μ&i

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巨大隕石の衝突によって月が崩壊して以降、子供が生まれなくなった世界に、突如謎の子供みゅうが現れた。偉大な科学者の息子・安代孝志郎が、みゅうを巡って起こる大きな陰謀に巻き込まれていく姿を描いたSFラブコメディ。「ジャンプスクエア」2014年6月号から2016年4月号にかけて連載された作品。

正式名称
μ&i
ふりがな
みゅうあんどあい
作者
ジャンル
その他SF・ファンタジー
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あらすじ

第1巻

終末の金曜日の発生から12年後。大学生・安代孝志郎は静かに絶滅への道を歩み始めている人類を救うための研究をしていたが、その研究を認められず無期限謹慎を言い渡されてしまう。自分を追放した科学者達のやり方に反発する孝志郎であったが、そんな彼のもとに行方不明の父親の知り合いと名乗る忍戸伽夜が訪れる。孝志郎は何者かに追われる忍戸に荷物を託され、強制的に預かる事となってしまうが、その荷物から出て来たみゅうの存在によって孝志郎の運命は大きく変わる。みゅうは現在、唯一の繁殖能力を持った存在で、その存在をテロリスト集団「エーデン」に付け狙われていたのだった。孝志郎はみゅうを守るため、そして父親の手がかりを摑むため、国家機関である「A級機関」に協力する事を決め、彼らと行動を共にする事となる。こうして孝志郎はみゅうとも打ち解け絆を育んでいくが、そこに怪しい影が忍び寄っていた。

第2巻

安代孝志郎は父親の残したメモの暗号を解き、「旧天照研究所跡」に何らかの手がかりがある事を摑む。そして、忍戸伽夜みゅうと共に研究所に赴くが、そこで出会ったのはみゅうを捜す少女たうであった。子供の姿をしていながら圧倒的な力を放つたうとみゅうは、互角の勝負を繰り広げるが、孝志郎が仲裁に入った事でたうは矛を収め、彼らと行動を共にする事を決める。二人の戦いによって研究所は跡形もなく消滅してしまったが、そのお陰で隠された地下を発見。孝志郎はそこから得た情報でみゅうやたうのような「最後の世代」は最低でも六人いる事を知る。そして孝志郎はみゅう達を父親の作った「妹」として幸せにする事を心に決め、父親の痕跡を追う決意を新たにする。みゅうとたうを幸せにすべく、人前でどのように過ごすのか教え、街を探索する孝志郎と忍戸であったが、宗教団体「神童教」の襲撃を受けてしまう。その裏には新たな「最後の世代」時雨の存在があり、気まぐれな彼女の行動に孝志郎とみゅうは振り回されるのだった。

第3巻

神童教の襲撃を受けたA級機関は、みゅうたうの存在をアンドロイドとして世に公表し、その存在をごまかすのだった。また同時に父親の研究の残滓を調べていた安代孝志郎は、人類を救う鍵となる「RAM細胞」の存在に行き着く。「RAM細胞」を作り出すためにも残った「最後の世代」の存在が必要だと再確認した一行であったが、丁度そこに新たな最後の世代であるラムダが出頭して来る。陽気なラムダは孝志郎を「兄」と慕い、彼らの行動にも協力的な姿勢を見せる。そして絆を深めていく一行であったが、そこに総理大臣・八神明日葉の暗殺予告が来た事を告げられる。総理大臣の暗殺を阻止するため、孝志郎はみゅう達と共に総理の護衛をするのだった。

第4巻

総理大臣・八神明日葉の護衛をしていた安代孝志郎であったが、突然のサイバーテロで教育用に開発されたプログラムが暴走。たう達が暴走したプログラムに洗脳され、ピンチに陥ってしまう。さらに、1時間後に洗脳プログラムが日本中に配信される事を知った孝志郎達は、その阻止のため奔走する。プログラムを管理するサーバールームにたどり着いた孝志郎は痕跡から犯人を特定し、洗脳プログラムと化した教育プログラムを正常化する事に成功するのだった。一方、「RAM細胞」の事を知った神童教は一転して孝志郎達に協力の姿勢を見せる。時雨の提案した勝負に勝利した孝志郎は、彼女の細胞と新たな「最後の世代白音の情報を得る。そして一行は白音がいるとされる国内最大の軍産複合体「ジェノシス・コーポレーション」の研究島を目指す。道中、白音の母親を名乗る御空瞳の数々の妨害があったものの、一行は白音と出会い、合流する事に成功する。

