年特別賞を受賞。2000年10月から3期にわたってテレビアニメ化されたほか、ゲーム化も多数。

正式名称
はじめの一歩
ふりがな
はじめのいっぽ
作者
ジャンル
ボクシング
レーベル
講談社コミックス(講談社)
巻数
既刊141巻
関連商品
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世界観

幕之内一歩鷹村守が所属する鴨川ボクシングジムが主な舞台。試合で使用される会場のほとんどが実在の施設であり、後楽園ホールや両国国技館など、ボクシングにゆかりのある試合会場が登場する。また、東日本新人王トーナメントや日本タイトル挑戦権獲得トーナメント(A級ボクサー賞金トーナメント)など、大会名も同様である。

作品が描かれた背景

作者の森川ジョージは、同連載誌のボクシング漫画『あしたのジョー』などで知られるちばてつや氏の『ハリスの旋風』を見て漫画家を志す。高校卒業後すぐに連載デビューを果たし、『シルエットナイト』や『一矢NOW』などを手掛ける。だが、連載作品が相次いで打ち切りにあってしまい、次の作品で失敗すれば漫画家をあきらめようと考えていたという。最後の作品であれば、自分の好きな分野の作品を描こうとしたところ、ボクシングを題材にした『はじめの一歩』が生まれることとなった。

作品構成

ストーリーは、高校2年生の幕之内一歩がボクシングと出会うところから始まり、プロボクサーとなった後は、全日本新人王戦やA級ボクサー賞金トーナメント、そして日本チャンピオンを賭けたタイトル戦が描かれる。日本チャンピオンとなった後は、タイトル挑戦者との防衛戦や東洋太平洋圏(タイ、フィリピン、インドネシアなど)の王者との試合などが描かれる。8度の防衛を重ねた末、世界王座を奪取すべく日本王座を返上。世界の上位ランカーとの白熱した戦いが描かれていく。

幕之内一歩の戦いと並行する形で、鴨川ジムに所属する鷹村守青木勝木村達也、板垣 学らの試合もフォーカスされている。なかでも、鷹村守幕之内一歩に次ぐ準主人公的な立ち位置で描かれており、国内タイトルの奪取にはじまり、世界ジュニアミドル級・ミドル級への挑戦など、数々のエピソードが存在する。また、鴨川ジムに所属する選手の試合のみならず、幕之内一歩と対戦したライバルたちの活躍も描かれており、宮田一郎をはじめ、千堂武士、間柴了、ヴォルグ・ザンギエフなど、彼らの成長ドラマも本作の魅力のひとつ。作者は「登場人物全員が主人公」とコメントしている。

試合の描写は、戦う選手たちの深層心理を会話にしながら、セコンドや観客の声を交えて進行する。実際のボクシングと同様に、実況や解説のセリフもある。登場キャラクターのボクシングスタイルや試合中に繰り出される必殺技が特徴的。基本的にはボクシングで用いられる技術を変形、誇張したもので、少数の例外はありつつも、ノンフィクションの域にとどまっているものが多い。各話数は「Round.○○」で数えられている。

あらすじ

いじめられっ子の高校生幕之内一歩は、プロボクサー鷹村守との出会いを機にボクシングと出会う。弱い自分を変えるため、鴨川ボクシングジムに入門した幕之内一歩は、鴨川源二会長の指導の下、プロボクサーを目指し始める。宮田一郎とのライバル関係に始まり、新人王やA級トーナメント、そしてタイトルマッチなど。様々なライバルとの死闘と挫折を乗り越えて成長を遂げていく。

プロボクサーまでの道のり(1巻~2巻)

いじめられっ子の高校生幕之内一歩は、同級生にいじめられているところをプロボクサーの鷹村守に助けられる。手当を受けるために連れて行かれた鴨川ジムでボクシングの世界に触れた幕之内一歩は、次第にボクシングに熱中していく。持ち前の頑張りで過酷な練習に耐え抜き、鴨川ジムへの入門テストに合格。鴨川源二会長の指導の下、プロボクサーを目指し始める。

デビュー、そして新人王戦開幕(3巻~5巻)

デビュー戦の相手は小田裕介。右目を切るアクシデントに見舞われるも、持ち前の強打でデビュー戦KO勝利を飾った幕之内一歩。続く、藤原義男との試合にも勝利し、東日本新人王トーナメントへの出場資格を得た幕之内一歩は、初戦のジェイソン尾妻との試合に向けて準備を始める。

波乱の準決勝、ライバルの敗戦(6巻~8巻)

東日本新人王トーナメント1回戦を突破した幕之内一歩。次なる相手は曲者小橋健太。研究に研究を重ねた判定狙いの戦術に、幕之内一歩はあわや敗北まで追いつめられる。しかし、試合終了寸前に起死回生のダウンを奪い、そのままKO勝利を飾る。続く3回戦では、本大会最有力とされる天才速水龍一との対戦。インファイターKO率100%を誇る速水龍一に対し、幕之内一歩は練習したカウンターを用いて戦おうとするのだが、速水龍一の必殺技ショットガンを前になす術なくダウンを奪われてしまう。それでも、持ち前の粘りと気迫で速水龍一を追いつめると、打撃戦の末、見事決勝進出を勝ち取った。

一方、もう一つの準決勝、宮田一郎間柴了の一戦では、思わぬ波乱が起きる。幕之内一歩と決勝での再戦を誓った宮田一郎は、開始早々から鮮やかなフットワークで間柴了を圧倒。さっそくダウンを奪い優位に進めていたのだが、打ち合いの最中、間柴了に足を踏まれ負傷。さらに、それが要因となってダウンを奪われてしまう。

東日本新人王決勝、もう一人のライバル・千堂武士の登場(9巻~13巻)

ライバル宮田一郎の敗戦にショックを受けた幕之内一歩は、目標を無惨に葬った間柴了に勝利への執念を燃やす。間柴了のフリッカージャブに右のボディーブローで対抗する幕之内一歩。やがて、試合はテクニックを超えた勝利への執念の争いになっていき、わずかに気迫で勝った幕之内一歩の渾身の右ストレートが勝利を呼び込む。

東日本新人王を勝ち取った幕之内一歩は、全日本新人王決定戦で西の雄千堂武士と対決する。しかし、間柴了との一戦で拳を痛めたことで、試合すらままならない深刻な状況に。それでも、千堂武士との試合を臨んだ幕之内一歩は、拳に麻酔を打つという応急処置で試合に臨む。

伊達英二との出会い、ライバルの復活(14巻~16巻)

千堂武士との激戦を制し、見事全日本新人王に輝いた幕之内一歩。その活躍は日本王者・伊達英二の目にも止まり、チャンプからスパーリングの誘いを受ける。伊達英二の力を肌で感じた幕之内一歩は、日本王座への挑戦を渇望。その挑戦権を得るための戦い、A級トーナメントに臨むことになる。しかしその矢先、幕之内一歩の母が過労で倒れ、試合どころではなくなってしまう。その窮地を救ったのは、かつて幕之内一歩をいじめていた同級生梅沢正彦だった。

一方、東日本新人王で苦汁をなめた宮田一郎は、海外での武者修行を敢行していた。だが、異国での不利な判定に苦しみ、思うような結果を残せない。そんな中でのタイの英雄ジミー・シスファーとの試合。パワーで劣る宮田一郎は、序盤からジミー・シスファーに圧倒されてしまうが、終盤に新必殺技ジョルトのカウンターが炸裂する。

A級トーナメント開幕(17巻~19巻)

A級トーナメント1回戦の相手は、スピードスターの異名をとる冴木卓磨。素早いフットワークと鋭いフリッカージャブを前に、幕之内一歩の強打は鳴りを潜めてしまう。だが、冴木卓磨のリズムの良さを逆手に取り、タイミングよく打ち抜いた一発のパンチが流れを変える。冴木卓磨のスピードを封じることに成功した幕之内一歩は、勢いそのままに、得意のKOフィニッシュへと持ち込んでいく。

念願の伊達英二との対戦まであと一勝。決勝の相手は、ボクシングの世界アマ王者ヴォルグ・ザンギエフ。これまでの相手とは比較にならないハイレベルな攻撃を前に、防戦一方になる幕之内一歩。それでも、練習を重ねてきた新技ガゼルパンチを皮切りに、徐々に圧力を跳ね返していく。だが、ヴォルグ・ザンギエフも必殺のホワイト・ファングで応戦。次第に息つく間もない打撃戦となるが、我慢比べを制した幕之内一歩が最後の力を振り絞ってガゼルパンチをさく裂させる。

日本王座への挑戦(20巻~22巻)

A級トーナメントを勝ち上がった挑戦者を王者が迎え撃つ、チャンピオンカーニバルが開幕。幕之内一歩の攻勢で進む試合に見えたが、伊達英二の超高等技術を前に、幕之内一歩はあっさりとダウンを奪われてしまう。必死に伊達英二にくらいつこうとする幕之内一歩も負けじとクリーンヒットを重ねていく。それでも、勝利への執着心に勝っていたのは伊達英二の方であった。

再出発(23巻~25巻)

