寄宿学校のジュリエット

寄宿学校のジュリエット

敵対する二つの国の生徒が通うダリア学園を舞台に、互いの生徒達のリーダー格である犬塚露壬雄とジュリエット・ペルシアの、仲間に隠れた秘かな交際を描く純愛ラブコメディ。講談社「別冊少年マガジン」2015年8月号から2017年7月号にかけて連載されたのち移籍し、「週刊少年マガジン」2017年43号から2019年40号まで連載の作品。2018年10月テレビアニメ化。

正式名称
寄宿学校のジュリエット
ふりがな
きしゅくがっこうのじゅりえっと
作者
ジャンル
ラブコメ
 
学園
レーベル
講談社コミックス(講談社)
巻数
既刊16巻
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あらすじ

第1巻

ダリア学園に二つある学生寮、黒犬の寮白猫の寮は、敵対関係にある2国の縮図ともいえる関係で、長年敵対していた。しかし現黒犬の寮・高等部1年のリーダーである犬塚露壬雄は、白猫の寮・高等部1年のリーダーであるジュリエット・ペルシアに密かに恋心を抱いていた。立場と環境から思いを伝える事も許されず、露壬雄は悶々とした日々を過ごすが、丸流千鶴が卑怯な手段でジュリエットを貶(おとし)めようとするのを助けた事をきっかけに、ついに露壬雄は己の思いをジュリエットに告白。ジュリエットはとまどいつつも、露壬雄のまっすぐな思いを受け入れ、二人は表面上は今まで通りいがみ合ったまま、裏でこっそり交際を開始する。しかし、時にプレゼントを渡すだけで寮を巻き込んだ喧騒に発展したり、時にジュリエットが「ジュリ男」に男装して黒犬の寮に潜り込んだりと、トラブルが続出。さらにそんな二人の関係が、シャルトリュー・ウェスティアにバレてしまう。これにより露壬雄はシャルトリューに脅されて下僕同然にこき使われる事となるが、シャルトリューの真意を知る事で一時的に和解する。

第2巻

犬塚露壬雄は、ジュリエット・ペルシアと恋人になった事に浮かれていたが、自分の最も近しい存在である狛井蓮季に隠し事をしているのを心苦しく思っていた。ふだん、黒犬の寮の仲間のために身を粉にして働く蓮季は、自分ががんばるのは大好きな露壬雄の役に立ちたいからだと告白する。それを聞いた露壬雄は蓮季に自らの秘密を打ち明けるが、それを聞いた蓮季は逆上。騒ぎを知り駆けつけたジュリエットやシャルトリュー・ウェスティアを巻き込んだ大騒動へと発展する。蓮季を説得できなかっただけではなく、ジュリエットを巻き込んだ事で露壬雄は自身の不甲斐なさを痛感する。覚悟を決めた露壬雄は蓮季の怒りを真っ向から受け止める。慟哭する蓮季はすべての想いを吐き出し、露壬雄と和解するのだった。そして季節は巡り、ダリア学園は体育祭の時期に差し迫っていた。両国の威信をかけた体育祭は小さな戦争ともいうべきものだが、去年体育祭で失敗を経験した露壬雄は露骨にやる気をなくしていた。しかしジュリエットの激励を受け、露壬雄は真剣に取り組む事を決める。一方、体育祭MVPを狙う生徒達の中には、怪しい動きをする者達がいた。

第3巻

白猫の寮アビ・シニアダリア学園で成り上がるため、両国の官僚も注目する体育祭のMVPを狙う。そのために自らのシンパであるソマリ・ロングヘアードを使って邪魔者であるジュリエット・ペルシアにケガを負わせたり、黒犬の寮の生徒達に睡眠薬を盛ったりと暗躍していた。両親のために体育祭をがんばりたいと言っていたジュリエットにアビ達がケガを負わせたと知り、犬塚露壬雄は闘志を燃やす。そして騎馬戦で露壬雄はふだんは気が合わない丸流千鶴とタッグを組んで、アビと戦う。圧倒的な力でアビを倒し、騎馬戦を制した露壬雄は、延長戦を提案。ジュリエットと騎馬戦で頂上決戦を行う。観客にも熱が伝播する真剣試合となったが、露壬雄はうっかりジュリエットの胸を揉んで敗北。露壬雄は仲間達からもひんしゅくを買って放置されてしまう。しかし、そんな露壬雄のもとにジュリエットが訪れ、二人っきりの後夜祭を過ごすのだった。一方、黒犬の監督生達は露壬雄を問題児として注目し始めており、王胡蝶王手李亞、そして監督生代表であり、露壬雄の兄でもある犬塚藍瑠が露壬雄のもとを訪れる。

第4巻

犬塚露壬雄の行動を怪しんだ犬塚藍瑠によって、露壬雄は1週間の監視処分となってしまう。時悪くジュリエット・ペルシアの誕生日を祝いたいと思っていた露壬雄は、ジュリエットとの関係がバレる訳にはいかず、その行動を大きく制限されてしまう。どんどん悪化する状況に意気消沈する露壬雄だったが、狛井蓮季の懸命な励ましを受けて一念発起。黒犬の寮白猫の寮のいがみ合いを利用して、ジュリエットのもとへとたどり着き、誕生日を祝おうとする。白猫の監督生が出て来る大騒動になったものの、露壬雄とジュリエットは無事に目的を果たし、お互いの絆を確認し合う。しかし、そこに二人の関係を見抜いた藍瑠が登場し、露壬雄を弾劾する。圧倒的な窮地に陥る二人だったが、ジュリエットが機転を利かせ、真剣を用いた勝負を提案。一歩間違えれば死ぬ状況を見せつける事で、身の潔白を証明するのだった。うまく藍瑠の目を欺いた事に安堵した露壬雄は、あやうい現状を再確認し、ジュリエットに世界を変えるための第一歩として監督生を目指す事を誓う。そして騒動が終わり、監視も解けた露壬雄は、監督生を目指すため王手李亞に頼み込み、彼女の雑務係に任命されるのだった。

