幼なじみとの約束
子どもの頃、立花雫や東條昴とスーパースターになる夢を誓い合った鈴木頼だったが、二人には何も告げずに引っ越して音信不通となっていた。それから10年後、16歳となった頼は東京の高校に転校することになり、雫と昴に再会する。雫は売り出し中の新人アイドル、昴は人気若手俳優となって着実に自分の夢に向かって邁進していたが、頼は二人との約束を忘れたフリをして夢も希望も失っていた。頼は自分のふがいなさに気持ちが折れそうになるが、雫への恋心を捨てきれずに、彼女を支えるべく雫の付き人となる。そして雫の現場に同行したことがきっかけで、俳優としての第一歩を踏み出すことになる。
三者三様の恋愛模様
東條昴は若くして超人気俳優へと上り詰め、新人アイドルの立花雫よりもさらに先のステージでスポットライトを浴びていた。昴は雫への好きアピールを繰り返しているものの、幼なじみの距離感の近さに慣れた雫にはなかなか伝わらず、二人は友人以上恋人未満の関係が続いていた。鈴木頼にとって久しぶりに再会した昴は、恋敵であるのと同時に自分の夢に向かって突き進む手の届かない存在だった。頼は友情と嫉妬の狭間に揺れながらも、誰よりも自分のことを認めてくれている昴に心を奮い立たせ、再び芸能界の道に進むことを決意し、幼なじみ三人の恋と夢が複雑に絡み合う。
地味系男子の新たなる決意
鈴木頼はふだんは地味で冴えない眼鏡男子だが、演技に集中するとイケメン俳優へと豹変する。天性の素質に恵まれた頼の圧倒的な演技力は観客を魅了し、人を惹きつける魅力にあふれていた。そんな中、東條昴の代役を引き受けたことが話題になり、すぐに芸能界で頭角を現すようになる。幼なじみ三人は芸能界に翻弄されながらも大きな変化を迎えるが、頼は幼い頃から抱いていた雫への思いを募らせていく。
登場人物・キャラクター
鈴木 頼 (すずき より)
とある高校に通う1年生の男子。もっさりした髪型に眼鏡をかけた地味な見た目をしている。年齢は16歳。子どもの頃、立花雫や東條昴とスーパースターになる約束を交わした。雫に恋心を抱いており、彼女が芸能界を目指すという夢に同調して鈴木頼自身も芸能界を目指していた。しかしオーディションに落ち続け、引っ越しも重なったことで、いつしか夢をあきらめていた。雫と10年ぶりに再会し、彼女の付き人としてCM撮影に立ち会ったことをきっかけに再び芸能界を目指すようになる。実は眼鏡を外すとかなりの美形で、モデルのような体型をしている。演技に関しては天性の才能を持ちながらも、制作側がその才能を理解できずに、オーディションに落ち続けていた。本気を出した頼の演技には誰も敵わないと、子役時代を知る昴から評されている。
立花 雫 (たちばな しずく)
とある高校に通う1年生の女子。桃色の髪をセミロングにしている。年齢は16歳。子どもの頃、鈴木頼や東條昴とスーパースターになる約束を交わした。売り出し中の新人アイドルとして芸能界で活躍している。人形のような可憐な容姿とは裏腹に男勝りで、頼からは「猿山のボスザル」と揶揄されている。現在もガキ大将的な性格はそのままで、くだけた態度で二人に接している。アイドルとして売れ始めたばかりのため、仕事を選ぶこともできず、気の進まないグラビアアイドルの仕事もこなしている。表向きは強がっているものの、芸能界の理想と現実の大きなギャップに悩んでいる。
東條 昴 (とうじょう すばる)
とある高校に通う1年生の男子。年齢は16歳。金髪と甘いマスクで、王子様オーラを漂わせている。子どもの頃、鈴木頼や立花雫とスーパースターになる約束を交わした。三人の中ではムードメーカー的な存在で、軽はずみな言動で雫にツッコミを入れられていた。雫を大好きだと公言しているが、つねに女性をナンパしているため、雫からは冗談だと思われている。子役時代から頼の才能を誰よりも評価しているため、彼を役者としても恋敵としてもライバル視している。舞台の公演間近にケガを負ってしまい、その代役を頼に任せた。その公演が大成功を収めたこともあり、この騒動が頼が一気に注目を浴びるきっかけとなった。そして、同じステージに立った頼にあらためてライバル宣言し、雫への告白を決意する。
書誌情報
あのコの、トリコ。 6巻 小学館〈フラワーコミックス〉
第1巻
(2014-01-24発行、 978-4091357489)
第2巻
(2014-04-25発行、 978-4091358844)
第3巻
(2014-07-25発行、 978-4091361738)
第4巻
(2014-12-26発行、 978-4091365873)
第5巻
(2017-07-26発行、 978-4091393661)
第6巻
(2018-09-26発行、 978-4098702220)