あらすじ
人類最弱兵器
十数年前に異次元と現世界を結ぶ「ゲート」が現れ、「ハンター」の力に目覚めた覚醒者たちが出現した世界。ハンターに覚醒した者たちは、ゲート内にあるダンジョンに潜むモンスターを倒すことで、さまざまな報酬を得ながら活動していた。しかし、ハンターだからといってすべてが最強とは限らず、覚醒した時に得られた力量には個人差があった。「人類最弱兵器」ともいえる低レベルで覚醒したE級ハンターの水篠旬は、入院中の母親の病院代や妹の学費を稼ぐために、能力が低いにもかかわらず嫌々ながらもハンターを続けていた。旬は低難易度ダンジョンでも苦労することが多く、モンスターの攻撃を受けて生傷が絶えないうえに、傷を癒すヒーラーに助けられながらなんとかクリアする日々を送っていた。そんなある日、旬はほかのハンターにとっては低難易度といえるD級ダンジョンに参加することになり、そのダンジョンの最奥には謎の神像が並ぶ神殿や、攻略のヒントとなる文字が刻まれた石碑があった。その神殿は神像たちが恐ろしい攻撃を繰り返し、最初は油断しながら参加していたハンターたちも次々と命を落としていくほどの、高難易度二重ダンジョンであった。旬は石碑の文字からヒントを得ながら生き残る方法を必死に考え、なんとか生き残った仲間たちを逃がす。死を覚悟したうえで一人ダンジョン内に残った旬は、死の直前になんらかの条件を乗り越えたことに気づきながら気を失う。目覚めるとそこは病院で、旬の病室にはハンター協会の職員たちが訪れていた。職員たちは、旬がハンターとしての能力を再覚醒させたのではないかと魔力を計測するものの、特に変化はなく旬の力は弱いままだった。そんな旬の眼前には、二重ダンジョンで死ぬ直前に見た謎の案内画面が表示されるようになり、旬以外には見えていない様子だった。さらにその画面には、「デイリークエスト」という旬だけが挑戦できる特別クエストの案内メッセージや、アイテムボックスなども表示されるようになる。不思議に思いながらも画面の内容をほとんど気にしないようにしていた旬だったが、病室で寝ていたはずの彼はいつの間にか、モンスターのいる砂漠に移動していた。困惑する旬の前には、「ペナルティークエスト」という見たこともない画面が表示される。
C級ダンジョン攻略
死の直前に特殊な能力を授かったハンターの水篠旬は、彼だけに見えるクエストシステムのウィンドウに従って毎日届くデイリークエストを地道にクリアしながら、ゲームのような感覚でレベルアップを繰り返していた。自分だけが知っている秘密のレベルアップ方法は、元最弱クラスのハンターだった旬の運命を大きく変えていく。だがそれは、最強の力を得た旬を新たな困難へと導く、大きな試練への扉でもあった。クエストシステムの指示に導かれるまま、一人でシークレットクエストに挑戦した旬は、廃屋のようなダンジョンで獣型モンスターの群れに遭遇。アイテムを出し入れできる機能「インベントリ」によって、かつての仲間が置いて行った武器を手に入れた旬は次々と獣モンスターを倒し、ボス戦も勝ち抜くことができた。今まで地道に鍛えていた筋力が上がっていたのもあって、さらなるレベル上げに成功した旬は、病院を退院する頃には体型や顔つきもたくましくなり背も伸びていた。激しい戦いの数々を乗り越えたことでハンターとして自信がついてきた旬は、毎月苦労していた家賃を余裕で払えるようになるためにさらに上を目指し、初めてC級ダンジョンに挑むこととなる。攻略のために組まれたチームと共にダンジョンに潜入後、ボスの潜む部屋では大量のマナ石が発見される。攻略リーダーの右京隼人とその手下たちは、発掘用の装備を取りに行くと言ってD級ハンターの諸菱賢太を残して、ボスの部屋から出て行ってしまう。それは隼人たちの罠であり、彼らの目的は賢太と旬を葬って、金になるマナ石を独占することだった。そのもくろみに気づいた旬は賢太の目の前でボスを撃破し、隼人たちは賢太と旬の生還を疑問に思いながらも、あらためて二人を始末しようと動き出す。隼人たちに抵抗を見せる旬だったが、またしても新たな案内ウィンドウが表示され、謎のクエストが開始される。そのクエストで示されたクリア条件は、自分たちの命を狙う隼人たちを殺してでも生き残るという、モンスターではなく人間と戦う過酷な内容だった。
