作品の概要
基本情報
仲村佳樹の代表作。
要旨と舞台設定
人気歌手として成功していた幼なじみの不破尚に思いを寄せていた16歳の少女・最上キョーコが、芸能界に入り新たな出会いを通じて自らの才能を開花させていく物語。自分のことは二の次にして尚に尽くしてきたキョーコが、彼に単なる家政婦代わりとして都合よく利用されていたことを知り、同時に彼に捨てられるところから物語が始まる。
ストーリー展開
尚に自らの思いを裏切られたキョーコは、芸能界入りして復讐しようと大手芸能プロダクション「LME」のオーディションに参加するが、「愛する心と愛されたいと思う心が欠けている」という理由で落選してしまう。しかし、彼女の才能を見出したLMEの社長、ローリィ宝田の手により、キョーコは「ラブミー部」という特別なグループに所属することとなる。当初は尚への復讐を目的としていたキョーコだったが、次第に演技の面白さに目覚め、芸能界で成長していく。
ジャンル的特徴と位置づけ
本作は芸能界を舞台に、演技や芸能活動を通じた人間関係の変化や、自己発見のプロセスを描くサクセスストーリー。特に、人気俳優の敦賀蓮との関係性の変化が重要な要素となっている。
作品固有の表現技法と特徴
物語の表現手法として、キョーコの感情の起伏を小悪魔のような霊的存在として視覚化する独自の手法が用いられている。また、芸能界の裏側や演技指導のシーンでは、専門的な技術や知識が詳細に描かれる。
世界観の構築と設定
作品世界では、「LME」と「アカトキ」という二大芸能プロダクションを中心に、芸能界の階層構造や人材育成システムが緻密に設定されている。そして、テレビドラマや映画、CMなど、さまざまな芸能活動の現場がリアルに描写されている。
連載状況
白泉社「花とゆめ」2002年3号から連載。
受賞歴
2017年から2022年(5年連続)「白泉社電子書籍大賞」優秀賞。
メディアミックス情報
テレビアニメ
第1期:2008年10月から2009年3月までテレビ東京系にて放送。
ゲーム
PlayStation2『スキップ・ビート!』:2009年5月28日に5pb.より発売。
テレビドラマ
『華麗的挑戦』(邦題『スキップ・ビート! ~華麗的挑戦~』):2011年12月から2012年4月まで台湾で放送。
あらすじ
登場人物・キャラクター
最上 キョーコ (もがみ きょーこ)
16歳のショートヘア・茶髪の少女。思い込んだらまっすぐで根性がある。物事に真剣に向き合う性質。幼なじみの不破尚が中学卒業と同時に芸能界入りをしたのに合わせ一緒に上京した。高校にも通わず尚の生活を支えていたが、家政婦代わりに使われていたことを知り、尚とは決別する。尚への復讐を誓い、芸能界に入る。 小さな頃から尚の実家の旅館で働いていたので、板前の技術や礼儀作法が身に着いている。複雑な生い立ちの影響で、純真な性格だが暗黒面も併せ持ち、しばしばネガティヴな考えに陥り、他人に対して怨霊を飛ばすことも。当初は尚への復讐だけが目的だったが、芸能事務所LMEへ入り、トップ俳優敦賀蓮の仕事ぶりを間近に見たり、自らも難関を乗り越えたりしてゆく間に、純粋に演技することへの喜びを感じられるように成長してゆく。 すっぴんは地味だが、化粧をすると鮮烈な美人と化す。本人に自覚はないが、天才的な演技の才能を持っている。芸名は「京子」。
不破 尚 (ふわ しょう)
金髪で容姿端麗な青年。17歳。身長177.8cm。京都の老舗旅館の一人息子だが家を継ぐ気はなく、上京してプロデビューしたビジュアル系ミュージシャン。芸能事務所アカトキ・エージェンシー所属。身の回りの世話をしてくれていた幼なじみの最上キョーコを捨てた。自己中心的でわがままな性格だが音楽の才能は本物で、デビュー曲からチャート1位を獲得した。 芸能界トップ人気の俳優敦賀蓮に対し、一方的にライバル心を燃やしている。女性関係にルーズで、マネージャーや仕事相手など様々な女性に手を出しているようである。甘い味付けの玉子焼きは嫌い。プロモーションビデオ撮影の現場で女優となったキョーコと再会を果たし、彼女の自分への強い復讐の念を知ることとなる。
敦賀 蓮 (つるが れん)