第5巻

犬塚露壬雄はいつも通り、周囲にバレないように隠れてジュリエット・ペルシアと会おうとするが、その日はいつもと違ってジュリエットの様子が慌ただしい。そして、そこにジュリエットを追いかけてソマリ・ロングヘアードがやって来る。アビ・シニアの仲間だったソマリは、落ち込んでいるところをジュリエットに慰めてもらった事で彼女に懐いたのだ。体育祭の仕打ちを素直に謝罪し、ジュリエットに尽くそうとするソマリだが、パワフルでおバカな彼女に振り回されてジュリエットは疲弊。露壬雄はソマリを止めるべく、彼女のかつての仲間であるアビのもとへ訪れる。体育祭の一件で見る影もなく落ちぶれていたアビは、再起を図るべく、「ミス&ミスタダリアコンテスト」に参加しようとしていた。「自分がソマリに相応しくない」とアビが言ったのをソマリが勘違いしたのを知った露壬雄とジュリエットは、二人の関係を修復すべくソマリにダンスを教えて、参加させようとする。そしてコンテスト当日、アビはソマリと再会し、自分の気持ちを思い出す。仲直りした二人の姿を見て、露壬雄とジュリエットも喜びをあらわにするのだった。

第6巻

犬塚露壬雄監督生を目指すため、苦手な勉強にも力を入れる事を決心する。しかし独力では限界があるため、見かねた狛井蓮季ジュリエット・ペルシアが手伝いを申し出る。手伝いがダブルブッキングした事を言い出せずにいた露壬雄は、隠れて二人から勉強を教わるが、結局バレてしまう。表面上は怒らなかった蓮季とジュリエットだが、その教え方はスパルタ化する。露壬雄は限界が来て、雨の中、逃げ出してしまう。蓮季はそんな露壬雄を探し出し、励ますのだった。ジュリエットのためにがんばる露壬雄を見て、自分の気持ちに区切りをつけようとする蓮季だったが、試験当日、熱を出して倒れてしまう。教室に向かう途中、倒れていた蓮季は、試験を放り出して来た露壬雄に助けられ、自分の気持ちがますます大きくなるのを実感するのだった。そして試験が開け、ダリア学園の生徒達は林間学校に赴いていた。湖畔の森でキャンプを楽しむ生徒達、露壬雄もジュリエットとの時間に思いを馳せる。しかし蓮季は、露壬雄への思いを抱えた悶々と過ごしていた。そして蓮季は羽目を外した生徒が持ち込んだ酒を誤飲して酔っ払い、自分の内に抱えた思いを爆発させてしまう。

第7巻

酔った勢いとはいえ、自分の思いを打ち明けた狛井蓮季は、ジュリエット・ペルシアに宣戦布告。譲れない女の戦いを繰り広げる事となる。林間学校で行われるオリエンテーリングを利用して、蓮季とジュリエットはレースで勝負するが、犬塚露壬雄が強引に1位をもぎ取り、二人のケンカを仲裁するのだった。林間学校をかろうじて和やかに終わらせた露壬雄は、監督生を目指すべく雑務係の仕事に精を出す。そして季節は巡り10月、ダリア学園は学園祭の時期へと差しかかっていた。ジュリエットと学園祭を過ごしたい露壬雄は、アン・サイベルが委員長を務める学園祭実行委員会に副委員長として参加する事を決める。しかし露壬雄は雑な仕事振りをサイベルに見咎められ、副委員長を解任される。逆恨みした露壬雄は自分なりの方法で、サイベルを見返す事を決意する。学園祭の準備でサイベルと張り合うのだった。二人の意地の張り合いによってどんどん進む学園祭の準備。そして一生懸命に準備をする二人の姿は次第に黒犬の寮白猫の寮の生徒達のモチベーションも高め、盛り上げる。そして露壬雄とサイベルはお互いを認め合い、学園祭本番へと臨むのだった。

第8巻

犬塚露壬雄はトラブル続きの学園祭を、実行委員会の副委員長として忙しく駆けずり回っていた。ジュリエット・ペルシアは忙しい露壬雄の邪魔にならないように、「ジュリ男」に変装して会いに行こうとするが、丸流千鶴に見つかってしまう。そしてちょっとした誤解とすれ違いが重なり、露壬雄は丸流がジュリエットを襲っていると勘違いしてしまう。本気のつぶし合いを始めた露壬雄と丸流だったが、ジュリエットが体を張った事で矛を収める。そして本心を語り合った三人は誤解を解き、友人として付き合う事を約束するのだった。そして迎える学園祭最終日、露壬雄とジュリエットはパレードをいっしょに見る約束をする。しかし、ジュリエットの母親であるラグドール・ペルシアが訪れたのを知った露壬雄は、家族水入らずの時間を邪魔しないため、約束を反故にして一人立ち去るのだった。賑やかなパレードに意気消沈して一人参加する露壬雄だったが、そこにジュリエットが現れ、露壬雄はジュリエットと幸せな時間を過ごす。そして学園祭も終わりを迎える後夜祭、ジュリエットは母親を見送っていたが、そこで母親から過去に黒犬の寮白猫の寮で起きた悲恋について教えられるのだった。

第9巻

年の瀬迫る12月、ダリア学園は冬期休暇に入っていた。東和国の実家に帰る事になった犬塚露壬雄は、試しにジュリエット・ペルシアを誘ってみると、意外にも乗り気で二人そろって東和国を訪れる。ジュリ男の恰好で東和国を過ごすジュリエットは、周囲から露壬雄と同性と思われているためトラブル続き。さらに犬塚家の番犬、犬塚朱奈の存在もあり、露壬雄とジュリエットは慌ただしく東和での日々を過ごすのだった。そんな中、ジュリエットは露壬雄の母親である犬塚千和と出会う。ジュリエットの旅の目的は、千和が黒犬の寮白猫の寮の悲恋の当事者であると知り、どうしても確かめたい事があったのだ。そして千和から過去の話を聞いた露壬雄とジュリエットは、関係を続ける勇気をもらうのだった。しかし明くる日、犬塚家に犬塚藍瑠が帰郷する。しかもアクシデントが重なり、藍瑠にジュリエットの正体がバレてしまう。かつてないほど厳しく藍瑠に弾劾される露壬雄だったが、ジュリエットへの思いを貫く事を決意。兄の抱えているものを共に支える決意をぶつけ、露壬雄は藍瑠と和解するのだった。

