きのう、きょう、あした

きのう、きょう、あした

残りの寿命が数字となり、頭上に表示されるようになった世界を舞台にしたヒューマンドラマ。寿命の見える世界に生きる人々を巡る出来事を全4話のオムニバス形式で描く。「クッキー」2018年7月号、11月号、2019年1月号、「ザ マーガレット」2018年8月号に掲載された作品。

正式名称
きのう、きょう、あした
ふりがな
きのう きょう あした
作者
ジャンル
ヒューマンドラマ
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あらすじ

第1巻

周囲の誰よりも長い寿命を持つ君島のクラスに、及川めいが転校してきた。めいのかわいらしい容姿は注目を集めるが、それ以上に、神様の誤送信によって表示されている寿命が残り7日ほどであることに周囲はざわめく。しかし、当の本人はまったく気にすることなく生活を送っており、偶然となりの席になった君島に対しても友好的に接する。その後、二人は休日にデートをするなど一気に距離を縮めていくが、気づけばめいの寿命はあと2日となっていた。そんな中、君島はインフルエンザにかかり、めいに会えなくなってしまう。(#1「命の砂時計」。ほか、3エピソード収録)

登場人物・キャラクター

君島 (きみじま)

エピソード「命の砂時計」に登場する。高校生の男子で、年齢は17歳。神様の誤送信によって示されている寿命は周囲の誰よりも長く、91年後には県の最高齢記録を更新することになる。昔からいずれは一人ぼっちになる運命なのだと、冷めた感情を抱いており、理想の異性像は「自分より長生きな女の子」。季節はずれに転校してきた余命7日の及川めいと同じクラスになり、偶然となりの席になったことから親睦を深めていくこととなる。

東條 律子 (とうじょう りつこ)

エピソード「甘い毒薬」に登場する。製薬会社に勤務する女性で、年齢は27歳。幼い頃に幼なじみの青山瞬の愛犬、ヘブンが亡くなる原因となる事故を目撃した。神様の誤送信によると27歳で死亡する瞬の「安らかに死にたい」という希望を叶えるべく、終業後は施設を私的に利用し、命日殺人を実行するための薬物を研究している。たびたび瞬を自宅に招き入れて食事を共にしているが、恋人同士ではない。

松岡 菜々子 (まつおか ななこ)

エピソード「SEVEN」に登場する。地元の信用金庫に勤務する独身女性で、年齢は25歳。父親のギャンブル癖によって両親は離婚しており、以降賭け事をする男性を忌み嫌っている。自分を引き取って育ててくれた母親は昨年病死しており、現在は一人暮らし。名前の「菜々子」はギャンブルで縁起がいいとされている「777(スリーセブン)」にちなんで父親が付けたこともあり、不満に思っている。街を歩いていた時に赤星すばるから強引なナンパを受け、ギャンブル狂いのスリーセブン信仰だと知りながら、いっしょに行動を共にしている。

遊亀 (ゆき)

エピソード「ツルカメ」に登場する。中学2年生の女子で、志鶴の従妹。志鶴をはじめとする親戚からは「カメ」と呼ばれている。元気一杯の明るい性格で、神様の誤送信によって示されている寿命が残り数日にせまった遊亀と志鶴の祖母の死を受け入れられず、少しでも長生きさせるために試行錯誤を繰り返している。遊亀自身の寿命は69歳。

志鶴 (しづる)

エピソード「ツルカメ」に登場する。中学3年生の男子で、遊亀の従兄。遊亀をはじめとする親戚からは「ツル」と呼ばれている。何事にも冷めたクールな性格で、神様の誤送信によって示されている寿命が残り数日にせまった遊亀と志鶴の祖母の死を本心では悲しみながらも、受け入れなくてはいけないと冷静に対応する。志鶴自身の寿命も58歳と、現代の平均寿命からすると長い方ではない。

及川 めい (おいかわ めい)

