恋は光

恋は光

「恋をしている女性が光って見える」という不思議な能力を持つ男子大学生の初恋を描いたファンタジー恋愛作品。登場人物の心が揺れ動く描写など純粋な恋愛作品としても楽しめるが、物語の根幹にある「恋をしている女性が光って見える」という能力が発動する原理を推測する、謎解き要素も楽しむことができる。集英社「ウルトラジャンプ」2013年11月号より連載の作品。2022年6月実写映画化。

正式名称
恋は光
ふりがな
こいはひかり
作者
ジャンル
恋愛
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概要・あらすじ

5月の半ば、西条は幼なじみの北代に自分が持つ特殊な能力について暴露する。その能力とは、「特定の条件下にある女性が光って見える」というもの。西条は過去の経験から「光っている女性は恋をしている可能性が高い」ということ、そしてそれを知ってからというのも自分が恋愛から極力遠ざかるように生きてきたことを明かす。ところがそんな話の直後、西条は大学の講義で1人の女性と出会い、初めての恋愛感情を抱くこととなる。

実写映画

2022年実写映画化。6月17日より公開。監督・脚本は小林啓一、キャストは主人公の西条を神尾楓珠、北代を西野七瀬、東雲を平祐奈、宿木南を馬場ふみかが演じる。

登場人物・キャラクター

西条 (さいじょう)

ボサボサの髪に四白眼、スクエアタイプのメガネをかけた冴えない見た目の男子大学生。性格も理論的を通り越して理屈っぽく、独特な感性を持っている。中学に上がった頃から女性がキラキラと輝いて見えるという特殊な能力を発現している。そして、それが恋をしている女性が放っているものであること、また自分にその光を向けている異性が一切いないことを知って以来、恋愛からなるべく遠ざかって孤独に生きることを選んだ。 大学生になって初めて東雲に恋をし、なんとか親密な関係になりたいと考えている。異性ではあるが、北代とは小学校からの腐れ縁で気の置けない仲。同い年だが、西条が大学入学で一浪したため学年は彼女の1つ下となっている。

北代 (きたしろ)

西条の小学校時代からの友人で、同じ大学に通う女の子。法文学部人文学科所属。異性である西条はもちろん、同性の東雲や宿木南からも「可愛い」「その気になれば彼氏なんてすぐにできる」と言われるほど優れた容姿の持ち主。また頭の回転が速く気配りができるうえ、コミュニケーション能力に長け、どんな話にも合わせることができる。 一方で面白そうなことにはなんでも首を突っ込みたがるという悪癖もある。過去にあるきっかけで西条に興味を持って以来、密かに西条に想いを寄せている。しかし、強引なアプローチは一切せず、西条から東雲に対する想いを聞かされても応援するような素振りを見せる。

東雲 (しののめ)

西条と同じ大学に通う女の子で、北代と同じゼミに所属する女の子。髪型は黒髪のショートボブ。携帯電話を持たず、テレビも見ず、パソコンも必要最低限しか触らないという浮世離れした感性を持つ。また趣味の域を超えた読書家で、常になにかの作品に触れている。本ばかり読んでいるからか、どんなことでも理論立てて物事を考えないと理解できず、また一度気になったことは徹底的に調べなくては気が済まないという変わった性格。 過去にあまり人付き合いをしてこなかったためか、仲の良い友人相手でも礼儀正しい丁寧語で話すということもあり、北代や宿木南を含む一般人からは「変な人」扱いを受けている。西条とは大学の講義室で隣の席に座り会話したことがきっかけで知り合い、互いに交換日記をやりとりしながら交流を深めていく。

宿木 南 (やどりぎ みなみ)

北代や東雲と同じ学科に所属している女の子。髪型は緩いウェーブのかかったミディアムボブ。ファッションや流行に敏感で、SNSを駆使し、性別を問わず広い交友関係を持つステレオタイプな女子大生。一方で非常に自尊心が高く自意識過剰な性格で、他人が付き合っている男を見ると奪いたくなるという歪んだ性癖の持ち主。これらの悪癖は自覚しているものの、直すことができないでいる。 同じゼミの中でも存在感の強い北代と東雲がともに西条に好意を抱いているのを察し、西条を自分の彼氏にしようと目論む。

