概要・あらすじ
時は戦国、群雄割拠の時代。加賀の国に嫁いだ千沙宛てに、ある日安住の国にいる母親の千絵が体調を崩したという手紙が届く。心配になった千沙は、夫の一清を伴い、里帰りも兼ねて安住の国へ向かう。しかしこの手紙は、千沙の父親である安住の領主が送ったもので、千絵の容態も嘘であった。そして安住の領主は、一清に加賀の国を捨てて安住の国の跡取りになるよう命令する。
断れば加賀の国そのものを滅ぼすと脅迫された一清は、夜のうちに加賀の国へ引き返そうとする。だが、彼の後を追いかけてきた千沙が安住の領主に見つかって連れ戻される姿を見て、加賀の国の領主としてではなく、夫として妻を奪い返すことを心に決める。
登場人物・キャラクター
千沙 (ちさ)
安住の国から加賀の国の一清のもとへ嫁入りしたお姫さま。いつも元気で太陽のように明るく、周囲の人たちを幸せな気持ちにする。わがままで泣き虫、さらに流されやすい性格ながら、愛する一清のためならば粘り強さを発揮する。生まれ故郷である安住の国と嫁ぎ先である加賀の国の間の平穏が破られそうになっても、一清のもとにいることを選ぶ。
一清 (いちきよ)
加賀の国の領主で、千沙の夫。細かいことは気にしない大らかな性格。幼い頃に敵対する国に両親と兄を殺された経験から、自分に厳しく、手に入らないものは諦めるようにしてきたが、千沙のことは心から愛している。意外と負けず嫌いなところもある。
かえこ
千沙に仕えている侍女で、安住の国から嫁ぐ千沙についてきた。きえことは双子で顔がそっくりなので、髪形を変えて後ろで1つにくくっている。いつも千沙のわがままをたしなめており、少々毒舌なところがある。
きえこ
千沙に仕えている侍女で、安住の国から嫁ぐ千沙についてきた。かえことは双子で顔がそっくりなので、髪形を変えて前で2つにくくっている。おおらかな性格で、いつも千沙のわがままに振り回されている。
ふえ
加賀家に仕える間者の女性。髪の長い美人だが、冷静でサバサバした男っぽい性格。間者としてとても優秀で面倒見も良く、子分たちを総括して教育する役目も担っている。千沙の実家である安住の国に対して不満を抱いている。
安住の領主 (あずみのりょうしゅ)
千沙の父親。安住の国の領主。元は地方の守護職を務めていた鷲尾家の分家に過ぎなかったのだが、鷲尾が都に参内して国を留守にしている間に、着々と自分の勢力を伸ばした。計略に長けた残酷な性格だが、娘には甘いところがある。娘が嫁いだ一清を苦しめることばかりするが、本当はその実力を大いに買っている。
千絵 (ちえ)
安住の領主の妻であり、千沙の母親。夫の性格をよくわかっており、信頼もしている。たおやかな美人だが頭の回転が速く、ここぞという時は強さを発揮する。千沙のことを大切に想っている。実は賭けごとが好き。
大谷 源十郎 (おおや げんじゅうろう)
情報屋をしている男性。あちこちの国を渡り歩きながら情報を集め、その情報を買ってくれる領主を探している。今は渓江という国の家臣として取りたてられているが、待遇はあまり良くない。野心家で、安住の領主に取り入ろうと考えている。ふえのことが気に入っている。