ロンドンを舞台にした魔法ファンタジー
本作の主な舞台はロンドンだが、魔界や悪魔が存在する世界観となっている。10歳の誕生日を迎える前に母親を亡くしたナツメ・ヒルブライトは、魔界の王子を名乗る謎多き少年・ユピテルと、彼のメイドを務めるグランスと出会う。仮契約の条件としてグランスに母親の思い出のケーキを作ってもらったナツメは、ユピテルのしもべとなる契約を交わし、彼が引き起こす騒動やロンドンで起こる不思議な出来事に巻き込まれていく。ナツメとユピテル、グランスの三人が織りなすにぎやかな日常生活が、ギャグコメディやファンタジーを交えて展開される。
母親を亡くした孤独な少女がしもべとなる
母親を亡くしたばかりのナツメは、ロンドンで優しい父親と友人に囲まれながらも、母親がいないことに寂しさを覚えていた。そんな中で10歳の誕生日を迎えた日、街中で同級生たちにいじめられているユピテルと出会う。ユピテルを助けたナツメは、彼が魔界からやって来た王子であること、人間界で「しもべ」になってくれる人間を探していることを知る。さらにナツメがユピテルのしもべになる仮契約を交わしたことで、美女メイドのグランスが魔界から姿を現す。そしてグランスは「悪魔のレシピ」により、ナツメの母親が作った思い出のケーキを完璧に再現する。
次期魔王の座を巡っての争い
ナツメの向かいに住み始めたユピテルとグランスは、さらなるしもべを探しながらロンドンで生活を送っていた。そしてナツメの友人たちをはじめとする人々にしもべになってもらう代わりに、グランスは「悪魔のレシピ」を駆使し、しもべたちの願いを叶えていく。ナツメたちは平穏な日々を過ごしていたが、グランスが魔界の従事長・ガイアにさらわれたことで事態は急変。ユピテルに協力を求められたナツメは、グランスを助けるためにロンドンの街を奔走する。その際、ユピテルが次期魔王の座を巡って、11人のきょうだいたちと争っていることを知る。そして、ナツメやユピテルの成長ととも共に魔界を取り巻く複雑な事情、謎多き魔女・グランスの過去が物語が進むにつれて明らかになる。
登場人物・キャラクター
ナツメ・ヒルブライト
ロンドンに住む人間の少女。年齢は10歳。赤毛をボブヘアにしている。しっかり者で優しい性格の持ち主。病気で母親を亡くして以来、父親と二人暮らしをしている。優しい父親や友人に恵まれているものの、母親がいない初めての誕生日を迎えることに寂しさを覚えている。魔界からやって来たユピテルからしもべになるように頼まれ、半信半疑ながら仮契約を交わす。「ママのケーキ」が食べたいという、ナツメ・ヒルブライトの願いをユピテルのメイド・グランスに叶えてもらったことで、ユピテルのしもべの一人として彼らと交流を深めていく。
ユピテル
魔界からやって来た魔族の少年で、未来の魔王候補。本名は「ユピテル・ラルウァ・ゲヘナ=ベルゼビュート」。尖った耳と、頭に生えた真っ赤な二本のツノが特徴。姉のメルクルをはじめとするきょうだいが11人もいる。ロンドンでしもべを探していた際に、偶然出会ったナツメ・ヒルブライトとしもべの仮契約を交わす。当初はメイドのグランスとはぐれて一人で行動していたため、魔力が薄れていたが、ナツメと仮契約を結んだことで魔界にいたグランスを呼び戻すことができた。ふだんは舌足らずの幼い見た目ながら、仮契約を結ぶことで、一時的に凛々しい雰囲気に変貌する。
グランス
魔界からやって来た女性で、メイドとしてユピテルに服従する魔女。「悪魔のレシピ」の持ち主で、不思議な道具をあやつる。青みがかった銀髪のロングヘアを大きなお団子にまとめ、頭に黒い二本のツノが生えている。ユピテルにしもべがいない状態では彼の魔力が弱すぎるため、魔界以外ではいっしょに行動することができず、ロンドンに来たばかりのユピテルとはしばらく離れ離れになっていた。ナツメ・ヒルブライトの願いを叶えたことで、彼女がユピテルのしもべになる契約を交わし、しばらくはロンドンに住むナツメのとなりの家でユピテルと暮らすことになる。