フィールド最速伝説IDATEN -韋駄天-

フィールド最速伝説IDATEN -韋駄天-

かつて陸上部に所属していた沢村雄吾が、ラグビーを通じて走る喜びを見出していき、ラガーマンとして大成する姿を描く。「週刊少年マガジン」誌上にて、2000年50号から2001年14号まで連載された。

正式名称
フィールド最速伝説IDATEN -韋駄天-
ふりがな
ふぃーるどさいそくでんせついだてん
作者
ジャンル
ラグビー・アメフト
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概要・あらすじ

両親を相次いで失った沢村雄吾は、弟である沢村裕太との生活のため、得意の足を活かして、やむなく盗みを繰り返していた。彼の逃走劇を直に見ていた墨崎は、彼を捕まえるが、警察に突き出さずに、その走りをラグビーに役立てる気はないかと持ち掛ける。雄吾は、自分自身と裕太のために、ラグビーの世界と向き合うことを決意するのだった。

登場人物・キャラクター

沢村 雄吾 (さわむら ゆうご)

15歳の少年。父親の蒸発、母親の急逝と不幸に見舞われ、弟の沢村裕太のために盗みを繰り返してきた。逃走の際の動きに着目した墨崎によって、ラグビーの日本代表候補としてスカウトされる。父親の不義理が原因で、大人に対して警戒心を抱いているが、一度打ち解けた相手には素直さを見せる。ラグビーに関してはほぼ素人ながら、陸上部に所属していたこともあり、走力には絶対の自信を持っている。 クロス・ステップを駆使して、格上の選手をも軽々と抜き去ることができる。更に、どんな逆境でも諦めることなくトライし続ける精神力と、他の選手より早くトップスピードに到達する加速力も併せ持つ。ウイングとして申し分のない素質と潜在能力を秘めている。

墨崎 (すみさき)

ラグビー日本代表の主将を務める青年。窃盗のため走り去る沢村雄吾を偶然目撃。その走りに大きな興味を持ち、ラグビー日本代表へと誘う。かつて第3回ワールドカップにおいて、代表選手の1人としてオールブラックス戦に出場。圧倒的な戦力差に仲間たちの心が折られても、最後まであきらめず、唯一の得点となるトライを決めている。 日本代表を強力なチームに育てるため、自他共に厳しい姿勢を貫いている。雄吾や梶河秀樹、伊佐玲次など、彼を慕う選手は多く人望も厚い。

沢村 裕太 (さわむら ゆうた)

沢村雄吾の弟。小学生ながらに両親を失い、貧困に苦しんでいる。たった1人の家族となった雄吾を誰よりも強く慕っている。雄吾が盗みに手を染めているのも、ラグビーの選手を目指そうとしているのも、沢村裕太を想ってという部分が大きい。雄吾がラグビー日本代表としてフィールドに立った時は、声を張り上げて応援し、他のファンが雄吾に注目するきっかけを作った。

梶河 秀樹 (かじかわ ひでき)

ラグビー日本代表の選手を務める青年。墨崎は大学の先輩にあたる。関西弁を喋る。沢村雄吾が日本代表に入団するテストで相対する。ラグビーを心の折り合いと考えており、素人の雄吾に対しても手を抜くことなく全力で立ちはだかった。しかし、骨折しているにもかかわらず、不屈の精神力で挑みかかる雄吾に負けてしまう。雄吾が日本代表に選ばれてからは、改めて良きライバルとして認める。

田宮 弘朗 (たみや ひろお)

ラグビー日本代表の元監督。現在は日本ラグビー協会の理事で、大手の銀行の頭取も務めている。第2回ワールドカップで、日本を初の勝利に導いた名監督として知られ、今でもラグビー界における影響力は非常に大きい。沢村雄吾の選手としてのスキルを非常に高く買っており、墨崎の直談判によって、雄吾を日本初のプロ契約選手として採用するため動き出す。

進藤 (しんどう)