第5巻

最後の世代」も五人まで揃い残り一人となったが、六人目が見つからず予断を許さぬ状況だった。世界的な情勢も悪化の一途をたどっていたため、安代孝志郎は一刻も早く六人目を探し出そうと奮起する。そして同時期、仮想空間で訓練をしていたみゅうの意識がバグによって遭難してしまう。広大なネットの海で遭難したみゅうを助けるため、駆けつけた孝志郎はそこで偶然にも父親・安代玄人と出会うのだった。そこで玄人は六人目の「最後の世代」オメガは人類と科学者を何より憎み、復讐しようとしていると語る。孝志郎をオメガの復讐に巻き込まぬため行方をくらませた玄人だったが、自らのもとにたどり着いた孝志郎に真実と自らの意志を語り、彼女達を守るという使命を託した。一方、世界連邦円卓会議では乱入したオメガが科学者達に牙を剝き、宣戦布告するのだった。

第6巻

オメガは自らを生み出した安代玄人の息子である安代孝志郎を標的に定め、孝志郎に近づく。しかしちょっとした偶然から、オメガは孝志郎に一目惚れをしてしまい、みゅうの目の前で孝志郎の存在を奪う。連れ去った孝志郎に複雑な心境を吐露するオメガ。さらに助けに来たみゅうとの掛け合いがきっかけとなり、オメガは自らの力を暴走させてしまう。ブラックホールを生み出し周囲を破壊しつくすオメガであったが、孝志郎の懸命な説得によって和解し、駆けつけた仲間達の助けもあって、遂に「最後の世代」は全員揃う事となった。しかし、オメガの暴走の余波は崩壊した月に及び、人類は新たな滅びに直面するのだった。

登場人物・キャラクター

安代 孝志郎 (あしろ こうしろう)

東京新都大学生命工学部に所属する男子学生。人類の出生率が0%になった理由を調査していたが、世界連邦円卓会議に前時代的な研究と言われ、学校からも無期限謹慎の処分を下されてしまう。その後、忍戸伽夜、みゅうとの出会いを経て「A級機関」で父親・安代玄人の研究を受け継ぐ事となった。「睡眠学習(スリープラーニング)」という特技を持ち、自己催眠で意図的に半覚醒状態に陥る事で、脳の処理能力を一時的に引き上げる事が可能。 そのため、彼が考え事をする際にはアイマスクを被って寝ている姿が要所要所で見られ、寝ているあいだに脳内では情報を高速で分析し、起きた際には天才的な閃きを見せる。「妹萌え」を公言し、みゅう達、「最後の世代」を妹と認識し、彼女達が平和で普通に暮らせるように尽力している。 実は幼い頃に生まれるはずだった妹を交通事故で母親といっしょに失っており、生まれるはずだった妹への思いもあって、みゅう達には幸せになってほしいと真摯に願っている。

みゅう

最後の世代の一人。年齢は6~7歳ほどの少女で、青色の髪をロングヘアにし、長いマフラーをつねに身につけている。鍵付きのトランクの中に入っているところを忍戸伽夜に回収され、安代孝志郎に解放された。記憶がなく、無邪気な性格をしているが、「終末の金曜日」以降に誕生した「最後の世代」と呼ばれる突然変異で、さらには人類に失われた繁殖能力を持つため重要な存在として注目されている。 正体を隠すためアンドロイドの振りをしており、事情を知らない周囲からは高性能なアンドロイドだと思われている。孝志郎に懐き、仲間想いな性格をしているが、幼いながら独占欲も強く、孝志郎がほかの女性となかよくしていると不機嫌になる。自己紹介をする際には自らを「みゅうたん」と呼んでほしいと言っているが、呼んでいるのはオメガのみ。 また記憶が失われる前は、ほかの最後の世代の子供達に独自のあだ名を付け呼んでいた。被験体としての名前は「μ」で、「反法則」は「引力」を自在にあやつる能力。その能力で自分を浮遊させたり、周囲の物を手を触れずに自由に動かしたりでき、本気を出せば地形すら変えるほどの引力を行使できる。

忍戸 伽夜 (おしと かや)