第10巻

犬塚露壬雄は兄との確執も乗り越え、新たな気持ちで3学期を迎えていた。いつも通りの日常が始まると思われたが、そこに新たな人物が加わる。今まで休学していた狗神玲音が復学し、犬塚藍瑠雑務係に選ばれたのだ。ジュリエット・ペルシア狛井蓮季アビ・シニアスコット・フォールドも雑務係になり、遂に次期監督生選抜戦が本格化するのだった。次期監督生を選ぶ5か月後の選挙に向け準備に入るライバル達、露壬雄はライバル達と時にお互い張り合い、時にお互い学び合いながら雑務係として働く。そんな日々を過ごしていたある日、露壬雄はジュリエットからシャルトリュー・ウェスティアの行動が怪しいという相談を受ける。こっそり喫茶店でアルバイトをしていたシャルトリューを見つけた露壬雄は、彼女からバレンタインにジュリエットにチョコを贈りたいという事情を聞く。紆余曲折の末、シャルトリューを手伝う事になった露壬雄は、彼女がジュリエットにチョコを渡すのをサポートする。そして露壬雄もジュリエットからチョコをもらい、充実したバレンタインを過ごすのだった。

第11巻

今までの努力が実を結び、犬塚露壬雄は生徒達の人望を集め、成績も学年上位に食い込むなど着実に監督生への道を歩み続けていた。そして季節は巡り、新入生が入学する時節となる。2年生となった露壬雄は新1年生の指導係に選ばれ、狛井蓮季の弟、狛井晃葵の率いるグループの面倒を見る事となる。しかし、反発心の強い晃葵にはなにをやっても逆効果で、露壬雄は1年生から嫌われてしまう。打つ手なしと頭を抱える露壬雄だったが、そこに犬塚朱奈が応援に駆けつける。朱奈の助けを借りながら、親睦会として花見の席を設けた露壬雄は、少しずつ1年生と歩み寄り始めるのだった。一方、ジュリエット・ペルシアも新1年生の指導係となったが、1年生のリーダーであるアメリア・カールに嫌われ芳しくない事となっていた。アメリアを理解するためギャル風ファッションを身につけたジュリエットは、正体を隠してアメリアと接触する事で彼女の本音に迫る。そしてお互いを理解し合った二人は、少しずつ打ち解けていくのだった。

第12巻

5月、ダリア学園では遂に次期監督生選抜選挙まで1週間を切り、監督生候補者が出揃った。そして候補者達は、選挙の分水嶺となる全校集会での公約発表を迎える。事前調査では黒犬での支持率が最低だった犬塚露壬雄は準備を整え、楽観して臨む。しかし真剣なライバル達の演説を聞き、露壬雄は気持ちを切り替える。事前に用意した原稿を捨て、自分の気持ちをさらけ出した露壬雄は「校則の見直し」を公約として掲げる。植え付けられた価値観への反逆は黒犬の生徒だけではなく白猫の生徒にまで受け入れられ、露壬雄の支持率は一気にトップに躍り出るのだった。支持率が磐石なものとなり、意気揚々としていた露壬雄は、ふとしたきっかけで狗神玲音の意外な一面と彼女が監督生を目指す理由を知る。露壬雄は玲音のためにも世界を変えると決意を固めるが、玲音は己の野望を実現するため暗躍をしていた。迎えた投票日当日、会場には教師の姿が見当たらず、どこか不穏な雰囲気が漂っていた。そして投票直前の状況で、玲音は2寮の生徒を扇動して暴動を引き起こす。露壬雄とジュリエット・ペルシアは暴動を制止しようと奔走するが、そんな中、玲音によって二人の関係が全校生徒に暴露されてしまう。

メディアミックス

テレビアニメ

20018年10月から2018年12月にかけて、本作『寄宿学校のジュリエット』のテレビアニメ版が、AT-X、毎日放送ほかで放送された。制作はライデンフィルムで、犬塚露壬雄役を小野友樹、ジュリエット・ペルシア役を茅野愛衣が務めており、主役を担当する二人は漫画版の作者である金田陽介の指名によって起用された。

登場人物・キャラクター

犬塚 露壬雄 (いぬづか ろみお)

ダリア学園高等部に通う、仏頂面をした黒髪の男子生徒。黒犬の寮に所属している。頭は悪いが、腕っぷしの強さから同学年のリーダーとして君臨している。ただしふだんはあまり人と絡んだりしないため、ジュリエット・ペルシアのように慕われてはいない。ジュリエットに恋心を抱いており、彼女の悩みを受け入れたうえで、「世界を変える」と宣言して彼女と交際するようになる。敵対する派閥に所属しているため、表向きは敵対しているが、内心では「誰かを好きになる事」だけは否定されたくないと強く思っている。実家は何人もの大臣を輩出した東和国の名門。犬塚藍瑠は実兄で、幼い頃からなにをしても敵わなかった藍瑠には強い苦手意識を抱いている。頭が悪く勉強が苦手。当初は後先を考えず突っ走る事が多かったが、ジュリエットの誕生日以降、監督生を目指す事を決意。王手李亞の雑務係となる。勉学にも真剣に取り組むようになり、1年生の1学期は後ろから数えた方が早い順位だったが、同学年の3学期の期末テストでは学年5位まで上り詰めた。誕生日は4月28日で、血液型はB型。運動神経は抜群だが、カナヅチで泳ぎだけは苦手。