B級協会員
強くなった自分の実力を確かめるべく、水篠旬は悪魔の城に導くといわれる入手難易度S級の鍵を求めて、地獄の番犬・ケルベロスが待ち構えるクエストに潜っていた。クエストシステムの要領がだんだんつかめてきた旬は、順調にレベルアップを繰り返してさらに実力を磨いていく。そんなある日、旬はかつて高難易度二重ダンジョンで共に死闘を乗り越えたハンターたちと再会を果たす。その中には観月のようにいつも旬を心配していた者もいれば、二重ダンジョンで仲間を見捨てたことに後ろめたい気持ちを抱える真島、負傷して片腕を失った馬淵もいた。そんな観月たちと再びダンジョンに挑むことになった旬だったが、そのダンジョンにはハンター協会に派遣された代役服役者も参加することが決まっていた。代役服役者は、ハンターが少ない区域のレイドやダンジョン攻略に参加し、見返りとして減刑されることを目的とした服役者だった。条件付きとはいえ犯罪者がチームに混ざることになり、リーダーを務めることになった馬淵は強い不安を覚える。ダンジョンのランクは低く、服役者たちはモンスターたちを次々と倒していくが、監視役としてついて来た道門泰星は分かれ道で別行動を取ることを馬淵たちに提案し、服役者たちを1か所に集める。泰星は服役者を恨む人物から服役者たちを皆殺しにするように依頼を受けた、暗殺系スキルを持つ恐ろしい暗殺者であった。泰星の悪事を発見した真島は襲撃を受け、悲鳴を聞いた旬たちが駆けつけるものの回復が間に合わず、重傷を負った真島は二重ダンジョンでのことを旬に謝罪して命を落としてしまう。冷酷な計画に巻き込まれた旬たちは、自らの犯罪を隠蔽するためにその場にいるハンターを皆殺しにしようともくろむ泰星と、死闘を繰り広げることになる。
レッドゲート
数々の死線を潜り抜けてきた水篠旬は、その未知数な実力と潜在能力を見込んだ一部のギルドから、スカウトが来るほどにまで成長していた。そんな中で旬は、クエストシステムで発生した「転職クエスト」という、職業を変更できる重要なクエストに参加していた。最初こそ余裕で突破していた旬だったが、次第に奇妙な状況に陥り、疲労も溜まっていく。たどり着いた先の扉を開けるとそこには謎の王座があり、かつて感じた威圧感と絶望感を思い出させるほどの恐ろしいモンスターが潜んでいた。敵は真っ赤な鎧をまとった巨大騎士で、旬は武器や防具を使いこなしながら死闘を乗り越える。だが、苦難の末に終えた転職クエストに表示された職業は、レアな隠し職業の一つでもある「ネクロマンサー」だった。元は戦闘系として覚醒した旬にとって予想外の職業に一時は戸惑うものの、ネクロマンサーへの転職を完了させる旬だったが、加算ポイントによって二次転職が発生したことで、「影の君主」という新たな職業に転職する。影の君主となった旬は、倒したモンスターの影を取得することで手下として従え、自由にあやつることができる強力なスキルを得るのだった。後日、水篠葵の保護者懇談に参加した旬は、葵の担任教師からハンターを目指す少女・朝比奈りんを説得してほしいと依頼される。ハンターに覚醒したばかりのりんは、ダンジョン攻略に集中するために学校に来なくなっていたが、そのランクはE級と低いために、旬から見ても将来性が見込めないハンターだった。ハンターの現実がいかに厳しいか教えるためにりんに会いに行った旬は、彼女を連れて白虎ギルドの訓練現場を訪れる。そこには新たなゲートも出現しており、旬は白虎ギルドに属するハンターたちに混ざって攻略に参加するが、潜入後にそこが高難易度ダンジョンにつながる特殊なゲート「レッドゲート」であったことが判明する。食料すら乏しい白銀の世界に閉じ込められた旬たちは、氷結のモンスターを倒しながら決死の脱出を目指す。一方、アメリカからはS級ハンターの右京将人も来日し、旬の命を狙う彼はレッドゲートの前に現れる。