伊達英二の世界挑戦に伴い、空席となった日本タイトルを賭けて、千堂武士ヴォルグ・ザンギエフの一戦が繰り広げられる。終始ヴォルグ・ザンギエフペースで進み、勝負ありと思われたが、ヴォルグ・ザンギエフのわずかな隙をついた千堂武士の一撃により流れは急転。ジャッジの微妙な判定もあって、千堂武士が新王者に輝く。

一方、日本王座奪取に失敗し、再スタートを切ることになった幕之内一歩。復帰戦に向けて練習を再開するが、その矢先に会長の鴨川源二が倒れてしまう。ひとりで準備を進めることになった幕之内一歩は、自分に足りないものを埋めるべく、新必殺技の取得に励む。ポンチャイ・チュワタナとの復帰戦を迎え、幕之内一歩は模索していた攻防一体のスタイルを試みる。そこから放たれる嵐のような豪打は、古の技デンプシー・ロールだった。

タイトル再挑戦へ(26~28巻)

復帰戦を見事勝利で飾った幕之内一歩に、再び日本タイトル挑戦の機会が訪れる。しかし、日本王者となった千堂武士の急成長を目の当たりにして、幕之内一歩は今のままのデンプシー・ロールでは通じないと感じる。打開策を見つけるべく、鴨川源二の旧友・ 猫田銀八のもとで夏合宿を敢行するのだった。

一方、千堂武士もさらなる成長を遂げていた。夏合宿を終えた幕之内一歩も見守る茂田晃との防衛戦、一度は劣勢に追いやられる危うさも見せるが、終盤の怒涛の攻撃で相手は戦意を喪失。対戦相手にパンチドライという後遺症を持たせるほどの力を身につけていた。

二度目のタイトルマッチ(29巻~30巻)

地鳴りがするほどの激戦と題された、王者・千堂武士幕之内一歩のタイトルマッチが開幕。ゴングと同時に前に出た幕之内一歩は、デンプシー・ロールで一気に千堂武士からダウンを奪う。その後、一度は千堂武士の圧力に屈しかけるも、今度はガゼルパンチで2度目のダウンを奪う。だが、ついに王者の拳が幕之内一歩に襲い掛かる。幕之内一歩から全日本新人王戦を通じて初のダウンを奪うと、なおも続く豪打で2度目のダウンを奪取。KO寸前にまで追いつめられた幕之内一歩だったが、伊達英二に喫した敗北の悔しさを思い出し、再び立ち上がる。互いに肉体と精神の限界を超えた壮絶な打ち合いを展開。息つく間もない激戦が続くが、幕之内一歩渾身のリバーブローが炸裂、千堂武士の肋骨を砕くと、そのままガゼルパンチへとつなげ、棒立ちとなった千堂武士に嵐のようなデンプシー・ロールを打ち込むのだった。

木村達也、J・ライト級タイトル戦(31巻~33巻)

日本フェザー級の新王者に輝いた幕之内一歩は、千堂武士との死闘から間もなく、チャンピオンカーニバルに出場する。鴨川ジムからは幕之内一歩のほかに、J・ライト級の木村達也がタイトル初挑戦。木村達也の挑戦を受けるのは、かつて幕之内一歩が戦った間柴了。これまでアウトボクシング主体で戦ってきた木村達也は、間柴了との対戦では自分のスタイルが通用しないと考え、新たな武器の取得に励む。

必殺ブローを引っ提げて夢の舞台に上がる木村達也だったが、間柴了の想像を絶するフリッカーに大苦戦。それでも、果敢に懐に飛び込み好機を得ると、必殺のドラゴンフィッシュ・ブローをさく裂させ、一気に試合の流れを引き寄せる。だが、木村達也の勇気をも上回る間柴了のベルトへの執念。勝負を分けるパンチの交差で、先に拳が届いたのは間柴了の右だった。

初防衛戦(34巻~35巻)

王者として迎える幕之内一歩のチャンピオンカーニバル。初防衛戦の相手は、会長の旧友・浜団吉の教え子、真田一機。開始早々、飛燕と呼ばれるトリッキーなジャブに翻弄され、あっという間にペースを奪われてしまった幕之内一歩。さらに、ガードをすり抜ける右アッパー燕返しを受け、ダウンまで奪われてしまう。巻き返しを狙う幕之内一歩も、かつて新人王戦で戦った小橋健太が用いたクロスアームブロックを駆使して攻撃を跳ね返しダウンを奪うのだが、真田一機は冷静な試合運びでペースを渡さない。的確に急所をヒットさせ、着々と幕之内一歩のスタミナを削っていく。やがて体力の底が見えてきた幕之内一歩は、気力を振り絞って玉砕覚悟の特攻を仕掛ける。千堂武士との戦いを彷彿させる、必殺のフィニッシュパターンからデンプシー・ロールを放つのだが、嵐のような連打が最後まで続かない。誰もが真田一機の勝利を確信するが、真田一機もまた体力が尽きてしまっていた。

宮田一郎、東洋太平洋王座挑戦(36巻)

ライバル幕之内一歩との差を埋めるべく、宮田一郎が東洋太平洋王者アーニー・グレゴリーに挑戦。減量に苦しみながらもリングへと上がった宮田一郎は、序盤から持ち味のスピードとテクニックで王者を圧倒する。やがて、得意のクロスカウンターで仕留めようとするのだが、アーニー・グレゴリーのカウンター殺しのブロー、ブラッディ・クロスを受けダウンを喫する。これでペースを奪われた宮田一郎は、減量苦によるスタミナの不安もあり、次第に追いつめられていく。それでも宮田一郎は、最後の力を振り絞りジョルトのカウンターをさく裂させ、初のタイトル奪取を成し遂げる。

伊達英二、世界タイトルマッチ(37巻~38巻)

伊達英二とWBC世界フェザー級王者リカルド・マルチネスとの対戦を前に、幕之内一歩リカルド・マルチネスとのスパーリングをする機会を得る。だが、左一本であしらわれるなど、散々たる結果に。時を同じくして、宮田一郎伊達英二のスパーリングパートナーに指名されていたが、こちらも赤子のようにあしらわれてしまっていた。

そんな次元の違うふたりの戦いが幕を開ける。第1Rを優位に進めた伊達英二だったが、次第にリカルド・マルチネスのペースに。伝説のチャンピオンと称される強さを存分に発揮し、伊達英二を圧倒していく。回を重ねるごとに伊達英二の顔は腫れ上がっていき、満身創痍の状態に。さらに、無情にも必殺のハートブレイクショットもエルボーブロックにより止められ、拳を砕かれてしまう。それでも、最後まであきらめずに戦い続ける伊達英二は、ついにできた王者の一瞬の隙をついて、渾身のハートブレイクショットを撃ちこむ。だが、砕けた拳ではリカルド・マルチネスの時を奪うことはできなかった。

2度目の防衛戦(39巻)

幕之内一歩の2度目の防衛戦の相手ハンマー・ナオは、かつて鴨川ジムに所属していた後輩・山田直道幕之内一歩との対戦を熱望し、身心ともにすり減らしながらタイトルマッチへたどり着いた苦労人で、その過程で容姿は激変していた。

試合開始早々、幕之内一歩は怒涛の連打から一気にダウンを奪う。だが、その後後輩を相手に勝負に徹しきれない甘さを見せた幕之内一歩は、ハンマー・ナオに反撃を許してしまう。反則すれすれの技を使ったソーラー・プレキサス・ブローに苦戦するが、幕之内一歩も先輩としての意地を見せ、一気に反撃。2RKOで2度目の防衛を果たす。

鷹村守、世界前哨戦(40巻~41巻)

海での夏合宿を経て、鷹村守は世界タイトル挑戦を見据えた世界前哨戦を行うことに。しかし、前座を務めた同ジムの後輩板垣学と木村タツヤがふがいない試合を見せてしまい、また鷹村守も過酷な減量により本来の力を出し切れない。そんな中、リングサイドで鷹村守を見守るひとりの人物、WBC世界ミドル級チャンピオンのブライアン・ホークの姿があった。それを知った鷹村守は、一気に力を爆発させ、相手を場外KOさせる。

鷹村守、世界タイトル戦(42巻~44巻)

いよいよ迎えた世紀の一戦。日本中の期待を背負った鷹村守は、最狂にして最強の王者に立ち向かう。立ち上がり、鷹村守は普段の荒々しい戦い振りから一転して、左を中心に組み立てる基本通りのボクシングを披露。鴨川源二の教えるボクシングが世界に通用することを示してみせる。一方、世界王者が見せたボクシングはまったく対照的なものであった。上体を反らした状態から放たれる不規則な打撃を中心とした、まさに型破りなボクシング。王者の野性的で暴力的な攻撃に圧倒されていく。鷹村守も負けじと野性的なスタイルで反撃に出ると、ブライアン・ホークをも凌駕する攻撃を見せる。異常なまでのハイペースで戦い続ける鷹村守の攻撃に、やがて王者は防戦一方に。だが、第5Rを過ぎるころ、鷹村の体力は底をついてしまう。本来ヘビー級相当の体格である鷹村守は、減量苦により全力で戦えるのは5Rまでだった。そして、その時を待っていたかのようにブライアン・ホークが一気に反撃に出ると、鷹村守はさっきまでの戦い振りが嘘のように崩れ落ちてしまった。