大洲 央 (おおず なかば)

宿木南が光についての情報を探るために作ったツイッターに「自分も光が見える」と接触してきた人物。ツイッターでのアカウント名は「りょう」。その正体は西条と同じく女性から発せられる光が見える女子高生。肩にかかるぐらいのぼさぼさのミディアムヘアに大きな丸眼鏡をかけている。同性ながら、同じ高校の先輩である小笠原に好意を抱いており、ツイッターのDMでこれを暴露している。 現在は高校の寮で生活しているが、毎日のように連絡を入れてくる束縛の強い母親に辟易している。

小笠原 (おがさわら)

大洲央の先輩にあたる女子高生。バレー部所属。すらりと長い手足とショートカットの髪を持ち、中性的な顔立ちをしている。その見た目で同性の女子生徒から高い人気を集めており、本人もこれを自覚している。のちに大洲と知り合った際にも、好意を向けられていることをすぐに看破した。しかし、その想いに対し「自分のことを好きと言ってくれる子は全員好きだが、恋愛感情はない」とすっぱり断っている。

小田 (おだ)

西条らと同じ大学に通う男子学生で、宿木南の友人。髪型は黒髪短髪。夏休み期間中に宿木に誘われ、藤本や東雲と4人で海に行った。北代が名前を知っていることからある程度共通の友人だと思われるが、詳しい関係は不明。

藤本 (ふじもと)

西条らと同じ大学に通う男子学生で、宿木南の友人。髪型は茶色に染めたナチュラルヘア。夏休み期間中に宿木に誘われ、小田や東雲と4人で海に行った。それまで東雲のことは変わった女の子として意識していなかったが、海でのやりとりから次第に彼女を意識するようになる。

中田 仁 (なかた ひとし)

西条や北代の中学時代の同級生だった男子。女子の足を見れば、その女の子がヤッているかヤッていないかが分かるという特技を持っていた。しかしそれが本当に合っているのかどうかは定かではなく、本人もなぜ分かるかは不明と語っていた。

渡辺 (わたなべ)

北代と同じ学科に所属する後輩の女の子。光の発生原因を探るために西条と北代が大学内で人間観察を行っていた際、北代に声をかけてくる。北代と同学年で同じ学科の先輩である金子という男子学生に想いを寄せており、金子に対して光を発していた。

金子 (かねこ)

北代と同じ学科に所属する男子学生。光の発生原因を探るため、西条と北代が大学内で人間観察を行っていた際、渡辺と世間話に興じていたところに現れた。金子が現れた瞬間に、渡辺から光が発せられるのを西条が確認している。

坂東 (ばんどう)

西条と北代の小学校時代の同級生。「バンドゥ」のあだ名で呼ばれており、宿木南が交換日記に「バンドゥビキニがほしい」と書いたことで、2人から連想され、話題に上った。

新堂 (しんどう)

西条と北代の小学校時代の同級生。クラスメイトの坂東が「バンドゥ」と呼ばれていたことから、転じて「シンドゥ」というあだ名を付けられた。その後、いつしか変化して「シンディ」と呼ばれるようになった。しかし中学校に上がる頃にはあだ名で呼ばれることはなくなっている。

集団・組織

焼豚玉子飯研究会 (やきぶたたまごめしけんきゅうかい)

西条が東雲に渡した最初の交換日記で、西条が学内で発足させたと明かした研究会の名称。略称は「やきーぶ」。西条は焼豚玉子飯をこよなく愛していると豪語し、通常甘辛ダレで食する焼豚玉子飯を別のアレンジをくわえたらどうなるかを研究するために発足させた、と綴っている。しかし、実はただの作り話で研究会は架空のもの。交換日記には研究会の発足が嘘であることも含めてフリースペースに書かれている。

