くうのむところにたべるとこ

くうのむところにたべるとこ

レストランの食事や自宅での料理など、食を通して、さまざまな人々の恋愛模様を、描いた連作短編。「Cocohana」2012年9月号から2014年2月号に掲載された。

正式名称
くうのむところにたべるとこ
ふりがな
くうのむところにたべるとこ
作者
ジャンル
ラブコメ
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概要・あらすじ

焼肉屋に2人の女性がいた。黒髪の女は「焼肉は性的に興奮する」と言って、目の前の女性を艶めかしく見つめ、相手の女性を口説こうとしている。口説かれる女はそんな彼女に素っ気ない態度で、今日もどうせ何もしてこないと、高をくくっていた。

登場人物・キャラクター

黒髪の女 (くろかみのおんな)

黒髪で色気のある女性。周囲に色気をふりまいて、無駄にエロい雰囲気を持つ。口説かれる女のことが好きで、肉が鉄板にくっつく瞬間が性的に興奮する、と語りながら口説いている。彼女に、キスをしたいと告げるが、結局手を出せずにいる。

口説かれる女 (くどかれるおんな)

黒髪の女に口説かれている女性。黒髪の女に好意を寄せられていることを知りつつ、はっきりしない態度のまま、30回も一緒に焼肉を食べに行っている。酔って自分が処女であることを告白する。

伊東 憲二 (いとう けんじ)

スーシェフの男性。シェフの阿部が経営するイタリアンレストランで働いている。妄想癖があり、仕事中にも、食い逃げ犯がやって来たら、目の前のプロシュットで殴ってやろう、などと妄想を膨らませている。妄想の格好の種となる女同士や、不倫のカップルを見つけては喜び、周囲を呆れさせている。

阿部 (あべ)

イタリアンレストランの経営者兼シェフを務める男性。スーシェフの伊東賢二がプロシュットを見つめる姿を見て、彼がプロシュットに性欲を覚えているのか、プロシュットになりたいのか、などと勘違いをしている。合コンで知り合って結婚した妻の阿部まりこのことが大好き。

糠の女 (ぬかのおんな)

処女の女性。糠漬けをいじりながら、ムラムラと性欲を感じて収拾がつかないでいる。普段はバーなどで男性に誘われてもまったくなびかず、その姿はまるで枯草のようだ、と陰口を叩かれている。

モテたい女子大生 (もてたいじょしだいせい)

一人暮らしで男にモテたいと思っている女子大生。ネットで男性にモテる手料理を検索し、きんぴらごぼう、ハンバーグ、餃子、野菜スープなどを山のように作っている。モテない原因は「家にばっかいるから」、と友達から言われている。

阿部 まりこ (あべ まりこ)

阿部の妻。阿部とは5年前に合コンで知り合った。かなりの天然で、「イタリアンの料理人」である阿部のことを、なぜか板前だと勘違いしていた。すぐに妄想する伊東憲二のことを気持ち悪がっており、憲二本人にもそう告げている。

美雪 (みゆき)

黒髪ショートヘアーの女性。美雪と仲のいい男と初対面からいい雰囲気になり、その後何度も2人だけで遊んでいる。彼からの告白を待ち続けている。もう2年も待っているのに、なかなか告白してもらえず、しびれを切らして自分から好きだと伝えるが、関係はなかなか進展しない。

美雪と仲のいい男 (みゆきとなかのいいおとこ)

美雪のことが好きな男性。よく美雪と2人きりで出かけているが、知り合って2年間、告白できずにいる。美雪に好きだと告げられた後も、ハッキリした返事をせずに曖昧なまま過ごしたり、レストランの前で長時間入るかどうか悩むなど、優柔不断な性格。

メガネの女 (めがねのおんな)

黒髪ロングヘアーでメガネをかけた女性。よく本屋に通っており、店員にも顔を覚えられている。地味でおとなしく、恋愛にも疎いため、食や恋愛の話は本の中の出来事だと捉えている。1人で黒ビールを飲んでいた胸の大きな女性を見て、自分も同じようにして待っていれば、素敵な男性が現れるのではと考え、彼女の隣の席で、同じように黒ビールを頼む。

胸の大きな女 (むねのおおきなおんな)

1人で黒ビールを飲んでいた女性。胸がHカップもあるため、男女問わず胸をよく見られる。見られるのに慣れているせいか、特に何とも思っていない。12年前に付き合った男性が、自身の大きな乳を頬張ってドヤ顔した姿を見た。それ以来、もし自分の乳を食べるとしたら、自分ならどのようにするか、などと妄想している。

智恵 (ちえ)

智恵の叔父と一緒にチーズケーキを作っていた女性。ウィンドウショッピングで見つけたワンピースの前で、涙ぐみながら「ママの着てたワンピにそっくりぃ」などと言う。それを哀れに思った男性に貢がせるなど、腹黒い性格をしている。

智恵の叔父 (ちえのおじ)

智恵と一緒にチーズケーキを作っていた男性。智恵の涙ぐむ顔に弱く、「ママのチーズケーキが食べたい」という一言で、チーズケーキを作ってあげようとした。一方で、自分の母親が亡くなったような顔をしては、男性を騙している智恵のことを、いつか怨みを買って刺されるのではないか、と心配している。

老年の男 (ろうねんのおとこ)

スーツ姿の老年の男性。妻を連れてホテルのバーにやって来た。妻である老婦人と結婚して30年経つ。スマートに妻の靴を褒めたり、映画のように絵になる立ち居振る舞いをしているダンディな人物。煙草を吸ったり、苦いチョコレートを食べるなど、オシャレな雰囲気を醸し出している。しかし、実は無理をしており、本当は甘党で煙草も嫌い。

老婦人 (ろうふじん)

夫である老年の男と一緒にホテルのバーにやって来た女性。老年の男が若かった頃に、その素敵な立ち居振る舞いに惚れ、結婚して30年が経つ。映画のようなスマートな会話が似合う、オシャレな雰囲気の持ち主。しかし、本質はだらしない庶民派。カプチーノを飲んでいるのも、ただ絵になって格好いいから、というのが理由。

藤木 (ふじき)

ラーメン作りで失恋した女性。中学3年の時の文化の日に、彼氏を家に呼んだが、ラーメン作りを失敗して失恋。そのことを今でもひきずっている。過去に戻ってやり直すなら、文化の日がいいと決めている。その時のことがトラウマになっており、やむを得ない時にしかラーメンは食べない。

(もり)

藤木の同僚の女性。隣のデスクの藤木に、「一日だけ過去に戻ってやり直せるとしたらいつにする?」と尋ねた。自分がやり直すなら、幼稚園のクリスマス会だと決めている。藤木の中学時代の失恋話を、「いい思い出」だと励ましてくれている。

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