鴨川源二幕之内一歩ら後輩たちの声援を受け、必死に抵抗を続ける鷹村守だったが、ブライアン・ホークの攻撃の最中、遂に意識を絶たれてしまう。しかし、それが功を奏して、潜在能力を極限まで引き出すことに。野性と科学が融合したかのような、理想的なボクシングを披露。ブライアン・ホークの最後の抵抗をもしのぎ、渾身の左ストレートで王者をマットに沈めるのだった。

鴨川源二と猫田銀八、戦後の拳闘(45巻~46巻)

敗戦直後の日本で、拳闘家としてしのぎを削っていた鴨川源二猫田銀八。ふたりはある日、米兵に絡まれていた女性ユキを助け、それをきっかけに3人は共同生活を送り始める。裕福ではないものの幸せな日々を送っていた3人だったが、時を同じくして、米兵で元ボクサーのラルフ・アンダーソンによる、拳闘家狩りという名の蛮行が蔓延し始める。そんな中、猫田銀八の身に思わぬ異変が生じる。かつて鴨川源二との戦いで受けたダメージによるパンチドランカーの症状が現れ始めていた。自分の拳闘家人生があとわずかだと気づいた猫田銀八は、最後の戦いとしてラルフ・アンダーソンに勝負を挑む。

勝負の日を迎え、猫田銀八は神業とも言えるスピードでラルフ・アンダーソンを翻弄。鋭い打撃を重ねて追いつめていく。だが、敗北の二文字がよぎり始めたラルフ・アンダーソンは、勝利への執念から後頭部への反則打を繰り出し、猫田銀八が動けなくなったところを打ちのめすのだった。

親友猫田銀八の敵を取るべく、今度は鴨川源二がラルフ・アンダーソンと対戦する。しかし、猫田銀八のようなスピードを持たない鴨川源二は、終始ラルフ・アンダーソンに打ち込まれ続ける。もはやKO寸前にまで追い込まれた鴨川源二だったが、駆け付けた猫田銀八のアドバイスから勝機をつかむ。そして、両こぶしを砕きながらもラルフ・アンダーソンの腹部を破壊。そのまま失神させKO勝利をつかみ取る。

デンプシー・ロール破り、4度目の防衛戦(47巻~49巻)

幕之内一歩の4度目の防衛戦の相手は、国内屈指のインファイター島袋岩男。試合前から、デンプシー・ロール破りを公言するなど、不気味な発言を度々発する。

チャンピオンベルトと国内最強のインファイターの称号、ふたつの栄誉をかけた試合は思わぬ展開を見せる。序盤から激しい攻防が続き、拮抗した戦いが繰り広げられていたが、徐々に幕之内一歩の身に異変が。島袋岩男の執拗なまでのボディ打ちと無酸素状態での打撃戦の連続で、幕之内一歩はチアノーゼを起こしてしまう。島袋岩男の術中にはまった幕之内一歩は、最後の望みであるデンプシー・ロールに賭けるが、島袋岩男はこの時を待っていた。左右から繰り出されるデンプシー・ロールの豪打に合わせた相打ち狙い、思わぬ形でデンプシー・ロールが破られてしまう。しかし、その代償として、島袋岩男も相打ちにより多大なダメージを負う。互いにスタミナ切れ寸前の状態の中、幕之内一歩が今日一番のパンチを繰り出すと、島袋岩男にはもう立ち上がる力は残されていなかった。

青木勝、日本ライト級タイトル戦(50巻~51巻)

苦節6年、青木勝にタイトルマッチのチャンスが巡ってくる。対戦相手の日本ライト級王者今江克孝はカエルパンチ攻略を宣言。その言葉通り、試合序盤から今江克孝は青木勝のカエルパンチを読み切り、主導権を自分のものとする。王者ペースで試合は進み、青木勝はもはやダウン寸前。好機と見た今江克孝は必死に攻め続ける。だが、それは青木勝の作戦であった。序盤は死んだふりをして今江克孝に執拗なまでに攻め込ませ、彼が疲れ切ったところを一気に反撃。実際は疲労しているものの、今度は生き返ったふりをして自分のペースへと持ち込んでいく。事態を飲み込めずにいる今江克孝に対し、青木勝が仕掛けた次なる策は、新兵器よそ見。試合中にそっぽを向き相手の視線を誘導すると、その隙をついて攻撃に転じる。奇想天外の技の連続に、今江克孝は自分を見失っていった。だが、その過程に至るまでの間、青木勝も多大なダメージと体力を削っていた。試合は徐々に泥仕合と化していき、結果は判定へと持ち込まれる。青木勝の健闘むなしく、結果は引き分けによるチャンピオンの防衛であった。

デンプシー・ロールの進化、5度目の防衛戦(52巻~55巻)

島袋岩男との戦いで、デンプシー・ロールの弱点がカウンターであると痛感した幕之内一歩は、デンプシー・ロールのさらなる強化を試みる。そんな中、最悪の挑戦者が現れる。カウンターの名手にして、反則を繰り返す悪童・沢村竜平。ボクシングスタイルとの相性もさることながら、人間性としても幕之内一歩とは対照的な存在。試合までになんとかデンプシー・ロールを強化して完成させたいところであったが、体にかかる多大な負担から、完璧に仕上げるまでには至らない。

そんな状況の中で始まった、5度目の防衛戦。予想とは裏腹に幕之内一歩が攻勢にでる。沢村竜平から早々にダウンを奪うと、その後も攻撃を浴びせ続ける。しかし、それこそが沢村竜平の狙いだった。幕之内一歩のリズムを体で覚え、そのリズムを完璧に把握すると、そこから宮田一郎を彷彿させる切れ味の鋭いカウンターを連発。さらに、誰もなしえなかったデンプシー・ロールへのカウンターをいともたやすく成し遂げ、幕之内一歩を瀕死の状態へと追いやる。もはや意識すら保つのが困難な状態に陥った幕之内一歩だったが、土壇場で新型デンプシー・ロールを繰り出すことに成功する。それは、カウンター殺しとも言える緩急を使ったデンプシー・ロール。カウンターにカウンターを合わせる形で繰り出されるデンプシー・ロールに、沢村竜平も打つ手なし。幕之内一歩の壮絶なKO劇で幕を下ろした。

鷹村守、二階級制覇への挑戦(56巻~61巻)

WBC世界ミドル級王者デビッド・イーグルへの挑戦が決まった鷹村守は、宮田一郎との合同合宿を敢行。前回よりもひとつ上の階級ということもあって、減量による負担も軽減され、盤石の準備で試合に挑む。

野性の鷹村守と超正統派のデビッド・イーグルの一戦。序盤はハイレベルな攻防が続き、互いの駆け引きが交錯する展開。だが、主導権を奪い合う中で激しい打撃戦となると、両者ともに瞼を切るアクシデントに見舞われる。試合はあわやドクターストップの展開となるが、会場の後押しもあって続行。しかし、時間が経つにつれて鷹村守の両目は血でふさがれていった。完全に盲目状態となってしまった鷹村守だったが、デビッド・イーグルのパンチにカウンターを合わせる離れ業を見せる。そこから一気に畳み掛けKO勝利を飾り、見事二階級制覇を成し遂げる。

板垣学、東日本新人王トーナメント(62巻)

新人王トーナメントを順調に勝ち上がっていった板垣学は、準決勝で牧野文人と対戦。デビュー戦で黒星を喫した相手に板垣学は、以前とは違うことを証明してみせる。牧野文人の頭突きやひじ打ちなど、ラフなボクシングにも動揺せず、また相手のフリッカースタイルに対してもしっかりと対応。最後まで集中力を切らさず、見事な2RKO勝利を飾った。

デンプシー・ロールの封印、6度目の防衛戦(63巻~64巻)

しばらく試合から遠ざかっていた幕之内一歩の元に、新たな挑戦状が届く。対戦相手は、日本ランク7位の唐沢拓三。かつて幕之内一歩を苦しめた真田一機の後輩だった。次の試合に向けて準備を進める幕之内一歩は、体に大きな負担のかかるデンプシー・ロールに頼らない戦い方を模索し始める。6度目の防衛戦、幕之内一歩はすぐさま特訓の成果を見せつける。基本に忠実な戦い方で唐沢拓三を終始圧倒。コーナーに追いつめられた唐沢拓三は、一矢報いようと放った左フックにカウンターを合わせられ沈黙。王者の2RKO勝利という圧勝の内容で終わった。

板垣学、東日本新人王トーナメント決勝(65巻~67巻)

アマチュア時代からのライバル、今井京介との決勝戦を目前に控え、板垣学は苦悩していた。過去に3戦3敗を喫している今井京介を相手に、今のスタイルでは通用しないという現実から、本来とは違うスタイルで挑むのかどうか。試合当日、板垣学が選択したのは超接近戦。長年、板垣学としのぎを削ってきた今井京介は、その行動に意表を突かれ、序盤から劣勢に立たされる。試合の主導権を完全に握った板垣学は、さらに接近戦でのアウトボクシングという進化を見せ、ポイントで大きくリードする。