悪魔城のクエスト
レッドゲートに迷い込んだ水篠旬は、上級ダンジョンのボス・アイスエルフのバルカを倒し、仲間を引き連れてゲートからの脱出に成功する。だが、外へ出たのもつかの間、白虎ギルドのマスター・白川大虎たちが、たった一人でボスを倒したという旬の底知れぬ実力に目を付けてスカウトのために動き出していた。時を同じくしていくつかのレイドを共にしていた諸菱賢太も、父の諸菱ギルドを継ぐために、あらためて旬のスカウトを目指すことになる。賢太と約束していた回数のレイドを終え、しばらくクエストシステムを利用していなかった旬は、旅行と称して外出し、久しぶりにクエストに挑むことになる。さらなるレベルアップを目指す旬は、以前獲得した「悪魔城の城門の鍵」を使って、炎のフィールドを舞台とする高難易度クエストに挑む。一方、東アジアの島国・DFNの近海では、かつて架南島で猛威を振るって大虎たちを苦しめた、巨大アリの新種が現れるという異変が起こっていた。日本のハンターたちを揺るがす異常事態の中、次々と新たな力を得ていく旬とハンター協会を中心に、さまざまな人物の思惑が交差し始める。
原作小説
本作『俺だけレベルアップな件』は、Chugongの小説『俺だけレベルアップな件』を原作としている。原作小説版(韓国語版)は「カカオページ」で配信されており、日本語版は「ピッコマ」で配信されている。日本語版は韓国語版と設定の一部や登場キャラクターなどの名前が異なっている。
テレビアニメ
2024年テレビアニメ化。1月6日よりTOKYO MXほかにて放送。アニメーション制作はA-1 Pictures。主人公の水篠旬を坂泰斗が演じる。
登場人物・キャラクター
水篠 旬 (みずしの しゅん)
E級ハンターの青年。父親は行方不明で母親は入院中なため、妹の水篠葵とマンションで二人暮らしをしている。ハンターの中でも最もランクの低いE級であり、その中でも力が弱く仲間の足を引っ張ることも多いため、ほかの一部のハンターたちからは「人類最弱兵器」と呼ばれている。いつもケガだらけで帰ってくるため、観月や葵に心配されている。将来性が見込めず命懸けの戦いに挑んでも少ない報酬しか得られていないが、それでも母親の入院費や葵の学費を稼がなければならないために嫌々ハンターを続けており、表向きはヒマつぶしの趣味ということにしている。そんなある日、馬淵たちと共に迷い込んだ高難易度二重ダンジョンで死にかけた際に、特殊条件を満たしたことでクエストシステムを獲得する。これ以来、ほかの人には見えないシステム画面が目の前に表示されるようになり、ほかのハンターが知らない特別クエストに挑めるようになる。さらに、このシステムによってさまざまな支援も受けられるようになり、レベルアップを繰り返したことで再覚醒し、人間としてもハンターとしても成長していく。もともとは気弱で細身な体型だったが、システムの指示に従って筋力トレーニングをしているうちにたくましくなり、顔つきや雰囲気もクールで大人っぽくなっていった。ランク自体はE級のままなため、ほかのハンターから不思議がられることが多いが、システムのことは誰にも言わないようにしており、ギルドなどからスカウトが来ても断っている。しかし、高難易度ダンジョンでの事件に巻き込まれることも増え、よくも悪くも多くのギルドや上級ハンターから目を付けられており、命を狙われることもある。システムを得られる前から命の危険に晒されることが多く、それらの経験から優れた感覚とともに勘の鋭さを持つ。当初は戦闘系ハンターとして覚醒し、クエストに挑むことで暗殺系の素質を開花させていく。さらには転職クエストを通して隠し職業のネクロマンサーに転職し、その中で得た昇級ポイントの加算により、ネクロマンサーの上級職「影の君主」に二次転職を果たす。これにより、倒した敵を自らの手下にしてあやつるスキルを獲得した。
