概要・あらすじ
名門女子校・青蘭学園高等部に入学したごく平凡な生徒・御苑生奈々子は、自らの意に反し徒会長・一の宮蕗子に目をかけられ、学園の特権組織である社交グループ・青蘭ソロリティのメンバーに選ばれてしまう。そのため、ソロリティに選ばれなかったクラスメイト達から嫉妬され嫌がらせを受けることになる。
登場人物・キャラクター
御苑生 奈々子 (みそのお ななこ)
青蘭学園高等部1年。生徒会長・一の宮蕗子に目をかけられ、学園の特権組織である社交グループ・青蘭ソロリティのメンバーに選ばれる。青蘭学園高等部は、通常、青蘭学園付属中学からの進学が多いが、奈々子は別の中学からの進学していた。中学3年のとき通っていた進学教室の社会科講師・辺見武彦と文通をしている。 お菓子作りが特技な平凡な女子。だが、自ら分不相応だと思っていたソロリティメンバーズに選出されてしまったことにより、嫉妬した三咲綾を中心としたクラスメイト達から嫌がらせを受けることになる。さらに、中学時代からの親友であり一緒に青蘭学園高等部に進学してきた有倉智子からも憎しみに似た感情を抱かれてしまうことになる。 学園の1級上で花のサン・ジュストさまの異名を持つ男装の麗人・朝霞れいに対し、恋愛に近い憧れを持つ。
折原 薫 (おりはら かおる)
青蘭学園高等部1年。B組。御苑生奈々子のクラスメイト。通称:薫の君。薫の大将とも呼ばれる。本来、奈々子より1級上だったが、青蘭学園付属中学を卒業した後、病気のため1年休学し同級生となる。クラスの委員長であり、バスケットボール部のキャプテンでもある。 クラス全員から一目置かれている存在。青蘭ソロリティ代表・一の宮蕗子より青蘭ソロリティメンバーズの候補者のひとりに指名されるが健康を理由に辞退する。だが、ソロリティの存在そのものに反対であるからというのが辞退の真の理由。臨時生徒総会の席上、緊急動議を行い、ソロリティ廃止を要求する。 奈々子の義兄・辺見武彦との間に何かしらの過去を持つ。
一の宮 蕗子 (いちのみや ふきこ)
青蘭学園高等部3年。通称:宮さま。生徒会長。朝霞れいの姉。学園の特権組織、社交グループ・ソロリティの代表。青蘭学園 全校生徒の憧れの的。父親は青蘭学園の理事のひとり。御苑生奈々子の高等部入学当初から奈々子を特別扱いしており、奈々子をソロリティメンバーズに加える。 妹・朝霞れいに強い憎悪を抱いている。奈々子に対し、朝霞れいに近づくことも辺見武彦と文通することも禁止する。奈々子をソロリティメンバーズに迎え入れたのには実は裏があった。
朝霞 れい (あさか れい)
青蘭学園高等部2年。通称:花のサン・ジュストさま。男装で貴族趣味の麗人。多くの拝崇者がいる。すらっとした長身でハスキーボイスの持ち主。薫とは唯一の親友。一宮蕗子の妹。奈々子が青蘭学園へ初登校の際、バスの中で奈々子と出会う。気が向くとふらりとよその教室に現れ、ギターを片手に歌を歌う。 姉・蕗子とは深い確執がある。腕に自殺未遂ではないかと思われる傷跡があり、その腕にはつねに自らに課した、姉・蕗子の呪縛を意味する腕輪をはめている。薬を常用しており幻覚に襲われることがある。生きる意欲そのものを失って久しい。喫煙者。おびただしい数の鏡に自分の姿だけを映し、石の部屋のマンションに人形のプペちゃんと一緒に住んでいる。 サン・ジュストの異名は18世紀に起きたフランス革命の指導者の名前から。
信夫 マリ子 (しのぶ まりこ)
青蘭学園高等部1年。B組。学園の特権組織、社交グループ・青蘭ソロリティのメンバー。御苑生奈々子のクラスメイトで奈々子と共にソロリティメンバーズとなる。青蘭学園付属中学からの進学。初対面で奈々子を気に入り、それ以来、強引な愛情表現が続いたため奈々子に敬遠されぎみだったが、次第に友情が芽生えてゆく。 甘え上手で上級生に子ネコちゃんと呼ばれている。父親は官能小説家・檜川信夫であることから学園内では軽蔑され友人がいない。誕生会をホテル・ロワイヤルのバラの間を借り切って行うが招待客は奈々子 ただ一人。父親の学園への多額の寄付があるため学園内での立場を維持している。 男を異常な程嫌っているが、それは自宅に本妻と元映画女優の愛人が同居中という奇妙で複雑な家庭環境に起因している。
辺見 武彦 (へんみ たけひこ)