判定での勝利が厳しくなった今井京介は、KO勝利狙いのボクシングに切り替える。板垣学に圧力をかけ続け、途中ダウンを奪うなど、巻き返しを図り始める。しかし、板垣も負けじと驚異的な粘りを見せ、攻め手を緩めない。一進一退の攻防が続く中、最後まで手を出し続けた板垣学は、見事ポイントを守りきり、東日本新人王に輝くのだった。

ライバルとの一戦に向けて、7度目の防衛戦(68巻~70巻)

幕之内一歩の念願であった、宮田一郎との一戦が決定。その前哨戦として、幕之内一歩の7度目の防衛戦が組まれる。相手はベテランボクサーの武恵一。元日本王者・伊達英二をして、対戦を避けていた曲者であった。

31歳の挑戦者・武恵一は、過去33戦という豊富な経験を活かし、あの手この手で幕之内一歩を苦しめる。老獪なボクシングを相手に苦戦する幕之内一歩。序盤こそ第ダウンを奪うことに成功するも、じわじわと相手の術中にはまっていく。それでも、過去6度の防衛を果たした幕之内一歩は、真っ向勝負で武恵一に立ち向かう。武恵一の豊富な引き出しもついに万策尽きたかと思いきや、驚異的な粘りでリングに立ち続ける。武恵一に異常なまでの執念を感じた幕之内一歩は、とどめを刺すべく、しばし封印していたデンプシー・ロールを繰り出す。かつての型からさらに進化を遂げた必殺技でダウンを奪うと、そのまま7度目の防衛を飾った。

宮田一郎、東洋太平洋タイトル防衛戦(71巻)

幕之内一歩との試合を賭けた、宮田一郎の東洋太平洋タイトル防衛戦。東日本新人王トーナメント戦で果たせなかった約束を果たすため、宮田一郎は対戦相手の崔正範を圧倒的強さでねじ伏せていく。このまま簡単に決着がつくかと思った矢先、観客席にいたふたりの男、Mr.サカグチとランディー・ボーイ・ジュニアに気を取られ、ダウンを喫してしまう。集中力を欠いた宮田一郎は、その後もリズムを崩し、一気に攻守逆転。敗戦の匂いすら漂い始める。流れを引き戻そうと伝家の宝刀クロスカウンターを放つも、切れ味は戻らない。予想外の打撃戦となった末、なんとか勝利を収める。だが、その代償は大きく、宮田一郎は拳を骨折。幕之内一歩との試合は、延期することとなってしまった。

間柴了と沢村竜平、日本ジュニアライト級タイトルマッチ(72巻~74巻)

間柴了の指名により、国内屈指の悪童対決が実現。試合前から会場では不穏な空気が漂うが、ゴングが鳴ると予想外の展開が待っていた。高次元な高等技術の応酬で、2Rを終えてもなお、互いにクリーンヒットすら許さない展開。紙一重の攻防が続く中、この流れに終止符を打ったのは沢村隆平の反則打、裏拳であった。この一打を皮切りにして、さっきまでのハイレベルなボクシングから一転、ひじ打ちや膝蹴りなど、反則打の飛び交う壮絶な死闘へと展望していく。

ラフファイトで間柴了を圧倒していく沢村竜平だったが、間柴了も黙ってはいなかった。沢村竜平に頭突きを食らわせ、カウンターパンチャーの生命線である目を負傷させる。これにより流れを一気に引き寄せた間柴了は、距離感の合わない沢村竜平に無慈悲なまでの打撃を浴びせていく。しかし、沢村竜平もベルトへの執念を見せ、相打ち覚悟の打ち合いに出ると、間柴了の一瞬の隙をついて完璧なカウンターを放ってみせる。見事なまでに、間柴了からダウンを奪ってみせた沢村竜平だったが、直後に自らも崩れ落ち、まさかのダブルノックダウン。両者ともに執念で立ち上がって見せるが、ボクサーとしての心を最後まで保っていたのは沢村竜平だった。死闘の果てに間柴了は、レフェリーの再開を待たずして沢村竜平に襲い掛かり、反則負け。後味の悪い結末を迎えることとなった。

板垣学、幻の全日本新人王戦(75巻~76巻)

全日本新人王に輝いた星洋行は、自身が慕う千堂武士を2度も破った幕之内一歩への挑戦権を得るため、同門の板垣学に試合を申し込む。これにより、板垣学の棄権により幻となっていた東西の新人王対決が実現。星洋行との対戦に意気込む板垣学だったが、気持ちとは裏腹にまったく調子が上がってこない。そんな中迎えた試合当日、完全アウェイの大阪で、決戦のゴングが鳴る。

試合開始早々、星洋行は一気に勝負を決めに出る。距離をとった板垣学を猛追し、必殺の一撃を放つ。しかしその刹那、板垣学の潜在能力が覚醒。超人的な反射スピードで星洋行のストレートにカウンターを合わせたのだった。星洋行は何をされたかわからぬままマットに崩れ落ちる。その後、かろうじて立ち上がりはしたものの、星洋行はもはや瀕死状態。それでも体に鞭を打って板垣学と打ち合おうとするが、まともに触れることすらできない。まるでふたりの時間軸が異なるかのような光景に、観戦していた幕之内一歩、千堂武士も言葉を失う。為す術を失った星洋行は、相打ち覚悟の特攻を仕掛ける。しかし、それもむなしく、板垣学から5発ものカウンターを浴び、失神KO。東西新人王対決は、東の板垣学に軍配が上がった。

東洋太平洋、無冠の王者への道(77巻~78巻)

宮田一郎とのタイトルマッチが反故になり、幕之内一歩は戦う目標を見失ってしまう。だが、周囲の支えもあり、自身が戦い続ける理由を再確認した幕之内一歩は、再び立ち上がることを決意するのだった。

当面の目標として、東洋圏の国内王者と戦いながら世界ランク1位を目指すこととなった幕之内一歩。その最初の対戦相手は、タイの国内王者ジミー・シスファー。過去に宮田一郎が武者修行中に戦った相手だった。しかし、試合が始まると、かつて聞いていたジミー・シスファーの姿からは、想像もつかないボクシングスタイルを目の当たりにする。ジャブなどのボクシングの組み立てが一切なく、ただひたすらにジョルトパンチを連発。まさに一発狙いのファイトスタイルへの変貌に、幕之内一歩も動揺を隠せない。驚異的なパンチに気圧され、序盤から劣勢に立たされる幕之内一歩。そんな中、状況を打開するために幕之内一歩が選択したのは、相打ち覚悟のインファイトだった。互いに一発狙いの強打を繰り出し、一進一退の攻防が続く。だが、土壇場で幕之内一歩がデンプシー・ロールの軌道を変えた左アッパーをさく裂させ、ジミー・シスファーの意識を断ち切ることに成功。日本とタイの豪打対決は、幕之内一歩の勝利で幕を閉じた。

宮田一郎、復帰戦(79巻)

周囲からのバッシングを受けながらも、ランディー・ ボーイ・ジュニアとの東洋太平洋王座統一戦を優先した宮田一郎。その戦いを前にして、崔正範戦で負った傷からの復帰戦が行われる。序盤から対戦相手のドニー・スルタンを圧倒し続ける宮田一郎は、最後に対幕之内一歩戦に用意していた新型のカウンターを披露する余裕すら見せつける。結果は、1RKO勝利と鮮やかな復活劇を遂げた。

宮田一郎の復帰戦後、幕之内一歩は宮田一郎がランディー・ ボーイ・ジュニアに固執する理由を知る。彼はかつて宮田一郎の父を引退に追い込んだ、元東洋太平洋王者ラクーン・ボーイの息子。自身との試合を反故にしてまでこだわる理由に納得した幕之内一歩は、宮田一郎に向けて、改めて激励の言葉を贈るのだった。

無冠の王者への道、対比国王者戦(80巻~83巻)

幕之内一歩の次なる相手は、フィリピンフェザー級国内チャンピオンのマルコム・ゲドー。魔術師の異名を持つ実力者でありながら、八百長を仕組み対戦相手に金を要求する悪徳ボクサー。国内の試合でマルコム・ゲドーが卑劣な行為を続けていることを知った鴨川源二と幕之内一歩は、この男との対戦を決意する。

マルコム・ゲドーの要望で、ファイトマネーが300万円にまで膨れ上がった勝者総取り戦。絶対に負けるわけにはいかない幕之内一歩は、試合開始直後からラッシュでマルコム・ゲドーを追いつめダウンを奪う。順調な出だしに見えたが、伸びるパンチをはじめとする、マルコム・ゲドーの奇妙な技に幻惑された幕之内一歩は、徐々に距離感を失っていく。気づけば、マルコム・ゲドーの術中にハマっていた。

