月と世界とエトワール

月と世界とエトワール

初・中・高・大と一貫教育の名門音楽専門女子校に、高等部から外部入学して来た少女が、さまざまな困難を乗り越え、学園に変革をもたらしながら一流の音楽家を目指していく姿を描く、ガールズラブストーリー。もともと、同人誌で発表した内容をブラッシュアップした作品で、「コミック百合姫」2012年11月号から2015年3月号にかけて連載された。ガールズラブを描いた作品としては、高上優里子にとって初めての連載作品となった。

正式名称
月と世界とエトワール
ふりがな
つきとせかいとえとわーる
作者
ジャンル
百合
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概要・あらすじ

舞坂よぞらは、月光館学園歌姫である白凪海百合に憧れ、高等部から月光館学園の声楽科に外部入学をした。純粋に音楽を楽しみたかったよぞらだが、歌唱力が内部生よりも優れていたことをきっかけに、学園内でいじめのターゲットとされてしまう。また、祖母から貰った指輪をきっかけに知り合った岸辺世界から、憧れの先輩である海百合には裏の顔があり、学園を意のままに支配していることを教えられる。

一時は学園生活に不安感を覚えていたよぞらだったが、愛する音楽を通じて多くの人と関わって成長していく。そして、よぞらは世界とエンゲージをし、歌姫となって海百合に立ち向かい、学園に変化をもたらす者となるのだった。

登場人物・キャラクター

舞坂 よぞら (まいさか よぞら)

月光館学園高等部1年生の女子。専攻は声楽科。ストレートの黒髪を肩甲骨のあたりまで伸ばしている。音楽の師匠である祖母からもらった指輪をネックレスにして、常に身につけている。性格は純粋そのもので、歌にも清らかさが現れている。高等部から入学したにも関わらず、内部生以上の実力を発揮し、内部生の先輩や同級生からいじめに遭ってしまう。 のちに岸辺世界からエンゲージを申し込まれて歌姫となる。

岸辺 世界 (きしべの せかい)

月光館学園高等部2年生の女子。専攻は作曲科。肩に届くほどの髪の長さで、制服を着崩し、スカート丈を短くして長めのカーディガンを羽織っている。親族に音楽家が多いため、幼い頃から音楽の英才教育を受けていた。月光館学園へは、祖母が教師を務めていた縁で入学することとなった。かなりの実力がありながら、授業はサボりがち。また、言葉遣いが乱暴で、歯に衣着せぬ発言をするなど、上品な生徒が多い学園の中では浮いた存在。 舞坂よぞらが祖母からもらった指輪とおそろいの指輪を持っており、自分と同じ指輪を持つよぞらに興味を持って接近。彼女の歌唱力に惚れ込み、エンゲージをして、よぞらの騎士となる。

白凪 海百合 (しらなぎ うみゆり)

月光館学園高等部3年生の女子。専攻は声楽科。銀色の髪を膝丈まで伸ばしている。天柳永遠とエンゲージをして歌姫となる。容姿、歌唱力ともに学園トップといわれ、歌姫として学園の広告塔的な役割を果たしている。そのため、教師からも特別扱いを受けている。舞坂よぞらをはじめとする後輩を気遣う優しさを見せる一方で、学園の行事を意のままに操り、他の学生の活躍の場を奪うこともある。 他の歌姫の才能を喰うとの噂もあり、その本心はうかがい知れない。

天柳 永遠 (あまやぎ とわ)

月光館学園高等部3年生の女子。専攻は作曲科。金色の髪をショートカットの髪型にしている。白凪海百合とエンゲージをした騎士。立ち居振舞いや話し方が男性的で、学園の王子様として人気を集めている。成績優秀で作曲の才能もあるが、どこかマイペースなところもあり、授業をサボって昼寝をしていることもある。海百合を心から大切に想っており、どんな時でも彼女の味方をして決して裏切ることはない。 舞坂よぞらたち後輩を優しく見守り、好意を持っているように見えるが、本心は不明。

狭山 景都 (さやま けいと)

月光館学園高等部3年生の女子。専攻は作曲科。黒髪をショートカットにして、眼鏡をかけている。生徒会長として学園の行事運営をしている。白凪海百合と天柳永遠が学園を支配し、特別扱いされていることを疑問視しており、同士を集めて学園に変革をもたらそうとしている。舞坂よぞらと岸辺世界に協力を求めて、生徒会への入会を勧める。 先輩として2人を温かく見守り、助言することもある。

鏡 薔子 (かがみ しょうこ)