ジュリエット・ペルシア

ダリア学園高等部に通う、金髪碧眼の美少女。犬塚露壬雄とは同学年で、白猫の寮に所属している。ひたむきな性格と文武両道の優秀さから、同学年のカリスマ的なリーダーとして君臨している。ウェスト公国の伯爵家の一人娘だが、貴族制度で男しか世襲できないため、その事で悩んでいる。強さや優秀さを求めるのもここに起因しており、いずれ自分の手で世界を変えたいと思っている。露壬雄の事はライバルと思っているが、自分に対して手を抜くのを「同情」だと誤解して、一時期は彼に対して強い対抗心を抱いていた。しかし露壬雄の告白を聞き、彼の本心に心動かされる。以降は彼と付き合うようになったが、敵対する派閥に所属しているため、表面上は変わらず敵対関係を続け、隠れて付き合っている。露壬雄の提案で、「黒犬」の中等部の男子生徒「ジュリ男」として男装するようになる。ジュリ男になった際には黒いショートカットのかつらをかぶり、中性的な美少年として振る舞ったため、「黒犬の寮」の男女を魅了し、あっさり受け入れられた。以降もたびたびジュリ男として黒犬の寮を訪れている。誕生日は7月1日で、血液型はB型。ティラミスが好物。

狛井 蓮季 (こまい はすき)

ダリア学園高等部に通う、艶やかな黒髪をサイドポニーにした女子生徒。黒犬の寮に所属している。犬塚露壬雄とは同学年で、幼なじみの関係。頭脳明晰で成績は「黒犬」の中ではトップクラス。人の役に立つ事が好きで、他人の嫌がる雑用も率先して行うため、同学年内では屈指の人気を誇る。丸流千鶴ですら彼女を慮(おもんぱか)った行動をするほどで、人望あふれる才媛。露壬雄は幼い頃、自分を変えるきっかけをくれた人物で、密かに恋心を抱いている。その思いは、本来はおとなしい性格だが、露壬雄に好かれたい一心で現在の明朗な性格へと自身を変えたほど。のちに露壬雄に告白するが、ジュリエット・ペルシアと付き合っている事を知らされて逆上。露壬雄が真正面からその思いを受け止めた事で和解し、以降は失恋を受け入れ、「親友」として付き合うようになる。露壬雄とジュリエットの関係を陰ながらサポートしていたが、露壬雄への思いは時を追う毎に大きくなり、林間学校で酒を誤飲した際に爆発。以降はジュリエットに宣戦布告し、お互いをライバルとして意識するようになる。誕生日は10月9日で、血液型はO型。和菓子が好物。

シャルトリュー・ウェスティア

ダリア学園高等部に通う、前髪を長く伸ばしたプラチナブロンドの美女。犬塚露壬雄とは同学年で、白猫の寮に所属している。ウェスト公国の第一王女で、高等部に入学当初はお家の事情で休学していたが、のちに復学した。勉学も運動もそつなくこなし、外面はいいため周囲の評価は完璧超人。だがその実、傍若無人でワガママな性格をしているため、彼女の本性を知る人物からは「暴姫」と呼ばれている。特にスコット・フォールドは彼女の被害によく遭っており、たびたび無理難題を吹っかけられては折檻されている。ジュリエット・ペルシアには恋心を抱いており、自室にはジュリエットの盗撮写真を山ほど抱え込んでいる。そのため、露壬雄がジュリエットと付き合い始めたのを知った時は、その事実を使って露壬雄をゆすって下僕にした。その後、露壬雄にジュリエットの気持ちがバレた事で逆にゆすられる事になるが、気持ちを隠して付き合う事に共感され、お互いに矛を収める事になる。その後は、スキの多い露壬雄とジュリエットの関係を不本意ながら陰でフォローしたりしている。誕生日は11月7日で、血液型はAB型。

王 胡蝶 (わん こちょう)

ダリア学園高等部に通う、黒い髪をツインテールにした少女。小悪魔的な性格で、いたずら好き。王手李亞は双子の妹で、姉妹揃って飛び級し、14歳だが高等部に編入されている。専門は薬学で、通称は「薬学のエキスパート」。黒犬の寮の監督生を務めており、学内の治安維持活動を行っている。年齢の割に優秀で要領がよく、妹のポンコツっぷりをフォローしながらきちんと仕事をこなす。一方、飛び級や監督生のせいで周囲と気安く接する事ができない事をさびしく思う年相応な部分もあり、まっすぐ自分達にぶつかって来る露壬雄の事は好ましく思っている。手李亞の事は本当に大事に思っており、内気で不器用な部分をいつもフォローしている。また、手李亞が露壬雄に好意を抱いているのに気づいており、よくその事をからかっている。一方、発育のよい手李亞にはコンプレックスを抱いており、特に胸の大きさを気にしている。犬塚藍瑠に好意を抱いていると公言するが、藍瑠からは相手にされていない。誕生日は7月7日で、血液型はAB型。

王 手李亞 (わん てりあ)

ダリア学園高等部に通う、黒い髪を長く伸ばした少女。おとなしく内気な性格をしている。王胡蝶は双子の姉で、姉妹揃って飛び級し、14歳だが高等部に編入されているため、犬塚露壬雄にとっては1学年上の先輩にあたる。専門は工学で、通称は「工学のエキスパート」。黒犬の寮の監督生で、学内の治安維持活動を行っている。要領のいい姉とは逆に、一人ではなにもできないポンコツドジっ子。ただ歩いているだけで転び、周囲に被害をまき散らすほど。また恥ずかしがり屋なため、姉がいない状況では知らない人に話しかける事もできない。しかし責任感は人一倍強く、本当に困っている人を目にした場合、迷わず飛び出す実直な性格をしている。優秀な姉にコンプレックスを抱くという点は、同じような境遇の露壬雄に共感される。その後、露壬雄が監督生になれるように、彼を雑務係に任命した。年齢の割に発育がよく巨乳の持ち主。制服を胸が強調するように着ているが、これは胡蝶には胸の事でからかわれたのを真に受けたからで、本当は恥ずかしく思っている。また耳年増で、男性に対しては強い警戒心を抱いている。文化祭以降、露壬雄に明確に恋心を抱く。誕生日は7月7日で、血液型はAB型。機械いじりが趣味。