難攻不落のマルコム・ゲドーの奇策を暴いたのは、試合を観戦していた同ジムの青木勝だった。攻略の糸口を見つけた幕之内一歩は、伊達英二の必殺技であったハートブレイクショットを駆使して、試合の流れを取り戻す。自分のペースに持ち込んだ幕之内一歩は、一気に試合を決めに行く。だが、マルコム・ゲドーもボクサーとしての意地を見せ、気づけばイカサマなしの真っ向勝負に。最後に試合の明暗を分けたのは、ふたりの拳の重さの違い。ボクシングと真摯に向き合い続ける幕之内一歩の重い一撃を受けたマルコム・ゲドーは、力及ばず倒れ込むのだった。

宮田一郎、東洋太平洋王座統一戦(84巻~88巻)

東洋太平洋王座統一戦を目前に控え、両陣営は対戦相手を想定したスパーリングを敢行する。宮田一郎の対戦相手、ランディー・ボーイ・ジュニアのパートナーを務めた板垣学は、少しでも情報を持ち帰ろうと本気モードで戦うが、ランディー・ボーイ・ジュニアのスイッチスタイルという独特な戦い方にたやすくやられてしまう。一方、宮田一郎は千堂武士とのスパーリングを行い、新たな武器の習得を目指していた。

板垣学、A級トーナメント前哨戦(89巻)

間柴了の復帰戦のセミファイナルに組まれた、板垣学とガナオ・パチョンの一戦。A級トーナメントに出場する猛者たちが見守る中、板垣学は堂々たる戦い振りを披露する。星洋行との一戦で覚醒した圧巻のスピードで、対戦相手を寄せ付けないまま見事なKO勝利を飾って見せる。その光景は、トーナメントで対戦する冴木卓麻や唐沢拓三の目にしっかりと焼きつけられた。

無冠の王者への道、対インドネシア王者戦(90巻~93巻)

幕之内一歩の前に現れた次なる挑戦者ウォーリーは、かつてブライアン・ホークを育てた名伯楽ミゲル・ゼールの教え子だった。プロデビューからわずか3戦でインドネシアの国内チャンピオンに上り詰めるなど、天才的なボクシングセンスの持ち主。ウォーリーとスパーリングをしたヴォルグ・ザンギエフから、コーナーこそウォーリーの活路だと警告を受けた幕之内一歩だったが、言葉の謎が解けぬまま試合へと臨むことになる。

板垣学、A級トーナメント開幕(94巻)

幕之内一歩の軌跡を辿るようにして、板垣学は日本王座への道を歩み始めた。迎えた、A級トーナメント一回戦。初の国内上位ランカー戦となる、唐沢拓三との試合。相手をスピードで上回る板垣学は、序盤からアウトボクシングで唐沢拓三を翻弄しようと試みる。だが、確実に捉えたはずのパンチにカウンターを合わせられ、序盤からまさかのダウンを喫してしまうのだった。

幕ノ内一歩、8度目の防衛戦(95巻~97巻)

武恵一以来となる、日本人ランカーとの防衛戦に臨む幕之内一歩。相手は、元ライト級の小島寿人。幕之内一歩の大ファンで人柄のいいボクサーで知られる人物だったが、試合を前に小島寿人は、幕之内一歩を再三挑発。この行動に怒りを抱いた幕之内一歩は、いつもとは違う心持で試合の準備を進める。

板垣学、A級トーナメント決勝戦(98巻~100巻)

国内最速の称号を賭けて、スピードスターの異名をとる冴木卓麻との一戦が開幕。これまで同等のスピードを持つ相手と対戦したことがなかった板垣学は、序盤から冴木卓麻のフットワークに驚かされる。一方、徐々に空間を制圧していった冴木卓麻は、幕之内一歩との戦いでは見せなかった新たな武器を見せる。

ヴォルグ・ザンギエフ、IBF世界ジュニアライト級タイトルマッチ(101巻~103巻)

かつて幕ノ内一歩としのぎを削ったライバル、ヴォルグ・ザンギエフが世界タイトルに初挑戦。IBF世界ジュニアライト級王者マイク・エリオットからの指名を受けたヴォルグ・ザンギエフは、序盤こそ準備不足から苦戦を強いられるも、変幻自在の左飛燕を駆使して王者に立ち向かう。一級品のボクサー同士の戦いは、いつしか互いに相手の裏を読み合う高度な頭脳戦へと展開していく。

幕之内一歩、世界前哨戦(104巻~109巻)

東洋圏で快進撃を続ける幕ノ内一歩は、次にメキシコの強豪アルフレド・ゴンザレスと対戦する。世界2位の肩書きを持つアルフレド・ゴンザレスは、王者リカルド・マルチネスに匹敵する実力の持ち主。その大一番を前に、板垣学と今井京介の日本フェザー級王者決定戦が行われる。ともに幕ノ内一歩の後継者にならんとする宿敵同士の一戦だけに、開始直後から衝撃の展開が待ち受けていた。

鷹村守、WBA・WBC世界ミドル級王座統一戦(110巻~)

幕之内一歩が世界前哨戦で敗れてから間もなく、鷹村守の世界ミドル級王座統一戦が行われる。対する WBA王者のリチャード・バイソンは、元WBC王者のデビッド・イーグルと浅からぬ因縁の持ち主。彼の目標でもあったデビッド・イーグルを破った鷹村守を敵視する。試合当日、大一番の前座を任されたのは、間柴了と千堂武士の犬猿コンビ。試合前から控室で前代未聞のトラブルを起こす。

メディアミックス

テレビアニメ

原作を忠実に描いていることで好評を博し、テレビシリーズ3作品が放送された。アニメオリジナルの要素としては、千堂武士が地元の子供にねだられる物がスーパーファミコンからPSに代わっているなど、少なからず存在する。

2000年10月よりテレビアニメ第1期がスタート(全75話 6クール)。2003年4月18日に『金曜ロードショー』にてテレビスペシャル『はじめの一歩 Champion Road』が放送される。2009年1月からテレビシリーズ第2期『はじめの一歩 New Challenger』(全26話 2クール)がスタート。2013年10月からテレビシリーズ第3期『はじめの一歩 Rising』がスタート。本シリーズからアニメーション制作がマッドハウスとMAPPAの共同制作に。また、最終4話ではスペシャル番外編として、鴨川源二と猫田銀八の過去を描く「戦後編」が放送される。

ゲーム

家庭用ゲームから筐体、スマホ向けゲームに至るまで、様々な媒体でゲーム化がされている。特に、PS作品としては、PS初期からPS3までを跨ぐシリーズ作品となっている。

≪家庭用ゲーム≫

『はじめの一歩 THE FIGHTING!』(PS シューティング)

『はじめの一歩 VICTORIOUS BOXERS』(PS2 スポーツアクション)

『はじめの一歩 VICTORIOUS BOXERS CHAMPIONSHIP VERSION Playstation 2 the Best』(PS2 スポーツアクション)

『はじめの一歩 THE FIGHTING!』(GBA スポーツ)

『はじめの一歩 THE FIGHTING! DS』(DS スポーツ)

『はじめの一歩 ALL☆STARS』(PS2 ボクシングアクション)

『はじめの一歩2 VICTORIOUS ROAD』(PS2 ボクシングアクション&シミュレーションゲーム)

『はじめの一歩 レボリューション』(Wii 3Dボクシングアクション)

『はじめの一歩 THE FIGHTING!PORTABLE VICTORIUS SPIRITS』(PSP ボクシングアクション)

『はじめの一歩』(PS3 ボクシングアクション)

筐体

『ハードパンチャー はじめの一歩 THE FIGHTING!』(パンチングマシン)

『ハードパンチャー はじめの一歩2 王者への挑戦』(パンチングマシン)

PC・携帯・スマートフォン

『はじめの一歩 THE TYPING!』(タイピングソフト)

『はじめの一歩 THE TYPING! 2nd Step』 (タイピングソフト)

『はじめの一歩 THE FIGHTING!』(携帯電話用ゲーム)

『モバゲータウン はじめの一歩 THE FIGHTING』(携帯電話・スマートフォン用ゲーム)

『Yahoo!モバゲーはじめの一歩 THE FIGHTING』(PC版)

『GREE はじめの一歩 THE CHAMPIONS』(携帯電話/スマートフォン用ゲーム)

『mixi はじめの一歩 THE FIGHTING』(PC版)

『Mobage はじめの一歩 THE CHAMPIONS』(携帯電話/スマートフォン用ゲーム作品)

社会に与えた影響

ボクシング界への影響

連載当初(1989年)、国内のプロボクサーは1200人、現役世界王者は0人という状況であったが、連載を皮切りに国内ボクサー人口は3000人以上に増え、現役世界王者も多数誕生している。この状況改善に対し、07年に朝日新聞が安河内剛氏(当時・日本ボクシングコミッション事務局長)に行ったインタビューでは、「『はじめの一歩』の影響は間違いなくある」と発言している。

また、作者がボクシングジム(JB SPORTS)の会長を務めていることもあって、試合でセコンドに入ることが多々あり、対戦相手から「いつも読んでます」「先生の前でいい試合を見せられずにすみません」と言われることもあるという。

