灰と幻想のグリムガル

灰と幻想のグリムガル

謎の世界「グリムガル」で目覚め、自分の名前以外の記憶を失った少年が、同じ境遇の仲間たちとともに「義勇兵」としてモンスターと戦う異世界ファンタジー。十文字青の同名小説のコミカライズ作品で、「月刊ガンガンJOKER」2015年5月号から2016年7月号にかけて連載された。

正式名称
灰と幻想のグリムガル
ふりがな
はいとげんそうのぐりむがる
原作者
十文字 青
漫画
ジャンル
ファンタジー
関連商品
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世界観

ある日、突然わけもわからぬまま異世界「グリムガル」で目覚め、生きるためモンスター狩りの仕事「義勇兵」稼業を始めた少年少女たちの戦いを描く。チーム編成時に誰からも選ばれず「あぶれ者」となった、決して優秀ではないキャラクターたちが主人公で、彼らが仲間の死を乗り越えて一歩一歩成長していく姿が見どころとなっている。

あらすじ

ハルヒロは、ある日、目を覚ますと、自分の名前以外のすべての記憶を失い、見知らぬ世界「グリムガル」にいた。謎の案内役ひよむーに保護され、同じ境遇の11人の少年少女とともに、近隣の都市「城塞都市オルタナ」にたどり着いたハルヒロだったが、そこで「グリムガル」が人間とモンスターが争う、まるでファンタジー作品のような世界であることを知らされる。身寄りのないハルヒロたちは「グリムガル」で生きていくため、モンスターと戦う「義勇兵」という職業に就くことになる。

メディアミックス

小説

2013年6月より、原作小説が刊行されている。原作は十文字青で、キャラクター原案は白井鋭利が担当している。本作『灰と幻想のグリムガル』は、原作小説の2巻までのエピソードをコミカライズした内容となっている。

TVアニメ

2016年1月から3月にかけて、TOKYO MXやABC朝日放送などで中村亮介監督・脚本によるTVアニメ版が放送された。キャラクターデザインは細居美恵子が担当し、ハルヒロ役を細谷佳正、メリイ役を安済知佳、マナト役を島﨑信長が演じている。

登場人物・キャラクター

ハルヒロ (-、-、-、おーるどきゃっと)

ある日、突然謎の世界「グリムガル」で目覚めた記憶喪失の少年。髪型は前髪を目が隠れそうなほど伸ばした茶色のショートカットにしている。周囲からは主に「ハルヒロ」「ハル」「ハルくん」などと呼ばれているが、ランタのみは「パルピロ」という愛称で呼ぶ。盗賊としての通り名は「年寄り猫」。平凡な容姿に平凡な能力の目立たない存在だったが、「グリムガル」で暮らすこととなり、「義勇兵」としてモンスターを狩る生き方を選択。 盗賊の職業に就き、マナト、ランタ、モグゾー、ユメ、シホルの5人とチームを組んで戦うことを決める。しかし「グリムガル」での生活に慣れてきた矢先、リーダー格のマナトがモンスターに殺されてしまう。そしてハルヒロは、リーダーを失ったチームにおいて暫定的にまとめ役を務めることとなり、集団をまとめる難しさやストレスに苦悩しながらも、少しずつ成長していく。 盗賊であるため肉弾戦は得意ではないが、作戦を立ててチームを指揮するなど、知恵を活かして戦う。まれに敵の急所が一本の光る線で見えることがあり、それを「光る線」と呼んでいる。

マナト

ハルヒロの仲間で、チームでは神官を務める少年。ハルヒロらと同時に「グリムガル」で目覚めた、記憶喪失の12人の少年少女の1人でもある。金髪で、髪型は前髪を目が隠れそうなほど伸ばしたウルフカットにしている。穏やかで心優しく、誰にでも親切なリーダーシップ溢れる性格。一方で戦いをゲーム感覚で捉える、危うい一面もある。 ハルヒロとは「グリムガル」到着直後から親しく、他のチームにも加入できたところを、最初に仲良くなったハルヒロたちを選んでチームを組んだ。その後チームリーダーとしてだけでなく、神官として、モンスターとの戦闘中は傷を癒す回復役と、味方を守る盾役を同時に務めており、戦いにおいても大きな役割を果たしていた。しかし、ある日、モンスターの攻撃に倒れて死亡する。 違うチームのキッカワとも親しく、キッカワからは「マナトっち」と呼ばれていた。