犬塚 藍瑠 (いぬづか あいる)

ダリア学園高等部に通う男子生徒。犬塚露壬雄の1学年上。精悍なたたずまいをした青年で、質実剛健、文武両道を絵に描いたような優秀な人物。黒犬の寮の監督生代表を務めており、黒犬内では教師に次ぐ権限を持つ。露壬雄の実兄で、腕っぷしの強い露壬雄がなにをしても敵わなかったため、露壬雄からは苦手に思われている。冷静沈着で厳格な性格をしているが、公平中立な視野を持ち、理不尽をよしとしない好人物。そのため、同じ監督生である王胡蝶からも信頼されている。子供や動物には優しいが、愛情表現が不器用でつねに剣呑な雰囲気を漂わせているため、怯えられる事が多い。実は幼くして父親を亡くしたため、政治家一族の名門、犬塚家の長男として並々ならぬ重圧を感じている。政敵やスパイから弟と母親を守るため、それらの重圧をすべて受け入れ、己を磨いたため、尋常ならざる苦労をして来た。現在は家族を守るための気持ちが歪み、犬塚家の名誉を守る事に思考が凝り固まっていたが、露壬雄が実家に帰って来た際に本気の兄弟ゲンカをしたのちに和解。狗神玲音が復学した際に、彼女を雑務係に任命する。

スコット・フォールド

ダリア学園高等部に通う、眼鏡をかけた金髪碧眼の男子生徒。白猫の寮に所属している。犬塚露壬雄とは同学年。ジュリエット・ペルシアに並々ならぬ情愛と忠誠を捧げている。ウェスト公国の中流階級出身で、自身が平凡な事にコンプレックスを抱いていた。これが理由で一時期、素行が悪くなっていたが、ジュリエットが見捨てず接した事で更生した過去を持つ。そのため、ジュリエットに対する愛情はストーカーギリギリと評されるほどで、露壬雄をはじめ周囲から白い眼で見られる事も多い。そのわりに露壬雄とジュリエットが付き合っている事には気づいておらず、ジュリ男に変装したジュリエットにも気づかなかった。シャルトリュー・ウェスティアは天敵で、彼女からよく無理難題を吹っかけられている。ジュリエットが監督生を目指すようになってからは一念発起し、自らも監督生になるべくジャーニー・レックスの雑務係に願い出る。その後、レックスが申し出た試験で、ソマリ・ロングヘアードと対決。ジュリエットを支えたいという一念が認められ雑務係に任命された。以降、レックスの指示で、彼とお揃いのロリータファッションを着ている。

丸流 千鶴 (まる ちづる)

ダリア学園高等部に通う、鋭い目つきをした男子生徒。黒犬の寮に所属している。犬塚露壬雄とは同学年。制服を着崩し、小さな南京錠を左耳にイヤリングのように付けている。目的のためなら手段を選ばないひねくれ者で、古羊英悟、土佐健斗と共に三人でよくいっしょに行動しているため、三人まとめて「3バカ」と呼ばれている。縄張り意識が強く、白猫に対しては敵意をあらわにし、卑怯な手段も嬉々として行う。犬塚露壬雄に対しては自分が敵わない存在として対抗意識のようなものを抱いているが、自分でもそれを素直に認める事ができずにいる。一方、素直に好意を向けられる事には慣れておらず、古羊達に遊びに誘われると断れずに渋々付き合うため、周囲からは「ツンデレ」と評されている。ジュリエット・ペルシアが変装したジュリ男に一度敗北して以降、ジュリ男に強い興味を示す。内心ではジュリ男と友人になりたいと思っているが、素直になれず微妙な気持ちのすれ違いを起こしていた。文化祭で露壬雄を交えてジュリ男と対話、友人となる。誕生日は4月27日で、血液型はA型。

古羊 英悟 (こひつじ えいご)

ダリア学園高等部に通う、長く伸ばした前髪で目を隠した男子生徒。黒犬の寮に所属している。犬塚露壬雄とは同学年。丸流千鶴、土佐健斗と共に三人でよくいっしょに行動しているため、三人まとめて「3バカ」と呼ばれている。丸流に懐いており、彼をよく遊びに誘う。かなり助平な性格をしており、部屋にHな本を隠していたり、温泉を覗きに行こうとする常習犯。そのため、女子からよくひんしゅくを買っている。露壬雄には丸流と共によく絡んでいるが、体育祭で露壬雄がジュリエット・ペルシアに事故でセクハラ行為をしたのを見て、一方的に仲間意識を芽生えさせている。

土佐 健斗 (とさ けんと)

ダリア学園高等部に通う、ガッシリとした体格の男子生徒。黒犬の寮に所属している。犬塚露壬雄とは同学年。丸流千鶴、土佐健斗と共に三人でよくいっしょに行動しているため、三人まとめて「3バカ」と呼ばれている。バナナが好物。

アビ・シニア

ダリア学園高等部に通う、爽やかな雰囲気を持つ赤毛の青年。白猫の寮に所属している。犬塚露壬雄とは同学年。ジュリエット・ペルシアに対立する「アビ派」を率いている。自身の影響力を拡大させるため、体育祭を利用してジュリエットの失脚を狙う。好青年を装っているが、本性は狡猾な手段をためらいなく取る卑劣漢。体育祭では黒犬の生徒に睡眠薬を盛ったり、ジュリエットに事故を装ってケガを負わせたり、卑劣な手段を使ってMVPを狙うが、露壬雄と丸流千鶴に悪事を暴かれ敗北。体育祭後は、白猫内でも居場所がなくなって寮を追放され、自給自足のホームレス生活をするまで落ちぶれていた。ウェスト公国の労働階級出身で、身分ですべてが決まる階級制度を変えたいという思いを持つ。しかしその思いは、力なき者が成り上がるには卑劣な手段に頼るしかないという風に変節していった。落ちぶれたあとは初心を取り戻して反省し、ソマリ・ロングヘアードと共に一からやり直す事を決心する。のちにケット・シィの雑務係に任命された。

