こじらせ百鬼ドマイナー

こじらせ百鬼ドマイナー

舞台は四国に住む妖怪たちが集う架空の高等学校。そんな特殊な学校に編入することになった人間の少年の渡海隼人と、彼を取りまく全国的にはマイナーな妖怪たちとの交流を描いたコメディ作品。本作に登場する妖怪の解説ページも設けられている。集英社「ジャンプスクエア」2018年6月号から2020年5月号まで連載の作品。「次にくるマンガ大賞2019」コミックス部門で第10位に選出。

正式名称
こじらせ百鬼ドマイナー
ふりがな
こじらせひゃっきどまいなー
作者
ジャンル
お化け・妖怪
 
ギャグ・コメディ
レーベル
ジャンプコミックス(集英社)
巻数
全5巻完結
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あらすじ

第1巻

父親の思いつきにより、東京都から四国に引っ越すことになった渡海隼人は、まちがって妖怪たちが通う魍魎分校・死国校に編入することとなる。通常であれば人間が通うことのできない学校だったが、なぜかふつうに編入できたこともあり、渡海は不本意ながらもそのまま通学している。人間を捕食する妖怪も在籍していると聞き、戦々恐々とする渡海だったが、隠神刑部の計らいにより、同じクラスの飴宮初夏が案内役として行動を共にしてくれることとなって安堵する。渡海は一見ふつうの少女に見える初夏に、どんな妖怪なのか気になって質問する。しかし初夏は、「自分のようなマイナー妖怪は多くを語らない方が凄みが増す」といって口を開こうとしない。しかし、渡海と交流を重ねるうちに初夏は自ら「嘗女(なめおんな)」だと告白し、次々と渡海に自分の秘密を明かしてしまう。(第1話「こじらせた○女」。ほか、7エピソード収録)

第2巻

ある朝、いつもどおりに魍魎分校・死国校に登校した渡海隼人だったが、どこかよそよそしい様子の飴宮初夏に気づく。渡海は何かあったのではないかと初夏を心配するものの、初夏はなんでもないとごまかし続ける。初夏は嘗女(なめおんな)特有の嘗期(にえき)と呼ばれる、つねに何かを嘗めていないと落ち着かない周期に入っており、周囲に悟られないように過ごしていたのだ。初夏はいつもの嘗期は飴を舐めてやり過ごしていたが、今回は衝動が非常に強いため、ランチの前にすべて舐め切ってしまう。運よく給食に飴が出たことに安堵する初夏だったが、紅坂光子が目の前で飴を落としてしまう。それを見た初夏は、落ち込む光子に自身の飴を半分渡すのだった。(第9話「飴宮の舐め事情」。ほか、9エピソード収録)

第3巻

ある日、飴宮初夏瀬々良木碧は、紅坂光子が隠れて花占いをしている姿を目撃する。光子のことを相手が好きか嫌いかで一喜一憂する様子を見た初夏と碧は、アイドル歌手を目指している光子にとって恋愛はご法度だと案じて、せめて周囲にばれないように手助けをしようと考える。まずは光子の好きな男性を探るべく、初夏と碧は調査を開始する。(第20話「光子のスキャンダル」。ほか、9エピソード収録)

登場人物・キャラクター

渡海 隼人 (とかい はやと)

東京都出身の男子高校生。突然、父親が田舎暮らしがしたいと言い出したことで四国へ引っ越し、人間ながらも妖怪たちが通う魍魎分校・死国校の1年B組に編入する。人間を捕食する妖怪が在籍していると聞いていたため、つねに警戒心を抱きつつ学園生活を送っている。当初は次々と現れるマイナーな妖怪たちの言動に翻弄されていたものの、次第に彼らの個性を受け入れ、人間と妖怪の垣根を超えた友情を深めていく。

飴宮 初夏 (あめみや はつか)

魍魎分校・死国校に通う女子高校生の妖怪で、徳島県の嘗女(なめおんな)。見た目はふつうの少女そのもので、渡海隼人と同じ1年B組に在籍している。実家は非常に裕福で、いわゆるお嬢様。男性の体を舐め回す妖怪「嘗女」であることを恥じており、飴宮初夏自身の習性に関しては多く語ろうとしない。これは初夏のようなマイナーな妖怪は、多くを語らない方がすごみが増すとの考えからで秘密主義を貫いている。しかし、天然気味で口が軽いことから、自らの秘密を周囲に話してしまうことがよくある。また、ほかの妖怪の情報に関しても、なんのためらいもなく渡海に説明している。半年に一度、嘗期(にえき)というつねに何かを舐めていないと落ち着かない周期が訪れるが、周囲にはそのことを隠している。渡海が編入してきた際、隠神刑部から案内役を命じられる。それを機に渡海と言葉を交わすようになり、以降は親睦を深めている。紅坂光子、瀬々良木碧からは「ハッカ」と呼ばれている。

