この男は人生最大の過ちです

この男は人生最大の過ちです

おとなしそうに見えて言いたいことははっきり口にする女性、佐藤唯の言動に性癖を刺激され、奴隷になりたいと志願してきたのは、唯が勤務する製薬会社の若き社長である天城恭一だった。ごくふつうのOLで隠れドSの唯と、マゾヒストの天城の恋愛模様を描く、ツンデレラブコメディ。「恋するソワレ」で2017年3月から配信の作品。2020年1月、TVドラマ化。

正式名称
この男は人生最大の過ちです
ふりがな
このおとこはじんせいさいだいのあやまちです
作者
ジャンル
ラブコメ
レーベル
スフレコミックス(Jパブリッシング)
巻数
既刊9巻
関連商品
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あらすじ

唯と天城の出会い

製薬会社の事務員として働いている佐藤唯は愛犬を心臓病で亡くし、行きつけのバーで周囲を気にすることなくやけ酒をあおり、嘆き悲しんでいた。その唯の声の大きさと悲しむさまに、一人で酒を楽しんでいた男性は不快感をあらわにし、厳しい言葉を投げかける。すると怒りを爆発させた唯は、帰ろうとしていた男性に脚をかけ、そのまま転倒させるだけでなく、冷たい言葉と視線を浴びせてしまう。翌日、昨晩の振る舞いを後悔している唯の前に、昨夜の男性が現れる。その男性は唯が勤務している製薬会社の社長の天城恭一で、唯は解雇を覚悟するが、あろうことか天城は唯に「僕を奴隷にしてください」と土下座する。天城は超が付くほどのマゾヒストであり、唯の冷徹な言動に自分の性癖を刺激されてしまったと語り、以降天城は唯につきまとうようになる。突然の天城の言動に唯は驚きつつも、社内でも社長と親しい謎の事務員だと噂になり、一躍唯は有名人になってしまう。この一連の騒動を迷惑に感じていた唯だったが、これまで親しくなかった人たちと距離が縮まり、悪いことばかりではないことに気づくのだった。

唯と天城を引き離したい名取

天城恭一は日々の業務はこなしているものの、以前から苦手だった接待の予定をたびたびキャンセルするようになる。さらに天城は佐藤唯の愛犬を助けられなかったという思いから、通常の製造ラインとは違う新薬の開発に着手する。そんな天城の行動に社長秘書の名取蒼は不満を抱き、唯に天城との関係を終わらせないかと声を掛ける。天城からの執着に煩わしさを感じていた唯は名取と手を組むことにするが、結局は天城のペースに乗せられてしまい、なかなかうまくいかない。それどころか、会社のパーティーに参加することになった唯は、天城が参加者の女性たちから断トツの恋人候補として人気を独占していることを知り、彼を取られたくない思いを抱いていると自覚する。そんな唯の変化に気づいた名取は、すぐにでも二人を引き離すべきだと焦り、最終手段として天城の前で自分と唯が付き合っているふりを始める。

冴の登場とゆれ動く唯の心

ある日、佐藤唯は大切にしていたピアスを天城恭一の車内に忘れてしまったことに気づく。それを天城に伝えると、自宅に届けに行くといって聞かない天城だったが、唯は人目のある場所で会おうと提案し、高級ホテルのラウンジで待ち合わせをすることになる。そのホテルでは細胞に関するシンポジウムが行われており、天城だけでなく、彼の大学時代からの友人である三島冴藍田航之郎も出席していた。天城は唯を恋人だと勝手にみんなに紹介したところ、冴は唯をあおるかのように天城と激しいスキンシップを始め、ついには目の前でキスを交わす。唯は天城と冴の関係を気にしつつも、愛犬家の藍田と意気投合する。そんな中、冴はノーベル生理学・医学賞を受賞し、マスコミからインタビューが行われる中で堂々と天城に好意を抱いていることを宣言し、マスコミを中心に大いに話題となる。その様子をテレビで見ていた唯は、もう天城とかかわりたくないと、これまで以上に天城を避けるようになるが、無理やりデートに連れ出されてしまう。しかしそこにも冴が現れ、二人を混乱させるだけでなく、自分は唯が知らない天城の重大な秘密を知っていると挑発する。