端正な顔立ちの青年。20歳。身長190cmで脚も長い。芸能界トップの俳優。芸能事務所LME所属。俳優という仕事を強烈に愛し、演技に真剣に向き合う姿勢を持つ。仕事を完璧に進めるため共演者にも真摯に接するので、男女問わず多くの同業者から尊敬と敬愛の眼差しを受けている。 ただし仕事以外は疎かにしがちな面もある。芸能界入りの動機が「復讐」だと言う最上キョーコのことを、芸能人にふさわしくないと最初は考えていたが、彼女の必死ながんばりと成長を近くで見続けるうちに評価を変える。おっちょこちょいだが明るくまっすぐなキョーコに影響され、自身の氷のような内面も少しずつ変化してゆく。
琴南 奏江 (ことなみ かなえ)
黒髪の長髪が特徴的な、大人びた顔つきの少女。17歳。トップ女優を目指している。群れることを嫌い、一匹狼でプライドが高い。最上キョーコと同じ回に芸能事務所LMEのオーディションを受けた。その時は驚異的記憶力と高レベルの演技でキョーコを圧倒した。しかしその後、演技に心が入っていないことを社長のローリィ宝田に見抜かれ、ラブミー部へと配属される。 ラブミー部としてキョーコとペアで仕事をするのを最初は屈辱に感じていたが、キョーコの臨機応変な才能と不屈の闘志に接するうち彼女を見直すようになり、親友となる。初対面の時に「もー!」と怒鳴っていたので、キョーコからは「モー子さん」と呼ばれている。 実家は大家族で、家計を支えるために秘密のアルバイトにも従事している。
坊 (ぼう)
芸能事務所LME所属の3人組マルチタレントユニット「ブリッジ・ロック」が司会のバラエティTV番組のマスコットキャラクター。大きなニワトリの着ぐるみで、人が中に入って演じる。番組見学に来ていたLMEの新人最上キョーコが急遽代役として中に入る羽目になった。 番組ゲストがキョーコの復讐相手のミュージシャン不破尚だったため、坊の中に入ったキョーコは暴走して番組をメチャクチャにしてしまう。クビを覚悟したが視聴者からの受けは良く、以後レギュラーとしてキョーコは坊の中の役を務め続けている。番組収録後に偶然、坊の着ぐるみ姿のままで、人気俳優敦賀蓮の悩みを解決したことがあり、その後、着ぐるみのまま敦賀の他人には明かさない悩みを聞く立場となった。 敦賀には着ぐるみの中が事務所の後輩のキョーコだとは気付かれていない。
松内 瑠璃子 (まつない るりこ)
芸能事務所LME所属のアイドル歌手。「日本最後のアイドル」のキャッチフレーズで売り出している。実際の性格はわがままで傲慢。気まぐれで周囲のスタッフを困らせることも多い。映画の撮影で素人同然の最上キョーコと競わされたことに怒りを燃やすが、キョーコの必死の演技を見るうち、デビュー直後のひたむきだった自分を思い出し、仕事への情熱を取り戻した。
宝田 マリア (たからだ まりあ)
芸能事務所LME社長・ローリィ宝田の孫娘。7歳。ふわふわの長い髪を大きなリボンでまとめ、全身フリルのついたかわいい服を着ている。人気俳優敦賀蓮に熱烈な恋心を抱き、「蓮様」と呼んで慕っている。世界的モデルで多忙だった母親は、せめて誕生日は一緒に過ごしたいという娘マリアの願いをきいて帰国しようとした途中、飛行機事故により亡くなってしまった。 この悲劇によりマリアは心に傷を負い、父親との間にも深い亀裂を残した。可憐な外見に反してシニカルで現実的な性格。社長の孫娘という自分に媚びへつらう大人が多い中、本音をぶつけてきた最上キョーコに対して好意を持ち、「お姉様」と呼んで慕う。
高園寺 絵梨花 (こうえんじ えりか)
日本有数の大企業・高園寺グループのお嬢様。17歳。趣味は乗馬と海外旅行。特技はクラシックバレエ。新人女優琴南奏江とは小学校からの同級生。小3の時に奏江にクラス演劇の主役の座をさらわれて以降、怨みの念を持ち、金に糸目をつけず奏江が演劇へ進む道を妨害し続けてきた。 CMタレントのオーディションで奏江と再会し、お得意の買収工作などで奏江を潰そうとするが、正々堂々と演技する奏江とキョーコペアの前に敗北。財力に頼らず己の実力で演技することの大切さに気付かされる。
七倉 美森 (なのくら みもり)