御苑生奈々子が中学3年のとき通っていた、T大学の学生たちがアルバイトとしてやっていた大規模な進学教室の社会科講師。奈々子が受けた最後の授業終了後、奈々子から おにいさまになって欲しいと告白され文通を始める。奈々子の義父・御苑生教授の実子。 つまり奈々子の義兄であるが奈々子はその事実を知らない。奈々子の青蘭学園高校進学と時を同じくして大学院人文科学研究科に進学する。一の宮蕗子、折原薫とは因縁がある。
一の宮 貴 (いちのみや たかし)
T大学大学院院生御苑生奈々子 の義兄・辺見武彦の親友。一の宮蕗子と朝霞れいの実の兄。大学時代は武彦と共に進学教室の講師のアルバイトをしており、面識はないものの当時から奈々子の存在と武彦との関係(異父母兄妹)は知っていた。 T大祭に奈々子の付き添いでやって来た極度に男を嫌う信夫マリ子に対し興味を持つ。
有倉 智子 (ありくら ともこ)
青蘭学園高等部1年。御苑生奈々子と同様、別の中学から入試を受けて入学。奈々子の中学時代からの友人。中学時代はお互いの家を行き来する程の仲だったが、自分と同じ立場だったはずの奈々子がソロリティメンバーに選ばれたことに加え、奈々子を独占したい信夫マリ子の策略で仲を引き裂かれる。 奈々子に対し次第に憎悪の念を抱き始める。
三咲 綾 (みさき あや)
青蘭学園高等部1年。御苑生奈々子のクラスメイト。青蘭学園中等部からの進学。自信家でソロリティに入ることを強く希望していた。だが、候補にさえ選ばれなかったことで、同じクラスでソロリティのメンバーに選出された奈々子と信夫マリ子を妬み、各々の出自や家庭環境を調べ上げクラスの中で公表する等、必要以上な嫌がらせを行う。 父親は弁護士であるが、信夫マリ子に悪徳弁護士と罵られている。
宮様のとりまき (かんさまのとりまき)
宮さまの補佐役・モナリザの君(駒林リサ)、ミス・ボルジア、鳳乱(おおとりらん)、大原まるみ、メズーサの君、バンパネラの君、さかさ食パンの君ら、学園の特権組織である社交グループ・ソロリティのメンバー。ソロリティの代表である一の宮蕗子のとりまき。 御苑生奈々子の上級生。
ママ
御苑生奈々子の母。奈々子が5歳の時に大学教授である現在の夫と結婚。夫の大学教授という仕事を偏執狂的に尊敬している。奈々子に対して口うるさい教育ママ。かつてはR大学の近くの小料理屋の仲居をやっており、夫は小料理屋の常連客だった。その時点で既に 奈々子も生まれていた。 夫が元妻との間に設けた辺見武彦の名前が書かれている奈々子宛の封書を見てしまい武彦のもとを訪ねる。
パパ
御苑生奈々子の義父。R大学教授。T大学院院生である辺見武彦の実父。辺見武彦の母と離婚した後、R大学の近くの小料理屋で奈々子の母と出会い、再婚した。奈々子は妻と再婚した時には5歳だった。自宅はそれなりに豪華であるが、特に大きな財産がある訳ではない。 別れた前妻には養育費を払い続けていた。
集団・組織
青蘭ソロリティ (せいらんそろりてぃ)
『おにいさまへ…』の組織。学園の特権組織である社交グループ。通称:ソロリティ。元々はアメリカの女子大生の社交グループの名称で、会員は家柄や財産や教養、容姿、人がら、健康などを上級生のメンバーズに審査されて投票で選ばれる。その制度を青蘭学園高等部で取り入れ、高等部へ進級すると同時にメンバー候補となる資格が得られる。 上級生がメンバーにふさわしいと思われる候補を選び選考パーティーに招待する。その中からメンバーに正式に選ばれると大学部のキャンパスにあるソロリティハウスに出入りする権利が得られ、楽しいパーティやエリート上級生とのおつきあい、勉強会やお稽古ごとに参加できる。また美しくなるためのアドバイスを受けたり素敵な男子を紹介してもらうこともできる。 今回の定員は新入生全150名の中からわずか10名の狭き門。
場所
青蘭学園高等部 (せいらんがくえんこうとうぶ)
『おにいさまへ…』の舞台・組織。御苑生奈々子が入学した名門女子校。学園には高等部の他に付属中と大学があるが奈々子は他の中学から一般入試を受けて入学した。特徴として学園が認めている社交グループ・青蘭ソロリティという特権組織が存在する。社長令嬢、参議院議員令嬢、大使令嬢、カントリークラブの支配人令嬢、有名大学教授令嬢など各界のエリートの令嬢達が多く集まっている。