テレビアニメ化が与えた影響

2000年にテレビアニメ第1期が放送されると、その驚異的な人気から、深夜アニメとしては異例の第6クールにまで跨ぐ長期作品となった。第1期の放送終了後、その人気にこたえる形でテレビスペシャル『はじめの一歩 Champion Road』(2003年4月18日)が『金曜ロードショー』にて放送された。第1期の平均視聴率は4.5%、最高視聴率は6.1%(2001年2月27日放送・第21話)と、通常の番組と比較しても引けを取らない数字を記録している。

登場人物・キャラクター

幕之内 一歩 (まくのうち いっぽ)

鴨川ボクシングジムに所属する日本フェザー級のプロボクサー。高校時代、同ジムのプロボクサー鷹村守と出会ったことがきっかけで、ボクシングの道を進むようになる。幼い頃から、実家の釣り船屋を手伝っており、船上での仕事が多いことから、たぐいまれな足腰の強さと秀でたバランス感覚を持つ。ボクシングスタイルは、近距離を得意とするファイタータイプで、フックやアッパーカットなどの強打を武器に戦う。 中でも、リバーブローを得意としており、同世代の中でもずば抜けた威力を誇る。同ジムに所属していた宮田一郎とは、鴨川ボクシングジム入門時からのライバルで、お互いにプロの舞台で戦うことを目標としている。主な必殺技は、ジョフレアッパー、ガゼルパンチ、デンプシー・ロール。

鷹村 守 (たかむら まもる)

鴨川ボクシングジムに所属するジュニアミドル級のプロボクサー。同ジムに所属するボクサーの中で最も古株であり、粗暴な性格と相まって幕之内一歩など後輩をこき使うこともしばしば。だが、ボクシングにおいては真摯な姿勢を見せ、自身が目標としている六階級制覇に向けて日々練習を積んでおり、デビュー戦から全試合連続KO勝ちを記録するなど、国内ではずば抜けた存在。 本来ヘビー級相当の体格であるが、中量級・重量級における日本人ボクサーの乏しさから、現在の階級で戦わなくてはならず、過酷な減量を強いられている。そのため、試合前などは水や食料を絶つほどで、精神的に追い詰められ荒れることも多い。

鴨川 源二 (かもがわ げんじ)

主人公幕之内一歩の所属する鴨川ボクシングジムの会長。幕之内一歩をはじめとする、数多くのボクサーを育て上げてきた名伯楽。かつては自身も拳闘家(ボクサー)として戦っていたが、試合で拳を痛めたことがきっかけで、トレーナーを目指すようになった。その頃から、日本人ボクサーを世界に通用する選手に育て上げるという夢を持つようになる。 拳闘家時代からアメリカの科学的なボクシングを好み、育成においても、その理論に裏付けされた練習方法をとる。一方で、試合では精神論を取り入れたアドバイスをすることもあり、独自のボクシング観を持っている。

青木 勝 (あおき まさる)

鴨川ボクシングジム所属する、日本ライト級のプロボクサー。陽気な性格で、同期の木村達也とは高校時代からの親友。生活費を稼ぐため、中華料理屋で働いており、料理の腕はプロ級。かつて鷹村守に喧嘩を売り、返り討ちにあったことがあり、それを機に鴨川ボクシングジムに入門した。ジムではムードメーカー的存在。 ボクシングスタイルは基本的にファイタータイプであるが、相手によって戦い方を変える頭脳的・変則的なスタイル。主な必殺技は、ボクシング元世界ジュニアミドル級(現スーパーウェルター級)王者の輪島功一が編み出したカエルパンチ。その他にも、ダブルパンチやきりもみコークスクリュー、よそ見などがあるが、はったり的な技も少なくない。

木村 達也 (きむら たつや)

鴨川ボクシングジム所属。日本ジュニアライト級のプロボクサー。実家は花屋で、ときおり家業を手伝っている。ジムで数少ない常識人で、クールな性格。しかし、親友の青木勝や先輩の鷹村守とともに行動をする際は、少しおちゃらけた一面も見せる。ボクシングスタイルは、相手から距離を取ってカウンターを狙うアウトボクサーであるが、近距離での打ち合いを苦手としない。 必殺技は、相手の懐に飛び込んで繰り出すドラゴンフィッシュブロー。

宮田 一郎 (みやた いちろう)

川原ジムに所属する、日本フェザー級のプロボクサー。ボクシング元・東京太平洋チャンピオンの父にあこがれ、幼少期からボクシングに携わり、デビュー前からアマチュアでは名の通った存在だった。トレーナとなった父とともに鴨川ボクシングジムに所属していたが、デビュー寸前に行った幕之内一歩とのスパーリングでKO負けを喫し、川原ジムへと移籍する。 普段は非常にクレバーに務めているが、芯は熱く、戦いから逃げることを嫌う。その性格はボクシングスタイルにも現れ、アウトボクサーでありながらも、インファイトでの戦いも好む。必殺技は、クロスカウンターやJOLTと呼ばれるカウンターなどがある。

間柴 了 (ましば りょう)

東邦ボクシングジムに所属する日本フェザー級・ジュニアライト級のプロボクサー。17歳で両親を交通事故で亡くし、以後、妹久美を養うために運送会社で働きながらボクシングをする。無愛想で口数が少なく、また異様な雰囲気をまとっていることから、死神の名で周囲から恐れられている。プロテストでは、幕之内一歩と同日であった。 新人王戦では、ラフファイトを厭わない戦いぶりで決勝まで勝ち進んだ。元々はフェザー級のボクサーであったが、長身ということもあり、減量苦からジュニアライト級へと転向。ファイトスタイルは、長いリーチを生かした変則的なフリッカージャブをメインに、アウトボクシング的な組み立てを得意としている。 フィニッシュ時には、打ち下ろしのストレートチョッピングライトを主に相手を叩きのめす。

間柴 久美 (ましば くみ)

プロボクサー間柴了の妹。高校時代は学校に通いながら、パン屋でアルバイトをしていた。高校卒業後、専門学校へと進学し看護師を目指す。自分の学費を稼ぐために働く兄を心配している一方で、ボクシングに励む兄を応援しており、試合日にはできるだけ足を運んでいる。幕之内一歩とは、パン屋でアルバイトをしていた際に出会い、その後、看護師として働く病院で再会するなど、何かと縁がある。 それもあってか、幕之内一歩に対し好意を寄せているが、兄間柴了はそのことをあまりよく思っていない。

千堂 武士 (せんどう たけし)

なにわ拳闘会所属。日本フェザー級のプロボクサー。地元では浪速のロッキーの愛称で親しまれ、怒涛の勢いで西日本新人王を勝ち抜いた逸材。KO勝ちを信条とし、生きるか死ぬかというスタンスで戦う。幕之内一歩とは、全日本新人王戦で初対戦し、以後、ライバルとして注目している。幼い頃、早くして両親を亡くし、祖母のもとで育てられる。 消防士として勇敢な振る舞いを見せていた父親の影響もあり、他人のために行動する人情深い性格。しかし、中学・高校へ進学していくうちに、番長として喧嘩三昧の日々を送っていたところ、なにわ拳闘会のトレーナー柳岡と出会い、ボクシングの道へ進む。必殺技は、フックとアッパーの中間から放つスマッシュ。

ヴォルグ・ザンギエフ

ロシア出身のフェザー級のプロボクサー。アマチュア時代に200戦以上の試合を経験し、プロ転向後に来日。音羽ボクシングジムに所属し、A級ボクサー賞金トーナメントに出場。決勝戦では幕之内一歩と対戦した。母子家庭で育ち、貧しい暮らしを変えるため、ボクシングを始める。性格は穏やかで心優しい青年だが、試合では獰猛な一面をのぞかせる。 ファイトスタイルは、長いボクシング経験に裏付けされた技術力を用いた試合巧者な戦い方。本来はアウトボクサーであるが、日本での試合では外国人ボクサーという立ち位置によって、派手なKO勝ちを求められ、インファイターとして戦うざるを得なかった。必殺技は、上下の高速コンビネーションホワイト・ファング。

伊達 英二 (だて えいじ)

日本フェザー級のプロボクサー。初登場時は、日本フェザー級のチャンピオンとして、チャンピオンカーニバルの挑戦者幕之内一歩と対戦した。過去には、世界チャンピオンを目指し、世界フェザー級の絶対王者リカルド・マルチネスに挑戦するも、まさかの2ラウンドKO負けを喫し、一度は引退。社会人として普通に暮らしていたが、ボクシングへの情熱を思い出し、カムバックした。 ファイトスタイルは確かな技術と経験を駆使したテクニシャンタイプで、相手の動きを予測しつつ、隙を見ては必殺技のハート・ブレイクショットを繰り出す。

真田 一機 (さなだ かずき)

ジュニアフェザー、フェザー級のプロボクサー。帝都大病院のひとり息子で、医師志望の大学生という異色の経歴を持つ。日本ジュニアフェザー級チャンピオンであったが、タイトルを返上し、2階級制覇を狙い幕之内一歩と対戦。鴨川会長の旧知である浜団吉から教えを請い、飛燕燕返しといったブローを武器に戦った。

浜 団吉 (はま だんきち)

