かふん昔ばなし

かふん昔ばなし

作者のかふんが主に幼少期から小学生にかけて体験した、若干のオカルト要素を交えた数々の珍エピソードを生き生きと綴っていく軽快なギャグ漫画。セミドキュメンタリー形式を採っているが、すべてのエピソードにフィクションである事が明記・強調されている。「ComicWalker」で配信された作品。

正式名称
かふん昔ばなし
ふりがな
かふんむかしばなし
作者
ジャンル
自伝・伝記
レーベル
MFC(KADOKAWA)
巻数
既刊1巻
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

第1巻

待望のプール開きの日を迎えた小学校時代のかふん。プールにまかれたゴムボールとビー玉を集める宝物集めという競争ゲームが開始され、かふんはパンツにビー玉を入れるという秘策で必勝を期す。だが、その作戦を対抗チームに使われてしまったかふんは、ビー玉を口の中に吸い込むという究極の作戦を実行。ところが、勝負を焦るあまりビー玉を誤飲してしまう。(エピソード「プールびらき編」)

幼少期のかふんは好き嫌いが激しくて体が弱く、友達は犬のぬいぐるみである「ワンヌちゃん」だけだった。しかし、大事にしていたワンヌちゃんの首がちぎれてしまうというアクシデントが発生。ショックを受けたかふんを元気づけるため、「本物のワンヌちゃんを見せる」と言って、オカーサンはかふんを「ドリームワンヌキッズランド」に連れていく。しかし、かふんはきぐるみのワンヌちゃんの大きさに恐怖し、その場で嘔吐してしまう。(エピソード「きぐるみ編」)

かふんは、動物図鑑で見たヘビの格好よさに心を奪われてしまった。実物のヘビを見たくてたまらなくなったかふんは、夜中にトイレに行くふりをして、庭で一心不乱におもちゃのホイッスルを吹き、ヘビをおびき寄せようとする。(エピソード「ヘビ編」)

一つの折り紙セットに1枚しか入っていない金の折り紙。ほかの保育園児との金の折り紙争奪戦でいつも負け続けていたかふんは、ある日、園児達の奪い合いの最中に、床の上に落ちていた金の折り紙を拾う。念願の金の折り紙を自分のものにする事に成功したかふんが歓喜に震えたその瞬間、金の折り紙をほかの園生に奪われてしまう。(エピソード「金の折り紙編」)

山育ちのかふんが初めて訪れた海。テレビでしか見た事がなかった海の広さと眩しさに感動し、興奮して海に飛び込んだかふんだったが、海中にいたクラゲに刺され、そのまま担架で病院まで運ばれてしまう。(エピソード「クラゲ編」)

かふんが生まれる前の出来事。妊娠中のオカーサンは小腹を満たすため、夜食を作るために深夜の台所に向かった。ところが、謎の少女が廊下で足音を立てながら「おめでとー」と連呼している異様な姿を目撃。どこから家に入ったのかを問いただすオカーサンをよそに、少女の影はプツリと姿を消す。(エピソード「廊下にいた子の話」)

かふん一家は、山奥の親戚宅でバーベキューをしていた。しかし、そこで初めてシベリアンハスキーを見たかふんは、本に載っていたかわいらしい犬とはあまりにも違う怖い顔に戸惑い、パニックに陥ってしまう。(エピソード「シベリアンハスキー編」)

一家全員が教職に就いている学習教室に通っていたかふん。しかし、かふんはおばさん先生とおばあさん先生の息の臭さによって、まるで勉強に集中できないでいた。さらに、唯一息が臭くなかったおじいさん先生が亡くなり、進退窮まったかふんは、おじいさんにお線香をあげ、臭いを打ち消そうとする。(エピソード「お線香編」)

幼少期の一時期、かふんは東北の親戚宅の古いお寺に預けられていた。寺に伝わる「寺赤子」と呼ばれる青い赤ん坊の噂に恐怖したかふんは、パニックに陥ってオカーサンに電話をするが、オカーサンはゲームに夢中になっていた。(エピソード「寺赤子の話」)

幼少時のかふんは、保育園が終わったあとに、夕暮れ時まで母方の祖母が働く工場に預けられるのが日課となっていた。ある日、ヒマつぶしにも飽きたかふんは、近くにあった、蓋が開いていた謎の機械に飛びついて手をかける。しかし、その瞬間蓋が閉まり、蓋と機械のあいだにかふんの指が挟まれてしまう。(エピソード「町工場編」)

