あらすじ
第1巻
家族といっしょに祖母の家を訪れていた青年の多羽田優は、何げなく入った屋根裏の蚕部屋で、しゃべる蚕のヒメと出会う。虫が苦手な優はパニックに陥るが、そんな優の姿を見た祖母は、おすそわけと称して優にヒメと蚕の卵を託す。困惑しつつも帰宅した優は、ヒメや蚕の幼虫であるアトの姿にとまどいながらも、なんとかコミュニケーションを図ろうとするのだった。(第1話。ほか、10エピソード収録)
第2巻
多羽田優の留守中、いつものように部屋でのんびりと遊んでいたヒメとアト。しかし、部屋に突如として現れた好奇心旺盛な少女によって、ヒトとアトは翻弄され続けてしまう。そこに戻ってきた優から、謎の少女の正体が、優の姪っ子であることが明かされる。多羽田雪乃と名乗ったその少女は、すぐにヒメやアトと打ち解け、姉妹のようになかよくなるのだった。(第12話。ほか、11エピソード収録)
登場人物・キャラクター
多羽田 優 (たばた ゆう)
都会っ子の青年で、少々天然気味な性格をしている。家族といっしょに祖母の家を訪れた際、屋根裏の蚕部屋でしゃべる蚕のヒメと出会った。成り行きからヒメと蚕の幼虫のアト、さらに蚕の卵を持ち帰って彼女らといっしょに暮らすことになる。虫を大の苦手としているが、心優しいことから、ヒメやアトと交流を図るために努力を重ねる。彼女らといっしょに暮らすうちに、虫に対する苦手意識も徐々に薄くなっていく。姪っ子の多羽田雪乃からは「ユーちゃん」と呼ばれている。
ヒメ
蚕の少女で、明るい性格をしている。人間の言葉を理解し、しゃべることができる。クリっとした瞳とモフモフした体毛を持ち、非常に愛らしい容姿をしている。背中に羽根が生えているが、飛ぶことはできない。その代わりに、走るのが得意。多羽田優の祖母の家にある蚕部屋で暮らしていたが、優と出会ったあとに、同じ蚕のアトと優の家で暮らすようになった。絵を描いたり、歌うことが最近のマイブーム。
アト
蚕の幼虫の少年で、人間の言葉をしゃべることができる。多羽田優の祖母がヒメといっしょに彼に託し、優の家で暮らすようになった。物おじしない性格で、口調も少しふてぶてしい。優に対してはつねに上から目線の態度で接し、ベタベタ触られるのを嫌うが、決して優が嫌いというわけではない。面倒見がよく、根気強い一面も持つ。桑葉をきれいに食べるのが得意。
多羽田 雪乃 (たばた ゆきの)
小学2年生の少女で、明るく元気な性格をしている。多羽田優の姪っ子で、多羽田真砂の娘。得意科目は算数と理科。虫が大好きで、優の部屋でヒメとアトを見つけた際は、興奮のあまり彼女たちを過剰に触ってしまい、優に苦言を呈されていた。その後は、ヒメやアトと大のなかよしとなる。みんなからは「ユキちゃん」と呼ばれている。
多羽田 真砂
主婦の女性で働き者。多羽田優の姉で、多羽田雪乃の母親。優と同じく虫を非常に苦手としており、優の部屋にいたヒメやアトを見た際は、パニックに陥っていた。虫が大好きな雪乃のために虫嫌いを克服しようと虫の本を読むなど、とても娘思い。食いしん坊で、お酒が大好き。
祖母 (そぼ)
田舎暮らしをしている多羽田優の祖母。過去に養蚕を営んでいたことがあり、屋根裏に蚕部屋がある家に住んでいる。優の穏やかな性格と丁寧な仕事ぶりに一目置いており、優に蚕のヒメとアト、そして卵を託して帰宅させた。