ランタ

ハルヒロの仲間で、チームでは暗黒騎士を務める少年。ハルヒロらと同時に「グリムガル」で目覚めた、記憶喪失の12人の少年少女の1人でもある。赤毛の天然パーマで、髪型は額が見えるほど短く切った前髪を、左寄りの位置で分けたショートカットにしている。身長は168cmと男性にしてはやや小柄で、身長と天然パーマをコンプレックスに感じている。 正直で現実的なシビアな思考を持ち、モンスターとの戦いも生きるため、と割り切っている。しかしやや子供っぽく勝手な行動が多いせいで、自己中心的な人物だと誤解されやすく、チームではトラブルメーカー扱いされている。ランタ自身も、他人に嫌われやすいことを自覚しているが、自分が憎まれ役を買ってチームが団結するのであれば、それでも良いと考えている。 そのためハルヒロは、ランタとの関係に悩むことになる。

モグゾー

ハルヒロの仲間で、チームでは戦士を務める少年。ハルヒロらと同時に「グリムガル」で目覚めた、記憶喪失の12人の少年少女の1人でもある。前髪を上げて額を全開にし、髪全体をツンツンに立てている。大柄で力持ちだが、やや気が弱く朴訥とした性格。しかし、怒ると非常に怖い。「グリムガル」到着直後はクズオカに無理やり勧誘され、ハルヒロたちと別のチームに所属していた。 しかしその後、戦力にならないと判断され、お金を奪われて追い出されたところをマナトに誘われ、ハルヒロたちの仲間となった。

ユメ

ハルヒロの仲間で、チームでは狩人を務める少女。ハルヒロらと同時に「グリムガル」で目覚めた、記憶喪失の12人の少年少女の1人でもある。赤毛で、前髪を目が隠れそうなほど伸ばし、腰まで伸ばしたロングヘアを2本の三つ編みにしてまとめている。関西弁に似た独自の口調で話す。シホルとは対照的に、胸が小さいのを気にしている。 明るく親しみやすい性格で、弓の技術はいまいちだが、勇気がある。そのため、戦闘では切り込み隊長を務めることもある。

シホル

ハルヒロの仲間で、チームでは魔法使いを務める少女。ハルヒロらと同時に「グリムガル」で目覚めた、記憶喪失の12人の少年少女の1人でもある。髪色は紫がかった銀髪で、髪型は前髪を目の上で切った前下がりボブヘアにしている。シホル自身は隠したがっているが、胸が大きくスタイルが良い。気が弱く引っ込み思案だが、よく気の付く性格で、敵の足止めなど、妨害工作をする魔法「影魔法(ダーシュマジック)」を得意としている。 そのため、戦闘ではサポートに回ることが多い。想いを寄せていたマナトを亡くしてしまうが、彼の死を乗り越えて成長していく。

メリイ

ハルヒロの仲間で、チームでは神官を務める少女。ハルヒロらと同時に「グリムガル」で目覚めたのではなく、マナトの死後、キッカワに紹介される形でハルヒロたちと知り合った。前髪を目が隠れそうなほど伸ばし、腰まで伸ばした紺色のストレートロングヘアを、左サイドの一部の髪だけ高い位置で結んでいる。見習い義勇兵時代はハヤシ、ミチキ、オグ、ムツミらのチームに所属しており、明るく前向きで、献身的な性格だった。 しかし強敵との戦いの際、自分のエネルギー切れのせいで味方を治癒できず、ハヤシ以外の3人を死なせてしまった。その経験から、責任が自分にあると感じて心を閉ざしてしまった。それ以来、別人のように陰気で冷たい性格になり、特定のチームには加入せず、フリーで神官のいないチームの手伝いをしている。 協調性に欠け、戦闘にも消極的なので評判が芳しくなく、「性悪メリイ」「恐怖のメリイ」などの不名誉な異名で呼ばれている。

ブリトニー

城塞都市オルタナで、オルタナ辺境軍「義勇兵団 レッドムーン」の所長兼ホストを務める若い男性。前髪を真ん中で分けて、左側だけ額から頭頂部にかけて坊主頭にし、右側と後頭部の髪を胸まで伸ばしてゆるく巻いた髪型をしている。顎が2つに割れており、耳にいくつもピアスを付けている。いわゆるオネエだが、「オカマ」呼ばわりされると非常に怒る。 義勇兵たちには「ブリちゃん」と呼ぶように命じている。ひよむーが連れて来たハルヒロたちに「義勇兵団 レッドムーン」の説明を行い、義勇兵見習いとして登録するかを聞く役割をしている。