オカーサンが学生だった頃、下校中に演歌歌手の男性に遭遇した。子供が自分を知っている事を大いに喜んだ男性から、オカーサン達は2000円をもらうが、その2000円で家を建てたというオカーサンの冗談を、かふんは真に受けてしまう。(エピソード「二千円編」)

かふんはCMで見たロボットのおもちゃに心を奪われ、ロボットを買ってくれなければ保育園に行かないと駄々をこね、オカーサンを困らせる。一計を案じたオカーサンはかふんに対し、「お前は本当は電池で動いているロボットなんだよ」と言い放つ。(エピソード「ロボット編」)

寝つきが悪いかふんをようやく寝かしつけたオカーサンの耳に、庭の方から砂利を踏みしめる音が聞こえてきた。庭にいたのは「あつい!」を連呼する謎の四足歩行の生き物。せっかく寝かしつけたかふんが起き出し、怒りに震えたオカーサンは、謎の生物に向かって「よそでやれ」と一喝する。(エピソード「庭まわりの話」)

オカーサンといっしょにデパートへ来たかふんは、ガチャポンをやりたいと駄々をこねる。そんなかふんに対し、エスカレーターに一人で乗れたらガチャポンをやっていいと、オカーサンは告げる。エスカレーターを苦手としていたかふんはガチャポンのために奮闘するが、結局一人で乗る事に失敗する。(エピソード「エスカレーター編」)

かふんはハウスダストに弱く、頻繁に目が閉じにくくなる事から、定期的に目薬をさしていた。しかし、目に異物が入る事に強い恐怖を感じてしまうかふんのため、オカーサンは紙コップで目を覆う特製の器具を作成。かふんはこれを使って目薬をさす事になった。(エピソード「目薬編」)

かふんの家にある裏山は火葬場の跡地。ある日、その裏山にある先祖の祠が山荒らしによって破壊されるという事件が発生した。憤ったオカーサンは警察や警備会社に対応をお願いするが、何故か断らわれてしまう。(エピソード「火葬場の話 前編」)

祠の件で、警察と警備会社に見捨てられたオカーサンは、みかん小屋と呼ばれる山小屋で父方の祖母と一晩中見張りをする事になった。翌朝、みかん小屋を出たオカーサンが目撃したのは、竹藪を徘徊する巨大な蛇のような姿をした謎の生き物。「あれはヘビではない」とパニックに陥る祖母をよそに、オカーサンは保健所へと連絡をする。(エピソード「火葬場の話 後編」)

誕生日にオカーサンから、ウルトラマンタロウとウルトラマンセブンのソフトビニール人形をプレゼントされたかふん。狂喜するかふんをよそに、どちらがタロウなのかわからなくなったオカーサンは、かふんが寝ているあいだに、ソフトビニール人形の足の裏に「タロー」と「ジロー」という名前を書いて区別をつける。(エピソード「ソフビ編」)

小学生になったかふんは、友人のカゲから鉛筆を指で回すペン回しの事を聞かされる。さっそくやってみたところ、勢いよく鉛筆を回す事ができたかふん。優等生のカゲに褒められた事で得意になったかふんは、連日華麗なペン回しをカゲの前で披露するが、ある日を境にその反応が鈍くなる。実は自宅でペン回しを練習をしたカゲは、かふんを上回るペン回しができるようになっていたのだ。(エピソード「ペン回し編」)

担任教師は、悪い事をした生徒のお尻を「ケツピン棒」と呼ばれる棒で容赦なく叩いていた。子供達のあいだでささやかれる、「戦時中に敵兵をケツピンした」「となりの中学の不良をケツピンで殺した」などの不穏な噂に怯えるかふんだったが、クラスメイトの水音いちづのチクリによって、その恐怖のケツピン棒を食らうはめになってしまう。(エピソード「ケツピン棒編」)

かふんは、クラスメイトの女の子の誕生パーティーに数合わせで呼ばれる事になった。そこで生まれて初めてマグロの刺身を食したかふんは、そのあまりの美味しさに魅了され、マグロの事しか考えられなくなってしまう。人生ゲームで遊んでいる最中にトイレに行くといって抜け出したかふんは、残っていたマグロを一人台所で堪能するのだった。(エピソード「マグロ編」)