ソマリ・ロングヘアード

ダリア学園高等部に通う少女。パンクファッションを好み、メッシュの入った金髪が特徴。白猫の寮に所属している。犬塚露壬雄とは同学年。明るく無邪気な性格をしているが、自他共に認める「おバカ」で、年齢の割に幼い言動が目立つ。華奢な見た目に反して怪力で、身体能力でスポーツ推薦をもぎ取り、ダリア学園に入学した。ウェスト公国の労働階級出身で、アビ・シニアの階級社会を変えるという理念に共感して、彼と行動を共にする。ほかの取り巻きと違い、アビに心底惚れ込んでおり、彼の彼女を自称する。アビの命令なら汚い手段もためらいなく取るほどで、体育祭では彼に命じられてジュリエット・ペルシアにケガを負わせた。純粋で一途な愛情を持ち、アビが落ちぶれ、アビ派が解散したあとも唯一、彼に付き添っている。ジュリエットにケガをさせた事は負い目に感じており、のちにその事をジュリエットに謝罪。懐の深さを見せたジュリエットにも懐いた。アビの助けになるべくジャーニー・レックスの雑務係に願いでて、スコット・フォールドと対決。圧倒的な力で終始優勢に戦ったが、粘り強さを見せたスコットに負けを認めた。誕生日は12月10日で、血液型はB型。

狗神 玲音 (いぬがみ れおん)

ダリア学園高等部に通う小柄な少女。ウェーブのかかった黒のロングヘアに泣きぼくろが特徴的。一人称は「ボク」で、ミステリアスな言動をする。犬塚露壬雄とは同学年。黒犬の寮に所属し、露壬雄や狛井蓮季とは中等部時代からの知り合い。入学時から休学していたが、1年生の3学期に入って復学した。奇妙なカリスマ性を持ち、人心掌握に長ける優秀な人物。復学後、犬塚藍瑠の雑務係に任命され、露壬雄達と次期監督生代表を巡って争う事となる。家では幼いいとこである狗神甲斐と狗神久里の世話をしているため、ふだんの言動から一転してかなり所帯じみた言動をする。喋りも地は方言でなまったしゃべりをし、ふだんの気取った言動もそれを隠すためのものだった。実はウェスト人の母親と、東和民の父親のあいだに生まれたハーフ。その事実を母親と隠しながら東和国で幸せに暮らしていたが、中等部を卒業した日に祖母に母親の所在がバレてしまう。母親は連れ去られ、父親はショックで病気がちになってしまったため休学し、母親を取り戻すため動いていた。横暴な祖母に心無い言葉を浴びせられた事で絶望。狗神玲音のような境遇の人間を生み出さないため、ウェスト公国の徹底排除を考えるようになる。

狛井 晃葵 (こまい こうぎ)

ダリア学園中等部の男子生徒。狛井蓮季の弟で、彼女によく似た利発そうな雰囲気を持つ。同学年の黒犬を束ねるリーダーで、一度怒ると手が付けられなくなる事から「狂犬」として恐れられている。素直になれないが重度のシスコン。蓮季と犬塚露壬雄の関係を疑っており、高等部の黒犬の寮への見学にかこつけて露壬雄の身辺調査をする。丸流千鶴の流したデマと不幸な行き違いがあったが、紆余曲折の末、姉の真意を知り、手を引いた。のちに進級し、高等部1年に編入され、露壬雄の一つ下の後輩にあたる。2年生となり新1年生の指導役となった露壬雄とはたびたび対立しているが、監督生を目指す露壬雄の事を少しずつ認め始めている。白猫の新1年生リーダーであるアメリア・カールとは犬猿の仲。年齢の割りに小柄な事が悩みで、毎日牛乳を10本飲んでいる。また身長の事をいじられると一気にキレる。

犬塚 朱奈 (いぬづか しゅな)

犬塚露壬雄の実家、犬塚家の使用人を務める女性。長い黒髪をポニーテールにした和服美人で、仕事ぶりは非常に丁寧でまじめ。実家は日々の生活に困窮するほど貧しかったが、犬使家に住み込みの使用人として雇ってもらう事で実質的に養ってもらった。その事を強い恩として感じており、犬塚家の人間を敬愛している。特に露壬雄を兄同然に慕っており、彼に誠心誠意仕えるが、その忠誠心が行き過ぎる余り、彼に危害を加える者には一変して凶暴な面を見せつける。そのためついた仇名は「番犬」。幼い頃より、犬塚家に近づくスパイや政敵を撃退した経験から、露壬雄に近づく異性には特に攻撃的になるため、狛井蓮季ですら彼女を苦手に思っているほど。幼い頃、ホームシックになって泣いていた時に露壬雄からもらったヘアピンが宝物で、今でも大切にしている。露壬雄が実家に帰って来た際に、来年度のダリア学園高等部1年に編入する事を報告。また、その際にジュリ男に変装したジュリエット・ペルシアと出会い、正体を知らぬまま交友を育んで行く。黒犬の寮の新1年生として入学後は、露壬雄の一つ下の後輩となり、雑務係として働く露壬雄のサポートを務めている。

ケット・シィ

ダリア学園高等部に通う、金髪を三つ編みに結んだ容姿端麗な青年。白猫の寮の監督生代表で、犬塚露壬雄の一つ上の学年。黙っていれば美丈夫だが、低俗な下ネタを連発するため周囲からの評価は「残念なイケメン」。飄々とした雰囲気を漂わせ、時としてウケ狙いで全裸になるなど変態的行動を取る。その度にアン・サイベルに折檻されたり、当局のお世話になったりしている。白猫の監督生代表だが、その場のノリで隠れて黒犬に情報を流すなど気まぐれな行動を取る事がある。ふだんはおちゃらけているが、その実力は監督生代表に相応しいもので、露壬雄をたやすくあしらうほど。また幼なじみのサイベルには親愛以上の好意を抱いており、彼女を傷つけられるとふだんのおちゃらけた雰囲気からは考えられないほど怒り狂う。