水篠 葵 (みずしの あおい)
女子高校生で、水篠旬の妹。医大を目指しており、大学受験を控えている。気の強い性格で、危険なハンターの仕事でいつも傷だらけで帰ってくる旬のことを心配している。休日は家でゴロゴロしていることが多いふつうの高校生だが、学校の成績は良好。母親が入院中のため、保護者代理でもある旬とは仲がよく、彼がハンターになる前はいっしょに出かけたりゲームをしたりすることも多かった。
犬飼 晃 (いぬかい あきら)
ハンター協会の監視課課長を務める男性で、A級ハンター。明るい茶髪の短髪でスーツを着用している。多くのハンターが二重ダンジョンで命を落とした事件のあと、水篠旬の再覚醒を疑って魔力を測定するが、魔力が上がった様子がないために見落としていた。しかしレッドゲートの事件以降、旬が魔力測定不可能なほどのハンターとわかり、ハンター協会会長と共に彼のスカウトに動き出す。A級ハンターの中でも最高クラスの実力を持つが、ギルドではなくハンター協会で活動しているためにあまり目立ってはいない。
諸菱 賢太 (もろびし けんた)
D級ハンターの青年で、大企業・諸菱建設社長の令息。全身鎧をはじめ、大金をつぎ込んだような派手な見た目の装備をまとっているが、ハンターとしての実力はあまり高くない。家が金持ちなため、金目当てというよりは半分趣味でハンターをやっている。C級ダンジョンで、水篠旬といっしょの攻略チームになる。当初はE級の旬のことを心底見下していたが、リーダーの右京隼人の罠にはまってボスに殺される危機だったところを、旬に救われる。あっさりとボスを倒した旬のことを、ランクを偽って登録している不正登録者だと疑いながらも、彼の強さに感動して慕うようになる。諸菱建設を継いで自分のギルドを作ることを夢見ており、無事にダンジョンから生還したあとは、諸菱建設に属するハンターになる話を旬に持ちかけて新人ハンター中心の攻撃隊を結成する。この攻撃隊を率いて旬と共にレイドに参加していたが、彼との約束を終えたあとはギルドマスターの資格試験に挑む。実の兄とは父親の跡目を巡って確執を抱えているため、旬のことは命の恩人というだけでなく兄のように思っていた。
右京 隼人 (うきょう はやと)
C級ダンジョン攻略チームのリーダーを務める男性。水篠旬と同じチームになった当初は好意的に接していたが、その本性は冷酷な守銭奴であり、目的のためなら犯罪行為にも平気で手を出している。ダンジョン内に大量のマナ石が発見されたとたんに仲間たちと共にマナ石を独占しようともくろみ、いっしょに来ていた旬と諸菱賢太をボスのいる部屋に閉じ込めることで殺そうとしていた。旬がボスを瞬殺したことで生き残ったため、あらためて葬ろうと襲撃するものの、旬に返り討ちにされて仲間と共に命を落とす。日本で数えられるほどしかいないS級ハンターの一人・右京将人の兄であり、日本を捨ててアメリカに行ってしまった将人には複雑な感情を抱いていた。
観月 (みづき)