かふんは、毎晩のように妄想怪獣図鑑を書いていたおかげで、漢字だけは得意だった。しかし、親戚のおじさんから「鉄」という漢字の「失」は、縁起を重視して「矢」と書く事もあると教えられたかふんは、国語の授業中にその独自の「鉄」の字を披露。しかし担任教師からは、普通にその漢字は間違いであると指摘されてしまう。(エピソード「鉄編」)

学生だった頃、友人の家に遊びにいったオカーサンは、霊感のある友人の父親に、背中に大きな炭の人形を背負っていると指摘される。とっておきの塩を使った除霊をしてもらったオカーサンは、渡された水を飲んで帰宅するようにうながされるが、オカーサンはその水を捨ててしまう。(エピソード「大きな炭人形編」)

かふんは『ラブひな』というラブコメ漫画にはまっていたが、周囲から「えろ」の烙印を押されてしまう事を恐れ、それを秘密にしていた。ある日、本屋に立ち寄ったかふんは、2冊の雑誌で新刊の『ラブひな』を挟み、購入するという万全のカモフラージュをするが、帰宅中にカゲと出会い、手提げ袋に入った『ラブひな』を発見されてしまう。(エピソード「ラブひな編」)

かふんのクラスでは、ペニシリンを発見した偉人、アレクサンダー・フレミングの本を手に取る事で、なぜか「ペニス」扱いされてしまうという恐ろしいしきたりがあった。クラスメイトをペニスの呪いから解放するため、学級本棚にあったフレミングの本を密かに校舎の隅に埋めたかふんだったが、それをクラスの女子が音楽教師のにチクってしまう。(エピソード「ペニシリンの戦士編」)

休み時間に校庭で遊んでいたかふんは、偶然にもキラキラと光る金を発見する。砂金だと確信し、カゲといっしょに砂金集めにいそしんだかふんだったが、授業中に砂金を集めた容器を倒してしまい、クラス中に砂金の存在を知られてしまう。その後、クラスで砂金集めが大流行するが、かふんとカゲはそれが砂金ではない事になんとなく気づいていた。(エピソード「校庭の砂金編」)

かふんの小学校で、持ち物にキャラシールを張る事が大流行した。あまりも流行りすぎたため、学校からシール禁止令が出されるが、一部の男子は性懲りもなく、こっそり持ち物にシールを張っていた。しかし、それをいちづによって教師にチクられたかふん達三人の男子は、いちづのランドセルにシールを張り、彼女を陥れようとする。(エピソード「キャラシール編」)

担任教師のケツピン棒にキレがなくなり、その衰えがかふん達のあいだで噂になっていた。ある日、隣接する中学校の不良生徒達が、小学校の敷地内にあるふれあいの丘でたむろしている姿が目撃された。かふんをはじめ、生徒が恐怖におののく中、現場まで出向いた担任教師は、人間とは思えない素早い動きで不良にケツピン棒を食らわすのだった。(エピソード「ふれあいの丘編」)

かふんが生まれる前、嫁いできたばかりだったオカーサンは、慣れない家の掃除をしている最中に、扉の立て付けが悪い細長い部屋を発見。部屋の奥で、謎の声と何かが割れる音が聞こえる、不気味な姿見を見つけたオカーサンは、義母の反対を押し切り、業者に姿見を処分してもらおうとする。(エピソード「細長い部屋にあった姿見の話」)

席替えの日、かふんは再び美桐すみこのとなりの席になる。同じ相手と2回連続でとなり同士になった事で「けっこん」したと男子からはやし立てられ、大いに焦ったかふんは、自分とすみれと机のあいだに下敷きを挟み込み、「けっこん」を阻止しようとする。(エピソード「下敷きの国境線編」)

学校のトイレ掃除をしていたかふんに対し、友人のモミーはトイレの嫌な臭いを消すための秘策として、マッチを使う事を提案。モミーはさっそく持って来たマッチを擦るが、火がモミーの髪の毛に燃え移ってしまう。異常事態に動揺したかふんは、バケツいっぱいの水をモミーにぶっかける。(エピソード「マッチ編」)

かふんは、モミーから数日間伸ばした人差し指の鋭い爪を見せられた。その獣のような野性味あふれる格好よさに心を奪われたかふんだったが、休み時間に行ったドッジボールの最中に、その見事な爪はへし折れてしまう。(エピソード「爪編」)