A級機関尋問課に所属する女性で、年齢は18歳。戦闘員として訓練を受けており非常に高い戦闘能力を持っている。安代玄人の助手を務めていたが、やっていたのは専ら家事と護衛で研究内容には詳しくない。玄人の行方を追うため、息子である安代孝志郎と行動を共にし、同時にみゅうの護衛を務めた。その際には周囲に怪しまれないように、孝志郎と同棲する恋人という設定を通した。 サディスティックな嗜好を持っているが周囲には猫を被って隠している。しかし孝志郎に対しては、出会った当初から本性をあらわにした。実は子供が生まれなくなったため起きた「養子競争」の被害者で、家族から金で売られ金持ちの家族として家を転々とした過去を持つ。そのため絆でつながった本当の家族にあこがれを抱いており、孝志郎とみゅう達の関係をうらやましく思っていた。

たう

最後の世代の一人。年齢は6~7歳ほどの少女で、長い金髪をトライテールにしている。利口だが人に対して素直になれない性格をしている。研究所で実験体として過ごした過去から大人に対して強い不信感を見せ、他者に対して壁のある態度で接するがみゅうにだけは心を許している。みゅうの記憶喪失が安代孝志郎の手によるものだと思い、出会った当初は敵対したが、孝志郎の捨て身の説得で誤解を解き、行く当てがなかったため合流した。 孝志郎の事は認めてはいるものの、みゅうの事もあり対抗心をむき出しにしている。正体を隠すためみゅうと共にアンドロイドとして振る舞っており、「アンドロイドコンテスト」に参加した際には優勝を手にしている。被験体としての名前は「τ」で、「反法則」の能力はみゅうと対になる「斥力」。 能力の強さも同等で、自らを浮遊させたりできるほか、対となるみゅうの「引力」と組み合わせる事で、二つの力のつり合った空間を生み出し、対象を拘束する事も可能となっている。

時雨 (しぐれ)

最後の世代の一人。年齢は6~7歳ほどの少女で、おかっぱ頭をしている。上品な物腰をしながらもいたずら好きな小悪魔的な一面を持つ。研究所を抜け出してからは新興宗教「神童教」の教祖に祭り上げられ、信徒達に指示を下していた。神童教の組織力を使い、みゅう達を探し当てたが、みゅうの意思を尊重してその場では手を引いている。 のちに安代孝志郎が「RAM細胞」を発見した事で利害が一致し、自分の提案した勝負に勝った孝志郎達に協力を約束している。普段は友人達をからかって遊んでいるが、みゅう達の事は「からかいがいのある友人」として本当に大切にしている。被験体としての名前は「σ」だが、この名前は嫌っており普段は「時雨」の名を名乗っている。 「反法則」は「圧力」を操作する能力で、時雨自身、頭がいいため、気圧や水圧を操作して水や風を自在にあやつる事もでき、非常に応用力の高い能力となっている。孝志郎の事は自分を負かして屈辱を与えた存在として意識しており、プレッシャーを与えて屈服させようとしたが逆に自滅したため、さらに強く意識してしまっている。

ラムダ

最後の世代の一人。日焼けした活動的な雰囲気を持つ少女で、陽気で人懐っこい性格をしている。逃げ出した「最後の世代」の中で唯一正体を隠して普通の一般人として暮らしていたが、保護者の老夫婦の勧めもあり、「A級機関」に自ら出頭して正体を打ち明けた。安代玄人に自分達の「兄」にあたる安代孝志郎の存在を聞かされていたため、孝志郎には強い好意を向け「お兄ちゃん」と呼んで慕っている。 「最後の世代」の中では最も年上なため発育がよく、性関連の知識に興味がある耳年増。ただし正しい教育が受けられていないため持っている知識は中途半端で、孝志郎に迫っても未遂に終わっている。被験体としての名前は「λ」で、みゅうからは「ラムちん」のあだ名で呼ばれていた。 「反法則」は「波力」をあやつる能力で、電波や超音波を生み出す事ができる。普段はテレビのリモコン代わりくらいにしか能力を使用していなかったため「地味」と評価されていたが、本気になれば「EMP兵器」のように広域にわたり電子機器を封印する事が可能。さらに空気の波を音速で放つ事で対象を粉々に吹き飛ばす「超音波砲」という技も持っている。

白音 (しろね)