紅坂 光子 (こうさか こうこ)

魍魎分校・死国校に通う女子高校生で、高知県の妖怪。見た目はふつうの少女そのもので、渡海隼人と同じ1年B組に在籍している。高知県では「土佐三大妖魔」の一つと数えられる代表的な妖怪で、「勝賀瀬(しょうがせ)の赤頭(あかがしら)」と呼ばれる種族の出身。この種族の妖怪は特に悪さをするわけでもなく、頭部を強く発光させて周囲を明るくする。紅坂光子の場合は赤い髪の毛を発光させ、テンションや胸のときめきの高さによって輝度を変えることができる。妖怪として生きるのではなく、人間社会に溶け込んで暮らしたいと考えており、将来の夢はアイドル歌手になること。渡海を自分のファン、飴宮初夏を自分のマネージャーと勝手に認識している。明るく親しみやすい性格ながら、相手の話をまったく聞かないところがある。

瀬々良木 碧 (せせらぎ あおい)

魍魎分校・死国校に通う女子高校生の妖怪で、愛媛県の濡女子(ぬれおなご)。全身ぐっしょりと濡れている以外の見た目はふつうの少女そのもので、渡海隼人と同じ1年B組に在籍している。人間には水辺で目撃されることが多い。瀬々良木碧自身がいつも濡れていることにコンプレックスを抱いており、ほかのクラスメートとはかかわろうとしない。もし相手を濡らしてしまった際には、愛媛県今治市の名産であるタオルをプレゼントして詫びている。基本的に無害ではあるものの、一説では「濡女子のほほえみを無視した相手に一生つきまとう」といわれており、出会った当初は渡海から警戒されていた。クラスでの活動を通じて渡海、飴宮初夏、紅坂光子、相模次郎と親しくなり、生まれて初めて友達と呼べる存在ができたことに感動している。初夏、光子からは「びちょ子」と呼ばれている。

相模 次郎 (さがみ じろう)

魍魎分校・死国校に通う男子高校生の妖怪で、香川県の天狗。死国校の中では珍しい全国的にも有名な妖怪。渡海隼人と同じ1年B組に在籍している。白峰山にて上皇のご霊前に仕え、守護してきた格式の高い一族の出身。いずれは香川県の妖怪の頂点に立つ存在で、学生時代しか自由に行動することができないからと、ふだんは好きなことをして生活している。整った容姿ながらキザでナルシストなことから、何をしても周囲から反発心を抱かれてしまう。つねにマイペースでつかみどころのない性格をしている。見た目はふつうの少年と変わらないが、背中に黒い翼を持つ。編入してきた渡海に興味を抱き、自分から親しくなろうと声を掛けた。首野と気が合い、二人で悪ふざけをすることが多い。

夜行 (やぎょう)

魍魎分校・死国校に通う男子高校生で、徳島県の妖怪。見た目はふつうの少年ではあるものの単眼で、つねに首のない馬に乗って生活しており、学校内でもその姿で移動している。学校内では風紀委員を務め、校則違反には非常に厳しい。

首野 (くびの)

魍魎分校・死国校に通う高校生の妖怪で、狸の姿をしている。性別はオス。妖怪の種族としては「首吊り狸」で、弱っている人を誘い出し、言葉巧みに首吊りをさせる習性を持つ。ただし死国校にいるあいだは渡海隼人以外の人間と遭遇しないため、首野自身を荒縄で締め上げる自傷行為を繰り返している。思い描いたものに変身する「変化(へんげ)」の術を使うことができ、その能力は狸の妖怪の中でも非常に高い。相模次郎と気が合い、二人で悪ふざけをすることが多い。

藪出 (やぶで)

魍魎分校・死国校に通う高校生の妖怪で、狸の姿をしている。性別はオス。妖怪の種族としては「坊主狸」で、狙った相手を勝手に坊主頭にする習性を持つ。つねに藪出自身の身長よりも大きな鎌を持ち歩いており、その鎌をマドに狙われている。思い描いたものに変身する「変化(へんげ)」の術を使うことができる。