授業で将来の夢を書く事になったかふん。書いている途中で隣席のすみこの夢が「うさぎやさん」である事を知ったかふんは、思わず「そんな店ないし」と鼻で笑ってしまう。しかし、そんな上から目線の態度をしていたかふんの将来の夢は「怪獣」であった。(エピソード「将来の夢編」)

いちづは匂いつきのフルーツ消しゴムを友人からもらい、夢中になっていた。男子の伸びるネリケシのほうが凄いとの意見にもまったく耳を貸さず、そのかぐわしい匂いに魅了されていた。しかし、ノートの書き間違いを消そうとしたいちずは、そこでフルーツ消しゴムの重大な欠陥を知る。(エピソード「匂いつきフルーツ消しゴム編」)

いちづのチクリ癖によってたびたび担任教師に怒られ、ほとほと参っていた男子一同。そこで弱点を探るために、いちづをじっと見ていた男子の一人が、彼女にひげが生えているのを発見する。はやし立てる男子を鼻で笑っていたが、鏡を見て本当にひげを発見してしまい、ショックを受けるいちづ。それを樺にチクられ、男子一同は再び猛烈に怒られてしまう。(エピソード「コラッタのひげ編」)

中学生になったかふんの家に、ついにプリンターが導入された。表向きは興味のなさそうなふりをしていたかふんだったが、家族が寝静まった深夜に、エロサイトでかき集めたエロ画像をプリンターで印刷する作業を開始。しかし、オカーサンが起きた事で計画は一時中止となる。翌日、何も知らずにプリンターを使った祖母の手により、中断していたエロ画像のプリントアウトが再開される。(エピソード「人生初プリンター編」)

かふんは、モニター付きのアパートに引っ越した。荷物を片付けている最中にインターホンが鳴らされるが、玄関の前にいたのは見知らぬおばさんだった。おばさんは自分にシワがない理由を、詩吟のような歌に合わせながら語りだす。(エピソード「モニター付きインターホンの話」)

かふんが生まれる前、嫁ぐ予定の家に呼び出されたオカーサンは、はじめて見た家が歪(いびつ)な鬼門ハウスである事に気がついた。そのため、数か月後に大改装を実施。地鎮祭では神主と山伏がダブルブッキングするというアクシデントに見舞われても、どこ吹く風のオカーサンは、新築の家で新たな生活を始める。(エピソード「大改築と地鎮祭の話」)

第2巻

小学生時代のかふんは万年花粉症で、いつも鼻の下が真っ赤になっていた。そんなかふんの姿を見かね、オカーサンが保温ティッシュを買って来た。うるおいのある保温ティッシュを使い込むうちに、それにほんのりとした甘みがある事に気づいたかふんは、学校の友人と甘いティッシュを舐め、甘みを摂取する喜びを分かち合う。(エピソード「甘いティッシュ編」)

かふんが幼少期の頃、家には押し売りが頻繁にやって来た。中でも募金箱をチラつかせつつ舞い続ける獅子舞は、時間も金もかかるため、非常に厄介な相手だった。一計を案じたオカーサンは、結婚した親戚の使いにくい引き出物を、交易品としてお金の代わりに渡す事を決める。(エピソード「ししまい編」)

弱すぎるかふんを見かねたオカーサンは、彼を「こども空手教室」に通わせる事にした。基礎練習のあとに、初めての組手をする事になったかふんは、大柄な少年と組まされる。しかし、圧倒的な体格差からボコボコにされたかふんは、その場で嘔吐してしまう。(エピソード「こども空手編」)

かふんは体が弱く、漢方の診療所に通っていた。その待合室で本棚にある本を独占していた少年から、本を1冊拝借したかふんは、「本をもっていないからばーか」という、理不尽なあざけりと罵りを受けてしまう。悔しさのあまり、少年が独占する本をすべて奪い、生まれて初めて他人に勝利したかふんは、自宅で勝利の美酒ならぬ漢方を味わうのだった。(エピソード「待合室の本棚編」)

母方の祖母が働く工場でオカーサンが来るのを待っていたかふんは、違法駐車をしたチンピラと祖母が言い合っている姿を目撃してしまう。その現場に参入したオカーサンを見たかふんは、二人が倒されてしまう事を恐れ、2階の窓に乗り出した瞬間、1階の廃ネジが詰まったボックスに転落してしまう。(エピソード「ネジ山編」)