B級の回復系ハンターの女性。仲間を癒したり強化魔法でサポートに回ったりなど、ヒーラーとして活躍している。明るい茶髪のロングヘアが特徴。E級でほかのハンターから見下されがちな水篠旬に優しく接し、いつも無理をして生傷の絶えない彼を心配しており、彼が負傷した際は真っ先に回復に向かうなど気にかけている。ふだんから旬と同じチームになることが多かったが、高難易度二重ダンジョンに迷い込んだ際に何人もの仲間の死を目の当たりにしたことで、深いトラウマを抱える。旬のおかげで生還するもののしばらくはショックで入院し、なんとか復帰したあともトラウマを克服できず、弱小モンスターにも怯えるほどになっていた。のちのダンジョン攻略の際に馬淵や旬と再会を果たし、道門泰星の陰謀に巻き込まれるが旬のおかげで再び命を救われる。しかしハンターは引退することになり、旬に感謝を告げて大阪の実家に帰って行った。
馬淵 (まぶち)
C級ハンターの中年男性。明るい茶髪を一つにまとめている。経験を積んだベテランとして後輩たちを引っ張り、水篠旬からも先輩として尊敬されている。剣士としてのスキルを磨いており、ハンター活動でも剣を武器に戦う。旬や観月と共に参加したD級ダンジョン攻略ではリーダーを務めるが、高難易度二重ダンジョンであったために窮地に陥る。旬のおかげで生還するものの重傷を負って片腕を失い、11人もの仲間が命を落としたことに強い責任を感じていた。旬たちと再会した際に参加したダンジョン攻略でもリーダーを務めるが、道門泰星の陰謀に巻き込まれる。鍛え直した剣術で泰星に立ち向かうが歯が立たず、成長した旬に命を救われて生還する。
真島 (ましま)
D級ハンターの男性。紺色の髪を短髪にしている。ぶっきらぼうな性格の持ち主。妻子持ちで家族を養うためにハンターを続けているが、命の危険があるために妻からは心配されている。馬淵がリーダーを務めるチームに所属し、D級ダンジョン攻略に参加する。そこが高難易度二重ダンジョンであったために死にかけるものの、いっしょに参加していた水篠旬のおかげで生還する。この際に旬たちを見捨てて助かろうとしたために、生還後も彼らに対して負い目を感じていた。別のダンジョンに参加した際に旬と再会するが、道門泰星の陰謀に巻き込まれて重傷を負う。駆けつけた旬に二重ダンジョンでのことを謝罪し、命を落とした。
道門 泰星 (みちかど たいせい)
ハンター協会の監視課に所属するB級ハンターの男性。青紫色の短髪でスーツをまとっている。ハンター協会に派遣された代役服役者の監視役として、馬淵がリーダーを務めるチームに所属し、ダンジョン攻略に参加する。当初は水篠旬たちにも好意的に接していたが、本性は目的のためなら手段を選ばない冷酷な性格で、不審な行動から旬に警戒されていた。真の目的は服役者たちの皆殺しであり、彼らに恨みを抱く人物から暗殺依頼を受けていた。服役者たちを殺しているところを発見した真島も殺害し、駆けつけた旬や馬淵たちの命を狙う。馬淵を返り討ちにするものの、旬の猛攻の前に敗北して死亡した。
右京 将人 (うきょう まさと)
スカベンジャーギルドに所属するS級ハンターの男性で、筋肉質で屈強な体型の大男。モンスターを狩ることよりも人狩りを楽しむためにハンターを続ける残虐な性格で、ハンター協会にも手に負えないほどの実力を持つ。兄の右京隼人と共にハンターをしていたが、狭苦しい日本を嫌ってアメリカに渡り、隼人とも長らく離れて暮らしている。C級ダンジョンの事件で隼人が死亡して以来、水篠旬が隼人を殺したと疑い、旬を殺すために多忙なスケジュールの合間を縫って日本に帰国。しかし兄の敵討ちというよりは強いハンターと戦うためであり、死人には興味がない。旬がレッドゲートに閉じ込められていたために結局はアメリカに戻ったが、アメリカのゲートで発見された水篠ジュンイチローの尋問を担当することになる。
白川 大虎 (しらかわ たいが)
白虎ギルドの社長で、S級ハンターの男性。赤髪の短髪でスーツをまとっている。当初は水篠旬にあまり興味がなかったが、レッドゲートから無傷で脱出した旬がE級を遙かに超える実力の持ち主であると知ってからは、部下に命じて彼のスカウトを目指すようになった。かつて架南島で巨大アリ討伐に参加したことがある。