ヤマヒコ

魍魎分校・死国校に通う高校生の妖怪。高知県の妖怪で、一般的に知られるこだま現象の「やまびこ」とは異なり、深山の中で突然大きな恐ろしい声で鳴く習性を持つ。死国校の生徒たちには、秘密にしておきたい出来事をヤマヒコが大声で暴露しているため、要注意人物だと警戒されている。猿に似た獣のような姿をしている。

牛山 (うしやま)

魍魎分校・死国校に通う男子高校生で、牛の姿をした妖怪。西日本と四国に伝わる妖怪の一族の出身で、家畜や人を容赦なく襲う残忍な性格の持ち主。人間の渡海隼人を狙っているものの、校則で生徒同士の捕食が禁じられているため、我慢している。1年C組に在籍している。

高坊主 (たかぼうず)

魍魎分校・死国校に通う男子高校生で、香川県および徳島県の妖怪。見上げれば見上げるほど背が高くなる能力を持ち、人型の黒い影のような姿をしている。高坊主自身の能力を生かして野球部の外野として活躍しており、青春を謳歌している。

マド

魍魎分校・死国校に通う男子高校生で、徳島県の妖怪。素行の悪いヤンキーで、風紀委員の夜行を目の敵にしている。好物は鎌で、藪出の鎌を狙っている。まるでゴリラのような屈強な体つきで、全身が毛で覆われている。

隠神刑部 (いぬがみぎょうぶ)

魍魎分校・死国校の校長を務める妖怪で、愛媛県の化け狸。性別はオス。成人した狸の姿をしているが、人間の言葉を話すことができる。眼鏡を掛けており、頭部には般若の面をつけている。ふつうの人間には通うことのできない死国校になんの問題もなく登校してきた渡海隼人に感心し、特別に入学を許可した。

芝天 (しばてん)

魍魎分校・死国校で教師を務める男性で、高知県および徳島県に伝わる妖怪。河童と幼い男児の両方を併せたような特徴的な姿をしている。小さな子供のような無邪気な性格の持ち主で、生徒たちにもわざと厄介な問題を課すなど、いたずらをして楽しんでいる。趣味は相撲を取ること。

ヒタタキ

高知県の妖怪で、周囲の光を奪う能力を持つ。魍魎分校・死国校の近くに現れ、紅坂光子の光を一時的に奪い取り、恐怖を与えた。

糸魚 (いとよ)

飴宮家のお手伝い兼飴宮初夏の教育係を務める女性で、徳島県の妖怪。見た目は美しいふつうの女性だが、誰かが見とれていると老婆になって人を驚かせる能力を持つ。初夏が幼い頃から飴宮家に仕えており、長い付き合いがある。初夏が魍魎分校・死国校に進学し、渡海隼人、紅坂光子、瀬々良木碧、相模次郎と親しくなったことを喜んでいる。

場所

魍魎分校・死国校 (もうりょうぶんこうしこくこう)

四国にある魍魎分校。四国の中央に位置しており、地域で活動する妖怪たちが通学している。人間の学校でいうところの高等学校にあたる。妖怪たちが通う学校ながらも文部科学省の認可を得ており、大学への進学も可能。四国にあるが、学校名は魍魎分校・死国校で、校長を務めるのは狸の妖怪の隠神刑部。死国校の特色として全国的に認知度の低いマイナーな妖怪が多く在籍し、極端に秘密主義であったり、個性を出そうとキャラクター付けを誤ったりと、非常に扱いづらい妖怪たちが集っており、狸の妖怪が多い。通常であれば人間はこの学校にたどり着くことさえできないが、渡海隼人はなぜか問題なく登校しており、特別に入学が許されている。中にはお互いに捕食をし合う妖怪も在籍しているが、生徒同士で傷つけ合うことは校則で固く禁じられている。

書誌情報

こじらせ百鬼ドマイナー 全5巻 集英社〈ジャンプコミックス〉

第1巻

(2018-12-04発行、 978-4088816746)

第2巻

(2019-02-04発行、 978-4088817347)

第3巻

(2019-07-04発行、 978-4088818948)

第4巻

(2019-12-04発行、 978-4088821528)

第5巻

(2020-05-13発行、 978-4088822884)

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