概要・あらすじ
上場企業に内定している大学四年生の岸本透には原田今日子という彼女がいる。文芸サークルの先輩である岸本は、借り物の知識で武装し、常に彼女を指導しているつもりになっていた。しかし、彼女が自分に逆らい、自分の卑小な内面を鋭く批判したことに狼狽する。しかも今日子が文芸誌の新人賞を獲得したことから、岸本の唯我独尊の仮面が崩壊してしまう。
だが、二人の関係はそれで終わらない。
登場人物・キャラクター
岸本 透 (きしもと とおる)
『見晴らしガ丘にて』の第四話「かわいいひと」の主人公のひとり。大学四年生。文芸部に所属。メガネ、小太りで、唯我独尊に振る舞っているが劣等感が強い。親を軽蔑しているがマザコン。恋人の原田今日子に対して常に優位に立とうとしている。
原田 今日子 (はらだ きょうこ)
岸本の後輩で彼女。文芸部に所属。岸本の強いコンプレックス、ダメさ加減を見抜いているが、それでも嫌っていない。
松尾 公彦 (まつお きみひこ)
卒業後、信州の山里で晴耕雨読を気取っている文芸部の先輩。後輩の女子の人気を集めている。在学中、原田今日子を口説き、卒業後もプロポーズの手紙を送っている。
集団・組織
文芸部 (ぶんげいぶ)
『見晴らしガ丘にて』の第四話「かわいいひと」に登場する大学の文芸サークル。岸本たちが所属している。セリフでは文芸部と表現されているが部室の看板は文芸倶楽部。
場所
見晴らしガ丘 (みはらしがおか)
東京都下の新興住宅地。旧地名は野川村。1960年代後半には農家が多かったが、作品に描かれる1985年前後には団地、マンション、分譲住宅が立ち並ぶ住宅地に変貌している。かつて存在した林や池もなくなっている。