朝比奈 りん (あさひな りん)
女子高校生で、水篠葵の同級生。E級ハンターとして覚醒したばかりの新人で、ダンジョン攻略をはじめとするハンター活動に力を入れるために学校をサボっている。ランクが低く将来性が見込めないため、周囲にハンターをあきらめるように言われても地道にハンター活動を続けており、諸菱賢太が結成した攻撃隊に参加する。担任教師に心配されていたことで水篠旬からも一時は止められていたが、E級でも強くなる方法を彼に指導してもらうことになる。レッドゲートのダンジョンで旬の実力を目の当たりにしてからは、彼の強さに見惚れてあこがれを抱くようになる。
水篠 ジュンイチロー (みずしの じゅんいちろー)
水篠旬と水篠葵の父親。日本でハンターをしていたが、長らく行方不明になっていた。ある日突然、アメリカ東部に出現したゲートに現れるが、何年もダンジョン内にいたために髪が伸びてボサボサになっている。発見された経緯により、アメリカのハンター管理局からは人間に化けたモンスターではないかと疑われ、日本語がわかる右京隼人を通して尋問を受ける。その最中に隼人たちにある警告をするが、旬の父親であることに気づいた隼人に勝負を挑まれる。隼人を返り討ちにしたあとはハンター管理局を脱出し、再び行方不明となった。
最上 真 (もがみ しん)
首都圏を中心に活動する巨大ギルド「ハンタース」の代表で、S級ハンターの男性。赤紫色の短髪で眼鏡をかけており、ストライプ柄のスーツを着用している。見た目や口調こそおだやかだが、日本の五大ギルドの中で唯一S級ハンターを二人抱えるハンタースのトップであるとともに、人類最終兵器などと賞賛されるほどの実力を持つ。感覚が鋭く、特に聴覚に優れている。火炎系魔法を使いこなし、魔法一つでビルを軽々と吹き飛ばすほどの威力を誇る。測定不可能な魔力を持つ水篠旬に興味を抱き、スカウトしようと狙っている。
その他キーワード
ハンター
ゲートの影響で覚醒した、特殊能力者たちのこと。E級からA級までのランクに分かれており、さらに高く希少なランクとしてS級がある。E級が最低ランクとされるが、それでもハンターに覚醒していない一般人よりは高い身体能力と耐久力を持っている。現在では一般的な職業として広く知られ、各国のハンター協会という組織によってまとめられている。各所に出現するゲートと共に現れたモンスターの討伐(レイド)に参加したりダンジョンを攻略したりすることで、現金をはじめとする報酬を得ており、ハンター稼業を通して生計を立てている者も多い。また、味方の傷を癒す「ヒーラー」をはじめ、得意分野に応じた職業が割り振られている。成長が見込めずリスクに見合った報酬が少ない低級ハンターの多くは、続けるのをあきらめて辞める者が多い。一方で、特殊な能力を持つハンターや上級ランクのハンターの多くは、ギルドという組織に所属して活躍している。大半は覚醒時に決まったランクのままで活動しているが、まれに「再覚醒」によってランクが上がるほどの力を得る再覚醒者もいる。ハンター協会が持つ専用の測定器で測定された魔力を基にランクが決められているが、ごく一部に、魔力をコントロールすることであえて低いランクで登録しているハンターも存在する。このような方法で魔力を偽って登録した者は「不正登録者」と呼ばれ、虐殺を趣味とする異常者が多いと噂されている。
クエストシステム