長いストレートの黒髪が特徴的な、売出し中の新人アイドル。15歳。Eカップの巨乳。芸能事務所アカトキ・エージェンシー所属。最上キョーコが編入した高校の芸能クラスでの同級生。キョーコは所属する芸能事務所LMEのコネで仕事を得ていると思い込み、学校で何かにつけてイチャモンをつけからんでくる。 同じ事務所の新進人気ミュージシャン不破尚のことを慕っているが、尚からは「ポチリ」と犬のように呼ばれており、異性として意識されていない。尚と過去に因縁のありそうなキョーコを嫉妬し敵視するが、共演したプロモーションビデオ撮影の現場では、キョーコの鬼気迫る演技力に舌を巻いた。
上杉 飛鷹 (うえすぎ ひおう)
祖父から三代に渡る大物芸能人一家の血を引く子役の小学生男子。2歳でデビューしたので、現在11歳にして芸歴9年目。自らの家系を鼻にかけ、気に入らない共演者にはすぐ「再起不能だ!」と脅しをかける。共演した新人女優琴南奏江が自分のことを子ども扱いしなかった事に好感を持ったが、その後誤解から奏江を憎むようになり、反抗的な態度を取って奏江を悩ませる。
緒方 啓文 (おがた ひろあき)
若手のTVドラマ監督。見た目は透き通るような肌を持つ清楚な男性。20年前に大ヒットした伝説のTVドラマ「月籠り」のリメイク「DARK MOON」を監督する。「月籠り」の監督・伊達大尊は実の父親。偉大な父親の存在がコンプレックスとなっている。親の七光りと言われないように伊達啓文から緒方啓文へ改名し撮影に臨むが、周囲からはやはり親のコネだと陰口を叩かれ、プレッシャーに押しつぶされそうになる。 撮影中に倒れるなどドラマの完成も危ぶまれたが、新人女優最上キョーコが本郷未緒役を独自の新解釈で演じたことに刺激を受け、親の呪縛から解き放たれた自分ならではの「DARK MOON」を制作する。
飯塚 寛子 (いいづか ひろこ)
ベテラン女優。20年前に大ヒットした伝説のTVドラマ「月籠り」において敵役の本郷未緒役を演じていた。リメイク版のTVドラマ「DARK MOON」には未緒の母親役で出演している。自分のキャリアの原点となった本郷未緒役に深い愛着を抱いているので、「DARK MOON」で未緒役を演じる新人女優最上キョーコに対して、厳しいダメ出しをする。 「DARK MOON」の企画自体に懐疑的で、伊達監督や若い俳優陣への不信感を募らせている。
集団・組織
LME (えるえむいー)
『スキップ・ビート!』に登場する組織。正式名称はLME芸能プロダクション。日本芸能界最大手の芸能事務所。アカトキ・エージェンシーとはライバル関係。社長は業界内でも奇人として有名なローリィ宝田。彼は身長180cmを超える長身で、リーゼントスタイルに口ひげをたくわえたダンディな中年男性。 常にど派手なファッションに身を包み、馬に乗り楽隊を率いて撮影現場入りするなどエキセントリックな行動をとるが、タレントの資質を見抜く目は確かなもの。最上キョーコの素質に注目したものの、彼女が復讐心に突き動かされていることを案じて、愛の大切さを実感させるためラブミー部へ所属させた。所属の人気俳優敦賀蓮が恋愛経験に乏しく「愛」の演技が未熟であるという弱点も見抜いている。
ラブミー部 (らぶみーぶ)
『スキップ・ビート!』に登場する組織。芸能事務所LMEの中に社長のローリィ宝田自らが新設した部門。「私を愛して」というその名の通り、この部に入った人間は、常に人に愛されるような心のこもった仕事をしなければならない。荷物運びから掃除からあらゆる雑用をこなす必要がある。努力に応じてスタンプをもらえて、ポイントを貯めるとメジャーデビューできる仕組み。 制服は左胸と背中に大きく「LOVE MEプリント」の付いた派手なピンク色の作業着。演技力は高いが人を愛する心に欠けていると判断された最上キョーコと琴南奏江はこの部に所属させられ、奮闘することとなる。
アニメ
書誌情報
スキップ・ビート! 52巻 白泉社〈花とゆめコミックス〉
第1巻
(2002-07-19発行、978-4592178217)
第16巻
(2007-06-19発行、978-4592178361)
第21巻
(2009-02-19発行、978-4592186113)
第48巻
(2022-06-20発行、978-4592216483)
第49巻
(2023-03-20発行、978-4592216490)