バルバラ

ハルヒロの先生で、盗賊ギルドに所属する盗賊の若い女性。髪型は前髪を左寄りの位置で分けて右目が隠れるほど長く伸ばし、膝下まで伸ばしたストレートロングヘアで、左目じりにほくろがある。また胸が大きく、露出度の高い派手な服装をしている。美人でセクシーだが極度のサディストで、生徒には容赦がない。「グリムガル」での職業を盗賊と決め、ギルドを訪れたハルヒロに、一から技術を仕込むことになる。

レンジ

ハルヒロたちと同期の義勇兵の少年。ハルヒロらと同時に「グリムガル」で目覚めた、記憶喪失の12人の少年少女の1人でもある。銀髪で、髪型は前髪を上げて額を全開にし、髪全体をツンツンに立てたショートカットにしている。大柄でがっしりとした体型。「グリムガル」到着直後から義勇兵として積極的な動きを見せ、同期の中でも期待の新星として知られる寡黙な実力派。

キッカワ

ハルヒロたちと同期の義勇兵の少年。ハルヒロらと同時に「グリムガル」で目覚めた、記憶喪失の12人の少年少女の1人でもある。前髪を目が隠れそうなほど伸ばしたウルフカットで、生え際の髪色のみ変化している。明るくチャラチャラとした社交的な性格で、一人称は「俺ちゃん」。顔が広く、マナトとはチームは違うが仲が良い。 ハルヒロらからマナトの死を聞きつけ、メリイを紹介する。

クズオカ

モグゾーが以前加入していたチームの少年。髪型は前髪を眉の高さで切ったウルフカットにしている。目が細くいつも閉じているように見えるのと、そばかすが特徴。モグゾーが「グリムガル」に到着し、義勇兵見習いとして登録した直後に、彼を気に入り、無理やり連れていく形でチームに参加させた。しかしその後、戦力にならないと判断すると即座に追い出すなど、陰険で身勝手な性格。

ハヤシ

メリイの元仲間の少年。義勇兵グループ「オリオン」に所属する。職業は戦士。三白眼で、髪型は前髪を上げて額を全開にし、ツンツンに立てたショートカットにしている。義勇兵見習い時代、メリイ、オグ、ミチキ、ムツミと5人でチームを組んでおり、順調に戦績を上げていた。しかしある日死の斑に襲われ、自分とメリイだけ逃げ切って生き残った。 メリイがオグ、ミチキ、ムツミの死に責任を感じていると知っており、それが理由で、メリイが現在の陰気で冷たい性格に変わってしまったことを、非常に気に病んでいる。そのため、酒場で偶然出会ったハルヒロたちに声をかけ、メリイの過去を伝える。

オグ

メリイの元仲間の少年で故人。生前はメリイ、ハヤシ、ミチキ、ムツミとチームを組み、盗賊を務めていた。前髪を左寄りの位置で分け、フードをかぶって頭を覆い、鼻から下は覆面している。防御面に重点を置いた戦いをする。火葬されずにいたため、現在では「不死の王(ノーライフキング)」の呪いにより、ゾンビ化した状態でサイリン鉱山にいる。

ミチキ

メリイの元仲間の少年で故人。生前はメリイ、ハヤシ、オグ、ムツミとチームを組み、戦士を務めていた。髪型は前髪を額が見えるほど短く切ったショートカットにしている。体格はモグゾーに劣るがスピードに優れ、速さを活かして戦う。火葬されずにいたため、現在では「不死の王(ノーライフキング)」の呪いにより、ゾンビ化した状態でサイリン鉱山にいる。

ムツミ

メリイの元仲間の少女で故人。生前はメリイ、ハヤシ、オグ、ミチキとチームを組み、魔法使いを務めていた。前髪を左寄りの位置で分け、胸まで伸ばしたストレートロングヘアを低い位置で2つに結んでいる。炎を操る攻撃に特化した魔法「炎熱魔法(アルヴマジック)」を得意としている。火葬されずにいたため、現在では「不死の王(ノーライフキング)」の呪いにより、ゾンビ化した状態でサイリン鉱山にいる。

ゾディアッくん

ランタの相棒の「悪霊(デイモン)」。人間の頭より二回りほど大きな骸骨のような姿をしており、常に宙に浮いている。人間の言葉を話すが、「不吉」や「死ね」といったネガティブな発言ばかり。気まぐれにしかランタの補助をしないうえ、召喚して30分経つともとの世界に帰ってしまう。しかしランタを大切に想っているようで、彼が危機に瀕した際には懸命に戦う。 昼間に召喚すると、普段よりも戦闘力がワンランク落ちてしまう。