最後の世代の一人。金髪セミロングの少女で、本好きのおとなしい性格をしている。母親として接していた御空瞳にその能力と存在を利用されていたが、安代孝志郎に説得されて彼らに合流した。内気な雰囲気を漂わせているが、実は男女問わず誰にでもキスをするキス魔。御空に孝志郎が白音の婿だと吹き込まれたため、初対面の孝志郎にもキスをした。 その後は、孝志郎の説得によって彼を「兄(にい)」と呼んで慕っているが、変わらず好意は向けている模様。被験体としての名前は「ε」で、みゅう達からは「いーちゃん」のあだ名で呼ばれており、自分の事は「みぃ」と呼んでいる。「反法則」は「結合力」を操作する能力で、結合する事で新たな物質を生み出したり、逆に結合力を弱め分解する事で物質を消失させる事が可能。 原子核レベルの結合力を操作する事で核融合を操作する事も可能で、御空は白音の能力を現代の錬金術と称し、莫大な利益を生み出していた。炭素の結合をあやつる事でダイヤモンドよりも硬い「ロンズデーライト」を自在にあやつる事ができ、その防御力は「最後の世代」の中でも随一となっている。

オメガ

最後の世代の一人。年齢は6~7歳ほどの少女で、ホワイトブロンドのロングヘアをしている。自らの夢を奪った科学者への復讐に燃えている。幼い頃は少女漫画が大好きで、妄想癖があるものの純粋に恋を夢見ている。だがある日、「終末の金曜日」で同年代の男の子が存在せず、被験体の自分はどうやっても普通の恋愛ができない事を知る。それに逆上し止めに入ったみゅうと戦闘になり、研究所を破壊した。 その後は科学者を下等な生物に堕落させるための活動をしていたが、少女漫画好きは相変わらずで、安代孝志郎との出会いが少女漫画のシチュエーションに重なり一目惚れ。孝志郎の説得と駆けつけた仲間達の言葉によってもう一度未来を信じる希望を持ち、彼らの存在を受け入れた。 被験体としての名前は「ω」で、みゅうからは「めがっち」のあだ名で呼ばれている。「反法則」は「核力」をあやつる能力で、核を光速で衝突させる事で「MB(マイクロブラックホール)」を生成できる。防御不能な圧倒的な破壊力を誇るが制御は不可能で、小さなMBなら自然と蒸発するが、大きなMBを作ると制御ができず、周囲を無差別に攻撃してしまう。

デレシア

エピロボティクス社製の高性能アンドロイド。スタイルのいい美少女の姿をしており、金に糸目をつけず作られているため関節の継ぎ目もなく、肌の質感など細かい部分も人と寸分違わぬ物となっている。当初は自らを生み出した天野寂尊の妻として行動を共にしていたが、天野が教育プログラム改ざん事件で逮捕され、エピロボティクス社が「ジェノシス・コーポレーション」に吸収されたため、巡り巡って大奥玲二の手元にたどり着き、対最後の世代用特殊擬人兵器(アーミロイド)「スティグマ」として改造されてしまう。 「最後の世代」の攻撃に耐えられるように高い防御力を持ち、その能力を封じるさまざまな仕掛けを持っている。みゅうとの交流以降、人の「愛」に強い興味を示しており、それを模索するうちに少しずつ自我のようなものを形成している。 みゅうが出会った当初は命令以外の行動は取らなかったが、大奥の所にいた際には遂に命令を無視してみゅう達を助ける行動を取るなど、着実に成長している。その後、大奥達が逃亡して行く当てがなくなったため安代孝志郎を「管理者」として定め、彼らのもとに身を寄せてメイドとして働いている。

安代 玄人 (あしろ くろんど)

安代孝志郎の父親で、生命科学の権威といわれる男性科学者。「科学の力で人を幸せにしたい」が口癖で、息子にも秘密にして「A級機関」に所属し、「終末の金曜日」で出生率が0になった原因の究明と対策の研究を行っていたが、超国家級の機密データと共に失踪した。徹底した秘密主義で、助手をしていた忍戸伽夜ですら研究内容は知らされておらず、何らかの方法で「最後の世代」を生み出した事しかわかっていなかった。 実は安代玄人本人は無理がたたって結核によって死亡しており、仮想空間内の自宅に分身となるNPC(ノンプレイヤーキャラクター)を残していた。オメガの存在を危険視し、孝志郎に危険が及ばないように遠ざけていたが、NPCのもとにたどり着いた孝志郎にオメガを含む「最後の世代」を守ってほしいという遺志を託した。

