概要・あらすじ
大衆演劇の役者だった主人公竹村雲母は、その才能を映画監督実相寺明男に見出され、大作映画ジーザス・クライストの主役に大抜擢される。当初は、演技も未熟で主役を疑問視されていた竹村雲母だったが、その型にとらわれない演技は次第に周囲を魅了していく。映画は完成し、ジーザス・クライストは大傑作との評価を受けるが、撮影中の事故で竹村雲母は役者の命ともいうべき顔に深い傷を負ってしまう。
一時は役者生命も危ぶまれた竹村雲母だったが、プロダクションを移籍し、テレビドラマの俳優として新たなスタートを切る。そんな中、彼を主役にした映画お梅の恋の企画が持ち上がる。
登場人物・キャラクター
竹村 雲母 (たけむら きらら)
大衆演劇竹村一座で女形をしていたところを、映画監督実相寺明男に見い出され、映画ジーザス・クライストの主役イエス役に抜擢される。俳優としては素人同然で、当初は配役を疑問視されていたが、役が憑依したかのような演技で周囲を虜にしていく。撮影中の事故で左頬に大きな傷を負い、それが原因で役者生命の危機に。 しかし、所属していたノベプロからアクションが売りの黒岩プロモーションに移籍し、見事再起を果たす。女好きで、共演する女優と男女の仲になることも多い。
実相寺 明男 (じっそうじ あきお)
主人公竹村雲母の才能に目を付け、無名の新人である彼を自分が監督する大作映画ジーザス・クライストの主役に抜擢する。こだわりが強い職人気質の監督で、演技に対しても一切妥協しない。ジーザス・クライストの撮影では、竹村雲母から限界を超えた演技を引き出すため、重りを仕込んだ十字架を背負わせたり、本物の鞭で鞭打ちしたりと、過酷な撮影を強いた。 名前のモチーフは実在の映画監督、実相寺昭雄と思われる。
中条 達彦 (なかじょう たつひこ)
芸能プロダクションノベプロに所属する俳優。演技の勉強をするため半年間渡米していたが、映画ジーザス・クライストの主役イエスを演じるために帰国。しかし、監督の実相寺明男がイエス役に主人公竹村雲母を抜擢したため、ユダ役に回される。当初は大衆演劇出身の竹村雲母を下に見ていたが、その演技に影響され、次第にライバル視するようになる。 撮影中、芝居に熱が入るあまり、竹村雲母の左頬を斬り、傷を負わせてしまう。
薬丸 ケイ子 (やくまる けいこ)
主人公竹村雲母が主役を演じた映画ジーザス・クライストで、マグダラのマリア役を演じた女優。19歳。清純派女優からの脱却を模索しており、初の汚れ役であるマグダラのマリアでそのきっかけをつかもうとする。破天荒な竹村雲母に興味を持つ。名前のモチーフは、実在の女優、薬師丸ひろ子と思われる。
野辺 冴子 (のべ さえこ)
大手芸能プロダクションノベプロの社長。芸能界ではやり手として知られ、一目置かれている。主人公竹村雲母の才能に目を付け、ノベプロに入れる。竹村雲母がほしいという黒岩プロモーションからの申し出に対し、当初は頑として拒否していたが、竹村雲母の「いずれは社長に黒岩プロモーションをプレゼントしたい」という言葉で決心を固め、移籍を許可する。
黒岩 英雄 (くろいわ ひでお)
芸能プロダクション黒岩プロモーションの社長。同プロダクションの看板俳優も務める。映画ジーザス・クライストの撮影で顔に傷を負った主人公竹村雲母を黒岩プロモーションに引き抜き、テレビドラマ太陽の刑事のクリスチャン役に起用する。黒岩プロモーション所属の監督夢野万作の発案で、竹村雲母を主役にした映画お梅の恋の制作に着手する。 俳優で石原プロモーションの社長でもあった石原裕次郎がモデルと思われる。
夢野 万作 (ゆめの まんさく)
芸能プロダクション黒岩プロモーション所属の監督。女性を撮ることを得意としている。会社に主人公竹村雲母を主役にし、怪談四谷怪談をテーマとした映画お梅の恋の企画を提案。様々な策を弄して企画を通し、自らメガホンを取る。物腰は柔らかいが、自分の納得する映画を撮るためならどんな手も使う。 名前のモチーフは、実在の作家、夢野久作と思われる。
菊池 英子 (きくち えいこ)
芸能プロダクションテアトルプロに所属するトップアイドル。母は往年の大女優。映画お梅の恋で、主人公竹村雲母の民谷伊右衛門に恋するお梅を演じた。役を通して竹村雲母に惹かれていき、彼を強く想うようになる。激しい濡れ場にも挑戦し、アイドルから女優へと成長する。 名前のモチーフは、実在の女優、菊池桃子と思われる。
岩上 志保 (いわかみ しほ)
数々の名作に出演してきた大女優。29歳。映画お梅の恋で、主人公竹村雲母が演じた民谷伊右衛門の妻、お岩を熱演した。恋愛に奔放で、監督や共演者とのゴシップも多い。撮影が進むに連れ、竹村雲母に惹かれ、彼と男女の仲になる。名前のモチーフは、実在の女優、岩下志麻と思われる。
パメラ後藤 (ぱめらごとう)
ハリウッドで活躍する監督兼シナリオライター。シナリオライターとしての評価は高いが、監督としてはイマイチ。映画お梅の恋での主人公竹村雲母の演技を見て、彼を自分の映画の主役に抜擢する。竹村雲母を主役にした獣人キララでは、監督だけでなく女優として主人公の相手役も務めた。
その他キーワード
ジーザス・クライスト
『アクター』に登場する映画。海外で大ヒットしたミュージカルジーザス・クライスト・スーパースターを映画化したミュージカル映画。当初はノベプロの中条達彦が主役のイエスを演じる予定だったが、監督実相寺明男の意向により、主人公竹村雲母に変更された。上映時間4時間35分の大作として完成。 角丸映画とノベプロが制作、黒岩プロモーションが興業兼を獲得し、大ヒットを記録した。映画化もされた実在のミュージカル「ジーザス・クライスト・スーパースター」がモデルと思われる。
太陽の刑事 (たいようのけいじ)
『アクター』に登場するテレビドラマ。主人公竹村雲母が移籍した芸能プロダクション黒岩プロモーション制作の、アクションが売りの刑事ドラマ。竹村雲母はクリスチャンというあだ名の刑事を演じた。石原裕次郎らが出演した刑事ドラマ「太陽にほえろ!」がモデルと思われる。
お梅の恋 (おうめのこい)
『アクター』に登場する映画。怪談四谷怪談を題材にしたポルノ映画で、黒岩プロモーションが制作。監督は同プロダクションの夢野万作。主人公竹村雲母が主役の民谷伊右衛門、その妻お岩を女優岩上志保、民谷伊右衛門に想いを寄せ、お岩を毒殺するお梅をアイドルの菊池英子が演じた。 竹村雲母と岩上志保菊池英子の2人との濡れ場が見所のひとつ。
獣人キララ (じゅうじんきらら)
『アクター』に登場する映画。ハリウッドで活躍するパメラ後藤が監督したSF映画。主人公竹村雲母が主役の獣人キララを演じた。205X年のメガロポリス東京を舞台に、獣人キララが活躍するというストーリーで、取り壊し寸前のビルをオープンセットとして使うなど日本映画としては異例の、スケールの大きな作品になった。