かふんは母方の祖母とオカーサンに連れられ、水族館を訪問した。明るく楽しい場所を想像していたかふんが見たものは、人間より巨大な魚が遊泳する姿。本能的な恐怖を感じ、体調が悪くなったかふんは、大人向けの魚図鑑をお土産に買ってもらうが、そこに掲載されていた魚を見る度に恐怖が蘇ったため、ホチキスで閉じて入念に封印をする。(エピソード「水族館編」)

かふんは母方の祖母とオカーサンに連れられ、とある旅館へ来た。何事もなく帰宅の日を迎えたかふんは、祖母からお土産を1点だけ買ってもらえる事になった。悩みに悩んだ末、最終候補に残ったのは金ピカの剣と目が宝石のガイコツ。電車の時間に迫られて最終決断をしたかふんは、なぜか飛騨名物のさるぼぼを購入する。(エピソード「お土産物コーナー編」)

幼少期のかふんは丸首シャツの襟が、肌と触れ合うのが非常に気になって仕方なかった。四六時中触り続けるため、シャツがすぐに劣化してしまう事から、オカーサンは大人用サイズのシャツを買って来る。しかし、それでも襟が気になるかふんに、オカーサンはそれでダメならスッポンポンしかないと言い放つ。(エピソード「襟首編」)

ある日、かふんの家に父方の祖母と姉がやって来た。顔も声もそっくりな二人に戸惑うかふんをよそに、オカーサンに大切な話を切り出す祖母と姉。その大切な話とは、二人が「双子」であるというものだった。(エピソード「双子編」)

大叔母の家を訪れた幼少期のかふんは、オカーサンを待っていた。穏やかな大叔母が席を立ったその時、かふんは大叔父から不思議な写真を見せられる。それは大叔母の学生時代に学校で撮った集合写真で、現像しても人間だけが消えてしまうという奇妙な代物だった。(エピソード「大叔母さんの話」)

かふんが生まれる前、妊娠中だったオカーサンは、深夜に突然祖母に起こされ、台所の勝手口にある扉のドアノブが、なぜか二つになっている事を知らされる。不思議な現象を前にしても、なお夜中に起こされたという苛立ちと眠気が勝っていたオカーサンは、これからは勝手口の扉を使わないという適当な提案をして、その場を切り上げるのだった。(エピソード「ドアノブの話」)

かふん宅では、日曜日だけは食事中のテレビの視聴が許されていた。しかしかふんは、お掃除系や殺虫剤系のCMにおけるリアルな汚い描写を見て、激しく気持ち悪くなってしまう。かふんを案じたオカーサンは、ダンボールで画面隠しを作り、音でCM明けを判断できるようにする。(エピソード「食事中のCM編」)

太陽が眩しすぎて目を開ける事ができなくなったかふんを、オカーサンは眼科に連れて行く。検査の結果、生まれつき目が悪い事が判明したかふんは、サンバイザーをつけて保育園に通う事になる。こうして保育園に遮光戦士サンバイザーが誕生する事となった。(エピソード「光編」)

かふんは、腹にできていたホクロを見た友人の園児から「ガンのもとができてる」と断言された。ガンにかかる事を恐れて絶望したかふんは、オカーサンをはじめ大人達に相談するが、誰もまじめに相手をしてくれない。孤立したかふんは、木材を使って強引にホクロをこそぎ落とそうとする。(エピソード「ホクロ編」)

幼少期のかふんは体が弱すぎて、毎日何らかの病気にかかり、日常生活もままならなかった。そんなかふんを見かねたオカーサンは、かふんの舌小帯を手術で取る事を決める。初めての手術を前に、恐怖のあまりほとんど廃人と化したかふんだったが、無事に手術は終了する。(エピソード「手術旅行編」)

かふんは、オカーサンといっしょに母方の親戚の家に法事にやって来た。一同でエビシューマイを食していた最中、突然親戚のおばさんが昏倒。病院に担ぎ込まれ、一命を取り留めたおばさんが、実はエビアレルギーであった事が判明する。(エピソード「エビシューマイの話」)

幼少期の一時期、親戚の寺に預けられていたかふんは、怖がりなのに寺の住職夫婦から怖い話を聞かされ続けたせいで、心のブレーカーが落ちてしまった。それにより、かふんはよりどん欲に怖い話を求めるようになり、近所に住むお年寄りからも怖い話を聞かせてもらう「怖い話ジャンキー」となってしまう。(エピソード「寺の話」)