東京ラグビー部の監督。墨崎とは旧知の仲で、彼の頼みにより沢村雄吾を練習に参加させる。雄吾の努力を常に間近で見ており、その根性とクロス・ステップを活かした走りに、強い期待を寄せている。一方で雄吾のボールコントロールの不得手さにも気づいており、そちらの矯正にも力を入れている。

進藤 ナオ (しんどう なお)

進藤の娘。東京ラグビー部のマネージャーを務めている少女。沢村雄吾とはかつて同じ中学に通っており、陸上部の仲間同士だった。その頃から雄吾の走りに対する才能を感じ取っていたが、当時は何事にも本気で取り組まない雄吾に落胆していた。久々に再会した時には、雄吾を手厳しい言葉で迎える。

トクさん

東京ラグビー部に所属する男性。ケンカっ早い性格だが男気があり、沢村雄吾の能力を高く評価している。起点を潰されるとクロス・ステップが機能しないという弱点を克服するために、素早いパス回しの特訓を行う。結果、パスをトップスピードでキャッチし、そのままクロス・ステップに繋げるという戦法を編み出すことに成功した。

伊佐 玲次 (いさ れいじ)

ラグビー日本代表の選手。墨崎の次の主将最有力候補と目されている青年。個人技に傾倒することを好まず、自分のチームにスタープレーヤーは要らないという持論を持っている。自分に対しても他人に対しても厳しい性格。いざ試合に出れば不屈の精神力と、ひとつのチャンスを最大限に生かす戦術眼を武器に、最後まで果敢に戦い抜く。沢村雄吾に対しても厳しい言葉を浴びせる一方で、長所と短所をしっかりと見抜いており、時には成長のためのアドバイスを送る場面も見られた。

ダン・ルーガー (だんるーがー)

イングランドの代表選手を務める中年男性。複数のタックルを難なくはじき返し、幅の広いステップを活かした力強い走りを見せる。北半球ナンバーワンのウイングと称されており、墨崎すら上回るパワーとスピードを誇る怪物。

ニコル

ラグビー日本代表の選手。体格に優れた黒人男性。ダン・ルーガーの圧倒的なパワーを目の当たりにして、対策に悩む沢村雄吾に対し、タックルは体格以上に心が重要であると教え、スクラムの練習に誘う。雄吾にとっては故障のリスクを伴う激しい練習であったが、劇的なタックル技術の向上に繋がる。結果的に、雄吾をラグビー日本代表に相応しい選手に育てた立役者の1人となった。

集団・組織

ラグビー日本代表 (らぐびーにほんだいひょう)

ラグビーの日本代表チーム。第3回のワールドカップではオールブラックスに無念の大敗を喫してしまい、現在は崖っぷちの状態にある。主将の墨崎はこの現状を特に強く懸念しており、新たな人材の発掘を急務としている。その一環として沢村雄吾のプロ採用を提案している。

オールブラックス

ニュージーランドの代表チーム。第3回のワールドカップで、ラグビー日本代表と対戦する。前半のみで9回のトライを決めるなど圧倒的な戦力差を見せつけ、日本の選手たちの心を叩き折ってしまう。最後まで食い下がった墨崎の活躍によって、試合終了間際に失点こそするが、133対12という一方的なスコアで勝利している。

東京ラグビー部 (とうきょうらぐびーぶ)

墨崎の大学のOBたちが中心となって活動しているクラブチーム。墨崎の依頼により、沢村雄吾を3か月の間預かることとなる。墨崎率いる大学ラグビー部との練習試合では、雄吾のクロス・ステップが注目されるも、梶河秀樹にクロス・ステップの弱点を突かれて敗れ、一時は雄吾とチームメイトの仲が険悪になってしまう。しかし、次の練習試合では、新たに編み出した作戦で墨崎に勝利し、改めて雄吾の能力を認めた。

その他キーワード

クロス・ステップ (くろすすてっぷ)

沢村雄吾が得意とする特殊なステップ。一切の減速をせず突然90度以上曲がることにより、相手の目からは消えたように錯覚させることができる。かつて一度もタックルをされなかった、という伝説を持つプレイヤー川越藤一郎によって編み出されたが、人並み外れた強靭な足腰と動物的な勘がなければ不可能である、とされている。

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