ひよむー

ハルヒロら「グリムガル」で目覚めた記憶喪失の12人の少年少女の案内役を務める少女。前髪を目が隠れそうなほど伸ばし、腰まで伸ばしたロングヘアを高い位置でツインテールにしている。本名は不明だが、一人称も「ひよむー」。「グリムガル」到着直後で混乱しているハルヒロたちを、城塞都市オルタナにある「義勇兵団 レッドムーン」の事務所まで案内する。

死の斑 (でっどすぽっと)

サイリン鉱山に住む、特別な強さを持つコボルド。オグ、ミチキ、ムツミを殺したモンスターでもある。通常のコボルドより大柄で、白黒のまだら模様の被毛をしている。通常のコボルドよりも体が大きいにもかかわらず、通常のコボルドを上回るスピードを誇る。さらに、ダメージを負うほどに戦闘力が上がる強敵。

集団・組織

義勇兵団 レッドムーン (ぎゆうへいだん れっどむーん)

城塞都市オルタナにある義勇兵団。ブリトニーが所長兼ホストを務めている。義勇兵志願者は登録時に銀貨10シルバーと、義勇兵見習いの身分証を受け取り、人間と敵対する種族やモンスターと戦うことになる。義勇兵見習いから正式な「義勇兵」になるためには、ブリトニーに銀貨20シルバーを支払い、団章を手に入れなくてはならない。

場所

グリムガル

ハルヒロたちがある日、目覚めるといた世界。かつてはイシュマル王国、ナナンカ王国、アラバキア王国の3つの人間族の王国が支配していた。およそ150年前に「不死の王(ノーライフキング)」率いる「不死族(アンデッド)」の帝国に攻め入られ、人間の支配は終了した。しかし100年前に、何故か不死であるはずの「不死の王」が死亡。 これにより「不死族」の勢力が衰えた隙を突き、アラバキア王国の人間族が他種族の協力を仰いで「城塞都市オルタナ」を建設。以降、人間の住む場所は大陸の北側の「城塞都市オルタナ」と、天竜山脈を挟んだ向こうにある南側の「本土」に二分された。「不死の王」は滅んだが、「不死の王の呪い」は現在でも生きており、「グリムガル」で亡くなった人間は、火葬など適切な処理をしないと、オグ、ミチキ、ムツミのように、ゾンビ化して人間を襲うようになる。

サイリン鉱山 (さいりんこうざん)

かつて人間族のアラバキア王国が勢力を誇っていた頃に開発されていた鉱山。現在はコボルドに支配されている。オグ、ミチキ、ムツミが死の斑に殺された場所でもある。鉱山内は10層以上の階層に分かれており、1層目の鉱脈はすでに枯渇している。1層奥には縦坑があったが、現在は落盤で埋まっている。義勇兵が2層以降へ向かうには「井戸」と呼ばれる縦穴を、はしごを使って降りるしかない。 2層はレッサーコボルドの居住スペース、4層は食糧基地、5層は精錬所となっている。

その他キーワード

義勇兵 (ぎゆうへい)

人間と敵対する種族やモンスターと戦う職業。義勇兵団に加入した後は、まず見習いからスタートし、特定の条件、例えば「義勇兵団 レッドムーン」であれば、ブリトニーに銀貨20シルバーを支払って団章を手に入れ、一人前の義勇兵として認められる。義勇兵は1人から6人程度のチームを組み、その後、各自が希望する職業のギルド、例えばハルヒロであればバルバラのいる盗賊のギルドに所属して仕事ができるようになる。

コボルド

サイリン鉱山に住むモンスター。人間よりも大柄な、二足歩行の狼のような姿をしている。コボルドには3種類おり、下層階級のレッサーコボルドと中層階級のコボルドは「労働者(ワーカー)」として鉱山で働き、その上に支配階級の「エルダー」がいる。またサイリン鉱山3層にいる「エルダー」は「親方(フォアマン)」と呼ばれ、武装した子分コボルドを連れて行動している。

ヒカリバナ

サイリン鉱山に生えている花。茎は短く、地面から直接花と葉が生えているような姿をしている。発光しており、サイリン鉱山に訪れた者は、ヒカリバナのおかげで明かりなしでも鉱山内が見渡せるようになっている。人間には無害。

クレジット

原作

キャラクター原案

白井 鋭利

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