かふんは、友人のモミーから自宅に遊びに来るように誘われた。かふんはそこでモミーの祖母に会い、モミーの抜けた歯を地面に埋めるというおまじない的な風習を見せられるなど、微妙に奇妙な体験をする。(エピソード「モミーの家族編」)

かふんのクラスは、社会科見学でごみ処理場に行く事になった。見学者全員に配られるという、ゴミから錬金された名前入りの記念メダルを誰よりも楽しみにしていたかふんだったが、見学後に渡されたメダルには間違った名前が刻印されていた。激しいショックを受けたかふんは、トイレの窓からメダルを投げ捨ててしまう。(エピソード「社会見学編」)

かふんはテスト中、座っている椅子がこすれてきしみ、オナラに酷似した音を鳴らしてしまった。クラスメイトに誤解されてしまったかふんは、椅子がこすれた音である事を証明するため、死に物狂いでギシギシと椅子を動かすが、担任教師から「誰でもオナラは出るものです」と言われたうえ、トイレに行く事を促されてしまう。(エピソード「摩擦編」)

かふんのクラスは、体育の授業で勝ち抜きのドッジボール大会をする事になった。しかし試合の最中に、敵チームのエースが投げたボールが空中で5~6秒停止し、ボールに書いてあったクラスの数字も消える、という謎の怪奇現象に見舞われてしまう。(エピソード「ドッヂボールの話」)

かふんは、お金持ちのクラスの女子から遊びに誘われたカゲに付き合い、いっしょに彼女の家を訪問した。そこで箱買いのチョコボールをもらったかふんは、運よく当たりの箱を引き当てる。しかし、クラスの女子に、何事もなかったかのように当たりの箱を奪われてしまう。(エピソード「銀のエンゼル編」)

かふんは道徳の授業でテレビ番組を見せられ、その感想文を書く事になった。作文が超がつくほど苦手なかふんは悪戦苦闘をしていたが、となりの席の美桐すみこが映像を見ながらメモを取っていた事実を知り、そのメモを強引に見せてもらおうとする。(エピソード「道徳の作文編」)

かふんはヘルメットをかぶって登校する「ヘルメット登校の日」に、妹のヘルメットの紐がちぎれて困っている5年生を発見した。名札の安全ピンで紐を仮止めし、得意満面になっていたかふんだったが、妹のヘルメットに鳥の糞が落ち、かふんは跳ね返った糞を顔面に浴びる。(エピソード「ヘルメット登校編」)

虚弱体質のかふんは鼻の粘膜が弱く、ふとした拍子に鼻血が出てしまう。鼻血が出た日は小学校でヒーローになれるため、まんざらでもないかふんだったが、モミーが定規を折って頰から流血した事で、流血王としての天下はあっという間に終わってしまう。(エピソード「鼻血編」)

自由帳に高速で迷路を書き出してしまう迷路職人のカゲ。なぜかカゲから無類の迷路好きにカテゴライズされていたかふんは、毎日のようにカゲが作った迷路に挑戦させられていた。ある日、かふんが新作の迷路に苦闘している最中に現れたモミーが、かふんの代わり迷路に挑戦する事になった。(エピソード「迷路編」)

かふんはカゲとの下校中、クラスメイトの男子が集まっているところを目撃した。彼らが見ていたのは通販の下着カタログだった。外人モデルの下着姿に大はしゃぎするかふん達をさめた目で見ていたカゲは、唐突にこれまでに見せた事がないブチ切れっぷりを見せる。(エピソード「下着カタログ編」)

バレンタインデーを迎えた小学校。女子に大人気のカゲは、登校中にたくさんのチョコレートをもらっていた。しかし、バレンタインデー中は学校の持ち物検査が厳しくなる事から、かふんは空き地にチョコレートを隠す事を提案。帰宅中に空地へ立ち寄った二人は、中年の男性がカゲのチョコレートをむさぼっている姿を目撃する。(エピソード「バレンタインデー編」)

学校の成績が非常に悪かったかふんに対し、マンツーマン塾の体験入塾を勧めるオカーサン。やむなく3連休を利用して塾へと通うハメになったかふんだったが、マンツーマンでついた先生が非常に厳しく、地獄の苦しみを味わう事になってしまう。(エピソード「マンツーマン編」)

