概要・あらすじ
魔神が遺した獣人の支配に多くの人々が苦しんでいる世界。気弱な少年のサンタと兄のツキナは、魔獣の支配から脱却するために、世界征服の目標を掲げ、各地を放浪しながら獣人を倒し続けていた。そんな中、とある村民の依頼を受けた2人は、村を支配するトラの獣人を撃破するが、魔呪力を持った親分の報復を受けてしまう。
親分の火炎攻撃でピンチに陥ったツキナを助けるため、恐怖を飲み込んで親分と対峙したが、圧倒的な力量差の前に防戦一方となってしまうサンタ。しかし戦いの中で、自分の腹にある魔神の口から、かつて世界を壊したという武器を取り出せることを知ったサンタは、危険を承知で魔神の口から魔界の剣を取り出し、親分を一撃の下に切り伏せることに成功する。
しかし、激闘の末に激流へと流されたツキナと生き別れてしまった。再会を約束して消えたツキナの言葉を信じ、サンタは1人で獣人を倒す旅を始めるのだった。
登場人物・キャラクター
サンタ
キャップを被ったちょっと臆病で甘えん坊な少年。兄のツキナと一緒に世界を牛耳る魔獣を退治しながら、世界征服を目指して旅を続けている。左手の甲に「0」の番号が刻まれた、魔呪力を受け継ぐアザがあり、腹には魔神の口という、牙の生えた大きな口がついている。母親は人間だが、父親は5年前に世界を崩壊させた魔神。 そのことについてはツキナにも知らないそぶりをしていたが、本当は気付いていた。戦いとなれば、腹痛を理由に逃げてしまう臆病な性格で、ツキナから「弱虫小僧」とからかわれるほどだった。しかしツキナと生き別れてからは、たくましく生まれ変わる。兄弟の目標だった世界征服の野望を果たすため、1人で獣人を倒しながら旅を続けていく。親分との戦いで、魔神の口から取り出した魔界の剣・魔工鳳刀を武器として扱う。
ツキナ
プラチナ色の髪をした少年。サンタの兄。世界征服を目指して、獣人を倒しながらサンタとともに旅を続けている。剣の達人で、普通の人間では到底歯が立たない獣人を倒すことができる猛者。面倒見が良く、懐の深い性格をしており、血の繋がりがないサンタを、実の弟のように可愛がっていた。戦いになると逃げてしまうサンタを、愛情を込めて「弱虫小僧」と呼んでいるが、実力については「オレの10倍スゲー」と評価している。 親分との戦闘の際に川に落とされ、サンタに再会を誓って、激流の渦に姿を消した。
ユウヒ
額に包帯を巻いた鬼の少年。強大なパワーの持ち主で、1人で複数の獣人を叩きのめせるほどの実力を誇る。鬼の生き残りを探して旅をしていたが、森で助けたユキの境遇を不憫に思い、彼女の住むコガネの村を、獣人の襲撃から守るようになった。ユキの作るオムスビ1つにつき、1匹の獣人を倒すことを約束し、残り少ない寿命を村の防衛に捧げようとしていた。 実は魔呪力のナンバー5「魔神の眼」の持ち主で、額の包帯で覆われたもう1つの眼を開放することにより、対象となる相手の動きをすべて見切ることができるようになる。ユウヒの攻撃にもひるまないサンタの存在に、最初は面食らっていたが、のちに力を合わせて村を狙うニャージと戦うことになった。
チュー太 (ちゅーた)
ネズミの姿をした獣人の少年。明るい性格をしたお調子者。他の獣人に襲われているところをサンタによって助けられ、成り行きから一緒に行動するようになった。自称「旅の達人」で、世界の隅々までを旅して回ることを生涯の夢にしている。あちこちを旅しているせいか、かなりの物知りで、鬼の寿命の詳細についてサンタに教えていた。
ユキ
コガネの村に住んでいる少女。獣人に襲われていたところをユウヒに助けられ、お礼にオムスビをあげたことから仲良くなった。残り少ない命を村の防衛に費やしているユウヒのことをとても心配しており、ユウヒが旅立つように促していた。
ニャージ
獣人の組織「ニャージーズ」のボス。猫の姿をした雄の獣人で、手下を使って近隣のを町村を支配している。最後に残ったコガネの村を支配するため、村を守るユウヒを排除しようとしていた。魔呪力ナンバー12「魔神の爪」の持ち主で、岩や鉄でも爪で切り裂くことができる。残虐な性格をしており、例え部下であっても敗者となれば、ゴミのように扱う非情なタイプ。 語尾に「コンチキショー!」と付けるのが口癖。