エピソード「命の砂時計」に登場する。高校生の女子で、年齢は17歳。転勤族の父親を持つ一人娘で、季節はずれに君島と同じ学校に転校してきて、クラスメートになる。誰もが振り向くほどの美少女で、運動神経も非常にいい。転校をした時点の神様の誤送信で表示されている余命は7日ほどだったが、幼い頃から人よりも短い寿命を気にせずに過ごすことを決めていたため、ほかの生徒と同じように生活している。偶然となりの席になった君島がクラス内の誰よりも長い寿命を持つことを知り、友達になろうと接近する。

君島の母 (きみじまのはは)

エピソード「命の砂時計」に登場する。君島の母親。かつて夫となる男性と神様の誤送信によって示されている寿命が秒単位までピッタリ同じだったことに運命を感じ、結婚した。おそらく事故によって死亡することになると考えており、いっしょに死ねるのならと運命を肯定的に受け入れている。君島が及川めいと親しくなったことを知り、少しでも思い出をつくってあげたいとめいのお弁当を作るなど、ひそかに応援をしている。

青山 瞬 (あおやま しゅん)

エピソード「甘い毒薬」に登場する。つかみどころのない性格の男性で、年齢は27歳。東條律子とは幼なじみ。神様の誤送信によって示されている自身の寿命が27歳であることから、死ぬまで好きなことだけをしようと定職に就かずにいる。幼い頃に愛犬のヘブンが目の前でケガを負って亡くなったことを受け、自分は「安らかに死にたい」と願うようになり、その夢を叶えてくれるという律子と共に過ごしている。なお、律子とは恋愛関係にあるわけではなく、別に恋人がいる。

ヘブン

エピソード「甘い毒薬」に登場する。青山瞬の愛犬で、幼なじみの東條律子からもかわいがられている。ある日事故に遭い、大きな傷を負って亡くなってしまう。この出来事がきっかけとなり、東條律子は27歳で死亡する瞬の命日殺人の実行を決意することとなる。

赤星 すばる (あかぼし すばる)

エピソード「SEVEN」に登場する。定職に就かずにギャンブルを生業として生活をしている男性で、年齢は21歳。競馬場に行く前に街で松岡菜々子を見かけ、スリーセブン信仰からナンパをする。競馬で稼いだ金を使って、豪華なホテルのスイートルームを長期間貸し切ったり、高級レストランに菜々子を招待したりと金遣いの荒さが目立つ。幼い頃は貧しい家庭に育ち、偶然拾った100円でパチンコをしたところ大勝したことをきっかけに、ギャンブルにのめり込むようになった。

遊亀と志鶴の祖母 (ゆきとしづるのそぼ)

エピソード「ツルカメ」に登場する。遊亀と志鶴の祖母で、神様の誤送信によって示されている寿命は残り数日になっている。現在は入院中で死を待つのみとなっているが、ふだんと変わらない様子で過ごしている。

その他キーワード

神様の誤送信 (かみさまのえらー)

約50年前に突然すべての人間の頭上に現れた、その人物の残りの寿命が表示されるもの。本人はもちろん、他人でも認識することができる。ただし動物など、人間以外の生き物の寿命は表示されない。1秒単位で表示されており、0になるとなんらかの理由で死亡する。現れた当初は世界中がパニックに陥ったものの、時の経過とともに「人生設計が立てやすい」「大量の死傷者を出すテロといった大きな事件を事前に予測しやすい」など、徐々に受け入れられるようになる。一方で、0になる前に親族がなんらかの方法で殺害をする「命日殺人」が社会問題化している。これまでの研究により、残り時間が0になる前に死亡の原因となり得る事柄から遠ざけることもできるが、結局は異なる理由で命を落とすことがわかっている。また、寿命はあくまで命が尽きるまでのもので、必ずしも健康でいられる期間であるとは限らない。

命日殺人 (めいにちさつじん)

神様の誤送信で表示されている寿命の残りが少ない者に対し、第三者が殺人を犯す事件のこと。犯人のほとんどが血縁者によるもので、「事件などに巻き込まれる前に、少しでも安らかな死を迎えさせてあげたい」といった気持ちから実行され、社会問題化している。

スリーセブン信仰 (すりーせぶんしんこう)

神様の誤送信で表示されている寿命の数字のいずれかが「777」になったとき、人生最大の幸運が舞い込むという都市伝説。主にギャンブラーなどのゲン担ぎに使われている。

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