全校朝礼で全生徒に校長から言い渡された、通学路にある家の花の蜜を吸わないようにという注意喚起。しかし、そのせいで花の蜜が吸える事を知ってしまった多くの生徒が、下校時に大挙してその家に押し掛ける、という本末転倒な出来事が起こってしまった。さらに、堪忍袋の緒が切れた家の住人である、ハサミを持つ老婆の姿に恐怖にした生徒のあいだで、「毒ハサミババア」の噂が流れはじめる。(エピソード「花の蜜編」)

小学校時代のかふんは、九九や地図がどうしても覚えられなかった。そんなかふんを見たオカーサンは、トイレの左右の壁に日本地図と世界地図、扉に九九表、天井に百人一首のポスターを張り、それらが否応なしでも目に入るようにしてしまう。(エピソード「トイレのポスター編」)

かふんのクラスに、気になる事をや悩み事などを相談するための「先生箱」が設置された。しかし、利用者の大半は女子で、悪さをする男子を先生にチクる目的で使われていた。しかし先生箱は唐突に廃止され、チクリができなくなった女子はストレスをため続ける。そんなある日、かふんは水音いちづが音楽教師のに対し、男子の所業をまとめてチクっているのを目撃してしまう。(エピソード「チクリ箱編」)

かふんの小学校ではトレーディングカードゲームが大流行していた。しかし、高額なカードを買ってもらえなかったかふんは、友人からたまにもらえるダブりカードで心の隙間を埋めていた。ある日、友人から4枚もカードをもらったかふんは、ウキウキ気分で帰宅しようとするが、モミーがもらったすべてのカードを折り曲げ、ブーメランのように飛ばしてしまう衝撃のシーンを目撃。かふんはショックのあまり、モミーに対し絶交を宣言する。(エピソード「ダブッたカード編」)

理科の授業で、かふんはアルコールランプを使う事になった。しかし、かふんが入った実験チームは、アルコールランプの火をさわる「勇気さわり」を全員に強要するやばいチームであった。火傷する恐怖で勇気さわりを徹底拒絶したかふんを見て、実験チームの一人も、実は火をさわるのが嫌だったと言い出し、固かったチームの結束が徐々に崩れていく。(エピソード「アルコールランプ編」)

雨が降った日はカッパを来て登校していたかふん。ほかの生徒がすべて傘を使っており、自分だけがカッパを着ている事に、なんとなくコンプレックスを感じていたかふんは、オカーサンから折り畳みの傘を入手。小雨の日に万を持して傘を広げるが、周りの生徒は誰も傘をささないという事態に、小心なかふんは苦悩する。(エピソード「傘編」)

視力が極端に悪いかふんは、オカーサンといっしょにメガネとコンタクトレンズを作りに行く事になった。目の検査をこなし、メガネはなんとか作る事ができたものの、本日のメインイベントであるコンタクトレンズ作りが残っていたため、かふんの気分は晴れなかった。(エピソード「メガネ・コンタクト編 前編」)

かふんは目に異物を入れるという恐怖から手が震え、コンタクトレンズの扱いに悪戦苦闘する。四苦八苦しながら片方の目にコンタクトレンズをつけただけで、涙が止まらず、息すらも苦しくなってしまった。かふんは、今日は片方だけにしたいと店員のお姉さんにお願いするが、それをスルーされ、もう片方のコンタクトレンズを渡されてしまう。(エピソード「メガネ・コンタクト編 後編」)

家庭の事情で引っ越しする事になってしまったかふん。クラスメイトとの別れを想像し、嘆き悲しむかふんだったが、引っ越し前にみんなと林間学校に参加できる事を心の支えに、引っ越しを誰にも伝えずに学校へと通い続ける。そして迎えた林間学校当日、楽しいイベントの最中でも引っ越しの事ばかりを考え、憂鬱になってしまうかふん。深夜にトイレに立ったかふんは、悲しみのあまり「引っ越ししたくないなぁ…」とつぶやくが、その言葉をトイレの個室に入っていた生徒達に聞かれてしまう。(エピソード「林間学校 前編」)

かふん引っ越しの噂は、生徒達に瞬く間に広まった。帰りのバスで、クラスメイトに寄せ書きを書いてもらったり、モミーやカゲのから別れの言葉をもらったかふんは、しんみりしながら帰宅する。しかし、家で待っていたオカーサンは紆余曲折あって、引っ越しが3年後まで先延ばしになった事をかふんに告げるのだった。(エピソード「林間学校 後編」)