場所

はぶ

西条と北代が行きつけにしている居酒屋。2人が外で呑むといった場合はほとんどはぶに行くことになる。なお店員の女性の1人に光を発している人物がいる。

エベレスト・カレー (えべれすとかれー)

北代、東雲、宿木南の3人が匂いにつられて入った飲食店。看板には「カレーとインド料理の専門店」とあり、カレーをナンで食べる本格的なインドカレーを提供している。女性陣は昼食を取りながら、主に「浮気」に関する恋愛観を語った。

おっちゃん書房 (おっちゃんしょぼう)

夏休み期間中に東雲がアルバイトを始めた古本屋。看板に古書専門とあり、実際に新書は扱っていない。月に一度「店長のおすすめコーナー」を作り、テーマを決めてオススメの本を並べたり、またインターネットで他店の値段相場を確認して在庫本の価格を決めるなど、一応の経営工夫はしている様子。東雲はアルバイトを始める前から客としては常連で、2日に1回は足を運ぶほどだったが、アルバイトを募集しているとはまったく知らなかったと語っている。

(うみ)

西条らの住む大学近辺から電車で行ける割と近い場所のビーチ。別れた西条に未練を残す宿木南が、西条以外の男性と東雲をくっつけるために誘い、小田や藤本と4人で出かけた。なお宿木らとは別に西条と北代も同じ海に出かけており、他の男性と遊んでいる東雲や宿木を目撃してしまう。

イベント・出来事

大古本市 (だいふるほんいち)

西条らが通う大学の近所の公園で行われていたイベント。公園内に複数のテントが設けられ、そこで古本屋が出張販売を行うもの。大学のテストを控えた時期に行われたもので、西条は勉強をしなくてはならないと思いつつもその魅力に抗えずに立ち寄り、同じく本好きの東雲と出会うこととなった。東雲は古本を販売する目的の他、店内に置かれたままになっている古書の虫干しも兼ねているのではないかと推測している。

学祭 (がくさい)

西条らの通う大学で行われるイベント。日程は11月12日、13日の2日間。北代と宿木南は東雲を誘って3人でフリーマーケットを出店するつもりでいた。ちなみに昨年の学祭では、北代は学科の先輩から頼まれて雑務をこなし、宿木は当時所属していたテニスサークルで屋台を出していたという。

その他キーワード

(ひかり)

西条が見ることのできる女性から発せられる光のこと。西条は「我視可視恋愛光線」と名付けたが、あまりこの名称は使用されず、会話ではもっぱら「光」と言われることが多い。光は女性の体をまとうように発せられる他、特定の他人に向かうこともあり、また感情によって輝きが変化・増減することがある。西条は光を発している女性とその照射対象から「恋心を持つ女性が光り、意中の相手に向けられる」と推測している。

失恋の喪中 (しつれんのもちゅう)

宿木南と別れた西条が、失恋をした気持ちを整理し、区切りをつけるために設けた期間。近親者との死別で喪に服す期間が1年、「人の噂も75日」という諺が2.5ヶ月であることを踏まえ、親との死別よりはショックが軽く、人の噂が消えるよりは重く捉えるべきという想定から、長くて半年ほど失恋を弔うことに決めた。

バラ物語 (ばらものがたり)

西条と東雲が初めて出会った際、東雲が読んでいた本。東雲は「恋というものは何か」というのを知るために読んでいたが、内容にはあまり共感できず、特に好きな本というわけではないと言っている。モチーフは13世紀に書かれたフランスの小説『薔薇物語』。当時のフランスにおける恋愛作法などを寓話方式で紹介したもの。

交換日記 (こうかんにっき)

西条と東雲が交代で書き綴っている日記。日記帳には、フリースペースのほか、その日にあった良かった・悪かった出来事を書く場所やその日の自分のコーディネイト、相手に対する質問などを書く場所が設けられている。西条は身近に交換日記で成功した実例を知っていると言い、東雲とやり取りすることで関係を進展させようとした。のちに北代や宿木南も参加することになる。

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