戦後、鴨川源二や猫田銀八とともに、拳闘家としてしのぎを削った。鴨川源二いわく、現役当時の戦い振りは天才そのもので、飛燕と呼ばれる変則的なジャブを武器としていた。しかし、鴨川源二との戦いで顎を砕かれ、そこが弱点となり現役を退いた。トレーナーとしても優秀で、メキシコや本場アメリカなど、海外を拠点に活動。 日本では真田一機を指導し、アメリカでは復帰したヴォルグ・ザンギエフのトレーナとして活躍する。

リカルド・マルチネス

WBA世界フェザー級の頂点に君臨する絶対王者。デビュー戦からすべての試合に勝利し、10年以上タイトルを防衛し続けている。モデルは生涯無敗で引退した元ストロー級統一世界王者リカルド・ロペス。その圧倒的な実力から、別団体に逃げる選手も少なくない。日本フェザー級チャンピオンであった伊達英二も、2度挑戦をするが、全てKO負けを喫している。 普段は高度なテクニックを用いてクレバーに相手を追い詰めていくスタイルを取っているが、本来は暴力的で攻撃的なボクシングをする。

ジミー・シスファー

タイ人のフェザー級プロボクサー。ムエタイで培った打たれ強さと左右の強力なフックを武器としたインファイトが持ち味。宮田一郎と対戦し、彼をKO寸前まで追い詰めるも、起死回生のJOLTカウンターをもらい敗れる。敗戦後、宮田一郎戦で見たJOLTを神の一撃と錯覚し、自らもJOLTを主体としたボクシングスタイルへと変更する。 だがその代償として多くの傷を負い、また敵を再起不能にしてしまうことから、スクラッチJと呼ばれるようになる。

アーニー・グレゴリー

オーストラリア出身のフェザー級プロボクサー。左右の強力なフックを主体としたスタイルから、自国に生息するワニになぞらえクロコダイルの異名をとる。東洋太平洋フェザー級チャンピオンとして、宮田一郎の挑戦を受けた。カウンターを主体とする宮田一郎に対し、カウンター破りブラッディ・クロスを繰り出すも、最後はJOLTのカウンターに破られ敗戦を喫した。

ブライアン・ホーク

ジュニアミドル級のプロボクサーで、WBC世界ジュニアミドル級チャンピオンとして鷹村守と戦った。スラム街育ちの悪であったが、名伯楽ミゲル・ゼールにスカウトされ世界チャンピオンまで上り詰めた。大の女好きで極度の練習嫌いであるが、試合では喧嘩で培った野生を武器に、暴力的なボクシングで相手を圧倒する。 上体を反らした状態からパンチを放つなど、トリッキーなスタイルをとる。これはモデルである、元WBC・WBO世界フェザー級王者ナジーム・ハメドの特徴でもあった。鷹村守との試合後、再起不能となり現役を引退した。

ミゲル・ゼール

アメリカではその名を知られる名トレーナーで、多くの世界チャンピオンを育て上げた。かつて鴨川源二や猫田 銀八らが対戦した米兵ラルフ・アンダーソンのセコンドを務め、ブライアン・ホークや幕之内一歩が対戦したウォーリーを見出した。

デビッド・イーグル

オリンピック金メダリストという輝かしい経歴を持ち、プロ転向からわずか15戦でWBC世界ミドル級チャンピオンになった。自身の名前のイーグルにかけ、黄金の鷲の異名を持つ。基本に忠実な正統派のボクシングスタイルで、高度なテクニックを持つ。スポーツマンとして模範となるような行動をとる生真面目な性格。 自身のタイトル防衛戦で鷹村守の挑戦を受けた。

山田 直道 (やまだ なおみち)

幕之内一歩に憧れ鴨川ジムに入会した高校生。鷹村守らが立案した、入会テストのロードワークで、走行中に嘔吐したことからゲロ道のあだ名がついた。プロボクシングテストに合格するも、家庭の事情で青森へ引っ越す。それでも、青森の八戸拳闘会でボクシングを続け、後にハンマー・ナオのリングネームで、幕之内一歩と念願の対戦を果たす。

板垣 学 (いたがき まなぶ)

鴨川ボクシングジム所属。フェザー級のプロボクサー。幕之内一歩の後輩で、高校時代にはアマチュアボクシングでインターハイ2位となるなど、輝かしい経歴を持つ。運動神経が良く、俊敏な動きを活かしたアウトボクシングを得意とする。東日本新人王、全日本新人王を制した。甘いマスクから女性人気が高く、試合では多くの女性ファンから黄色い声援が飛び交う。 だが、その容姿に反して、家が貧乏であったり、ダジャレ好きであるなど、ギャップも多い。

梅沢 正彦 (うめざわ まさひこ)

幕之内一歩の同級生で、高校時代に幕之内一歩をいじめていた不良のひとり。高校卒業後に一度就職を果たすが、長く続かずやがて退職。幕之内一歩の実家である、釣り船幕之内で働きながら漫画家を目指すようになる。釣り漫画マー坊 GET YOU !!が漫画賞で入選して以降は、漫画家として奮闘。 在学中から幕之内一歩の試合を観戦し、一番のファンであり親友として幕之内一歩を応援する。

八木 晴彦 (やぎ はるひこ)

鴨川ジムのプロボクサーであったが、才能がなく引退。その後、ジムのマネージャー、広報としてマッチメイクなどの仕事を担っている。試合では、鴨川源二とともにセコンドにつき、選手のケアをしている。笑顔を絶やさない優しい性格だが、趣味である釣りをする時などには人格が変わり、傲慢でキレやすい人間になる。

山口 智子 (やまぐち ともこ)

女性接骨医で、学生時代は女三四郎と呼ばれるほどの柔道家でもあった。幕之内一歩が東日本新人王戦で拳を痛めたのを機に、鴨川ジムの選手の診療をするようになる。格闘技の経験もあってか、トレーニング方法などにも知識がある。

猫田 銀八 (ねこた ぎんぱち)

語尾に「ダニ、ダネ」といった名古屋弁のような喋り口調が特徴。鴨川源二の親友であり、拳闘家時代に彼のライバルとして多くの名勝負を繰り広げた。現役時代は、野生と称される俊敏でかつトリッキーな動きから、強烈な連打を繰り出して戦った。だが、鴨川源二や米兵ラルフ・アンダーソンとの死闘で多くのパンチをもらい、パンチドランカーの症状を抱えている。 普段は山奥でペンションを営んでおり、幕之内一歩が千堂武士とのタイトルマッチを前に行った合宿では、宿泊先として使われた。

藤井 稔 (ふじい みのる)

月刊ボクシングファンのベテラン記者。鴨川ジムで行われた、幕之内一歩と宮田一郎のスパーリングを見たのを機に、幕之内一歩に注目するようになる。東日本新人王戦では、下馬評の低いにも関わらず、幕之内一歩を推すような記事を書いていた。度々、鴨川ジムに訪れる。

飯村 真理 (いいむら まり)

月刊ボクシングファンの女性記者で、藤井稔の後輩。海外での生活が長く、学生時代から多くの試合を観戦していたため、ボクシングへの造詣が深い。性格はやや高飛車。幕乃内一歩には、公私ともに興味を抱いている。

トミ子 (とみこ)

青木勝の恋人で、間柴久美と同じ病院に勤務する看護師。幕之内一歩のA級トーナメント優勝祝勝会も兼ねた合コンで知り合い、以後青木勝の部屋で同棲するようになった。タロット占いを得意とする。

その他キーワード

デンプシー・ロール

『はじめの一歩』に登場する必殺技。幕之内一歩の代名詞とも言えるフィニッシュブローで、ガゼルパンチなどを駆使して相手を後退させたのち、頭や上体を振り子のように左右に揺さぶるウィービングから放たれる高速の連打。日本フェザー級のチャンピオンであった伊達英二に初の黒星を喫した後、再起戦に向けて練習していた。 ボクシングの元世界ヘビー級王者ジャック・デンプシーが編み出した技とされ、作中では、古のブローと表記されることもある。

JOLT

『はじめの一歩』に登場する必殺技。 通常のカウンターパンチよりも体重を乗せて放つ宮田一郎のフィニッシュブロー。相手を一撃でKOできるほどの威力を持つが、逆にカウンターをもらった際には大きなダメージを負う。アジアを中心に行っていた武者修行の中で編み出した。ジミー・シスファーも同じくJOLTの使い手であるが、彼の場合は能動的に繰り出すパンチで、宮田一郎の使うカウンターブローとは種類がやや異なる。

アニメ

はじめの一歩 Rising

日本フェザー級のチャンピオンとして、日々成長を続ける主人公の幕之内一歩。デンプシー・ロールという代名詞的な技を身に付け、多少の自信も構築できてきた。しかし、「デンプシー・ロールを破る」と公言するボクサ... 関連ページ:はじめの一歩 Rising

はじめの一歩 New Challenger

日本フェザー級のチャンピオンになった主人公の幕之内一歩は、次の防衛戦に向けて着々と準備を整えていく。また、鴨川ボクシングジムには期待のルーキーである板垣学が入門し、幕之内一歩のライバルである宮田一郎は... 関連ページ:はじめの一歩 New Challenger