八神 明日葉 (やがみ あすは)

日本の特別臨時総理大臣を務める少女。「終末の金曜日」以降、公式に確認されている人類では最年少の12歳で、人類を導く存在として1歳の頃から英才教育を受けたため非常に優秀な人物。一方、感受性の方は未発達で、羞恥や恋愛感情といったものがなく、異性に肌を見られたり、触られたりしても何も感じない無性愛を発症している。そのため他人を慮る配慮に欠け、「セクシャルマイノリティの更正」のために洗脳紛いの教育プログラムを課して大きな反発を招いた。 天野寂尊の犯行によって教育プログラムが大きく暴走した事件で自らの過ちを認め、性的少数派にも配慮した政策をする事を誓った。またその際にBL(ボーイズラブ)に目覚めた模様。

杜 女々人 (もり めめんと)

A級機関の長官を務める男性。容姿はどこから見ても妙齢の美女にしか見えないが、本来の姿はたくましい肉体を持つ軍人。実は趣味が女装で、戦争で身体の大半が吹き飛んだ際に「理想の身体」である現在の姿に整形手術した。豊胸術を施し骨格すら変える念の入れようで、安代孝志郎も初対面の際には女性と間違えた。モットーは「Be all that you can be(なりたい自分になれ)」で、孝志郎の「妹萌え」も尊重した。 「最後の世代」に関する問題は、危険でありつつも人類の未来にとってなくてはならない存在だと認識しているため、時に冷酷な判断もしているが、孝志郎にあえて噓の情報を開示して発破をかけるなど、彼らに配慮を見せた行動もしている。

猫皮 郁 (ねこがわ いく)

A級機関解析課に所属する女性。ハイテンションな言動が目立つが有能な人物で、組織内が慢性的な人手不足なのもあり、杜女々人が不在の際には長官代理も務めている。優れた知性を持つ美女だが、自分の欲望にはかなり正直で、幼女観察が趣味という倒錯的な部分も持つ。人手不足を名目に子供の姿をしたアンドロイドを侍らせたり、みゅう達の能力を測定する際に何も知らないみゅう達にコスプレさせたり、かなり好き勝手をしている。 みゅう以外の「最後の世代」にも強い興味を示しており、彼女達の入浴中に乱入したりしているため、忍戸伽夜からは変態扱いされている。仮想空間内では10歳の猫耳美少女の姿になり、普段よりさらにハイテンションな言動になる。

御空 瞳 (みそら ひとみ)

日本最大の軍産複合体「ジェノシス・コーポレーション」のCEOを務める女性。「最後の世代」のいた旧天照研究所の設立に深くかかわっており、安代玄人の研究にも協力していた。そのため「最後の世代」の「反法則」の事も把握しており、有益な能力を持つ白音を確保し、その能力を利用して自らの企業を急成長させていた。実は玄人に恋愛感情を抱いていたがふられた過去を持ち、自らの娘といえる白音と安代孝志郎を結婚させる事で自らの叶えられなかった望みを成就させようとしていた。 自らを「最後の世代の母」と称していたが、実際は最後の世代を生み出した装置を作っただけで本物の母親ではなく、その白音本人の意思を無視した自分勝手な行動を孝志郎に指摘され白音に離反されてしまう。 その後は潜り込んで確固たる地位を築いていた世界連邦円卓会議でも、自らの企みが露見し失脚。さらに科学者への復讐に燃えるオメガに大奥玲二と共に捕まってしまった。

大奥 玲二 (おおおく れいじ)

東京新都大学生命工学部に所属する男性教授。安代孝志郎の研究も担当していたが、上からの圧力で彼に無期限謹慎を言い渡した。実はテロリスト集団「エーデン」に所属しており、「最後の世代」を得るために孝志郎を監視していた。その後は、自らの所属していた大学を証拠隠滅のために爆破して雲隠れする。みゅうを手に入れるためたうを送り込んだり、時雨のいる場所を特定して特殊部隊と共に突入したりしたが、それらすべてで返り討ちに遭い、最終的に組織も壊滅。 御空瞳からバックアップを受け、その目的達成に協力しており、組織壊滅後は「ジェノシス・コーポレーション」に身を寄せ、御空の仲間として行動していた。デレシアを「スティグマ」に改造し、「最後の世代」の弱点を突いた攻撃で一時は優位に立つものの、結局は敗北。 その後は科学者への復讐に燃えるオメガに捕まってしまった。

