概要・あらすじ
創部から1年目の私立扶桑高等学校ラグビー部は、不良少年だらけのやる気もない愚連隊のような集まりだった。そこに、女だてらに滅法喧嘩が強い冴木麗緒が監督として現れる。高校ラグビー界の名門として知られる堂園高校との練習試合を繰り返すことで、叶闘志也を中心としたラグビー部はチームとして徐々にまとまっていく。そんな中、試合中に起った不祥事からラグビー部は公式試合には参加できなくなってしまう。
しかし、決して諦めないラグビー精神とともに部員の絆を礎にしながら、叶闘志也は「自分たちが主催する、自由なラグビーの大会」を開催することを決意する。
登場人物・キャラクター
叶 闘志也 (かのう としや)
私立扶桑高等学校の男子生徒で、ラグビー部主将。仕事優先で、病床に臥す母親の病院にも顔を出さなかった父親を恨んでいる。その件を巡って父親を殺しかけ、不良の道へと入った。蓬莱大三に見出されて私立扶桑高等学校に入学し、やがてラグビーの魅力に取りつかれる。
真木 (まき)
私立扶桑高等学校の男子生徒で、ラグビー部員。喧嘩が強く、部員の中では叶闘志也に次ぐ実力を誇る。チームの中でも中心的な人物の1人ながら、叶とは長い間確執が続いている。そのため、他のラグビー部からは、この2人の対立がチームの弱点であると目されていた。しかし和解して、叶とともにチームを引っ張る存在となる。
猫田 (ねこた)
私立扶桑高等学校の男子生徒で、ラグビー部員。小柄ながら、部内では屈指の俊足を誇る。ネコ返りトライという得意プレイを持っており、その身軽さを活かして、さまざまな試合で活躍を見せる。
清水 (しみず)
私立扶桑高等学校の男子生徒で、ラグビー部員。部内では唯一のラグビー経験者。他の部員たちと違って不良めいた雰囲気はまったくなく、冴木麗緒が監督となる前から、ただ1人寡黙に練習に打ち込んでいた。
クマ
私立扶桑高等学校の男子生徒で、ラグビー部員。頭に大きなハゲがある。普段は温厚な性格ながら「ハゲ」と言われると、暴れて手がつけられなくなる。それにより傷害事件を起こし、私立扶桑高等学校のラグビー部に入部した経緯がある。試合中も、ここ一番の場面になると、他の部員に「ハゲ」と呼ばれて限界を超えた力を発揮する。
カニ
私立扶桑高等学校の男子生徒で、ラグビー部員。かつて佐武修とつるんで悪行を重ねていた。ある窃盗事件を起こした時、修らを見捨てて1人だけ現場から逃走し、逮捕を免れ。そのため、修から深い恨みを持たれている。
冴木 麗緒 (さえき れお)
私立扶桑高等学校ラグビー部の女性監督。背が高く体格が良いため、部員たちからは「アマゾネス」とあだ名されている。校長である蓬莱大三から監督就任を依頼された兄の代役として監督になった。格闘技や体操など、さまざまなスポーツに精通している。暴力まがいのコミュニケーションを通じて、部員たちにラグビーに対する情熱を目覚めさせた。
日輪 亜紀子 (ひわ あきこ)
私立扶桑高等学校ラグビー部の女子マネージャー。ラグビーに熱意を燃やすようになってからも、ラグビー以外のことはいい加減な部員たちに手を焼いている。小言を言いながらも部員たちのことを信頼している。将来の夢は医師になること。
蓬莱 大三 (ほうらい だいぞう)
私立扶桑高等学校の校長で創立者の壮年男性。かつてラグビー全日本代表監督を務めた経歴を持ち、ラグビー界に広い人脈を持っている。やさぐれていた頃の叶闘志也と出会って、不良少年を集めたラグビー部の創部を決意する。
白鷺 (しらさぎ)
堂園高校の男子生徒。高校ラグビー界を代表する名門ラグビー部のエース。叶闘志也が主将を務める私立扶桑高等学校ラグビー部の初めての試合相手。当初は私立扶桑高等学校ラグビー部の愚連隊ぶりに呆れていたが、やがてその目覚ましい成長に心を打たれ、ライバル意識を燃やすようになる。
岡部 (おかべ)
久世沢高校の男子生徒で、ラグビー部の中心プレイヤー。ラグビーの強豪国であるニュージーランドでプレイしていた経験があり、ラグビー選手としては傑出した才能を持つ。しかし、あまりにもレベルが高すぎるために、ラグビー部内では浮いた存在になっており、ワンマンプレイに走りがち。
佐武 修 (さたけ おさむ)
東光少年院に収監されている巨漢の不良少年。素行が極めて悪い乱暴者。私立扶桑高等学校ラグビー部の部員の1人であるカニの昔なじみ。窃盗事件を起こして逮捕された時に、カニに見捨てられたことを恨みに思っている。当初はラグビーを「暴力を行使して復讐を実現する手段」としか考えていなかったが、私立扶桑高等学校ラグビー部との死闘を通じ、やがてラグビーの魅力に取りつかれるようになる。
集団・組織
ニュージーランド高校選抜チーム (にゅーじーらんどこうこうせんばつちーむ)
ラグビーの強豪国であるニュージーランドの高校代表チーム。日本の高校生チームがまったく相手にならないほどの圧倒的なチーム力を誇るが、蓬莱大三の要請を受けて、私立扶桑高等学校ラグビー部との練習試合に臨む。試合の前に「ハカ」と呼ばれるニュージーランド先住民族マオリのダンスを踊る習慣があるため、チームは「ウォー・クライ」という別名でも呼ばれている。
場所
菅平高原 (すがだいらこうげん)
長野県の高原地域。ラグビー場が多く存在し、「ラグビーの聖地」として知られている。ラグビーに対してやる気を出し始めた私立扶桑高等学校ラグビー部が合宿に訪れた際、蓬莱大三はあえて彼らにラグビーの練習をさせなかった。自分たちから「ラグビーの練習がしたい」と言い出した部員たちを見て、大三は彼らがようやく本物のラガーマンに育ったことを感じ、誇りに思う。
東光少年院 (とうこうしょうねんいん)
不良少年たちが収監されている男子少年院。私立扶桑高等学校ラグビー部員の中には、かつてここに収監されていた経歴の持ち主が何人かいる。東光少年院の院生たちがラグビーチームを結成したので、扶桑高ラグビー部がその練習試合の対戦相手を務めることになる。
その他キーワード
アマゾネス(プレイ)
私立扶桑高等学校ラグビー部の必殺プレイ。三角形の翼状にプレイヤーが展開して、全員で突進を敢行、そのまま力押しでトライを決めるという強引なプレイ。名前の由来は、同チームの監督である冴木麗緒のあだ名から取られている。
ネコ返りトライ (ねこがえりとらい)
私立扶桑高等学校ラグビー部員の「ネコ」こと猫田の得意プレイ。その身軽さを活かし、跳躍して空中で一回転してトライを決めるというもの。フェイントとして用いてパスに繋ぐなど、さまざまな応用パターンも存在する。