距離が縮まっていく唯と藍田

佐藤唯天城恭一三島冴の関係が気になる一方で、いっしょにいると心が安らぐ藍田航之郎と過ごす時間が増えていた。そんな唯に対して天城は、藍田といっしょに居てほしくないと気持ちを伝え、代わりに冴が知っていると息巻いている、自らの重大な秘密を唯に打ち明ける。天城は幼い頃から周囲に期待されており、何事もできて当然だと思われて育てられてきた。そのうっぷんを晴らすかのように、天城はわざと強い副作用が出る薬を開発する。そのまま薬を処分する予定だったものの、運悪くその薬が世の中に出回ってしまい、服用した患者に副作用が出たことによって薬事訴訟に発展する。しかし天城は将来を嘱望されていることもあり、製薬会社がその不祥事をもみ消し、その罪滅ぼしとして経営者となった今でも、研究者として研究を続けているのだと打ち明けられる。唯はあまりにも重い告白に、天城とどう向き合っていけばいいのかわからなくなっていた。そんな中、唯は藍田から彼の愛犬同伴のデートに誘われ、久しぶりに充実した時間を過ごす。しかしデート中、藍田にトラブルが次々と起こり、唯は彼の家に泊まることになってしまう。

天城への恋心を自覚する唯

ホワイトデー当日、佐藤唯天城恭一から食事に誘われる。そこで天城は唯に彼女になってほしいと告白をし、唯はすぐに返事をしなかったものの、自らも天城に惹かれていることを自覚する。そんな中、ノーベル生理学・医学賞を受賞した三島冴は授賞式のため、ストックホルムへと向かう。そして授賞式に合わせて現地で勉強会が開催されることになり、天城もストックホルムへの出張が決まる。授賞式のインタビュー中も、冴は天城に対して熱烈なアプローチを続けていた。その様子を見ていた唯は、たとえ今は両思いであっても、自分と天城では釣り合うわけがないと自信をなくしてしまう。そんな中、藍田航之郎は唯との交流を通して、彼女を一人の女性として意識するようになっていた。

メディアミックス

TVドラマ

2020年1月から、本作『この男は人生最大の過ちです』のTVドラマ版『この男は人生最大の過ちです』が、朝日放送テレビ系列の「ドラマL」枠で放送された。キャストは、佐藤唯を松井愛莉、天城恭一を速水もこみち、三島冴を田中道子、藍田航之郎を平岡祐太、石川あみを片井萌美、名取蒼を入江甚儀が演じている。

登場人物・キャラクター

佐藤 唯 (さとう ゆい)

天城恭一が経営している製薬会社「天城製薬」の事務員として働いている女性。愛犬「ショコラ」を心臓病で亡くし、行きつけのバーでやけ酒をあおりながら嘆き悲しんでいるところを、偶然居合わせた見ず知らずの天城から苦言を呈され、怒りを爆発させて彼の足を引っかけて転倒させてしまう。そして天城に冷たい言葉と視線を浴びせるが、翌日やり過ぎたことを後悔しながら出社する。そんな中、社長が自分を捜していると呼び出されるが、その社長こそが昨日のバーの男性で、佐藤唯はクビを覚悟する。しかし、天城から掛けられた言葉は「僕を奴隷にしてください」という意外なものだった。昨日の出来事がマゾヒストの天城の性癖を刺激し、それからは事あるごとにつきまとわれるようになる。最初は天城を警戒していたが、彼と交流を深める中で次第に異性として心惹かれていく。ふだんは物腰がやわらかくおとなしいタイプながら、自らの道理に反する振る舞いをされると、冷徹な言葉を平気で投げかけるクールな性格となる「隠れドS」。天城は唯自身が勤務している会社の社長ながら、社長室と研究室の往復だけで姿を見たことはなく、再会するまで知らなかった。