アン・サイベル

ダリア学園高等部に通う、ライトブラウンの長髪をツインテールにした少女。白猫の寮の監督生を務めており、犬塚露壬雄の一つ上の学年。冷静沈着で合理的な性格をし、残念な言動をするケット・シィに鉄拳制裁を加えるため、彼から「つっこみマシーン」のあだ名を付けられている。つねに無表情で淡々とした言動をするが、体力も頭脳も並々外れたものを持つ優秀な人物。文化祭の準備では実行委員会の委員長に選ばれ、あらゆる雑務をテキパキこなし、露壬雄と張り合っても一歩も引かない体力を見せつけた。また一生懸命がんばっている人間なら黒犬、白猫問わず好ましく思う公平な視野を持つため、ファンクラブが作られるほど生徒達に慕われている。実は無類のかわいいもの好きで、私物はファンシーグッズまみれ。自分のキャラに合わないと思って周囲には隠しているが、露壬雄にバレてしまう。誕生日は2月4日で、血液型はA型。

ジャーニー・レックス

ダリア学園高等部に通う男子生徒。白猫の寮の監督生を務めており、犬塚露壬雄の一つ上の学年。フリルとリボンが満載のロリータファッションに身を包んだ筋骨隆々とした大男で、「世界一ワイルドな男」を自称する。女装をしているが、これはオカマという訳ではなく、女性らしい恰好をする事で女子の気持ちを理解し、監督生の仕事をよりよく取り組むためのもの。監督生の仕事への情熱は人一倍強く、非常に男らしい性格をしている。中等部時代は線が細い中性的な美少年だったが、ワイルドな男を目指して鍛え、現在の強靭な肉体を手にした過去を持つ。純粋な腕力では白猫トップクラス。雑務係はジャーニー・レックスと同じ怪力を持つソマリ・ロングヘアードを任命しようとしたが、スコット・フォールドの懸命な願いで試験を実施。根性を見せつけた事でスコットを認め、雑務係に任命した。

アメリア・カール

ダリア学園高等部に通う女子生徒。白猫の寮の同学年のリーダーを務めている。新1年生で、2年生となった犬塚露壬雄の一つ下の学年。制服を着崩したギャル風ファッションに身を包んでいる。実は白猫の寮の寮監の娘。教育ママでしつけの厳しい母親に反発心を抱いており、ふだんの振る舞いはその反発心の表れ。ジュリエット・ペルシアを、母親のいう「優等生」として当初は嫌っていたが、ギャルっぽく振る舞って自分を対等な存在として理解してくれようとするジュリエットに心を許した。以降、ジュリエットの事を、彼女がギャルに変装した際に名乗った「ジュリ」の名で呼び、慕っている。黒犬の寮の狛井晃葵とは犬猿の仲。

獅子 静香 (しし しずか)

ダリア学園高等部に通う、黒のロングヘアをした女子生徒。黒犬の寮に所属している。犬塚露壬雄とは同学年。狛井蓮季、歩米良仁愛と仲がよく、いっしょにグループ行動している。恋バナが好きで、蓮季の恋を応援している。スイーツが好物で、おしゃれが趣味。学園祭の後夜祭では蓮季、仁愛と共に「黒犬歌劇団」を結成し、歌で会場を盛り上げた。

歩米良 仁愛 (ぽめら にあ)

ダリア学園高等部に通う、黒のショートカットをした女子生徒。黒犬の寮に所属している。犬塚露壬雄とは同学年。狛井蓮季、獅子静香となかよしで、よくいっしょにグループ行動している。恋バナが好きで、蓮季の恋を応援している。歌を唄う事が趣味。学園祭の後夜祭では蓮季、静香と共に「黒犬歌劇団」を結成し、歌で会場を盛り上げた。

秋田くん (あきたくん)

ダリア学園高等部の男子生徒。黒犬の寮に所属している。田舎から出て来た、都会にあこがれるロマンチスト。ふだんはかっこつけているが、驚いた時は秋田弁でなまったしゃべり方をする。純情な性格をしており、羅撫美ちゃんに言い寄られた時は満更でもない顔をしていたが、あっさり振られた時はかなりショクを受けていた。

羅撫美ちゃん (らぶみちゃん)

ダリア学園高等部の女子生徒。黒犬の寮に所属している。「超恋愛脳」と称されるほどの恋愛第一主義で、彼氏によって髪形や服装をコロコロ変える。秋田くんと付き合っていた際には、おかっぱ頭の素朴な姿をしていた。秋田くんの前では甘い言動をしていたが、裏では不満をノートに書き連ねるほど溜め込んでおり、学園祭の準備の際に手のひらを返すように別れた。

ターキッシュ・ペルシア

ジュリエット・ペルシアの父親。ウェスト公国の伯爵位を持つ貴族。若かりし頃はダリア学園に通っていた。実は黒犬の寮の生徒と恋仲になった白猫の寮の生徒張本人。犬塚露壬雄の母親である犬塚千和と恋仲になり、周囲に秘密にしながら付き合っていた。若かりし頃は成績優秀で人望も厚い優等生だったが、かなり天然な性格だった模様。高所恐怖症にもかかわらず木に上って降りられなくなっていたところ、千和に助けられて付き合うようになった。最終的に周囲にバレて学園を追放された。

ラグドール・ペルシア

ジュリエット・ペルシアの母親。非常に若々しい容姿をした金髪ロングヘアの美女。娘を溺愛しているが、貴族として相応しく育てるため厳格に接しようとしている。その様は周囲から「ツンデレ」と思われているが、肝心の娘が額面どおりに言葉を受け取ってしまうため、まともに会話が成立しない事もしばしば。犬塚露壬雄には体育祭の時に露壬雄がジュリエットに働いた狼藉を恨みに思っており、最悪の第一印象を抱いている。若かりし頃は、ダリア学園の白猫の元生徒。ターキッシュ・ペルシアと犬塚千和の恋の顛末を知っており、文化祭でダリア学園に訪れた際にジュリエットにその事を教え、警告した。