天野 寂尊 (あまの じゃくそん)

アンドロイド開発会社エピロボティクス社の開発部長を務める初老の男性。右目に眼帯をした紳士で、アンドロイドコンテストに参加するみゅうの前に宣戦布告しに現れた。人形に偏執的な愛情を注ぎ込む人形偏愛者(ピグマリオン・コンプレックス)で、自らの作り出したデレシアを妻と公言する。八神明日葉が性的マイノリティを排しようとしたため反発し、教育プログラムを改ざんして、大規模な洗脳事件を引き起こした。 事件終息後に逮捕され、デレシアと引き離されてしまう。

ジャッキー 葦長 (じゃっきー あしなが)

神童教の総長を務める長身の男性。ウサギを模したようなマスコットキャラクターのお面をつねにかぶっているため素顔や年齢は不明で、教祖である時雨に絶対の忠誠を誓っている。時雨達「最後の世代」は崇拝の対象として決して手を触れないと言っているが、覗きや盗撮といった変態行為は日常的に行っているため、その度に時雨にお仕置きされている。 時雨のためなら体を張る事も厭わないが別段強いという訳ではなく、神童教にテロリストが襲い掛かった時は普通に負けていた。

春日井 こはね (かすがい こはね)

明るく元気いっぱいな女子高校生。安代孝志郎達が暮らす春日井荘の大家の一人娘で、ご近所であるみゅう達をかわいがっている。非常にのん気な性格をしており、みゅう達は「とびきり高性能で最新のアンドロイド」であるという説明を真に受け、目の前で「反法則」の力を使われても、いっしょに風呂に入ってもその正体に気づかなかった。 そのため、たうとラムダは警戒するだけ無駄だと悟って普通に接している。こののん気な性格は母親譲りで、春日井の母親もみゅう達に同じように接している。

集団・組織

神童教 (しんとうきょう)

「最後の世代」を崇める宗教法人団体。時雨を教祖として祭り上げ、その命に従って「最後の世代」を探し回っていた。その信徒のほとんどが「小学校の教師」や「おもちゃ屋」「保育士」など子供の存在を失ったのと同時に仕事と夢を失った人々で構成されている。信徒はアニメのキャラクターを模したお面をかぶっており、信徒は幅広い分野にいるため非常に大きな影響力を持っている。 時雨を狙った「エーデン」に襲撃された際に、信徒のほとんどは散ってしまったが、のちに再結集し「真神童教」を新たに結成している。当初はみゅうの存在を狙ったため安代孝志郎と敵対したが、「RAM細胞」の存在を知り、子供が元気に遊べる世界を取り戻すという利害が一致したため協力を約束している。 本拠地は当初は東京大深度地下にあったが、テロリストの襲撃によって放棄。その後は小学校を根城にしていたが、協力体制を築いて以降は孝志郎達が住む春日井荘のとなりのマンションを本拠地としている。

エーデン

国際指名手配中のテロリスト集団。楽園創世機構「エーデン」と名乗り、「最後の世代」と安代玄人の存在を追い、終末の金曜日以降、人類の出生率が0になった原因の究明を妨害している。街中に武装集団を送り込むほど過激な武装集団で、大奥玲二は自らが潜り込んでいた大学を証拠隠滅のために爆破している。時雨を確保するために「神童教」を襲撃したが、時雨に返り討ちに遭い、資金と人員のほとんどを失った。

A級機関 (えーきゅうきかん)

国家のA級脅威に対抗するための防衛機関。現在の長官は杜女々人で、本拠地は「東京スカイポートタワー」の上層部に存在する。普段はテロリスト事件など重大な事件を担当しているが、同時に人類存続の手段を模索しており、安代玄人もA級機関に所属して「最後の世代」の研究をしていた。現在は失踪した玄人を捜索することと「最後の世代」を集めることを急務としており、そのために安代孝志郎を迎え入れた。 国家機関だが世界連邦円卓会議などに科学者の人材を取られ慢性的な人手不足。そのため本拠地にはアンドロイドや警備ロボットが多数配置されている。

イベント・出来事

終末の金曜日 (しゅうまつのきんようび)