はじめの一歩 Champion Rord

千堂武士との激闘に勝利して、日本フェザー級の新チャンピオンになった主人公の幕之内一歩。次の対戦相手は、階級を上げて挑戦者に名乗りを上げた、日本ジュニアフェザー級の元チャンピオンである真田一機。 初めて... 関連ページ:はじめの一歩 Champion Rord

はじめの一歩

母子家庭で釣り船屋の息子である主人公の幕之内一歩は、ある日、いじめられている時に通りかかった鷹村守に助けられる。怪我の治療のため、鷹村守に連れられてきたのはボクシングジム。そこで、ボクシングという今ま... 関連ページ:はじめの一歩

書誌情報

はじめの一歩 141巻 講談社〈講談社コミックス〉

第1巻

(1990-02-09発行、 978-4063115321)

第2巻

(1990-03-13発行、 978-4063115437)

第3巻

(1990-05-15発行、 978-4063115666)

第4巻

(1990-08-09発行、 978-4063115918)

第5巻

(1990-10-12発行、 978-4063116083)

第6巻

(1990-12-11発行、 978-4063116250)

第7巻

(1991-02-13発行、 978-4063116410)

第8巻

(1991-04-11発行、 978-4063116588)

第9巻

(1991-07-15発行、 978-4063116908)

第10巻

(1991-09-13発行、 978-4063117080)

第11巻

(1991-12-11発行、 978-4063117301)

第12巻

(1992-02-14発行、 978-4063117547)

第13巻

(1992-05-08発行、 978-4063117837)

第14巻

(1992-08-03発行、 978-4063118148)

第15巻

(1992-10-13発行、 978-4063118308)

第16巻

(1992-12-11発行、 978-4063118513)

第17巻

(1993-03-11発行、 978-4063118810)

第18巻

(1993-06-14発行、 978-4063119091)

第19巻

(1993-08-06発行、 978-4063119275)

第20巻

(1993-11-12発行、 978-4063119565)

第21巻

(1994-01-10発行、 978-4063119756)

第22巻

(1994-03-15発行、 978-4063119947)

第23巻

(1994-06-09発行、 978-4063120257)

第24巻

(1994-08-09発行、 978-4063120417)

第25巻

(1994-11-14発行、 978-4063120684)

第26巻

(1995-01-16発行、 978-4063120905)

第27巻

(1995-03-09発行、 978-4063121124)

第28巻

(1995-05-11発行、 978-4063121353)

第29巻

(1995-08-10発行、 978-4063121650)

第30巻

(1995-11-17発行、 978-4063121971)

第31巻

(1996-01-13発行、 978-4063122190)

第32巻

(1996-03-14発行、 978-4063122411)

第33巻

(1996-05-14発行、 978-4063122657)

第34巻

(1996-08-12発行、 978-4063122992)

第35巻

(1996-10-15発行、 978-4063123258)

第36巻

(1997-01-14発行、 978-4063123616)

第37巻

(1997-04-15発行、 978-4063123906)

第38巻

(1997-06-16発行、 978-4063124170)

第39巻

(1997-08-09発行、 978-4063124392)

第40巻

(1997-11-14発行、 978-4063124750)

第41巻

(1998-02-13発行、 978-4063125092)

第42巻

(1998-04-15発行、 978-4063125320)

第43巻

(1998-06-15発行、 978-4063125566)

第44巻

(1998-08-10発行、 978-4063125788)

第45巻

(1998-11-14発行、 978-4063126167)

第46巻

(1999-01-12発行、 978-4063126402)

第47巻

(1999-04-14発行、 978-4063126730)

第48巻

(1999-06-17発行、 978-4063126976)

第49巻

(1999-08-10発行、 978-4063127232)

第50巻

(1999-10-13発行、 978-4063127447)

第51巻

(2000-02-15発行、 978-4063127997)

第52巻

(2000-05-15発行、 978-4063128376)

第53巻

(2000-07-14発行、 978-4063128574)

第54巻

(2000-09-14発行、 978-4063128796)

第55巻

(2000-12-13発行、 978-4063129113)

第56巻

(2001-03-13発行、 978-4063129441)

第57巻

(2001-06-15発行、 978-4063129786)

第58巻

(2001-09-13発行、 978-4063130171)

第59巻

(2001-12-14発行、 978-4063130515)

第60巻

(2002-02-13発行、 978-4063130720)

第61巻

(2002-05-15発行、 978-4063631036)

第62巻

(2002-09-13発行、 978-4063631432)

第63巻

(2002-12-14発行、 978-4063631760)

第64巻

(2003-03-14発行、 978-4063632118)

第65巻

(2003-06-14発行、 978-4063632460)

第66巻

(2003-09-14発行、 978-4063632842)

第67巻

(2003-12-16発行、 978-4063633153)

第68巻

(2004-04-15発行、 978-4063633559)

第69巻

(2004-07-14発行、 978-4063633962)

第70巻

(2004-09-16発行、 978-4063634280)

第71巻

(2004-12-16発行、 978-4063634587)

第72巻

(2005-03-16発行、 978-4063634952)

第73巻

(2005-07-14発行、 978-4063635485)

第74巻

(2005-12-15発行、 978-4063636062)

第75巻

(2006-03-16発行、 978-4063636369)

第76巻

(2006-06-16発行、 978-4063636659)

第77巻

(2006-08-17発行、 978-4063637052)

第78巻

(2006-11-17発行、 978-4063637427)

第79巻

(2007-02-16発行、 978-4063637861)

第80巻

(2007-05-17発行、 978-4063638271)

第81巻

(2007-09-14発行、 978-4063638813)

第82巻

(2007-12-17発行、 978-4063639223)

第83巻

(2008-03-17発行、 978-4063639469)

第84巻

(2008-06-17発行、 978-4063639940)

第85巻

(2008-09-17発行、 978-4063840339)

第86巻

(2008-12-17発行、 978-4063840728)

第87巻

(2009-03-17発行、 978-4063840940)

第88巻

(2009-06-17発行、 978-4063841435)

第89巻

(2009-09-17発行、 978-4063841800)

第90巻

(2009-12-17発行、 978-4063842197)

第91巻

(2010-03-17発行、 978-4063842623)

第92巻

(2010-06-17発行、 978-4063843095)

第93巻

(2010-09-17発行、 978-4063843606)

第94巻

(2010-12-17発行、 978-4063843910)

第95巻

(2011-03-17発行、 978-4063844559)

第96巻

(2011-06-17発行、 978-4063844856)

第97巻

(2011-09-16発行、 978-4063845488)

第98巻

(2011-12-16発行、 978-4063845945)

第99巻

(2012-04-17発行、 978-4063846539)

第100巻

(2012-07-17発行、 978-4063847017)

第101巻

(2012-10-17発行、 978-4063847468)

第102巻

(2013-01-17発行、 978-4063847963)

第103巻

(2013-05-17発行、 978-4063848427)

第104巻

(2013-08-16発行、 978-4063949063)

第105巻

(2013-11-15発行、 978-4063949612)

第106巻

(2014-02-17発行、 978-4063950083)

第107巻

(2014-06-17発行、 978-4063950755)

第108巻

(2014-09-17発行、 978-4063951851)

第109巻

(2014-12-17発行、 978-4063952636)

第110巻

(2015-04-17発行、 978-4063953725)

第111巻

(2015-09-17発行、 978-4063954630)

第112巻

(2015-11-17発行、 978-4063955705)

第113巻

(2016-03-17発行、 978-4063955798)

第114巻

(2016-06-17発行、 978-4063956870)

第115巻

(2016-09-16発行、 978-4063957624)

第116巻

(2016-12-16発行、 978-4063958324)

第117巻

(2017-04-17発行、 978-4063959024)

第118巻

(2017-07-14発行、 978-4065100875)

第119巻

(2017-11-17発行、 978-4065102466)

第120巻

(2018-03-16発行、 978-4065110768)

第121巻

(2018-05-17発行、 978-4065114179)

第122巻

(2018-08-17発行、 978-4065117996)

第123巻

(2018-11-16発行、 978-4065132517)

第124巻

(2019-03-15発行、 978-4065141274)

第125巻

(2019-07-17発行、 978-4065150795)

第126巻

(2019-10-17発行、 978-4065172100)

第127巻

(2020-02-17発行、 978-4065184561)

第128巻

(2020-06-17発行、 978-4065191774)

第129巻

(2020-11-17発行、 978-4065213049)

第130巻

(2021-03-17発行、 978-4065226520)

第131巻

(2021-06-17発行、 978-4065235768)

第132巻

(2021-09-17発行、 978-4065248355)

第133巻

(2021-12-17発行、 978-4065262825)

第134巻

(2022-03-17発行、 978-4065272756)

第135巻

(2022-07-15発行、 978-4065287743)

第136巻

(2022-11-17発行、 978-4065296387)

第137巻

(2023-03-16発行、 978-4065309223)

第138巻

(2023-07-14発行、 978-4065321782)

第139巻

(2023-11-16発行、 978-4065335161)

第140巻

(2024-02-16発行、 978-4065345566)

第141巻

(2024-07-17発行、 978-4065361580)

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