天城 恭一 (あまぎ きょういち)

製薬会社「天城製薬」の社長を務める男性で、アンダーリムの眼鏡を掛けている。愛犬を亡くし、悲しみから行きつけのバーで取り乱していた佐藤唯のとなりで飲んでいたことから、うるさいと悪態をつく。そして不快だと帰宅しようとしたところ、唯に足を引っかけられて転び、容赦ない言葉と視線を浴びせられる。この出来事がきっかけで、唯の奴隷になりたいと志願するようになる。それからは、唯に厳しい言葉で罵られることが快感となり、しつこくつきまとっている。容姿端麗で、時折会社に姿を見せたときには女性社員から熱い視線を集めている。会社内ではつねにポーカーフェイスで、周囲からは冷徹な性格だと思われているが、実は「ド」が付くほどのマゾヒスト。幼い頃から優秀だったこともあり、褒められた経験しかないため、罵られることに快感を覚えてしまう性癖を持つ。頭の回転が速く、表向きは唯に振り回されているように演じているが、実は天城恭一自身の策略どおりに物事を進めている。会社の経営だけでなく、天城自身も研究者として新薬の開発に携わっているため、多忙な日々を過ごしている。

石川 あみ (いしかわ あみ)

天城恭一が経営している製薬会社「天城製薬」の事務員を務める女性。佐藤唯の先輩で、以前は唯と会社だけの付き合いだったが、唯が天城に執着されるようになってからは、個人的に悩みを聞くなど親しくなる。つねに冷静沈着でサバサバとした性格の姉御肌で、唯の悩みにも的確なアドバイスを送っている。順調に交際を続けている恋人がいる。

名取 蒼 (なとり そう)

天城恭一が経営している製薬会社「天城製薬」で、社長秘書を務める男性。天城が佐藤唯の奴隷になりたいと執着していることを厄介に感じており、実際に業務に支障をきたしていることから、二人のつながりを断ち切りたいと考えて行動を起こす。見た目はおとなしそうに見えるが、理不尽なことに対してははっきりと主張する唯に対して、好感を抱いている。見た目は整っているが、女性とお酒を飲むことをライフワークにしているほどの軟派な性格で、異性からはまったくモテない。女好きを自称しているが、女性の優先度はそれほど高くなく、ふだんは仕事に打ち込んでいる。

三島 冴 (みしま さえ)

有名大学の細胞研究所で所長を務める女性。大学時代の友人である天城恭一を通して、佐藤唯と知り合う。学生時代から天城に対して冗談では好意を伝えていたが、数年ぶりに彼と再会してから、真剣なアプローチを繰り返している。天城が唯に偏愛しているため、一方的に唯をライバル視している。見た目はまるで芸能人のように容姿端麗で、「美人教授」としてメディアに取り上げられることも多い。その華やかな見た目だけでなく、細胞学の権威としても注目されており、ノーベル生理学・医学賞候補者でもある。性に関しては、複数の恋人と堂々と交際しているなど、非常に自由奔放に振る舞っている。しかし、天城に思いを寄せるようになってからは、一途な愛を貫くようになる。

藍田 航之郎 (あいだ こうしろう)

有名大学の付属病院で心臓外科の医師を務める男性。大学時代の友人である天城恭一を通して、佐藤唯と知り合う。愛犬家で、犬が大好きな唯と気が合って急接近する。アウトローな雰囲気を漂わせているが、成功率100%を誇る腕を持つスーパードクターで、実際は心優しく、唯に対しても細かな気遣いを欠かさない。大学時代の友人である三島冴からは、「藍ちゃん」と呼ばれている。

書誌情報

この男は人生最大の過ちです 9巻 Jパブリッシング〈スフレコミックス〉

第7巻

(2022-06-10発行、 978-4866694979)

第8巻

(2023-03-17発行、 978-4866695563)

第9巻

(2024-01-19発行、 978-4866696430)

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