犬塚 千和 (いぬづか ちわ)

犬塚露壬雄と犬塚藍瑠の母親。黒い髪をシニヨンにまとめた女性で、女性にしてはかなりの長身。夫とは死別しており、息子達を溺愛している。ふだんはダリア学園で寄宿している子供達が、実家に帰って来た際にはうれしさのあまり暴走してしまう。かなり天然でマイペースな性格をしており、藍瑠ですら母親には振り回されている。一方、父親を失った際には見る影もないほど憔悴しており、自身が不甲斐なかったせいで藍瑠に重荷を背負わせた事は負い目に感じている。実は若かりし頃はダリア学園の生徒で、白猫の生徒と恋仲になった黒犬の生徒張本人。ジュリエット・ペルシアの父親であるターキッシュ・ペルシアと恋に落ちたが、最終的に周囲にバレて学園を追放された。辛い事はあったが、恋をした事自体を後悔はしていないと語っている。彼女の言葉はジュリエットに大きな影響を与えている。

場所

ダリア学園 (だりあがくえん)

敵対する2国、東和国とウェスト公国の中間に位置する島に存在する学園。膨大な生徒数と広大な土地を持つ名門校で、両国の生徒が集い学んでいる。小中高の一貫教育で、生徒は学内の学生寮で暮らしながら学ぶため「寄宿学校」とも呼ばれる。学生寮は東和国の生徒専用の「黒犬の寮」とウェスト公国の生徒専用の「白猫の寮」の二つが存在し、それぞれの寮は寮監と監督生によって運営されている。現在は校長が不在なため、寮監は校長の代理も務める。また東和国とウェスト公国の生徒はそれぞれ制服も違い、東和国の高等部生徒は黒を基調としたブレザー、ウェスト公国の高等部生徒は白を基調としたブレザーを着用する。ダリア学園は本来、両国の友好と融和のために築かれたが、東和国とウェスト公国の仲が悪いのは学園に通う子供達も例に漏れず、寮の名前にちなんで「黒犬」と「白猫」の二つの陣営に分かれ、お互いに張り合うのが伝統となっている。学園に通う生徒達はお互いの国の言葉を第一言語として使っているが、学園ではお互いの言語を授業で教えているため、生徒達はお互いの言葉をふつうに理解する事ができるようになっている。

黒犬の寮 (ぶらっくどぎーはうす)

東和国の高等部生徒が暮らすダリア学園の寄宿舎。東和国の文化が色濃く反映された寮で、1階部分には畳の和室や大浴場、談話室、大広間が存在する。一般生徒は基本的に2階から4階で暮らしており、一部屋につき二~三人が相部屋として使っている。

白猫の寮 (ほわいときゃっつはうす)

ウェスト公国の高等部生徒が暮らすダリア学園の寄宿舎。ウェスト公国の文化が色濃く反映された寮で、1階部分にはカフェテラス、シャワールーム、サウナルーム、資料室が存在する。一般生徒は基本的に2階から4階に暮らしており、一部屋につき二~三人が相部屋として使っている。

その他キーワード

監督生 (ぷりふぇくと)

ダリア学園で優秀な生徒だけが就く事ができる特別な役職。単純に成績だけではなく、人望や力、あらゆる面が考慮されて相応しい人物が選ばれる。監督生は教師の代理人としての面もあり、生徒に罰を与える権限をはじめ数々の特権を持つ。実質的な学園の支配者として生徒達からは畏敬の念を向けられている。現在は「黒猫」と「白猫」、それぞれ三人ずつ存在し、投票で選ばれた代表が中心になって運営している。監督生の役職は主に「代表」「副監」「庶務」「会計」の四つが存在するが、現在は三人しかいないため、いずれかが複数の役職を兼任している。また監督生にはいくつか特権が存在し、個室が与えられたり、銀ボタン付きの特別な制服を着用する権利が与えられる。後輩を「雑務係」として任命する事も可能で、後継者として雑務係を導くのも監督係の重要な仕事となっている。監督生になるためには次期監督生選抜戦で、生徒と教師の過半数の支持。さらに前監督生による推薦が必要となる。このため、基本的に次期監督生は雑務係から選ばれるようになっている。

雑務係 (ふぁぐ)

監督生に付き従う生徒が就く役職。監督生の仕事の補助を行う事が主な業務。次期監督生として監督生の仕事を覚える側面もあり、監督生は基本的にこの雑務係の中から選ばれる事が多い。監督生が選べる雑務係は一人につき一人なため、信頼関係を築いた後輩が選ばれる。そのために雑務係を任命する事は「兄弟姉妹の契り」とも生徒達のあいだで言われている。雑務係は男子の場合は「ファグ・ボーイ」、女子の場合は「ファグ・ガール」と呼ばれ、雑務係を任命した監督生は「ファグ・マスター」と呼ばれる。

書誌情報

寄宿学校のジュリエット 16巻 講談社〈講談社コミックス〉

第1巻

(2015-11-09発行、 978-4063955262)

第2巻

(2016-04-08発行、 978-4063956412)

第3巻

(2016-09-09発行、 978-4063957518)

第4巻

(2017-02-09発行、 978-4063958621)

第5巻

(2017-08-09発行、 978-4065101018)

第6巻

(2017-12-15発行、 978-4065105450)

第7巻

(2018-03-16発行、 978-4065110713)

第8巻

(2018-06-15発行、 978-4065116135)

第9巻

(2018-09-14発行、 978-4065126042)

第10巻

(2018-10-17発行、 978-4065129951)

第11巻

(2018-12-17発行、 978-4065134887)

第12巻

(2019-02-15発行、 978-4065141281)

第13巻

(2019-05-17発行、 978-4065148860)

第14巻

(2019-07-17発行、 978-4065153116)

第15巻

(2019-09-17発行、 978-4065164501)

第16巻

(2019-11-15発行、 978-4065173596)

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