月光館学園高等部1年生の女子。裕福な家庭に育ち、月光館学園に初等科から入学していた。専攻は声楽科。長い髪を腰まで伸ばし、白いカチューシャを付けている。白凪海百合を慕い、歌姫を目指している。中等部時代は学年でトップの歌唱力を誇っていたが、高等部では外部生の舞坂よぞらの方が先生や海百合から高い評価を得たため激しく嫉妬。 自身の取り巻きとともによぞらをいじめ、暴力を振るうこともある。

実塔 ねね (さねとう ねね)

月光館学園高等部1年生の女子。専攻は作曲科。肩までのクリーム色の髪を三つ編みにしてサイドでまとめている。初等科から学園に入学していて、別荘も持っている金持ち。入学の式典で周囲に馴染めずにいる舞坂よぞらに話しかけ、無二の親友となる。その後は、よぞらをいじめから庇(かば)い、学園のルールやシステムを教えるなど、よぞらを支え続ける。 また、歌姫としての衣装を用意できないよぞらに、いつもドレスを提供している。

かれん

月光館学園中等部3年生の女子。専攻は声楽科。岸辺世界とは親戚関係にある。胸あたりまでの長さの黒髪をツインテールにしている。高等部に進学し次第、世界の歌姫になる予定だった。そのため、世界が自分に相談もせずに、舞坂よぞらを歌姫として選んだことを恨んでおり、よぞらに対して攻撃的な言動を取る。

おばあちゃん

舞坂よぞらの祖母。月光館学園の卒業生で、専攻は声楽科だった。よぞらに音楽を教えた人物で、彼女が月光館学園の試験に合格した時には誰よりも喜んだ。お守りとしてよぞらに指輪を授けており、岸辺世界がその指輪に興味を持ったことがきっかけとなり、よぞらと世界は知り合うこととなった。

鷺宮 譲葉 (さぎのみや ゆずりは)

岸辺世界の祖母。月光館学園の卒業生で、専攻は作曲科だった。卒業後は、月光館学園で教師として働いている。楽譜通りにピアノを弾かず、アレンジをしながら演奏をする世界の姿を見て、作曲の才能があると判断し、月光館学園への入学を勧めた。世界の一番の理解者だが、時には厳しい指導をすることもある。

集団・組織

生徒会 (せいとかい)

月光館学園の行事運営などをしている組織。名目上は学園のトップの組織であるが、権限などは白凪海百合に奪われている。学園の中でも暗く薄汚い部屋を生徒会室としてあてがわれていて、学園の雑用をさせられている。海百合から業務妨害や嫌がらせを受けることも多い。学園の体制に不信感を覚えており、海百合の特別待遇を廃止するよう主張している。

合唱部 (がっしょうぶ)

白凪海百合が所属している部活動。学園の南棟すべてを部室として利用している。生徒会と一団となって学園行事を盛り立てていく立場でありながら、生徒会に協力することはない。海百合の特権をなくすべきだと主張している生徒会に敵愾心を抱いていて、業務妨害や生徒会の活躍の場を奪う行動を取ることも多い。

場所

月光館学園 (げっこうかんがくえん)

初等科から大学まで一貫教育の全寮制音楽専門女子校。レベルが高く、プロの音楽家を多数輩出している。特に声楽科に力を入れていて、優秀な広告塔の役割を果たす歌姫は大切にされる。その一方で、声楽科の生徒でも見込みのない者は、学園のお荷物として不遇な扱いを受け、退学に追い込まれることも多い。

その他キーワード

エンゲージ

作曲科の生徒と声楽科の生徒が、お互いに相手を認め合ってパートナーとなること。作曲科の生徒が、惚れ込んだ声楽科の生徒のために曲を作り、お揃いの指輪を交換して成立する。エンゲージ後は、エンゲージ済であることを示すために、指輪を常につけている必要がある。エンゲージをすると、特別の練習棟が与えられるなど、さまざまな優遇が受けられる。

歌姫 (えとわーる)

声楽科の学生の内、優秀な学生に与えられる称号。学期に一度ある試験に合格するか、または作曲科の学生から歌唱力を認められ、相方としてエンゲージを申し込まれると、なることができる。歌姫になれば、学内で特別な権限を与えられるが、学外では、学院の広告塔的な働きをしなくてはならない。華やかな舞台にあがる機会も多いが、衣装を自分で用意しなくてはならないため、資金も必要。 また、騎士以外の伴奏で歌を唄うことは禁じられている。

騎士 (しゅゔぁりえ)

作曲科の学生の内、学業成績優秀で、声楽科の学生とエンゲージをしたものに与えられる称号。自身の相方である歌姫のために作曲をしたり、舞台の伴奏をしたりしなくてはならない。また、自身の歌姫以外のために、伴奏をすることは禁止されている。歌姫の相方として、彼女の肉体的な負担や精神的な苦しみの救いとなることが求められる。

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