水篠旬が高難易度二重ダンジョンで死ぬ間際に獲得した、謎のレベルアップ支援システム。単に「システム」と呼ばれていることが多い。誰がなんのために作ったシステムなのかは不明で、詳細は謎に包まれている。二重ダンジョンから生還した旬の目の前にRPGのような画面が表示されるようになり、筋力やマナ(魔力)をはじめとする各ステータスを数値化した状態で確認できるが、旬以外の者には見えない。デイリークエストやシークレットクエストをはじめとする、旬だけが挑戦できるさまざまなクエストに参加することができ、クリアするとレベルアップが可能。クエスト攻略やレベルアップをするとさまざまな報酬を得られるだけでなく、新たなスキルを獲得することもできる。また、獲得したアイテムを出し入れできるインベントリや、クエストで稼いだシステム内通貨(ゴールド)でアイテムを購入できるストアをはじめ、さまざまな支援機能が利用できる。クエスト以外の場でも人間の殺気に反応し、相手が人間であっても戦わなければならないクエストを発生させることがある。旬はこのシステムを得てから、自分が何かのプレイヤーのアバターになったと推測している。
ゲート
十数年前に現れた、現実世界と異次元をつなぐ謎の扉。ゲート内にはダンジョンがあり、モンスターが潜んでいる。ゲート内の時間の流れは、現実世界とは異なる。大半はダンジョン攻略ごとにハンターを集めてチームが組まれており、ダンジョンの難易度に応じたランクによって、必要な参加人数などいくつかのルールが決められている。見た目から難易度までさまざまな種類のゲートがあるが、ゲートの大きさは難易度に影響しない。ゲート内ダンジョンのランクはハンター協会によって決められているが、一見ランクが低くても最奥が高難易度になっている二重ダンジョンをはじめ、外見だけでは正確なランクがわからないゲートもまれに出現する。また、多くの魔力を帯びて赤く光るゲートは「レッドゲート」と呼ばれており、ゲートを見ただけでは判断できない高難易度ダンジョンにつながっている。ハンターは経験を積めば積むほど攻略のための知識や実力も上がっていき、挑戦するダンジョンのランクが高ければ高いほど、ボスモンスターから得られる魔法石の価値が上がる。ランクの高いモンスターを倒すには難易度の高いダンジョンに行く必要があるが、競争率は高い。出現したゲートへの挑戦権を得るにはダンジョンの価値に見合った大金が必要で、主にギルドをはじめとする組織によって購入されている。ゲートの出現によって溺睡病という今までになかった奇病が現れるなど、ダンジョンやモンスターに限らず、世界にさまざまな影響を与えている。
クレジット
- 原作
-
Chugong
書誌情報
俺だけレベルアップな件 18巻 KADOKAWA〈MFC〉
第1巻
(2019-12-21発行、 978-4040640808)
第2巻
(2019-12-21発行、 978-4040643465)
第3巻
(2020-06-23発行、 978-4040646923)
第4巻
(2020-06-23発行、 978-4040646930)
第5巻
(2021-01-22発行、 978-4046801234)
第6巻
(2021-01-22発行、 978-4046801241)
第7巻
(2021-10-22発行、 978-4046808158)
第8巻
(2021-10-22発行、 978-4046808165)
第9巻
(2022-08-22発行、 978-4046816344)
第10巻
(2022-08-22発行、 978-4046816351)
第11巻
(2023-03-23発行、 978-4046822871)
第12巻
(2023-03-23発行、 978-4046822888)
第13巻
(2023-06-22発行、 978-4046825124)
第14巻
(2023-09-22発行、 978-4046827869)
第15巻
(2023-12-22発行、 978-4046830999)
第16巻
(2024-03-23発行、 978-4046834515)
第17巻
(2024-06-21発行、 978-4046836939)
第18巻
(2024-09-21発行、 978-4046839435)