第50巻
(2024-03-19発行、978-4592224808)
第51巻
(2024-12-20発行、978-4592225096)
第52巻
(2025-09-19発行、978-4592225454)
スキップ・ビート! 48 連載20周年記念イラスト集つき特装版 48巻 白泉社〈マルチメディア商品〉
第48巻
(2022-06-20発行、978-4592106319)
スキップ・ビート! 47巻 白泉社〈花とゆめcomics〉
ダイ 2カン
(2002-11-01発行、978-4592178224)
ダイ 3カン
(2003-03-01発行、978-4592178231)
ダイ29カン
(2011-11-01発行、978-4592186199)
ダイ30カン
(2012-03-01発行、978-4592186205)
ダイ31カン
(2012-09-01発行、978-4592194910)
ダイ32カン
(2013-03-01発行、978-4592194927)
第4巻
(2003-07-01発行、978-4592178248)
第5巻
(2003-10-01発行、978-4592178255)
第6巻
(2004-02-01発行、978-4592178262)
第7巻
(2004-07-01発行、978-4592178279)
第8巻
(2004-10-01発行、978-4592178286)
第9巻
(2005-02-01発行、978-4592178293)
第10巻
(2005-06-01発行、978-4592178309)
第11巻
(2005-10-01発行、978-4592178316)
第12巻
(2006-02-01発行、978-4592178323)
第13巻
(2006-06-01発行、978-4592178330)
第14巻
(2006-10-01発行、978-4592178347)
第15巻
(2007-02-01発行、978-4592178354)
第17巻
(2007-10-01発行、978-4592178378)
第18巻
(2008-02-01発行、978-4592178385)
第19巻
(2008-07-01発行、978-4592178392)
第20巻
(2008-10-01発行、978-4592178408)
第22巻
(2009-06-01発行、978-4592186120)
第23巻
(2009-10-01発行、978-4592186137)
第24巻
(2010-02-01発行、978-4592186144)
第25巻
(2010-06-01発行、978-4592186151)
第26巻
(2010-10-01発行、978-4592186168)
第27巻
(2011-02-01発行、978-4592186175)
第28巻
(2011-06-01発行、978-4592186182)
第33巻
(2013-09-01発行、978-4592194934)
第34巻
(2014-03-01発行、978-4592194941)
第35巻
(2014-09-01発行、978-4592194958)
第36巻
(2015-03-01発行、978-4592194965)
第37巻
(2015-09-01発行、978-4592194972)
第38巻
(2016-03-01発行、978-4592194989)
第39巻
(2016-09-01発行、978-4592194996)
第40巻
(2017-03-01発行、978-4592195009)
第41巻
(2017-10-01発行、978-4592216414)
第42巻
(2018-05-01発行、978-4592216421)
第43巻
(2019-01-01発行、978-4592216438)
第44巻
(2019-09-01発行、978-4592216445)
第45巻
(2020-05-01発行、978-4592216452)
第46巻
(2021-01-01発行、978-4592216469)
第47巻
(2021-09-01発行、978-4592216476)