とある年の12月21日金曜日、月に巨大隕石「アルテミス」が衝突した事件。これによって月は大崩壊を起こし、因果関係は不明だが、その日を境に人類の出生率が0%になってしまった。このままでは遠からず人類は絶滅してしまうため、この事件は「終末の金曜日」と名付けられた。月の崩壊と人類の出生率低下の関連性は12年経っても解明できておらず、人類はクローン技術研究や人体実験などを行って問題の解決を図っている。 また新たな人類が生まれないという絶望的な空気が社会に蔓延しており、化石燃料の枯渇、貧富の差の拡大なども相まって、世界的な治安悪化を招いている。

その他キーワード

反法則 (あんちろーず)

最後の世代が持つ特殊な能力。みゅうの「引力」やたうの「斥力」など、その能力はそれぞれ固有の物で、物理法則を捻じ曲げる能力であることから「反法則」と猫皮郁が名付けた。能力の発動には交感神経の活発化が条件とされているが、強い恐怖や怒り、ストレスを感じると制御不可能な状態で能力を暴発させてしまう。そのため能力の制御には、交換神経を刺激しつつ誰かを守りたいと思う「愛」が重要とされている。 猫皮はこの能力の制御に必要な「愛」を「好感度」ならぬ「交感度」と言っている。実際、みゅうやラムダは安代孝志郎に甘えた際に、普段より大きな力を発揮した。また逆に副交感神経が活性化すると能力は弱まり、まともに能力を使う事ができなくなってしまう。

最後の世代 (らすとちるどれん)

終末の金曜日以降に新たに誕生した人類。その誕生には安代玄人が深くかかわっているとされ、彼女達の生まれたとされる「旧天照研究所跡」にあった研究の痕跡から最低六人いるとされる。現在確認されている「最後の世代」は全員が6~7歳ほどの少女で、それぞれ固有の「反法則」と名付けられた特殊な能力と、人類に失われたはずの繁殖能力を持っている。 そのため人類を救う存在として多くの人々に注目されている。実は世界を救うとされる「RAM細胞」の被験体で、「RAM細胞」で生まれた人類が繁殖能力を持つかどうかを確かめるのが目的であった。「最後の世代」は染色体の数で23人分作ろうと試みられたが、そのうち、無事に成長したのは六人で、残りの17人は成長せず染色体のまま保管されている。

RAM細胞 (らむさいぼう)

通称「全能性幹細胞」。安代玄人が突然変異によって生み出した細胞で、受精卵と同じで一つの細胞から一個体を形成する事ができる。これを利用する事で体外受精を行って子供を育てる事が可能になるとされ、終末の金曜日以降、絶滅への道を歩む人類を救うとされている。「最後の世代」はこの「RAM細胞」によって生み出されたが、現在オリジナルの「RAM細胞」は紛失してしまっている。 そのため安代孝志郎は研究所に残された17人分の染色体と「最後の世代」六人分の染色体を調べる事で復元しようと試みている。

世界連邦円卓会議 (せかいれんぽうえんたくかいぎ)

各地で行われている世界を救うための研究を報告し合う会議。会議場はオンライン場に存在し、立体映像を出し合って参加する。基本的な方針はクローンの製造、人体改造、人工知能といった方向に舵をとっており、安代孝志郎が終末の金曜日により出生率が0%になった原因を究明しようとするのを、「前時代的」と言って否定した。世界各国に非常に強い影響力を持ち、日本の科学者もほとんどが世界連邦円卓会議に参加し、各地で人手不足を招いている。 その実態は「世界を救う」という建前で科学技術を独占し、「第二次世界」と呼ばれる楽園を科学技術で作り出し、自分達科学者のみを救うというものだった。そのため、障害となる「最後の世代」や「RAM細胞」の存在を認める事はせず、抹消しようと暗躍していた。

人造変異 (にゅーたんと)

科学技術によって肉体を改造された人間を指す言葉。本来は医療向けに開発された技術だが、筋肉細胞の寿命を延ばして強靭な肉体を作ったり、嗅細胞を増やして嗅覚を鋭敏にしたり、用途に応じて肉体の能力を大幅に強化できる。ただし副作用も強く、脳に多大な副作用を与えるとされている。人造変異の強化戦闘兵が「A級機関」で暴れ、コンクリートの壁を素手で壊す圧倒的な怪力を発揮したが、言語野や海馬に副作用が出ていた。

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