テッシン
獣人の組織「ニャージーズ」に所属する雄猫の獣人。剣をはね返す鎧を着込んだ重武装の団員で、「甲冑のテッシン」の異名を取る猛者。大柄な体格をしており、ブーミンとのコンビネーション攻撃「鉄肉プレス」で対象を挟み込み、ぺしゃんこに潰してしまう。
ブーミン
獣人の組織「ニャージーズ」に所属する雄猫の獣人。丸々とした肉厚な体格をしており、すべての打撃技をはね返す。そのため、周りからは「肉のブーミン」と呼ばれている。テッシンとのコンビネーション攻撃「鉄肉プレス」で対象を挟み込み、ぺしゃんこに潰してしまう。
ゴロ
犬の姿をした獣人。もともとは、とある家でカンチとサツキの兄妹に飼われていたおとなしい雄犬だったが、魔神の影響で獣人となってしまった。凶暴化はせず、優しい性格のままだった。獣人の姿をサツキが恐ろしがって泣くので家を離れ、近くの森で兄妹を守るために、密かに他の獣人を倒し続けていた。
カンチ
森の中の一軒家で、妹のサツキと一緒に住んでいる少年。ゴロの飼い主で、数年前に獣人となって家を出てしまったゴロに、「俺達はずっと兄弟だよ」と約束している。母親が亡くなった後も、サツキとともにゴロの帰りを待ち続けていた。
サツキ
森の中の一軒家で、兄のカンチと一緒に住んでいる少女。数年前に獣人となってしまった飼い犬のゴロを恐れ、泣き続けていた。それが原因で、ゴロが家を出て行ったことを今も後悔している。毎日エサを用意して、カンチとともにゴロの帰りを待ち続けている。
魔神 (まじん)
5年前に突如として現れ、一瞬にして世界の半分を壊滅させた強大な力を持った魔神。伝説の勇者「アララギケイスケ」によって倒されたが、死の直前に己の血から凶暴な獣人を生み出した。サンタの父親でもある。
ドラゴン
魔呪力を食べて成長する雄のドラゴン。サンタの腹にある魔神の口の中にいた。見た目はとても可愛らしく、その姿を見たニャージからはペット扱いされていた。見た目と裏腹に豊富な知識量を持ち、ニャージとの戦いでサンタが本領を発揮できない理由を、魔剣に魂を注がないことが原因であると看破する。
親分 (おやぶん)
「トラトラ盗賊団」のリーダー。トラの姿をした雄の獣人。部下を倒したサンタとツキナを襲撃した。魔呪力ナンバー7「魔神の炎」の使い手で、あらゆる物を焼き尽くす能力を持つ。強大な力でサンタたちを圧倒するが、魔神の口から武器を取り出すことに成功したサンタに敗北する。
その他キーワード
魔神の口 (まじんのくち)
サンタの腹にある牙の生えた口。5年前に人類を破滅寸前へと追いやった魔神が、魔界の武器を取り出していた口。あまりの破壊力ゆえに、魔神すら使用を控えていたとされている。サンタはこの口から魔剣・魔工鳳刀を取り出すことに成功する。ドラゴンも口の中で暮らしていた。
魔工鳳刀 (まこうほうとう)
サンタが魔神の口から取り出した魔界の剣。魔界でも最高峰を誇る12工のうちの一振りで、人間の魂を食べて成長する。魂を注ぎ込むほどに強くなるが、注いだ者の寿命は減り続けるという、文字通り諸刃の剣でもある。
獣人 (じゅうじん)
魔神が死の直前に、己の血から生み出した動物の進化形。二足歩行に加え、人間のように会話することも可能な生命体。多くの獣人は非常に凶暴で、人間を食料にしたり、食料を集めるための奴隷として使役する。まれに獣人化前の性質を残したままの、おとなしいタイプもいる。
魔呪力 (まじゅりょく)
魔神が持っていた強力な108の能力のこと。指先から稲妻を出したり、大爆風を巻き起こすといった、さまざまな種類が存在する。その力を受け継ぐものは、体の一部に星型のアザがあり、魔呪力の種類に応じた数字が刻まれている。サンタはいずれの魔呪力にも属さない、ナンバーゼロという特殊なアザを持っていた。
鬼 (おに)
獣人を超える強靭な種族。力が非常に強いうえに乱暴者であるため、人間からは疎まれている。寿命が極端に短く、通常は14年しか生きられないが、親の魂を受け継ぐと人間並の寿命を得ることができる。コガネの村人に優しくしてもらったユウヒは、村の防衛に残る寿命を捧げていた。