登場人物・キャラクター

かふん

生まれつき虚弱体質な少年。幼少の頃は特に病弱で、にぼしと牛乳、そして白米しか食べられないという極端な偏食家でもあった。神経質で臆病なうえに内向的な性格だが、友達はそれなりに多く、みんなから「かふちゃん」と呼ばれて親しまれている。好きな事に対しては非常に入れ込むタイプで、妄想怪獣図鑑なるものを深夜まで熱心に書いて、寝不足で学校に行く事もしばしばあった。 学業は得意ではないが、観察眼に優れており、身の回りで起こった些細な出来事も詳細に覚えている。作者のかふん本人がモデル。

オカーサン

かふんの母親で、強くたくましい性格をした主婦。歯に衣着せぬ物言いが特徴の毒舌家。見えてはいけないものが見えてしまう体質で、嫁ぎ先となった現在の家に来た当初から、さまざまな怪奇現象に見舞われていたが、そのすべてを平然とはねのけていた。実家近くにいるお坊さん曰く「あらゆる災厄を跳ね返す鬼瓦」であるとの事。病弱なかふんの将来を案じ、彼が健康になるように手を尽くすなど、親としての愛情は人並にある。 押し売りに不要な引き出物を対価として渡すなど、なかなかのやり手でもある。

カゲ

小学生の男子。かふんのクラスメイトで友人。文武両道な優等生で、女子生徒から非常に人気がある。バレンタインデーには大量のチョコレートをもらい、もてあましていたほど。温厚で生まじめな性格をしているが、「エロ」に関しては非常に厳しく、女性の下着カタログに夢中になっていたかふん達をマジ切れする事もあった。迷路作成マニアで、自由帳に毎日迷路を書いては、かふんに挑戦させていた。 呪いやオバケを信じるタイプ。

モミー

小学生の男子。かふんのクラスメイトで友人。明るく能天気な性格で、いつも大騒ぎしているパワフルな少年。その場の勢いで考えなしに行動してしまう面があり、かふんがほかの友人からもらったトレーディングカードを、すべて折り曲げて飛ばすという遊びをした事で、かふんから絶交を宣言された事もあった。

水音 いちづ (みずね いちず)

小学生の女子。かふんのクラスメイト。男子のいい加減な言動の数々を、担任教師をはじめとする教師達に抜け目なく報告する事から「チクリ魔」と呼ばれ、多くの男子からは恨まれていた。なんとなくネズミっぽい顔をしているため、別称として「コラッタ」とも呼ばれている。

美桐 すみこ (みきり すみこ)

小学生の女子。かふんのクラスメイト。かふんとは席がとなり同士だが、会話を交わした事はほとんどない。おとなしく目立たない性格をしており、行動全般もスローテンポ。将来の夢を書く授業の時だけ機敏に行動し、かふんに少し驚かれていた。

担任教師 (たんにんきょうし)

かふんのクラスの担任を務める男性教師。筋骨隆々の黒々とした屈強な体格と、禿げ上がった頭が特徴。見た目とは裏腹に常識的な性格をしているが、「ケツピン棒」と呼ばれる棒で、問題を起こした生徒のお尻を叩く事から、多くの生徒に恐れられていた。粗暴な不良中学生を三人まとめて瞬殺するなど、腕前は相当なもの。

(かば)

音楽教師をしている、眼鏡をかけた若い女性。若干ヒステリックな性格をしており、生徒が粗相をすると金切り声をあげ、凄まじい勢いで怒り出すため、かふんをはじめとする男子からは恐れられ、「カバ」呼ばわりされていた。

父方の祖母 (ちちかたのそぼ)

かふんの父方のおばあさん。比較的信心深い老人で、先祖代々が築いた家や祠を大事にしたり、オカーサンが嫁いで来た時に、近所のお坊さんに彼女の事を見てもらっていた。胆力はあるが、怪奇現象や押し売りには弱く、それらの対処はすべてオカーサンに任せていた。顔と声がそっくりな双子の姉がいる。

母方の祖母 (ははかたのそぼ)

かふんの母方のおばあさん。非常に穏やかな性格の持ち主。自分が働いている工場の一室で、オカーサンが帰る時刻までかふんを預かって面倒を見ていた。おやつとして、メロンのアイスとオロナミンCを毎回あげていたが、当のかふんには少々飽きられていた。

書誌情報

かふん昔ばなし 1巻 KADOKAWA〈MFC〉

第1巻

(2015-07-23発行、 978-4040677354)

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